国民総力戦:河北新報・岩手日報より | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国民総力戦:河北新報・岩手日報より

避難者名簿

河北新報
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1063/index.htm

宮城県・市町村別避難所・避難者リスト
http://www.pref.miyagi.jp/hinanjo.htm

岩手県内の避難所にいる方々の名簿
岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/hinanjo/list.html
岩手県・避難者名簿
http://www.pref.iwate.jp/


生活情報/安否
3月22日 河北新報
 
●宮城県は、22日午後4時、避難者情報ダイヤル022(211)3430を開設する。各市町村が避難所ごとにまとめた避難者リストに基づき、電話で氏名、住所などの照会に応じる。提供できる地域は21日現在、石巻、気仙沼、白石、角田、多賀城、岩沼、登米の各市と、七ケ宿、柴田、松島、利府、大郷、加美、女川、南三陸の各町。ほかの市町については情報提供を受け次第、対応する。開設時間は午前9時~午後9時。県のホームページにも掲載する。

 ●宮城県警は、行方不明者相談ダイヤル022(221)2000に寄せられた連絡がつかない人々の名前一覧をホームページ(HP)に掲載。HPを見て生存を県警に連絡すれば、掲載された名前を削除していく。

 ●宮城県警は、死者の中で、身元の推定できる人の名前と、遺体の収容場所を公表。HPで閲覧できる。連絡先は行方不明者相談ダイヤル022(221)2000。

 ●岩手県警は、地震に伴う行方不明者に関する相談に応じる行方不明者相談ダイヤル(0120)801471を設置。

 ●福島県警は、地震の行方不明者に関する相談を「行方不明者・警察安全相談コーナー」で応じている。(0120)510186、090(8424)4207、090(8424)4208


生活情報/バス

3月22日 河北新報

 仙台市交通局は22日、南、東、西方面で計5路線のバスの運行を再開する。これまで走らせてきた特別路線3線も同日、通常路線に戻す。運行路線数は計30。時間は午前6時半~午後8時半で、30分~1時間間隔。
 運行再開路線は次の通り。
 長町営業所―長町駅経由南仙台駅東口―四郎丸、岩切駅前―利府街道―東仙台営業所―原町経由仙台駅―交通局大学病院前、東高校入口―若林経由仙台駅―交通局大学病院前、青葉台―宮教大・工学部―青葉通経由仙台駅、作並温泉―白沢車庫―国道48号・八幡町経由仙台駅
 十和田観光電鉄(十和田市)などは22日、仙台―青森間の高速バスの運行を再開する。1日3往復で予約制。運賃は中学生以上片道5700円で、小学生以下は半額。連絡先は同社青森営業所高速バス予約センター017(787)1558(午前9時~午後6時)。
 宮城交通は22日、仙台―弘前間の高速バスの運行を再開する。1日1往復で予約制。運賃は中学生以上片道5090円で、小学生以下は半額。同路線は既に運行を再開している弘南バスと合わせて1日2往復となる。連絡先は弘南バス予約センター0172(37)0022(午前9時~午後6時半)。
 岩手県交通は22日、仙台―江刺間、盛岡―水沢・千厩間の急行バスの運行をそれぞれ2往復で再開する。
 JRバス東北は22日、盛岡―久慈間を3往復で全線運行する。これまで盛岡―葛巻の部分運行だった。
 県北バスは22日、盛岡―軽米・大野間を1往復で運行再開する。


生活情報/身の回り品

2011年03月22日河北新報


 ●塩釜水産物仲卸市場(塩釜市新浜町)は22日、営業を再開する。営業時間は午前6時~正午。当面、休まず営業を続ける。

 ●イトーヨーカドーは22日、石巻あけぼの店、仙台泉店とも食品中心で営業。在庫次第で閉店が早まることも。

 ●ヤマザワは22日、山形県内の各店舗で営業。宮城県内の長町南、荒井、中田、塩釜中の島、汐見台では営業見合わせ。

 ●ヨークベニマルは22日、中新田、涌谷、築館、利府野中、泉野村、新荒巻の6店舗で営業。午前10時をめどに開店するが、営業時間は流動的。

 ●みやぎ生協は22日午前10時から県内31店舗で営業。商品が売り切れ次第、閉店する。石巻地域の各店と、閖上、黒松、白石、六丁の目、新田東の5店は営業しない。
 登録家庭向け灯油は仙台北、仙台東、仙台西、仙台南、富谷、柴田、古川、迫の8支部で18リットルのみの配達。入荷状況などにより配達しきれない場合もある。共同購入、仲良し宅配、個人宅配の再開時期は未定。

