今朝のニュースクリップ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

今朝のニュースクリップ


燃料プール、ヘリ注水も=爆発の福島4号機-米軍などに要請・東京電力
(2011/03/16-05:46)時事通信
 東日本大震災に運転休止中に被災し、爆発が起きた可能性がある福島第1原発4号機について、東京電力は16日にも、使用済み燃料プールに海水を注水する方針だ。高温になったプールから水が蒸発し、燃料が損傷するのを防ぐためで、同社は自衛隊や在日米軍に協力を求め、ヘリコプターによる注水も視野に入れている。
 4号機(5階建て)では、15日午前6時ごろ爆発音が聞こえ、4階で火災が発生。5階側壁では、8メートル四方の穴が2カ所開いた。沸騰した可能性もあるプール水から発生した水素による爆発の可能性も指摘されており、付近では毎時400ミリシーベルト(40万マイクロシーベルト)の非常に高い放射線量も観測された。
 5階の燃料プールは約10メートル四方、深さ約8メートルで783本の核燃料棒が入る。水温は通常約40度だが、14日午前4時8分時点では84度に上昇。事故後の水温や水位は不明だが、水温がさらに上がり蒸発が進むと、燃料損傷の危険が増す。
 東電は、5階に開いた穴を逆に利用し、海水を注水する。具体的には、自衛隊などの協力を得た上で、ヘリコプターによる海水散水や、地上からポンプ車を接近させ、穴に向けて放水する。同社は「4号機は爆発の危険もなく、穴やプールも大きいのでピンポイントでできる」と説明。プールが満水になった後にさらに水を注いでも、放射性物質を含む水が外に漏れる構造ではないという。


米軍支援船が行き先変更 日本海側へ
2011.3.16 01:27 産経新聞
 米海軍第7艦隊は15日、東日本大震災に伴う福島第1原発の事故による放射能漏れを受け、本州東沖に向かっていた米艦船3隻の行き先を本州の日本海側に変更したと明らかにした。原子力空母ロナルド・レーガンなどは引き続き本州の太平洋側で活動する。
 また第7艦隊によると、支援活動に従事する米軍関係者数人から低レベルの放射線が検出された。「低レベルであり、健康への被害はない」(広報担当者)としている。
 空母レーガンなどは沖合に十分な距離を保っており「現状では放射能の被害は心配ない」(同)としている。
 第7艦隊は日本の横須賀、厚木両基地に駐留する米兵士とその家族に対し、放射能漏れを踏まえた措置として外出を控えるよう呼び掛けた。(共同)


横須賀基地で屋内滞在促す 米海軍
2011.3.16 01:25 産経ニュース
 在日米海軍司令部(横須賀)は15日、横須賀基地と厚木基地内で微量の放射能を検出したとして、両基地内の将校や従業員に可能な限り屋内から出ないように促す通知を出した。
 米軍準機関紙スターズ・アンド・ストライプスによると、海軍は福島第1原発での事故に伴い基地内の放射能の値が上昇したとしている。
 同司令部はエアコンや換気扇の使用などを控えるように促しており、16日以降も一定の値を超える放射能を検出した場合は低レベルであっても、屋外での活動を控えるように努める方針。風向きなどを見ながら、慎重に屋外での活動を検討するとしている。


福島第1原発4号機から炎=東京電力
(2011/03/16-06:48)時事通信
 東京電力によると、午前5時45分ごろ、福島第1原発4号機原子炉建屋から炎が出ているのを同社社員が確認した。


“4号機 早急な対策必要”
3月16日 6時49分 NHK
福島第一原子力発電所の4号機で核燃料を保管するプールの冷却ができなくなっていることについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、16日未明の記者会見で、「早く水を入れて冷やさないと危険な状態になる」と述べ、早急な対策が必要だという考えを示しました。
福島第一原発4号機は、去年11月から、定期検査のために運転を止め、順次、原子炉の中にあったすべての核燃料548本を保管用のプールに入れています。しかし、地震の影響でプールを冷やす水を循環させることができなくなり、14日未明の時点で水温が、通常よりおよそ40度高い84度にまで上がっていて、その後は、機器の故障などで、温度や水位を測れなくなっています。これについて原子力安全・保安院は16日の記者会見で、水が蒸発してプールの水位が下がっているおそれがあるとしたうえで、「熱を持っている核燃料もあり、早く水を入れなければ、危険な状態になるものはある。あまり楽観的に考えない方がいい」と述べ、早急な対策が必要だという考えを示しました。核燃料を保管するプールは、水で満たすことで燃料から出る放射線を封じ込める仕組みになっていて、水がなくなれば、燃料が溶けて、放射線や放射性物質が、外に漏れ出すおそれがあります。この問題では、海江田経済産業大臣が15日、東京電力に対しプールに速やかに水を入れるよう法律に基づいて命じています。


