親デフレ対反デフレ:失われた20年脱却のための真の対立軸 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

親デフレ対反デフレ:失われた20年脱却のための真の対立軸

秘書です。
世界中が日本のようにデフレで苦しんでいると思っているみなさん!
それは勘違いです。


■米経済見通し強まればQE2早期終了主張も=連銀総裁
2011年 02月 24日 05:30 JST
[バーミンガム(米アラバマ州) 23日 ロイター] 米フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は23日、米経済は持続的に回復しており、経済が勢いを増せば連邦準備理事会(FRB)は「QE2(量的緩和第2弾)」を予定より早い段階で終了させなければならない可能性がある、と指摘した。
 総裁は当地での講演で「経済見通しが引き続き強まれば、わたしはQE2を早期に終了させるよう政策スタンスを変更する可能性も排除しない」と述べた。

 また1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でQE2の継続を支持した理由について「一般的には、状況が著しく変更しない限り、中央銀行は表明した政策を実行することが望ましく、そうしなければ中銀の信頼性を損ねる」と説明した。

 向こう2年間の経済成長率については約3.5%との見通しを示した

 一方で総裁は、デフレ懸念は「大きく後退」したようだと指摘。「物価圧力がある程度強まり始めた」として、全般的なインフレ率は2011年にかけ、2%に向けて上昇するとの見方を示した

 その上で「経済回復は引き続き勢いを増しており、企業は需要拡大の持続性を確信し、値上げへの自信を深めると思う」と加えた。

 ただ、総裁は、商品(コモディティ)価格の上昇がインフレ全般に直接的な影響を与えるとの懸念については重要視せず「世界的な商品価格の上昇は、その大半が各国の需要拡大に起因する公算が大きい」と述べた。

 失業率については、緩やかな低下にとどまるとして、2012年末時点の予想を7─8%とした。

→米国の物価上昇率は2%に向けて上昇する見込みと。日本では「悪魔的水準」、そして世界では安定した経済の標準(デフレになるリスクが少ないという点で)の2%に。

→なんで、こんなに日本と米国は違うのか。日本人が劣化したという見方もありますが、その劣化はこの成功したビジネスをたたきつぶし、金融政策でデフレターゲットをすることで成長の芽をつんできたことで、ゼロ成長のもとで、何をやっても報われない、努力しても報われない、政府からおカネをもらえばいいという精神を蔓延させたことにあるのではないですか。


■白川日銀総裁の言う
「潜在成長率が予想インフレ率に影響を与える」
という見解は本当に正しいか

2011年2月24日 高橋洋一の俗論を撃つ!

1月13日付けの本コラム(日本のデフレは人口減少が原因なのか 人口増減と「物価」は実は関係がない)において、次の趣旨のことを書いた。

「デフレの正体」も、著者が言うように「耐久消費財価格の下落の正体」としておけば、正しい分析であっただろう。

デフレという言葉の誤用は
二重の意味でマズイ
 マスコミを含む多くの人が、「耐久消費財価格の下落」を“デフレ”と勘違いしているのは何とも皮肉な話だ。言葉の誤用だけで済めば、そう目くじらをたてることもないが、この誤用は二重の意味でまずい。

 一つは、金融政策の主要な手段であるベースマネーの調整で対処できる「デフレ」が、人口要因で規定されて、金融政策で対処できないモノとの印象を広く一般に振りまくことだ。二つ目は、個別価格へも政策関与したいお上の権限拡大・官僚主義を許すことになることだ

 これは、本来やらなければいけない仕事をさぼって、別の余計な仕事を作り出すという意味で二重に悪い。そもそも金融政策はマクロの物価へ働きかける政策であって、個別の価格決定に関与しないのがメリットである。一般の人が個別価格に関心があるのは理解できるが、個別の価格に政策として関与すると、個別のビジネスに大きな影響があるので、政策論としては個別価格への関与はしてはいけない。

 ところが、一番目の懸念はすでに顕在化している。2月7日の日本外国特派員協会での講演で、白川方明日銀総裁は、デフレ人口原因論に便乗し、「潤沢な資金供給は重要だが、これだけでデフレの問題が解決するわけではない」と述べた

白川総裁は、「90年代末以降における緩やかながらも長期に亘るデフレ傾向は、短期・循環的な要因だけでは説明できません。より根源的な原因は、日本経済の成長力の趨勢的な低下傾向にあると判断しています。成長率が長期に亘って低下する状況の下では、人々の所得増加期待は低下し、企業や家計の支出活動が抑制されてしまうため、物価下落圧力が続きます」(2011年2月7日、日本外国特派員協会における講演『日本経済の復活に向けて』より)述べ、あたかも日銀の手の届かない、他人事のように話している