 ●イオンは22日、気仙沼、石巻、多賀城を除く宮城県内各店舗で営業予定。仙台幸町と新名取は食料品、医薬品、日用品を扱う1階フロアで営業。

 ●マックスバリュは22日、塩釜、名取を除く各店で営業予定。

 ●モリヤは22日、スーパービッグ吉成店、六丁の目店、旭ケ丘店、村田店、フレッシュフードモリヤ幸町店、今泉店、落合店、長町店、大学病院前店、パワーズ東中田店で営業。フレッシュフード沖野店は一時休業。

 ●ダイエー仙台店は22日も午前9時半から1階と地下1、2階で営業。

 ●さくら野百貨店仙台店は、22日も政岡通を挟んで北側に隣接する仙台東洋ビル4階で営業。食料品、下着類、タオルなどを販売。受注していた中学校の学生服もこちらで渡す。4月5日からほぼ通常通りの営業に戻る。

 ●ウジエスーパーは22日、志津川駅前店とUマート石巻店を除く全店で営業。

 ●いたがきは22日も本店、一番町店、朝市店、エスパル店、三越仙台店で青果物を販売。午前9時ごろ~午後2時ごろ。

 ●イトーチェーンは22日、高砂店、マルコ店、船岡店、岩沼店、船迫店、角田店で午前9時~午後1時まで営業予定。名取店と仙台泉店は午前9時半~午後2時まで営業予定。

 ●デイリーポート新鮮館佐沼店は午前9時半~午後4時、中田店は午前10時~午後5時、気仙沼店は午前9時~正午。在庫状況により閉店時間が早まることも。

 ●ダブルストーンは22日も防寒服、手袋、トレーナー、肌着、マスクなどを販売。卸町本店、六丁の目、大和町、仙台空港、利府、加茂、蛇田、大河原、古川、286の10店舗で営業。

 ●ヨドバシカメラマルチメディア仙台は通常営業。午前9時半~午後10時。

 ●コジマは22日、宮城県内6店舗のうちNEW仙台店で営業する。午前10時~午後5時。

 ●ケーズデンキは22日午前10時から仙台太白店(15時まで)、築館店、加賀野店(18時まで)で営業予定。

 ●藤崎は22日午前10時~午後3時、本館1階と地下1、2階、大町館1階の一部のみで営業。売り切れ次第終了。一番町館1階で中学校制服の受け渡しを行う。

 ●エスパル仙台店は22日、食料品の臨時販売を行う。ホテルメトロポリタン仙台1階エントランスで午前11時から。鮮魚、青果、肉、弁当、パン、総菜など。完売すれば営業終了。

 ●エーコープ宮城は22日、宮城県内の全16店舗で営業。午前10時開店、2~4時間で閉店する。

 ●やまやは22日、石巻、鹿妻、塩釜、塩釜貞山、多賀城、沖野、仙台トラストシティーの各店を除く宮城県内の37店で営業する。

 ●角田市の斉藤養鶏場は卵を直売している。午前10時ごろから。30個600円。車1台当たり150個まで販売。なくなり次第終了。角田市稲置三ノ入15の1。連絡先は0224(65)2455。

 ●弐萬圓堂は22日、多賀城、田中前の各店を除いた宮城県内の16店舗で営業する。午前10時~午後4時。

 ●メガネの相沢は22日、東北の39店舗のうち、20店舗で営業する。営業するのは、本店・ヤング館、本館、AIAI40、長町、太白山田、大和町、桜ケ丘、南仙台、名取、利府、佐沼、古川駅東、古川4号バイパス、新田東、明石台、岩沼、柴田、水沢常盤通り、郡山イトーヨーカドー、山形エスパルの各店。

