慢性疾患を持つ高齢の被災者が多い=「受け入れる施設があれば、どんどん受け入れてほしい」 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

慢性疾患を持つ高齢の被災者が多い=「受け入れる施設があれば、どんどん受け入れてほしい」


東日本大地震:国境なき医師団(MSF)、宮城・岩手の被災地で移動診療を継続
             -3月20日現在-

http://prw.kyodonews.jp/open/release.do?r=201103205271


東日本大地震発生翌日の2011年3月12日、国境なき医師団(MSF)は宮城県に緊急援助チームを派遣した。
20日現在、MSFの移動診療チーム(12人)は、宮城県ならびに岩手県各所の避難所で慢性疾患をかかえる高齢者を中心に診療を行っている。
またMSFは、衛生用品等の援助物資を被災者へ至急に配布できるよう、対応を進めている。
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2011年3月20日、宮城県登米市を拠点に活動を行う国境なき医師団(MSF)のスタッフ12人は、3チームに分かれて活動を継続している。19日には臨床心理士も合流し、心理ケアのニーズ調査を進めている。

現在、第1チームと第2チームが南三陸町周辺の避難所で引き続き移動診療を行う一方、第3チームは宮城県北部の気仙沼市から岩手県宮古市へ向かい、ニーズ調査を実施したのち、高齢者への診療を開始すべく準備を進めている。岩手県陸前高田市でも、早急に調査を開始する予定である。

またMSFは、近日中に石けんや歯ブラシと歯磨き粉、タオル等の衛生用品を、宮城県南三陸町の避難所で生活している被災者約1万人に配布できるよう、計画を立てている

MSFのチームは、地震の直後から地震と津波で甚大な被害受けた孤立被災地などをまわり、緊急援助を行っている。 被災地では、血液透析を受けられずに慢性腎疾患が悪化した高齢者や、継続服用の必要な糖尿病などの治療薬がない患者らを確認している。MSFは、各地の避難所で診察を実施し、薬の処方と治療を提供している。
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【2011年3月20日現在】
■MSFスタッフ総数:12人(医師4人、ロジスティシャン*3人、看護師2人、臨床心理士1人、アドミニストレーター**1人、コーディネーター1人)
■チーム総数:3チーム
■活動地:
-第1・第2チーム:宮城県南三陸町の避難所で移動診療とニーズ調査
-第3チーム:宮城県気仙沼市、陸前高田市と岩手県宮古市におけるニーズ調査と移動診療

*物資の管理や調達、通信インフラ整備などを専門に実施するスタッフ
**雇用に関する人事や財務などの業務を専門に実施するスタッフ
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被災地での緊急援助活動を支えるため、MSFは民間からの寄付を呼びかけている。
寄付はMSFのホームページ、携帯サイトならびに通話無料の寄付専用ダイヤルで受け付けている。

ホームページ:https://www.msf.or.jp/donate_bin/onetime.php
寄付専用ダイヤル:0120-999-199(9:00-19:00無休、通話無料)
携帯サイト:http://www.msf.or.jp/mb/donation/moneyEmg.php

▽東日本大地震関連のMSFニュース一覧はこちらをご覧下さい:
http://www.msf.or.jp/news/search.php?y=all&c=all&t=518


[関連リンクURL]
国境なき医師団(MSF)日本プレスルーム http://www.msf.or.jp/pressroom/index.html
国境なき医師団(MSF)日本HP http://www.msf.or.jp



「高齢の被災者受け入れを」- 国境なき医師団・黒崎会長

( 2011年03月20日 16:30 キャリアブレイン )

 警察庁によると、3月20日午後3時現在、東日本大震災による死者の数は8199人に達し、最も多い宮城県では4882人に上る。NPO法人「国境なき医師団日本」は現在、医師や看護師ら12人が計4チームに分かれて、同県内の南三陸町などで援助活動を行っている。地震発生直後の12日から2日間、現地で活動に当たった黒崎伸子会長は、慢性疾患を持つ高齢の被災者が多いことから、「受け入れる施設があれば、どんどん受け入れてほしい」と話し、医療機関に協力を求めている。

―現地をご覧になって、どのようなご感想を持ちましたか。

 地震後の津波でこれほど大きな被害を受けたのは、日本では初めてのケースだと思います。わたしは2004年にインドネシアのスマトラ沖地震で援助活動を行った経験があるので、現地の状況は大体イメージできましたが、やはり先進国と発展途上国の違いは感じました。
 日本は道路が非常に整備されていますが、逆にそこがふさがってしまうと、身動きがとれなくなってしまう。スマトラ沖地震の時には、山の中など何とか入っていけるスペースがありました。その意味では、今回の方が動きづらいと言えます。最初の数日間は、目の前の支援物資を届けることができないもどかしさを感じました。

―現地ではどのような活動を行っているのでしょうか。

 わたしたちは、できるだけ医療にアクセスできない被災者を助けたいので、周囲から孤立している場所をターゲットにして、そこで活動を行っています。そこに着くまでの道がない場合も多いのですが、援助のすき間というか、ポケットになっているところを探しています。手遅れにならないように、現地で診療に当たる部隊と、ポケットになっている場所を調査する部隊が同時に動いています。

―医師は何人ですか。

 現在は4人です(20日現在)。DMAT(災害派遣医療チーム)と同じように、最初は外科系と麻酔、それから救急医療の医師が現地に向かったのですが、地震よりも津波の被害が大きいので、その後どんどん入れ替わって、今は内科だけになりました。
 あとは看護師2人と、臨床心理士、コーディネーター(全体の調整役)、アドミニストレーター(財務・雇用担当)がそれぞれ1人、それから現地でさまざまなセッティングを行う「ロジスティシャン」が3人います。医師や看護師がいるだけでは十分な活動ができません。ロジスティシャンは、電話を通じるようにしたり、電気のジェネレーターを使えるようにしたり、現地で働く環境を整備するため、非常に重要な役割を担います。