福島第1原発4号機の建屋4階付近で炎 東京電力「消火活動に努めております」
(03/16 06:53)FNN
16日午前5時45分ごろ、福島第1原発4号機の建屋の4階付近で、再び炎が上がっているのをパトロール中の東京電力の社員が発見した。
これを受け、東京電力が会見を行った。
4号機における火災の発生について、本日午前5時45分ごろ、4号機の中央制御室にバッテリーを運んでいた当社社員が、中央制御室から戻る際に、原子炉建屋、北西部付近から煙が上がっていることを確認いたしました。
直ちに、消防署、地元自治体へ通報するとともに、関係各署へ連絡し、消火活動に努めております。



原発事故の状況「悪化」シンクタンクが見解
 [2011年3月16日6時52分]日刊スポーツ
 米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、東日本大震災に伴う福島96 件第1原発96 件の事故について、「状況は相当悪化した」との見解を示す声明を発表した。
 声明は、同原発の事故は国際原子力事象評価尺度(INES)の「レベル4」を超えて上から2番目の「レベル6」に近く、最も深刻な「レベル7」に達する可能性もあると指摘した。
 同原発では、2号機で爆発音が上がって原子炉格納容器の圧力抑制プールが損傷。4号機でも爆発音がして火災が発生、外部に高濃度の放射性物質が漏れたとみられている。(共同)



福島第1原発事故は史上2番目の被害「レベル6」…仏専門家が見解
(2011年3月16日06時02分 スポーツ報知)
 東日本大震災による原発事故で、東京電力によると、15日朝、福島第1原発2号機の原子炉格納容器の設備・圧力抑制プールの付近で爆発音があった。プールが損傷し、放射性物質が漏れ出た恐れがある。同4号機の建屋でも水素爆発による火災が発生。付近の放射線量は、危険な濃度に急上昇し、菅直人首相は半径20キロ圏内への避難指示に加え、新たに20キロ~30キロまでの住民に屋内退避を指示した。事故について、フランス原子力施設安全局の局長は、国際原子力事象評価レベルで、上から2番目で、チェルノブイリ事故に次ぐ「レベル6」に相当すると述べた。
 フランス原子力安全局(ASN)のラコスト局長は15日、福島第1原発の事故は、国際原子力事象評価尺度(INES)で上から2番目の「レベル6」に相当するとの見解を明らかにした。
 原発事故は、国際原子力機関(IAEA)が決めた8段階(0~7)のINESで深刻度が示される。局長は、15日に2号機で発生した原子炉格納容器設備の損傷などを受け「事故の現状は前日(14日)とまったく様相を異にする。レベル6に達したのは明らかだ」と述べた。また「原子炉格納容器は、もはや密閉された状態にない」として、放射性物質が放出された可能性に言及した。ASNは政府から独立した立場で、原子力関連機関の安全を監視する公的機関。
 過去の被ばく事故の中で最悪なのは、1986年のチェルノブイリ原発事故で史上唯一のレベル7。炉心溶融後に原子炉が爆発、炎上し、大量の放射線物質が欧州や日本、米国にも到達。約500万人が住む地域が汚染され、被ばく量は100ミリシーベルト以上で、05年の国連報告では作業員ら50人、子供9人が死亡し、将来4000人が健康に影響を受けて死亡すると推定された。
 炉心の一部が容器の底に溶け落ちた、79年の米スリーマイル島原発事故はレベル5。日本で最悪の原子力事故は、99年、東海村臨界事故。作業員2人が大量の被ばくで死亡し、レベル4だった。
 経産省の原子力安全・保安院は12日夜の記者会見では、今回の事故を「暫定的にはレベル4」との見方を示していた。レベル6ならばレベル5のスリーマイル島の事故も超え、日本で最悪の事故になる。