 言いたいことは、日本は人口減社会であるから、潜在成長率は下がらざるを得ない。潜在成長率が下がるから物価も下がる。何のことはない。デフレ人口原因論を言い換えているだけなのだ。

 しかも、その説明で使った図は、潜在的な成長率は予想インフレ率と高い相関を示している(図1参照)。はっきり言えば、これは日銀の墓穴である。

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人口減少は潜在成長率を
どの程度下げるか
 その説明の前に、まず、人口減少が潜在成長率をどの程度下げるかを見ておこう。これは、成長会計といわれる分析手法で説明できる。

 供給サイドから見た経済成長の原動力は、労働・資本ストック・技術進歩の3つである。実質GDP成長率の実績値を労働者数と労働時間、資本ストックの投入と技術進歩(全要素生産性上昇)に分解して、それぞれの貢献を明らかにするものだ。


これは、就業者数変化率と生産性(就業者1人あたりの実質GDP)の伸び率の二つに分解できる。日銀の資料を見ても、就業者数変化率のマイナス分は今後10年間で▲0.5%程度だ。生産性のほうは、90年代、2000年代はそれ以前に比べてガクンと落ちているが1.5~2.0%程度だ

 そのガクンと落ちているのが、失われた20年間であるが、その間、デフレから脱却できずに、設備投資が落ちると、その結果として生産性は落ちてしまう

 いずれにしても、▲0.5%程度は生産性上昇でカバーできる範囲だ

潜在成長率が下がるから
物価も下がるは本当か

 次に、潜在的な成長率は予想インフレ率と高い相関があるという点だ。日銀は、潜在成長率が下がるから予想インフレ率が下がるという「潜在成長率→予想インフレ率」という因果関係で、予想インフレ率が下がるのは仕方ないといいたいようだ。

 しかし、リーマンショック以降の世界各国での金融緩和の結果、予想インフレ率が上がっていることを考えると、「金融政策→予想インフレ率」という因果関係もはっきりある。もし日銀のいうように、多少は予想インフレ率が下がるのは仕方ないとしても、予想インフレ率を金融政策で上げることもできるのだ。

 実は、予想インフレ率を動かすことが中央銀行の仕事だ。すでにリーマンショック以降、米国では予想インフレ率が上昇したと書いたが、それは他の先進国でも同じだ。実は日本でも少し予想インフレ率は上昇している。その程度はどの程度金融緩和したかに依存している(図2参照)。なお、予想インフレ率が上がるメカニズムは、第1回と第2回の本コラムをごらんいただきたい。


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そうであれば、日銀資料の図は、「予想インフレ率→潜在成長率」を意味しているかもしれない。

 正直言えば、「金融政策→予想インフレ率→潜在成長率」と波及すると、単純にいうつもりはない。潜在成長率を上げるのは至難の業であるからだ。

 もっとも、中央銀行のバランスシートの拡大による通貨増(ベースマネー増)は、まず予想インフレ率の上昇になる。その次に、実質金利が下がり設備投資需要が拡大したり、通貨安になって輸出が伸びたり、株式等資産市場が活況になり消費が増えたりする(ただし、ベースマネー増に対して、物価はすぐには上昇せずに、遅れて上昇する)

 このようにデフレから脱却すればノーマル経済になって、経済が成長するだろう。この意味で、デフレ脱却はデフレを甘受するよりも潜在成長率を高める可能性がある

デフレを脱却して名目GDPが
増えれば、容易に財政再建できる
 こうした白川総裁のデフレ人口原因論には重大な問題があることがわかっていただけたと思うが、財政に関してもちょっとクビを傾げることを言っている。

 まず、歳入について、GDPデフレータとの関連はないが、実質GDPとの関連が大きいと白川総裁はいう。これは、統計分析を歪めて解釈していると思う

一般的に、歳入は名目GDPが増えると増える。名目GDPは実質GDPとGDPデフレータに分けられる(名目GDP=実質GDP×GDPデフレーター)が、90年代前半を除いて、ここ15年ほど、日銀のデフレターゲットともいわれて仕方ない金融引き締めによって、GDPデフレータは▲1.5%~▲1%程度に見事に固定されている。その場合、統計上の数字で、名目GDPは実質GDPと正の相関が高く、GDPデフレータとの相関はない(図3参照)。


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そこで、歳入と実質GDPを見ると相関が高く、歳入とGDPデフレータの相関はないようにみえる。要するに、GDPデフレータがマイナスでほぼ一定になっているということをいっているだけだ。