 ●大内屋は22日、本店で営業する。午前11時~午後3時。商品がなくなり次第終了。肌着、靴下などを販売する。

 ●ダルマ薬局は22日、41店舗で営業する。営業しない店舗は次の通り。本店、共栄薬品、本塩釜駅前、長町南、手倉田、石巻中里、白石、矢本、イービーンズ、荒巻セントラルプラザ、フード&ドラッグ沖野、寺岡、多賀城町前、台原ドン・キホーテ、市名坂、桂、泉パークタウンタピオの各店。

 ●薬王堂は22日、気仙沼鹿折、気仙沼赤岩、気仙沼階上、石巻湊、宮城志津川の各店を除く宮城県内の22店舗で営業する。午前9時開店。在庫次第で早めの閉店あり。

 ●マツモトキヨシは22日、仙台中央通り、仙台駅前、仙台駅東口、セラビ岩沼店の4店舗で営業する。

 ●トモズは22日、仙台長町店を除く4店舗で営業する。

 ●コメリは22日、23店舗で営業する。営業しない12店舗は、唐桑、志津川、山元、階上、鳴瀬、大和、桃生、宮城河北、丸森、東和、松島、中新田の各店。

 ●ホームセンタームサシは22日、仙台泉店と名取店で営業する。午前9時半開店。商品がなくなり次第終了。

 ●ダイシンは22日、宮城県内13店舗のうち、矢本店を除く12店舗で営業する。午前9時~午後5時。

 ●カインズホームは22日、宮城県内4店舗のうち、仙台富谷店で仮営業する。

 ●アカチャンホンポは22日午前10時~午後2時、仙台泉店で営業。

 ●西松屋は21日、気仙沼、多賀城、石巻、仙台鈎取の各店を除く11店舗で営業した。22日も同規模の店舗で営業予定。

 ●マクドナルド仙台大野田店(仙台市太白区)は21日、営業を再開。営業時間は午前10時~午後3時。当面、テイクアウトのみの販売でドライブスルーは中止。販売商品の種類、1人当たりの販売個数に制限がある。

 ●食堂の「あじましや」(仙台市泉区七北田)は24時間営業中。連絡先はカルラ022(351)5888。

 ●ブックオフ・オーディン宮城利府店は22日から再開する。営業時間は午前10時~午後5時。連絡先は022(396)1700。

 ●シュー・プラザ ロック古川店は午前9時~午後6時営業。連絡先は0229(28)4117。

 ●ペットハウス・パピーズ(宮城県柴田町西船迫)は、ドッグフードとキャットフードを販売している。営業時間は午前9時~午後7時。連絡先は0224(58)2522。


盛岡以北、22日午前から運転 東北新幹線
(2011/03/22)岩手日報

 JR東日本は22日、運転を見合わせていた東北新幹線の盛岡-新青森を、同日午前11時20分盛岡発の列車から再開すると発表した。
 新青森発の上りは午後0時48分から。22日は下り7本、上り6本が走る予定。
 東北新幹線は東京-那須塩原(栃木)が15日から再開し、1時間に上下各2本程度運行している。那須塩原-盛岡は高架や架線などの損傷が激しく、復旧の見通しは立っていない。


石油列車、2便に増発 燃料供給本格化へ

(2011/03/22)岩手日報
 
 横浜市の根岸駅から盛岡市永井の盛岡貨物ターミナル駅まで東北の被災地向けにガソリンや灯油などの燃料を運ぶJR貨物(東京)の「石油列車」は21日から、1日1便から2便に増発した。輸送量は20キロリットル積載のタンクローリーで64台分(約1200キロリットル)と1・5倍に増量。燃料不足に悲鳴を上げる被災地のほか、内陸への供給も本格化しそうだ。

 「石油列車」は根岸―長岡―新潟―秋田―青森―盛岡の約1千キロ(約26時間)のルート 。第1便は18日から運行されている。

 当初の便は18両編成で約800キロリットル積載し、午後7時44分に根岸を出発、翌日午後9時48分に盛岡に到着。増発便は8両編成で約440キロリットル積載し、午前11時46分に根岸を出発、翌々日の午前9時24分に盛岡に到着する。