 ◆チェルノブイリ原発事故 1986年4月26日未明、旧ソ連ウクライナ共和国(現ウクライナ)北部のチェルノブイリ原発4号機=黒鉛減速軽水冷却炉=が試験運転中に爆発、隣接するベラルーシやロシア、欧州の20万平方キロメートル以上が放射性物質で汚染され、日本でも微量のセシウム137が観測された。半径30キロ圏内の市民が強制避難させられ、原発職員や事故処理作業員が急性放射線障害で死亡。周辺地域では小児甲状腺がんなどの発生が確認されている。事故の影響による死者数は数千人から数十万人まで諸説ある。原発は2000年12月に完全閉鎖された。

 ◆スリーマイル島原発事故 1979年3月28日、米ペンシルベニア州のスリーマイル島原発2号機で機器故障と人的ミスが重なり大規模な炉心溶融が発生、放射性物質が外部に放出された。燃料を構成する物質の45%が溶けたが、圧力容器は壊れず、大量の放射性物質漏れは避けられた。しかし、その後の調査で原子炉が崩壊する大規模事故寸前だったことが分かった。



安全の「壁」次々崩壊 福島第1原発 危機
2011年03月16日水曜日 河北新報

 東京電力福島第1原発の危機が止まらない。1~3号機の事故に加え、15日は定期検査で停止中の4号機でも火災が発生。2度にわたって燃料が水面から完全に露出した2号機では、原子炉格納容器の一部が損傷した。防護のため幾重にも重ねたはずの「壁」が次々と崩壊。トラブルの連鎖は、言い知れぬ不安を広げている。

●不気味な共鳴
 14日午後、炉心に水を注ぐ装置が止まり冷却能力を失った2号機。東電は、この日午前に起きた3号機の水素爆発の衝撃が原因となった可能性があるとの見方を示した。隣り合った原子炉で続いて起きた重大な事故。不気味な共鳴は、事態の深刻さを増幅させた。
 「一つの原発に6基もの原子炉が集中することこそ問題だ」。山下俊一長崎大教授(被ばく医療)は指摘する。一つの建屋で放射性物質が漏れると、被ばくの恐れから他の建屋への接近も難しくなる。つまり、トラブルが一つ起きると「別のトラブルに対処できなくなる」というのだ。
 原子力技術に詳しい評論家の桜井淳さんは「海外では一つの原発に1~2基が常識」と話す。日本では、原発を受け入れてくれる土地が限られるため、原子炉の集中立地を余儀なくされたことが、今回の問題の遠因になっているという。

●不足する人員
 冷却能力を失った2号機では14日夜、外部からのポンプで海水を注入する作業が始まった。ところが、職員が目を離したすきにポンプ用燃料が切れて停止してしまうミスが起きて水位が急速に低下。核燃料が水面から完全に露出し、空だき状態になる前代未聞の事態に陥った。
 いったんは水位が回復したものの、原子炉圧力容器の蒸気の逃し弁にトラブルも起き、再び燃料が全露出。これが15日朝、炉心の一部溶融と格納容器内の爆発につながったとみられる。2号機は、安全のため築かれた「五つの壁」のうち、建屋、燃料被覆管、格納容器と三つまでに穴が生じたことになる。
 山下教授は「数少ない現場作業員に任せっきりではだめだ」と批判する。2号機の爆発以降、第1原発は800人いた作業員のうち50人を残して避難した。「(旧ソ連の)チェルノブイリ原発事故では数万人を投入した。福島原発でも千人単位を現場に送り、封じ込めに当たらせるべきだ」と、東電や国の対応は不十分だと指摘する。
 「人間の集中力には限界がある。交代要員もいない中、異常な緊張感に何日も耐えられるわけがない。ミスも起きやすくなる」と山下教授はいう。

●根本的対処を
 4号機では15日、水素爆発が発生。使用済み燃料があるプールの水位を保っていたポンプが地震で動かなくなり、水位が低下。燃料が露出したため起きたとの見方があり、停止中でも起きた爆発事故に衝撃が広がった。東電は同様に停止中の5、6号機では非常用発電機でポンプが作動しており、当面心配はないとする。しかし、相次ぐ「想定外の事態」が、東電への信頼を突き崩した。
 さらに、15日は原発敷地内での放射線量が、ついに最高の400ミリシーベルトを記録した。安斎育郎立命館大名誉教授(放射線防護学)は「一連のトラブルに有効な対策が打てないのは、どこからどれだけの放射性物質が漏れているのか、特定できていないからだ」とし、詳細な線量計測を行い根本的な対処を求める。多くの課題を背負い、福島原発の行方は見えないままだ。