 また、歳出について、GDPデフレータが上がると増え、実質GDPが下がると増加するという。これも、90年代前半のGDPデフレータはマイナスでなかったデータに引きずられた解釈だ

 一般的に歳出は政策によって変わりうるが、名目GDPが上がれば減るのが一般的だ。やはりここ15年ほどのデータで見ると、歳出は実質GDPと負の相関が高く、GDPデフレータとの相関はない。

 これも、GDPデフレータがマイナスでほぼ一定になっていることの裏返しだ。

 いずれにしても、歳入は名目GDPが増えると増え、歳出は名目GDPが上がれば減るということは変わりない。デフレ脱却して、名目GDPが上がれば、容易に財政再建できることを示しているだけだ。

 なぜこんな単純なことを、GDPデフレータが上がっても財政再建できないというのか、筆者にはまったくわからない


→菅総理が、失われた20年からの脱却をしたいというなら、親デフレ対反デフレの対立軸をつくったらいいでしょう。菅総理はまだご自身が親デフレ派だということを理解していないかもしれませんが。

→白川総裁を擁護する勢力がエスタブリッシュメントの多数派ですから、白川総裁は考え方を変えないでしょう。そして、日銀法改正が焦点になることでしょう。



■4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ――
岩田規久男・学習院大学経済学部教授《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》

11/02/10 | 12:13東洋経済オンライン

■要点
・日銀がデフレを容認しているからデフレが定着している
・マネタリーベースを増やせば、予想インフレ率は上昇する
・4%のインフレ目標の導入でまず、デフレ脱却を急げ


――デフレ脱却のための積極的な金融政策を主張なさっています。
 
 まず、なぜ、デフレが長期化しているかということだが、デフレ予想が定着しているからデフレになるという、トートロジーのような構造に陥ってしまっている。人々がデフレになるという予想を持って動くことが、デフレを維持してしまう。

 それを打破するには、日本銀行がデフレ脱却を目指す姿勢をハッキリと示すことが必要で、最も望ましいのが、インフレ目標を導入し、マネタリーベース(以下MB)である中央銀行の当座預金と現金を増加させる政策を行うことだ。

 過去の実例を見ると、MBの増加は、インフレ予想の引き上げに効果を発揮している。2004年3月から日本でも物価連動債が発行され、予想インフレ率が算出できるようになった。04年3月から06年2月までの量的緩和の時期には、予想インフレ率は0・6~0・9%あった。しかし、量的緩和の解除によってMBが大きく減少すると、原油価格急騰にもかかわらず、08年前半の予想インフレ率は0・2%台に低下した。

 米国の場合も、MBが増加した03~05年の予想インフレ率は2・5%近くまで上昇し、MBが減少した07年にはインフレ率が2%を割った。

 米国は明確なインフレ目標政策は採用していないが、バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長はインフレ率2%を目標にし、その前後になるようにうまく調整している。

 ところが、日本の場合は、日銀が量的緩和を解除した06年3月以前の5カ月間の平均インフレ率がゼロ%だったので、市場は日銀がゼロ%を目標にしていると思っている。白川方明総裁になってからは、デフレでもいいという姿勢だと見られている。だから日銀が、量的緩和をやります、と言っても、予想インフレ率はなかなか上がらない。

 こうした両国の姿勢の違いから、米国はマネタリーベースの増加に、予想インフレ率が反応しやすいが、日本の場合は、反応しにくくなっている。

 リーマンショックのあった08年9月以降、米国はどんどんMBを増やして、最大で2・3倍にまで増え、10年1月から11月までのインフレ率(全品目)は1・7%だった。しかし、日本は、1割しか増やしていないので、同じ期間のインフレ率がマイナス0・8%とデフレになってしまった。



その結果、円高も進んだ。米国はインフレ、日本はデフレなので、円の購買力は持っているだけで上がる。通貨の価値は国力の反映だというけれども、今は、ただデフレだから上がっているだけだ。

 リーマンショック後、英国は2・4倍、スイスは2・8倍、スウェーデンは4・5倍にMBを増やした。ユーロですら1・5倍にしている。それでプラスのインフレ率を実現している。世界同時不況で需要は当然減るので、このぐらいのことをしないと、デフレになる。そういう意味で日銀は世界の中央銀行の中ではあまりにも異質なのだ。それでも、白川総裁はフロントランナーだと言っている。