 輸送された燃料は、盛岡貨物ターミナル駅に隣接する日本オイルターミナル盛岡営業所の油槽所に運搬、各石油会社のタンクローリーが被災地を中心に各地に輸送している。

 深刻化しているガソリンや軽油、灯油、重油などの燃料不足はマイカーだけではなく、公共交通機関や物流トラック、製造業の工場稼働、レジ袋や包装袋などの身の回りの品にも影響を与えている。

 「石油列車」などで全国各地からの燃料供給力が強化され、供給優先されている沿岸部の被災地から内陸部にかけても22日以降に市場供給が段階的に本格化しそうだ。

 JR貨物総務部広報室は「大量輸送できるため荷主や国などからの要望が強く、増発することにした。被災地支援のため当面は毎日運行していきたい」としている。


他系列スーパーが全面協力 民間支援が活発化

(2011/03/22)岩手日報 

 物資や食料が依然不足している東日本大震災の本県被災地で、民間による支援が活発化している。盛岡市で飲食事業などを手掛ける秀吉(渡辺史隆社長)は21日、津波で被災した山田町のスーパーに救援物資を届けた。沿岸部を拠点とするスーパーのマイヤ(大船渡市、米谷春夫社長)は、他系列を含めた全国のスーパーからの支援で市民の台所として懸命の営業を続ける。行政の支援が立ち遅れる中、被災者には心強い援軍となっている。

 秀吉が物資を届けたのは山田町中央町のびはんプラザ店。津波で店内が浸水、1階は入り口付近から崩壊して店内営業はできない。

 トラックで運び込んだ青果やコメ、豆腐などの食材や衣料品を屋外のテントに並べ、午前10時の開店前には約100人が列を成した。葛巻町の業者から提供された乳製品も販売し、買い物客の熱気であふれた。

 秀吉の渡辺昌也営業企画部長らと、同店を経営するびはんコーポレーション(間瀬半蔵社長)の間瀬慶蔵専務に親交があり実現した。間瀬専務は「内陸にも物がない状態なのにありがたい」と感謝。渡辺部長は「盛岡の人にも被災地の現実を伝えたい」と話した。

 マイヤは津波で気仙地域6店のうち、5店が全半壊したが、大船渡市の大船渡インター店で11日の震災当日から店先営業を開始。陸前高田市など店舗が壊れた地域でも出張店舗で営業し、仮店舗の早期設置を目指す。

 商品調達は加盟するCGCグループ、共同仕入れする友好スーパーなどが全面協力。加えて岐阜県のバロー、埼玉県のベルクなど米谷社長が懇意にする他系列のスーパーも協力を申し出た。

 ベルクの原島功社長は「同じスーパーとして、何とか支援したい。すぐに商品を発送する」と力強く語る。

 安否不明の店員もいるマイヤは多くの社員が被災。自身も自宅が被災、母が行方不明という米谷社長は「各方面からの支援はありがたく、涙が出る。必ず復活してみせる」と誓う。

【写真=秀吉が届けたキャベツやタマネギなどの販売物資。被災地に元気を与えた=21日午前9時4分、山田町中央町・びはんプラザ店】

大船渡港、22日にも復旧 八戸道、釜石道も通行可

(2011/03/22)岩手日報

 
 東日本大震災で被災した東北、関東地方の交通網は21日、宮城県の塩釜港が一部復旧した。東北地方の港湾で引き続き利用できない大船渡港、石巻港(宮城県)は、海中に障害物が多く残っており復旧は22日ごろになる見込み。

 高速道路は、太平洋岸の常磐自動車道の水戸―いわき中央で一般車両の通行止めが解除された。22日午前10時からは東北自動車道の碇ケ関(青森県)―一関や八戸道、釜石道などが一般に開放。緊急車両も通行止めとなっている山形道の笹谷(宮城県)―宮城川崎(同)は一般車両を含め、通行可能となる。

 同時に、東北道の一関―宇都宮、磐越道のいわきジャンクション―津川などについては、緊急車両以外の大型車も通行できるようになるなど制限が緩和される。

 鉄道は21日、青森から横堀(秋田県)まで運転していた奥羽線が院内(同)まで延伸。23日には山形―新庄(山形県)が再開の予定で、残る新庄―院内は3月中に復旧する予定だ。郡山(福島県)と新潟方面を結ぶ磐越西線も3月中の運休区間解消を目指している。