―医薬品や燃料など、さまざまな物資が不足していると思いますが、現在、どのようなニーズが多いのでしょうか。

 わたしがこちらに戻ってきた日に、足りない薬のオーダーが現地から入りました。血圧のお薬とか、血小板凝集抑制剤とか、あとは睡眠導入剤みたいなものもありましたが、高齢者が飲まれるものがほとんどでした。オーダーのあった9000人のうち、6割が高齢者ということで、1か月分の慢性疾患用の薬を送ったら、「1日分にしかならない」と言われて驚いたのですが、それぐらい慢性疾患の方が多いということです。せっかく薬を届けても、1日分にしかならないのでは意味がありませんし、こうした薬は飲み続けないと効果が出ません。輸送ルートの確保や薬の納品が難しいという問題もあるので、薬の供給不足がこのまま続くのであれば、重症な方は一時的に避難していただく必要があると思います

―現地で活動する上で、何か問題はありますか。

 阪神淡路大震災ではボランティアやNPOが活躍しましたが、まだNPOへの信頼感というか、「NPOと一緒に支援しよう」という体制が日本では整っていないように感じます。今回は幸い、医師会の先生やほかの方々のサポートで、すぐに動くことができましたが、それができなくて困っているNPOもあるでしょう。NPOと連携することで、もっと早く物流も改善されるのに、非常に残念です。NPOやNGOはさまざまなネットワークを持っているので、最初の段階で県庁の中にそのための窓口を作っていただければ、それをもっと生かせたでしょう。これから声を大にして訴えなければならないと思っています

―今後、どのような活動を行う予定でしょうか。

 まだスムーズとは言えませんが、物流が少しずつ改善されているので、水や食料、毛布といった支援物資を今後も積極的に送るつもりです。病気の悪化の予防にもつながるので、現在、そのための準備を進めています。

―医療者の方にメッセージをお願いします。

 津波の場合、外科的な治療が必要な被災者は非常に少なく、既に亡くなっているか、あるいは行方不明になっている方と、それほど重症ではない方に分かれます。高齢者の多い地区で起こった今回の震災は、過去の地震とはまったく違います。被災地には慢性疾患を持つ高齢者が多いので、そういった方々を受け入れる施設があれば、たくさん受け入れてほしい。とにかく早く、バスを出してでも引き取りに行っていただきたい。5人でも10人でも構いませんので、施設の空きスペースに順番に入れていただく。重症の方は必ずアセスメントして、例えば85歳以上の方を優先するといったやり方がよいのではないでしょうか

国境なき医師団日本のホームページはhttp://www.msf.or.jp/index.php


避難中の「生活機能」維持のポイントは?- 生活不活発病の予防がカギ

( 2011年03月18日 23:09 キャリアブレイン )

 東日本大震災が発生して、3月18日で1週間。避難生活を強いられる人は40万人を超えた。研究者や専門家の間からは、長引く避難生活によって高齢者が生活不活発病(廃用症候群)に陥り、「生活機能」の低下すらも招きかねないとする声が上がり始めている。

■中越地震の避難所、高齢者の3割が「歩行困難」に

 中央防災会議専門委員で、国立長寿医療研究センター研究所生活機能賦活研究部の大川弥生部長は、「災害がきっかけとなり、生活不活発病によって、生活機能が低下する高齢者が出る恐れがある」と警鐘を鳴らす。
 事実、2004年の新潟県中越地震で被災した65歳以上の高齢者のうち、要介護認定を受けていない人(1626人)を対象とした大川部長の調査では、約3割(496人)の歩行が難しくなっていた。さらに地震発生後、半年が経過しても、歩行が難しいままの人は約1割(179人)に達した。
 その原因として、地震後の日常活動性低下(生活の不活発化)が大きく影響していたことも分かった。

■「歩行や身の回りのことをしやすくする工夫を」

 大川部長は、「生活不活発病を予防するカギは、『生活の活発化』にある」と指摘。また、「生活の活発化」のポイントとして、▽気分転換を兼ねた散歩など、避難所・家庭・地域での楽しみや役割を持ってもらう▽横になるだけでなく、なるべくいすなどに座る―などを挙げた。
 被災者の支援に当たる専門家には、避難所生活で歩行や身の回りのことがやりにくい人に対し、つえを使うなどして、こうしたことをしやすくする工夫が不可欠と指摘。さらに、「生活不活発病を早期に発見する生活不活発病チェックリスト(図1)や、生活不活発病を予防するためのポイントをまとめた啓発用ポスター・チラシ(図2)も活用できる。とにかく、医療・介護関係者だけでなく、自治体の防災担当者や地域住民を巻き込んだ工夫が必要」としている。

■「何でもやってあげよう」は禁物

 災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバードの高橋洋理事も、身体介護が必要な人が避難所での生活を送る際の注意点として、「日常の生活は、できる限り自分でやる環境整備と適正な支援が必要」と指摘。
 具体的には、▽起き上がりやすい環境を整える。できれば床面に寝具を直接敷くのではなく、ベッド状の寝床を用意する▽トイレに行きやすい環境を整える▽脳梗塞などの発生を防ぐためにも、水分摂取は減らさない▽持病を抱えた人などの場合は、病名や薬の服用状況、震災前と震災後の症状の変化などを支援に当たる人に明確に伝える―などを挙げた。
 高橋理事は、「介護などの経験がないボランティアの場合、『何でもやってあげよう』と、頑張り過ぎてしまう傾向がある」とし、被災者支援に当たるボランティアに対しても、「できることは本人にやってもらうという基本姿勢を守ることが大切」と訴えている。


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