東北州構想断行!阪神淡路震災後のような行きすぎた円高阻止!20兆円補正即時断行! | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

東北州構想断行!阪神淡路震災後のような行きすぎた円高阻止!20兆円補正即時断行!

大きな決断ができない人は非常時には向きません!

こんな大国が国民の苦しみを放置している。一体、いつまで続けるのか?

そろそろ世界は日本の政府の判断にいらだを感じ始めている。

原発は世界の問題になっている。

決断ができないなら、その場を去りなさい!

そして、いつまで避難所生活をボランティアのみなさんにまかせるのか。

一刻も早く、予算をつけるべき。

増税しようとするから話がおくれるのでは?

20兆円をどうやって増税するんですかね?

そうすると、まず、●兆円で数次にわたるとかいって、しみったれ補正になるのでは?

それが「国民の生活が第一。」なのか?



財務省主導の「復旧」ではダメ!「復興」は新設する「東北州」に任せ、
福島に国会と霞ヶ関を移転せよ
円高に苦しんだ阪神大震災の過ちを繰り返すな

2011年03月28日(月) 高橋 洋一 ニュースの深層

まず、先週3月21日の本コラムで指摘した「でんき予報」は、23日から公表されるようになった。これは評価したい。

 さて本題だが、東日本震災関係で補正予算の話がでている。被災者の受け入れ自治体ではすでに補正予算がつくられているところもある。

 1995年1月の阪神・淡路大震災の時を振り返って、その問題点を整理しておこう。
当時、住宅や道路などの被害額10兆円に対して3.2兆円の補正予算を組んだ。そのほかに、円高になっていたので円高対策などで補正予算が9.1兆円となった。それらに対する財源のうち、国債発行は9.2兆円だった。補正予算は1995年2月、5月、10月に成立した。

 当時、金融政策は、バブル崩壊以降累次に金利引き下げが行われてきたので、震災以降も金融緩和の動きは鈍かった。政策金利としての公定歩合は意味が薄くなりつつあったが、やっと1995年4月と7月に引き下げられた。

 この対応の問題点は二つあった。

 第一に、被害額に対する予算規模が小さすぎることだ。当時の大蔵省は徹底的にケチった。私有財産に公費は入れられないというのが原則論を振りかざした。さらに、その前段階である復旧についても、原状復旧しか公費を入れられないと主張をした。

 これは、「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」(災害負担法)を根拠としている。地震により被災した地方公共団体のインフラについて、原状に復旧する場合にのみ国が資金をだすというものだ。この枠があるため、基本的には震災以前と同じようなインフラを作ることなり、しかも予算規模が縮小する。

 第二に、マクロ経済政策の手順の前後による円高だ。1999年にノーベル経済学賞を受賞したマンデル・コロンビア大教授によるマンデル=フレミング理論では、変動相場制では財政政策の効果はなく、金融政策は効果があるとされている。おおざっぱにいえば、変動相場制の下で、国債発行で財政政策をすると、行わなかった場合に比べて金利が高くなり、その結果、為替が強くなって、輸出が落ち、公共支出増を相殺してしまうのだ。

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まさに1995年の時がそうした状況だった。先に財政支出が決まり、それを先取りする形で震災3ヵ月後には円高になっている。その時の円高は、今回の円高より前の最高値だった。マンデル=フレミング理論から見ると、もっと早く金融緩和に踏み出していれば、その円高は阻止できただろう。


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では前回の震災対応を踏まえて、今回の復興をどうすべきか、考えてみたい。

 第一に、まず、いま補正予算が検討されているが、財務省主導による財源論になっているのではダメだ。1兆1600億円計上した予備費は全部使えないとか、平日上限2000円などの高速道路割引や高速無料化を先送りして1000億円から2000億円程度捻出できるとか、法人税減税の見送りで5000億円とか、ちまちました話ばかりだ。民主党がこだわってきた子ども手当をなくしても3兆円でしかない。

 一方、野田財務相は「安易な国債発行はできない」といっている。

 こうした財源論をしていると、予算規模が小さくなる。その中で、原状復旧という法的な縛りがあると、本当の復旧や復興につながらない。

 今回は津波被害が多い。津波被害の復旧の鉄則は、同じ所に家を建てないことだ。だからがれきとなった被災地に復旧させるのではなく、安全な所に新たな街を造るのではなくてはならない。この点からいえば、財源論からスタートするのではなく、災害負担法の枠を政治家が取り払うことが必要だ。