宮古-田老間の運行再開 三鉄、1日3往復

(2011.3.21)岩手日報

 三陸鉄道は20日、北リアス線宮古-田老(宮古市)間の運行を再開した。ガソリン不足で移動手段が限られる中、多くの住民が被災地を結ぶマイレールを利用した。

 正午に宮古駅を出発した「一番列車」には約30人が乗り込んだ。安全に配慮し、通常の倍近い40分をかけて田老駅を目指した。

 同市舘合町の中村公子さん(64)は震災後初めて実家のある田老地区へ夫の致孝(ちこう)さん(66)と共に向かった。知人から津波で全壊したことを伝え聞いていたが、1933(昭和8)年の昭和三陸大津波で被災後、親が建てた家。中学生まで過ごした思い出が詰まっている。

 田老駅に向かう最後のトンネルを抜けると、窓の外に広がったのは一面がれきに覆われた古里。夫婦で身を乗り出し、車窓の景色を信じられないといった表情で見つめた。公子さんは「せめて写真だけでも残っていれば」と重い足取りで駅を後にした。

 同市田老の中田紀子さん(69)は市内の避難先から乗車。田老駅のホームで知人と偶然再会し、抱き合って互いの無事を喜んだ。中田さんは「早い復旧でホッとした。(運行)本数は少ないけれど、これで身動きが取れる」と運行再開を喜んだ。同区間は1日3往復、当面無料で運行される。

【写真=列車を降り、知人に駆け寄る中田紀子さん=20日午後0時37分、宮古市・田老駅】



勇気も届ける「赤バイク」 陸前高田で郵便配達

(2011.3.21)岩手日報

 陸前高田市広田町地区などで20日、震災後初めて郵便が配達された。自らも被災した地元出身の及川慎治さん(44)と高橋亨さん(32)=ともに日本郵便陸前高田支店=は、がれきだらけとなったなじみの地域に胸を痛めながら「郵便が届くことで勇気づけられたら」と使命感に燃えている。

 2人は普段は通じる携帯電話が使えないため、タイヤのパンクなど不測の事態に備えて小まめに待ち合わせ場所と時間を決めて移動した。

 全壊した家への郵便は預かったままにする。及川さんは地域の変貌に「残念極まりない。言葉が出ない」と肩を落としながらも「郵便が届くことで世の中が動いていることを実感してもらいたい」と気持ちを切り替える。

 高橋さんも「配達に行ったら驚かれた。公共料金の請求書とかの郵便でもすごく喜ばれた」と住民の「歓迎」にうれしい戸惑いも。

 郵便の中身は、各地からの励ましや安否を気遣うものが多いと感じるという。

 及川さんは同市中心部の自宅アパートが津波で流され、市内の避難所から出勤している。

 住民の笑顔と、奥州市など内陸部からの応援職員の支えを励みに、きょうも赤いバイクを走らせる。

【写真=「がれきの街」と化した古里を奔走する及川慎治さん(前)と高橋亨さん=20日午後3時、陸前高田市小友町】


体と心温める豚汁 宮古で食肉業者ら提供

(2011.3.21)岩手日報
 八幡平市大更の肉の横沢(横沢盛悦社長)と盛岡市内のホテルの料理人らは20日、宮古市日の出町の宮古・二中などの避難所で焼き肉と豚汁を振る舞い、住民に温かい食事を届けた。

 横沢社長らが運び込んだ救援物資は豚肉200キロ、豆腐100丁、みそ100キロなど。今回は避難所へ送る第1弾で今後、沿岸南部の被災地にも届ける。

 横沢社長が納品先の沿岸地域の住民を支援しようと、八幡平市内の商店などに協力を呼び掛けた。盛岡グランドホテル、ホテルメトロポリタン盛岡、ホテル東日本の料理人が腕を振るった。宮古・二中で豚汁を味わった宮古市向町の山内良さん(70)は「肉が入って味がしっかりしている。最初はおにぎり1個だけだったが、今は最高」と笑顔を見せた。