◎20キロ圏内 住民避難完了

 警察庁は15日午後、福島第1原発から半径20キロ圏内の住民や病院の入院患者らの避難が完了したと発表した。
 同庁や防衛省によると、半径10キロ圏内にある福島県大熊町の病院にとどまっていた入院患者らを陸上自衛隊が移送した。
 別の病院や老人施設の患者らも県警の車両などで同日未明までに避難。10キロ圏内にある双葉署は閉鎖され、警察官は20キロ圏の外へ出たという。
 政府は半径20キロから30キロ圏内の住民らに屋内退避を新たに指示しており、県警などは住民に家から出ないよう呼び掛ける。

◎「県民の怒り極限」 福島県知事、東電の対応批判

 福島県の佐藤雄平知事は15日、菅直人首相らに「県民の不安や怒りは極限に達している」と電話で伝え、原発事故の深刻な現状を国が責任を持って早期収拾するよう緊急に要請した。
 要請後、福島市の県災害対策本部で記者会見。「事業者は正確な情報をもっと早く国に伝えるべきだ。今回の事態は原子力事故で最大のもの」と述べ、原発事故をめぐる東京電力の対応にも苦言を呈した。
 知事によると、菅首相らには事態の早期収拾のほか、県民の不安解消につながる分かりやすい情報の提供を要望。避難住民の県内受け入れ先が限界として県外の避難先の確保や、避難前のスクリーニング実施も求めた。
 首相は「県民にご心配とご迷惑をおかけしている。重く受け止め、しっかりと対応していきたい」と答えたという。
 会見で知事は、首都圏の電力の3分の1が福島県から供給されていることに触れ「国はそのことを認識をして全面的な対策を講じてほしい」と述べた。

◎連絡会議を設置 宮城県

 東京電力の福島第1原発の事故を受け、宮城県は15日、部横断の連絡会議を設置した。
 県が県内8カ所で14日行った放射線量測定では、山元町で通常の約10倍となる毎時0.41マイクロシーベルトを観測した。県は「健康に影響するレベルではない」と説明している。
 連絡会議は県南部を中心に放射線量のモニタリングを連日行い、広報活動にも取り組む。
 16日には県民向けの相談窓口を開設する。午前9時から午後5時。連絡先は022(211)3323。

◎避難住民向けに被ばく検査実施 山形県が窓口設置

 山形県は15日、東京電力福島第1原発から半径20キロ圏内の住民に避難指示が出たことに伴い、該当地域から山形県内への避難住民のための相談窓口を設置した。
 窓口は県内4地方の保健所に設置。専用の機器を置き、被ばくの不安を訴える避難住民の検査に対応する。県置賜保健所(米沢市)で15日に検査を受けた907人は簡易検査や問診の結果、除染の必要はなかった。各保健所は事前の電話予約を呼び掛けている。
 相談時間は月曜から金曜の午前9時から正午までと午後1時~午後4時半。連絡先は、村山023(627)1117、最上0233(29)1268、置賜0238(22)3002、庄内0235(66)5649。

◎大間原発工事の住民説明会中止 電源開発

 青森県大間町に大間原発を建設している電源開発(Jパワー)は15日、同町奥戸地区で開催予定だった2011年度の工事計画の住民説明会を中止した。東日本大震災で工事が中断し、年度計画の見通しが立たなくなったため。工事に必要な物資や電力が長期間滞ると、計画全体にも大きな影響が生じそうだ。
 同原発は08年5月に着工され、14年11月の運転開始を計画している。



底無し 止まらぬ事故 問われる国の説明責任
2011年03月16日 河北新報

 東日本大震災が引き金となった東京電力福島第1原発(福島県双葉町、大熊町)の原子力事故は連鎖を続け、底無しの様相を見せている。炉心溶融や、水素爆発による原子炉建屋の破壊に続き、15日には圧力抑制プールでの爆発、さらには使用済み燃料プールの水素爆発が発生した。これまで経験したことのない事故の連続に加え、今後も何が起こるのか想像もつかない状況となっている。