災害というショックに増税では根拠がない
 第二に、増税が出てくるのは最悪だ。今の菅総理も谷垣自民党総裁もともに増税論者だ。国債発行を押さえる観点からは、災害復旧法で予算規模を縮めて、その上で足りなければ、臨時増税という手段で、両者は意見が合うだろう。

 ただ、増税は災害というショックに対応する政策としてはまったく根拠がない。財源調達として、国債発行と増税の違いは調達を分散させるか一度にやるかの差である。もし100年に1度のショックとすれば、地域的にも時間的にも分散処理すれば対応コストが平準化できるので、震災対応は国債発行となる。

 しかし、増税派は、国債発行は財政破綻をもたらすと脅す。震災ショックに増税したら、被害のない西日本もダメージを受けてしまう。その結果、経済の一部である財政も悪くなってしまう。

 しかも、増税派がよくいう、国債残高が名目GDPの2倍もあるという台詞は、国のバランスシートで見れば右側の負債だけで、左側の資産を除いたネットベースなら、名目GDPの60%程度であって、目くじらをたてるほどの水準ではない。

 第三に、では実際に財源をどう用意すればいいのか。高速道路関係の予算組み替えはいいだろう。しかし、それでは雀の涙だ。10兆円程度であれば、国債整理基金を取り崩せばいい。借換債は予算とは別に国債整理基金で発行できるので、国債償還には困らない。

 もし20兆円程度なら、国債整理基金の取り崩しのほかに、復興国債を新たに発行して、財政法5条但し書きによる日銀直接引受でいい。これについて、今でも政治家は財政法で禁止されているという。しかし、3月14日付け本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2254)で書いたように、毎年日銀直接引受が行われている。

弱みにつけ込む円高アタックは阻止できる
 3月25日の衆議院財政金融委員会で、山本幸三衆議院議員は、この点を野田佳彦財務相、白川方明日銀総裁に質した。驚くことに野田財務相は知らなかった。日銀直接引受は、来年度予算書予算総則に記載されている話なので、財務相として失格である。山本議員は、これで通貨の信任が失われたかと白川総裁に質した。白川総裁は答えをはぐらかしていたが、最後には通貨の信任が失われていないことを認めた。

 来年度の国債は、新規財源財44.3兆円、借換債111.3兆円、財投債14兆円の計169.6兆円、発行される。この分類は財務省の便宜的なもので、市場関係者から見ればどの国債も同じであるので特に意味はない。これらを金融機関や個人が157.8兆円、日銀が11.8兆円を消化する。(このデータは財務省サイトにあったが、なぜか本稿執筆時の27日には消えていた。)

 もし20兆円の復興国債を新たに発行して日銀直接引受しても、189.6兆円発行で、市中消化は157.8兆円、日銀は31.8兆円。市中消化の原則は守られて、通貨の信任を失うはずない。

 この日銀直接引受は、日銀がマネーを出すことになり、その分日本円が相対的にドルより多くなり、相対的に多いモノの価値は下がるので円安要因になる。リーマンショック以降各国が金融緩和しマネーを大量に供給しているにも関わらず、日銀はマネーを出さず、日本円は相対的に少なく円高基調になっているのだが、これをひっくり返すことができる。

 阪神淡路大震災直後は、財政支出を見越した円高アタックにやられたが、それを防止し、同時に財政政策の効果を国内に残す働きも期待できる。

中央省庁ではなく、東北人が仕切る組織に
 最後に、復興を機能させる組織だ。権限、財源、人間の三ゲンを与えて、そのまま道州制「東北州」になるように、復興院組織を作るべきである。これは、各省の上の乗っかる中央省庁の組織にしてはいけない。東北の人が仕切り、東北に根ざした組織でなければいけない。中央省庁の地方支分局は本省から切り離して、復興院組織の一部として、東北各県の権限も復興院に一元化するほうがいい。

 こうした施策によって復興した「東北州」は、日本で最も先端的な「州」になるだろう。ついでに、国会等の首都機能を福島に移転するのも、復興を後押しするだろう。かつて、福島、岐阜、三重の3地域が候補になって移転基本法もできたが、政治的にストップしている。今はそれを再起動するチャンスだ。なお、ここでいう首都機能移転とは、国会と霞ヶ関政府の移転であり、皇居の移転ではない。したがって遷都ではない。

 このような国難は戦時体制と同じである。英国の戦時内閣は財務相がいないという。国より財政を優先すると国の進路を間違うからだ。日本も財務省抜きで復旧・復興を議論すればいいかもしれない。