【写真=避難住民に焼き肉を振る舞う横沢盛悦社長=宮古市・二中】


患者の給食、野菜は畑から 県立大船渡病院

(2011.3.21)岩手日報

 大船渡市大船渡町の県立大船渡病院(八島良幸院長)は、入院患者に必要な約300人分の給食を職員の努力、工夫や善意の提供でつないでいる。

 入院患者にとって食事で得る栄養は重要。同病院は食料3日分を備蓄しているが、震災で物資の確保が厳しくなり、生鮮食品や野菜は欠乏が予想された。

 そこで職員の千葉ふみ子さん、木川田佳代さんは自宅の畑などから野菜を提供。ほかの職員も畑へホウレンソウを取りに行った。

 外部からも善意の提供があった。同市立根町のシイタケ業者は「もう出荷できないから」とシイタケを届けた。盛岡市のパン店からもパン200食が提供された。

 平野照子栄養管理室長は「善意の提供、食材をかき集めてくれるスタッフに助けられている」と感謝する。


看護師がストレス対応 釜石の日赤救護所

(2011.3.21)岩手日報
 「眠れない」「津波の話を聞くのがつらい」-。避難所生活が長引く中、家族や自宅を失ったショックやストレスから体調不良を訴える被災者が増えている。避難所では専門研修を受けた看護師が被災者の声に耳を傾けているが、精神的ケアの重要度は今後さらに高まると予想される。被災者の心にどう寄り添うか。息の長い支援が求められている。

 釜石市の避難所、旧釜石一中に救護所を構える日赤北海道支部チーム。メンバーの浦河赤十字看護専門学校専任教員で看護師の斎藤慎子さん(39)は被災者の心のケアに当たる。

 「体調はいかがですか」。優しい声で語り掛け被災者の傍らに寄り添う。「津波が来て…車や逃げようとしていた人がのみ込まれていった…。その話を聞くのがつらい」と被災者。その背にそっと手を当て、じっくりと耳を傾ける。

 救護所には1日約80人が訪れる。19日から診療に当たる北海道・栗山赤十字病院の佐々木紀幸医師(40)は「震災によるストレスがきっかけで不眠や頭痛、皮膚疾患の悪化などさまざまな症状を訴える人が出ている」と話す。睡眠導入剤や精神安定剤などが必要な人もいるという。

 災害後1~6週間は徐々にこらえていた感情が湧き出す時期。被災体験がふとよみがえったり、悪夢のせいで不眠や頭痛などを訴える人が増えてくる。

 日赤の救護班は県内で13チーム(20日現在)が被災者の診療をしながら、心のケアに当たっている。

 県によると現在、岩手医大チームも被災地で活動を展開。23日からは県外の精神科医や精神保健福祉士らで組織するチームが、被災により薬がなくなった精神疾患患者への対応を始める。

 佐々木医師は「時期によってストレスからくる症状の現れ方が違う。そのときに合った適切な対応が必要だ」と指摘。斎藤さんは「被災者がこれだけの大きな災害を受け入れて生活再建に向かうためにはメンタル面のフォローが欠かせない」と強調する。

【写真=被災者の話に静かにうなずきながら、優しくそばに寄り添う日赤の斎藤慎子さん=20日午前、釜石市・旧釜石一中】


足りない薬やりくり 陸前高田の特設診療所

(2011.3.21)岩手日報

 避難所にもっと薬を-。陸前高田市気仙町の避難所、長部地区コミュニティセンターでは被災地の医師や薬剤師が特設診察所で限られた薬をやりくりし、被災者の不安解消に努めている。

 「血圧を下げないと」「不整脈が…」。同市気仙町の避難所では、着の身着のまま逃げた避難者たちが毎日飲んでいた薬を飲めず「体は大丈夫なのか」と不安を抱えている。

 「このままではまずい」と町内の看護師、薬剤師が協力して同施設内に「診察所」を設け、体調不良の人や薬で不安を抱える人の診察にあたっている。

 体温計、血圧測定器、聴診器などの特設診察所の医療器具は全て被災者の各家庭から寄付してもらった。薬は内陸部の病院などから寄付された物を処方しているが、数と種類は限定的。「避難者が飲んでいたものと同じ薬はないが、同様の効果がある物を処方できれば」と薬剤師の大坂敏夫さん(46)。

 中野礼子さん(79)は「11日から4日間は血圧を下げる薬が飲めず、毎日不安だった。薬を処方してもらって先生に『これを飲めば当分大丈夫』と言ってもらった。ありがたい」と感謝する。

