国民総力戦:「復興計画、東北人の手で」増田寛也元岩手県知事ーこれこそ政治主導の構想 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国民総力戦:「復興計画、東北人の手で」増田寛也元岩手県知事ーこれこそ政治主導の構想

(1)読売新聞(4面)に、増田寛也先生のインタビュー記事。

①電力の周波数の統一

東日本で電力が不足しても、西日本は周波数が違うため送るのに限界がある。周波数の統一をこの機会にやらないと、もう絶対に出来ない。政治決断が必要だ。

②食糧は地産地消

③東北復興院

復興のデザインは地方が描くべきだ。
県を超えて東北人の力で描くべきだ。
国が枠組みをつくると、国の指導権や監督権が入ってくる。

④危険な場所の買い上げ

危険な場所の土地を買い上げ、被災した方の住まいは高台の安全なところに移す。
必要な補償を行い、特別立法で土地の利用券に制約を課しておかないといけない。いろいろな構築物が建ち始めるろ町づくりが大変になる。

⑤生活支援はボランティアへ

生活支援的な話は、じょじょにボランティアなどに切り替え、自治体は行政にしかやれない仕事に集中すべきだ。一刻もはやく県や全国の自治体から応援に入ってもらう措置が必要だ。

人間の尊厳をかけた生活を維持するために市町村合併が必要であればおおいにやればいい。


(2)読売新聞4面に、「ようやく省庁総動員 国の政策課題 復興「政治主導」に限界」の記事。

→以下は、記事を読んだ感想です。

・節電の呼び掛けは、ル-ティンワークの行政の長がやることであって、政治決断ではありません。

・政治決断でいま最も大事なことは、福島原発が、核燃料損傷で汚染している可能性も指摘されるなか、いつまでに最終的解決をするのかの政治決断をすることでしょう。

昨晩、総理は会見で以下のようなやりとりをしています。

--菅首相は現段階での福島第一原発をどう認識しているのか。収束のメドをどう考えるか。避難支持などの範囲を拡大する考えはないか

「今日の福島第一原子力発電所の状況は、まだまだ予断を許す状況には至っていない。悪化を防ぐという形で対応しておりますけれども、予断を許す状況には立ち至ってはいないという認識を持っております。引き続き極めて高い緊張感をもって、一つ一つの事態に当たっていかなければならない局面が続いている。このように認識いたしております」

悪化を防ぐのは現場の努力。政治の現場がやるべきは、最終的解決のための選択肢の政治決断。

世界がどんどん日本からひいていきます。総理のメッセージがこれでは。


一体いつまでこの状況が続くのか全くわかりません。これでは政治ではありません。最終的解決のためにどんな選択肢があってそれにはどんなリスクがあるのか、そしてどういう決断をするのか。

避難している子どもたちは、4月からどこに入学するのか。

避難している大人は、どこで仕事を再開するのか。

農産物はいつ安全宣言ができるのか。

グレーゾーンからいつから抜け出せるのか。工程表がなければ生活を再開できない。それを出せないようなら政治にならない。そこに思いがいかないようなら政治ではない。


「4月12日、プロ野球開幕のときには、福島原発の問題は最終的に解決している」ぐらいの宣言をなぜできないのか?できなかったときの政治責任の回避という発想こそ、自己保身の論理であり、危機にそぐわない発想です。

もしも、本当に長期化するなら、それを前提に、安全地域への民族大移動を決断すればいい。

グレーゾーンで国民が自主的にどうにかしてくれるのを待つ、というのは、民主党のみなさんが野党時代に一番嫌っていた「自己責任」ではないか。この危機において、自己責任なのか?「国民の生活が第一。」はどこへ?



悪化を防ぐ以上の解決策はないのか?ここのメッセージが国民生活と経済と日本の世界的印象の根幹にかかわる部分。

そこに政治決断がないのか。何の政治決断も必要のない夏の節電の呼び掛け、市町村に判断をゆだねる自主退避は、政治主導ではない。

期限を決めた決断、法律改正の決断、財源の決断がないから政治主導にならない。役人を怒鳴ってルーティンの行政の積み上げをしても、政治主導にはなりません。せめて、「みなさんがやりたいけど制約があってできないことは何ですか。私がその制約をとりはらいます」といったらいいです。



読売の記事では、「被災地復興の全体構想づくりでも、首相周辺では官僚を極力排除して進めようという考え方が浮上している。」とあります。

(だから、去年、自民党・みんなの党の国家公務員法改正案を通しておけばよかった。そして、国家戦略局の権限をしっかりしておけばよかった。そうすれば政治主導体制ができた。あのときに霞が関に迎合するから今になって政治主導体制が空回りしている。いまは危機ですからこのことはいいませんが、危機も想定して自民党やみんなの党は政治主導をいっていたことを忘れないでください。)

そして、民間スタッフが参加して「基本方針」をつくっても、「制度設計」「法案作成」で官僚の協力がなければできません。まして、与野党ねじれですから法案は通りません。


政治主導とは「思いつき」ではありません。民主党のみなさんは小泉首相の首相指示のことを全く学習していないようです。下記の竹中平蔵元経財相の発言をご参考に。

「一般にはあまり知られていませんが、一回の諮問会議を開くためには実にたくさんの準備作業が必要です。・・・超多忙な総理に適切な判断をしていただくためにも、周到な準備が必要なのです。通常、一回(1時間半から2時間)の諮問会議のために、スタッフとの打ち合わせ数時間、提言を行う民間メンバーとの打ち合わせ数時間、そして総理・官房長官との打ち合わせが1時間程度です。これに根回しの時間などを加えると、合計して一回あたり20時間を越える場合も少なくありません。特に重要な打ち合わせは、週末に行われることもしばしばです。有効な政策が決められるよう作戦をたて、議論のポイントを民間メンバーや担当大臣・与党関係者と相談し、そのうえで総理から力強い締めの言葉を頂いたときは『政策を前進させた』という強い充実感があります」

「いきなり『10キロ先に理想的な姿があるからいきなさい』といわれても、抵抗する官僚たちは『おっしゃる通りですが、なかなか大変ですね』というだけで終ってしまう。しかし、10キロ先ではなく『1メートル前進しなさい』『次は10メートル前進しなさい』といわれたら、抵抗するのは容易ではなくなる。政策においても、手順と時間を念頭に置いた戦略的な提言を行わなければならない」