国民総力戦:支援物資、届くが運べず | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国民総力戦:支援物資、届くが運べず

支援物資、港に届くが運べず
3月18日 中国新聞

 東日本大震災から1週間。被災地の道路、港湾、空港などは一定程度の復旧が進んだ。しかし支援物資が届いても、運送する車や燃料が不足して被災者に行き渡らない。国は被災地にタンクローリー300台を投入するなどの対策をとったが、効果はまだ見通せない。

 ▽トラック動かせず

 岩手県では食料や燃料、家畜用飼料などが足りない。使用できる数少ない港のうち、釜石港には16日から水産庁などの船が入港、灯油や軽油などを陸揚げしている。花巻空港には水や食料などが続々と到達、拠点に輸送されている。

 ただ荷物が届いてもガソリン不足でトラックを十分に動かせない。県は「物流ラインが回復しなければ燃料や物資すべてが動かない」(達増拓也知事)と青森、秋田、山形各県の港湾などからのラインづくりも進める。

 宮城県では仙台空港で自衛隊などの救援機が利用可能となり、仙台港でも一部の埠頭ふとうで復旧の見通しがついた。他の港の復旧も急ピッチだが燃料不足は深刻だ。仙台市では製油所が震災直後の火災で損傷、生産回復には時間がかかる。さらにタンクローリーの多くが津波に巻き込まれた。

 ▽増える要請

 東北自動車道や被災地の一部国道は救援の緊急車両しか通行できないが、16日の国土交通省の会議で積載物確認の手続きでタンクローリーの通行が遅くなっているという指摘があり、警察庁は同日中に手続きを簡素化した。

 全国知事会は、各都道府県から被災地に物資を運ぶ手配に追われている。「食料・水50万人分、毛布5万人分、紙おむつ15万個」など被災地の要請は膨大だ。往復の燃料が足りない上、九州の県から「運送業者が原発を恐れて近づかない」と風評被害の相談も寄せられるなどトラックの確保は難航。自衛隊機にも輸送と現地での分配をしてもらうことになった。さらに福島の周辺県では、原発事故で避難する人々を受け入れるための物資要請が増えている。

 ▽不協和音も

 支援物資の輸送に多くの人々が努力する中、インフラ復旧をめぐって省庁間には不協和音も。国交省は大量輸送の観点で港湾の再開を急いでおり、15日までに八戸、久慈などの港で航路のがれき回収や岸壁の応急修理を完了した。

 しかし17日になっても再開に至らない。国交省は「海上保安庁の最終チェックが出ない」と説明するが、海保側は「何か沈んでいたら事故が起きる」と反論。海保のせいで再開が遅れているとも受け取れる国交省の公表資料に、同庁長官が「ひどいじゃないか」と抗議する一幕も。

 関係者によると、港の再開作業の優先順位をめぐっても一部の地元自治体から「なぜうちが後回しなのか」と不満が寄せられているという。