 大坂さんは「種類も量も限られており、避難者の不安はどんどん募っている。津波から助かったのに薬がないために亡くなるなんてことはあってはならない。薬をもっと届けてほしい」と訴えた。

【写真=特設診察所で診察を受ける被災者ら】



ふんばる3.11/ぬくもり、心に赤々と

2011年03月22日 河北新報


◎たき火から助け合う輪
燃料販売店主 高須賀昌昭さん(66)=石巻市八幡町

 「あだっていがい。あったまっから」。雪にぬれ、泥の道を行く被災者に声を掛ける人がいた。
 石巻市中心部の北上川右岸にある八幡町。11日の大地震後の津波で多くの家々が倒壊した湊(みなと)地区の外れだ。
 泥とがれきの県道脇に一点、赤いたき火。5、6人の輪ができている。
 「九死に一生を得だんだがら。元気を出さい」。湊小の避難所での配給から帰ってきた若い女性2人に、声の主、高須賀昌昭さん(66)が言う。
 「○さんはこの近所では。安否不明なんです」「給水はいつやるのですか」と尋ねてくる人もいる。たき火は小さなよろず相談所になった。
 曽祖父から約120年も燃料販売店を営み、灯油、プロパンガス、炭も扱う。得意客は1000軒。誰よりも地元に詳しい。
 「たき火をすると誰でも寄って、つらいことも話せるし、相談ごとも聞ける。ぬれた木は燃えにくいんだが、先祖以来、まき、炭のプロだから」

 たき火をする自宅も、1階が津波に没した。隣家との間に車が乗り上げ、周囲はがれきの山。
 家族は無事だった。ザーという音に、半世紀前のチリ地震津波を経験した母キクさん(93)が「逃げろ」と叫んで2階にはい上がり、妻千代さん(62)も助かった。
 高須賀さん自身は商店街で車ごと津波にのまれ、運よく窓から水中に脱出。知人の店で夜を明かし、カーテンを体に巻いて帰った。
 「もらった命。まずは生き残った人たちと力を合わせようと決めた」
 被災の翌日、避難所で「個人への配給はできない」と言われ、「それなら」と隣家を誘って「八幡町2丁目自主防災会」をつくった。会員は今、湊地区の水産加工会社で働く人、歯科医、年金生活の夫婦ら8家族20人。
 1人の1日分がにぎり飯1個だった配給食を補うため、互いに食べ物を持ち寄ったり、流れ着いた密封の食品や缶飲料を見つけたり。津波をかぶった井戸水の砂をこして、洗い物に使ったり。
 「『サバイバル飯』を考えるのも楽しい」と高須賀さん。米をサラダ油で炒めて味付けし、水を節約するチャーハンも。香ばしくて悪くない味だ。

 会員で、水産加工会社に勤める主婦は津波で同僚6人を失った。送迎車で避難する途中に巻き込まれ、20代の男性従業員と自分だけが助かった。
 憔悴(しょうすい)した若者は高須賀さん宅の2階に避難。長男の正忠さん(35)ら男の会員たちが車を捜し歩き、17日に遺体は確認された。
 次には「遺族に伝えて回りたいが、車のガソリンがない」と会社の社長夫婦も駆け込んだ。
 男の会員らは早速、津波で流された高須賀さんの営業車から、手動ポンプとホースでガソリンを抜き、給油に成功。社長夫婦は泣いて出発した。
 「1日も早く仕事を再開したい」と高須賀さんは言う。在庫の灯油とガスボンベは幸いに無事。自家用のタンク車も正忠さんが、配達中に襲われた津波から守り抜いた。
 「まだまだ寒い日が続く。被災して震えるお客さんたちに、たき火の暖かさを届けたいんだ」
(寺島英弥)
  ◇
 東北の人々の命や暮らし、古里の街を奪った東日本大震災。今も多くの人が行方不明の肉親を捜し、避難所で寒さや疲れに耐え、ライフラインの復旧を待つ。今日を生き抜くこと、希望を取り戻すこと、そして再び立ち上がること。そんな思いで支え合い、動き始めた人々を被災地のさまざまな場所で見つめる。