 原子力史上最悪の事故とされ、死亡31人、避難者13万5千人を数えた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故レベルには遠いが、一連の事故がそれに次ぐものとして歴史に刻まれるのは避けられない。
 茨城県東海村で通常の約100倍の放射線量を観測するなど、福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質は、県境を越えて広範囲に拡散している。
 特に同原発周辺では、今後長期にわたり、放射性物質が住民の生活や農業、漁業に影響を与えるのは必至だ。
 一連の事故で、情報は東京電力のほか、枝野幸男官房長官や原子力の安全をつかさどる規制当局の原子力安全・保安院からも発信される。
 国には、全体状況を枝野官房長官が説明するのと同時に、事故がどの程度で、注意すべきなのか、安全なのかを保安院がきちんと評価し、国民に説明することが求められている。
 しかし、保安院の発表は東電などの数時間遅れで、内容も後追いばかりだ。一刻を争う原子力事故では、正確な情報をいち早く提供すべきだ。
 国民が未曽有の原子力災害の危機にさらされる中、相次ぐ事故を抑えられない東電だけでなく、安全性に関する評価を迅速にできない保安院への信頼も揺らぐ。国の説明責任が厳しく問われている。
(解説)


◎政府と東電が統合本部設置 原発対策を一体化

 政府は15日、炉心冷却作業が難航している東京電力福島第1原発への対策を一体化するため、菅直人首相を本部長とする政府と東電の「福島原発事故対策統合連絡本部」を設置した。
 首相は午前の記者会見で「放射性物質の漏えい拡大を防げるように全力を挙げて取り組んでいく。国民のみなさまは冷静に行動をしていただくよう心からお願いする」と呼び掛けた。
 首相はこれに先立ち、統合本部を置いた東京・内幸町の東電本店を訪れ、福島第1原発爆発事故の政府への連絡が遅れたとして「一体どうなっているんだ」と叱責(しっせき)。「(原発からの職員の)撤退などあり得ない。撤退した時には東電は百パーセントつぶれる。覚悟を決めてほしい」と厳命した。
 午後の緊急災害対策本部で首相は、救命活動から物資配布などの被災者支援に重点を置く考えを表明。「救出活動は続けるが、多くの方が避難所等にいるので、そういう皆さんへの手当てに比重を移す」と述べた。被災者に水や食料が行き渡っていないとの指摘を踏まえ、自衛隊が物資輸送を一元的に管理するよう指示した。
 首相は早朝、記者団に福島原発について「憂慮すべき状況が続いているが、この危機を陣頭指揮を執って乗り越えたい。被害が広がらないようにありとあらゆる手を打つ」と表明した。
 統合本部の副本部長は海江田万里経済産業相と清水正孝東電社長で、海江田氏が統合本部に詰めて連絡調整を図る。


◎放射能漏れ関東にも 郡山で130倍検出

 東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発事故を受けて、関東各地で15日、通常より高い放射線量が観測された。北風が強かった午前中は、原発の南側にある栃木や茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川の各都県で場所によっては、通常の100倍や10倍という高い数値を記録。東風に変わった午後は、西側にある郡山市で午前の130倍以上の値が出た。