――なぜ、認識に違いがあるのでしょうか。

 一つは日銀には1970年代の石油ショックの頃のインフレのトラウマがあると思う。それに、80年代のバブルのトラウマ。

 日銀の企画局では「低金利を続けると副作用がある」と言って、株価や地価の上昇をとても警戒している。速水優元総裁が、デフレ下にもかかわらずゼロ金利を解除した00年8月、福井俊彦元総裁がインフレ率ゼロ%なのに量的緩和の解除に踏み切った06年3月、その時の日経平均株価は、共に1万6000円台だった。つまり、デフレでもゼロインフレでも、1万6000円を超えてくると、金融引き締め政策に転換してしまう。

 しかし、30年代の大恐慌でも昭和恐慌でも、中央銀行がデフレ退治を始めるとまず起こるのが株価の急騰だ。株価は先行指標なので当然だし、日本の株価は2万円台にならないと正当な評価ではない。日銀は羹に懲りて膾を吹いている。

 そもそも、インフレ目標を導入している国発のバブル崩壊による金融危機は起きていない。バブル崩壊による金融危機が起きたのは、導入していない日米だ。

ブタ積みでも効果あり 重要なのは期待形成
 
――量的緩和を行っても、日銀の準備預金が増えるだけで、おカネは市中には回らず、消費も設備投資も増えないのではないですか。

 よくそういう「ブタ積み」論が出てくるが、デフレ脱却のためには貨幣は増えなくてよい。前回の景気回復が始まった02年以降も貸し出しは05年まで減っていた。当時も企業はカネ余りの状態だったからだ。しかし、企業の設備投資は増加していった。自己資金で設備投資をファイナンスした。今も企業は貯蓄超過なので、貸し出しルートは問題ではない。予想インフレ率が上がると、死蔵されている貨幣の流通速度が上がるからだ。そうすると、いずれ貸し出しも増える。重要なのはインフレになるという期待であり、人々の期待に働きかけることだ。


米国でも日本でも、準備預金残高が増えると株価が上がり、準備預金残高が減ると株価が下がっている。それは、ブタ積みであっても、予想インフレ率が上昇するからだ。

 デフレの原因として、生産年齢人口が減っているからだという説があるが、生産年齢人口が減っているのは日本だけではない。白川総裁は生産性が低いことをデフレの理由に挙げているが、日本よりも低い国はいくらでもある。だが、デフレなのは日本だけだ。貨幣以外がデフレの原因だという説は、データを国際比較すれば、破綻する。

――では、2%のインフレ目標が必要なのですか。

 普通は2%でうまくいく。ただ、日本は98年秋からデフレが続き、累計では、10年現在、物価が2%で上昇した場合よりも24%低い。追いつくには、4%ぐらいのインフレでも10年かかる。当面は4%のインフレ目標を設定したほうがいい。そして日本は短期国債金利がゼロなので、金利がプラスの長期国債を買わないと効果が出ない。

 脱却のルートはこうだ。日銀が1年半から2年程度でインフレ目標を達成するとコミットし、大量の長期国債買いオペでマネタリーベースを増やす。そうすると、予想インフレ率の上昇から、予想実質金利が低下し、株価が大幅に上昇して投資と消費が増える。一方、実質実効為替相場で見て円の価値が下がり、輸出が増加し、輸入品との競争力も高まって内需も増える。この二つのルートから、総需要が持続的に増加し、デフレ脱却ができる。

――4%ものインフレ目標を設定して国債の増発を引き受けるとなると、市場がマネタイゼーションを懸念して、悪い金利上昇が起きるのではないでしょうか。

 予想インフレ率が上がれば、経済成長への期待が出てくるので、税収増が期待できる。データで見れば、名目成長率が上がれば、基礎的収支は改善している。当初4年くらいは利払いが増えるが、その後は増えず、税収だけが増える。悪い金利の上昇を避けるには、財政出動はこれ以上必要がないと言えばいい。

――デフレよりも、潜在成長率の低さが問題だという声もあります。

 経済政策には役割分担がある。成長政策は市場に任せて競争環境を維持することだ。しかし、デフレ脱却は日銀が金融政策でやらなければいけないことだ。

■デフレを理解するための推薦図書■
『「不安」を「希望」に変える経済学』 岩田規久男 著/PHP研究所
『日本経済のウソ』 高橋洋一 著/ちくま新書
『円高・デフレクライシス』 岩田規久男 著/講談社現代新書、11年2月刊行予定

いわた・きくお
1942年生まれ。66年東京大学経済学部卒、73年同大学大学院博士課程修了。83年上智大学教授、98年から現職。76~78年カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。専門は金融・経済政策。『日本銀行は信用できるか』(講談社現代新書)など。


→自国民窮乏化政策の与謝野デフレ増税路線粉砕!反デフレ共闘即時結成!日銀法改正!