 各地の高い数値は、放射性物質が風に乗って拡散した結果とみられる。いずれも人の健康に影響する水準ではないが、都道府県に観測を委託している文部科学省は15日、監視強化のため観測回数をできるだけ増やすよう要請。測定結果をまとめ、1日2回公表することを決めた。
 原発事故で放射性物質が放出されると「放射性雲」が発生。風に乗って流れる雲が上空を通過する際に、放射線量が上昇するとされる。
 福島第1原発では、原子炉格納容器の圧力を下げるため放射性物質を含む蒸気を放出。3号機付近では15日午前、毎時400ミリシーベルト(1ミリシーベルトは千マイクロシーベルト)の放射線量を検出。14日に最高値だった3130マイクロシーベルト(約3ミリシーベルト)に比べると桁違いに高い数値が観測された。
 文科省が15日公表した14日午後5時~15日午前9時の測定結果によると、福島に隣接する栃木では、最大で毎時0.864マイクロシーベルトを観測した。過去の平常値は最大でも0.067マイクロシーベルトで、12倍を超える数値となった。
 東京では0.147マイクロシーベルトを記録。大気中からは原発で生まれる放射性物質であるヨウ素、セシウムを検出した。このほか、埼玉は0.129マイクロシーベルト、神奈川は0.086マイクロシーベルト、千葉も0.074マイクロシーベルトと、通常の1.2~2倍程度だった。
 一方、郡山市では15日午前は0.05~0.06マイクロシーベルトで推移していたが、風向きが東風に変化すると数値が急上昇。午後2時には8.26マイクロシーベルトに跳ね上がった。
 茨城県東海村にある東京大の研究施設の敷地内と、日本原子力研究開発機構の敷地内では15日朝、通常の約100倍の毎時約5マイクロシーベルトを観測。東大では午前7時46分から約20分間、毎時約5マイクロシーベルトが続いた後、毎時約3マイクロシーベルトより低い値で推移した。両機関は通報の基準を超えたとして国に通報した。
 東大の上坂充教授は「午前1時ごろから数値が上がり始めた。放射性物質が風に乗ってきていると思うが、人体には影響がないレベルだ」と話している。


[被ばく線量限度]一般人は普通に暮らしていても年間平均2.4ミリシーベルトの自然放射線を受ける。それに加え、医療サービスなどを受ける場合には、年間被ばく線量限度の1ミリシーベルトを浴びても健康の心配はないとされる。実際に人体に影響が出るのは年間100ミリシーベルト前後からと考えられている。シーベルトは放射線が人体に及ぼす影響を示す単位で、1ミリシーベルトは千マイクロシーベルト。



<東日本大地震>防衛省に「東電不信」
毎日新聞 3月16日(水)2時30分配信

 東京電力福島第1原発の爆発事故の応急対策を巡り、自衛隊が東電の対応に不信感を募らせ一時撤退する事態に発展。政府内でも被災地への救援物資輸送で調整不足も露呈、支援活動でもぎくしゃくぶりが目立っている。【西田進一郎、坂口裕彦】

 「安全性が担保されていない。慎重に対応すべきだ」。14日夜、北沢俊美防衛相ら防衛省幹部の会議で折木良一統合幕僚長が指摘した。幹部の一人は会議後、「給水活動は危ないのでしばらくできない」と語った。

 きっかけは14日に起きた同原発2号機の爆発事故で給水作業中の隊員4人が負傷した事故。東電からは「安全だから」と言われて指示された活動だっただけに、安全性に対する東電などの判断に疑問が噴出した。防衛省は14日夜、現地に派遣した中央特殊武器防護隊150人など計180人を原発近くの政府などの拠点施設オフサイトセンターから60キロ離れた陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県郡山市)まで退避させた。午後にオフサイトセンター自体が約60キロ離れた福島県庁に移されたが、自衛隊が後退したのはその15時間前だった。

 中央特殊武器防護隊は核・生物・化学(NBC)攻撃を受けた際、有害物質を検知し、部隊を安全なところに誘導したり、汚染された隊員を除染するのが主な任務。今回行った民間人の除染は国民保護法に定められた活動だが、原発事故への対応は想定外だった。防衛省関係者は「原発関連のノウハウは防護隊は分からない。安全性や、どの現場に向かうかの判断は東電や原子力安全・保安院に従うしかない」と不満を漏らした。

 ◇物資輸送は「一元化」

 一方、救援物資輸送を巡っては、農水省などが物資を集め、防衛省などが物資を運ぶ計画だった。しかし、調整役の松本龍防災担当相は次々と起きる事態への対応に追われ「救援物資の仕切りはうまくいっていない」(政府関係者)ことが判明。防衛省からは「物資が来ずに困っている」との声が出ていた。

 このため、菅直人首相は15日の緊急災害対策本部会議で、救援物資の収集、運搬について「組織力、情報、移動(手段)を持つ自衛隊に中心を担ってもらう」と、防衛省への一元化を指示した。救援物資は都道府県がとりまとめ、自衛隊の駐屯地や基地に持ち込み、自衛隊が被災地の現地対策本部と調整し輸送する。北沢防衛相は15日、「避難箇所への食料・水の供給は態勢が整いつつあり、成果が上がっている」と記者団に強調した。