「指定席」天下り事案:民主党政権の基本姿勢の問題点と中川秀直再質問のポイント | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「指定席」天下り事案:民主党政権の基本姿勢の問題点と中川秀直再質問のポイント

秘書です。
「指定席」ポストについて、中川秀直の質問主意書に対する政府答弁書の中で、気になる答弁をしています。政府がチェックしたところ、全て適正な再就職であった、という回答がでてきそうです。
この点について、今日、中川秀直は再質問主意書を提出しました。


2011-02-23 16:49:47
【本日提出】『』菅内閣の営利企業への天下り・渡り根絶についての基本姿勢に関する再質問主意書
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10810692137.html


■天下り:「指定席」政権交代後も3件

毎日新聞 2011年2月23日 21時38分

 官僚OBの再就職が5代以上続く公益法人で、政権交代後も同じ省庁のOBが再就職した事例が少なくとも3件あることが、23日の衆院予算委員会で取り上げられた。野党時代の民主党はこうした事例を「天下り指定席」と批判していた。菅直人首相は「すべてチェックしきれず、チェックの仕組みを作らねばならない」と苦しい答弁に追われた。
 自民党の平将明氏は同日の衆院予算委で、全国二輪車安全普及協会、日本農業研究所、日本冷凍空調設備工業連合会の専務理事に、それぞれを所管する警察庁、農水省、経済産業省OBが再就職したと指摘した。自民党は衆院調査局に民主党政権下での「天下り」の実態を調査するよう請求。09年9月から約1年間に、独立行政法人や公益法人など1040法人の計4240ポストに、官僚OBや、各省庁職員の現役出向者が就任したことが判明した。内訳はOBが2101ポスト、出向が2139ポストだった。【吉永康朗】

→民主党政権では、国会ではやる気をみせながら、その後は全く別の方向に向かっていくことがあります。天下りの件は、政府答弁書でフォローしてつめていくことが重要です。

①連続指定席ポストへの対応

民主党政権は平成22年6月22日閣議決定の「退職管理基本方針」で指定席ポストについて以下のように対応することにしています。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000071216.pdf

「「退職管理基本方針」2(3)ア

ア 同一府省退職者が何代も連続して再就職している独立行政法人、特殊法人、政府関連公益法人等におけるポスト
内閣総理大臣、任命権者等は、同一府省退職者が何代も連続して再就職している独立行政法人、特殊法人、政府関連公益法人等における理事長等のポスト(以下「特定ポスト」という。)について、ア)当該府省の当該独立行政法人、特殊法人、政府関連公益法人等に対する行政上の権限、イ)契約・補助金等の関係、ウ)当該再就職の経緯等を精査するとともに、任命権者は、当該精査の結果を踏まえ、以下の措置を講ずる。
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ⅰ 特定ポストに係る再就職について、再就職等規制の違反の疑いがある場合には、国家公務員法の規定に基づき、調査を行うなど適切な措置をとる。
ⅱ 特定ポストについて事実上の再就職あっせんの慣行があるのではないかとの疑念を解消し、適正化を図る観点から、
a) 大臣任命、大臣認可等を通じて、その任命について関係大臣等の関与がある特定ポストについては、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」(平成21年9月29日閣議決定)、「特殊会社の役員人事に関する当面の対応方針について」(平成22年5月18日閣議決定)等を踏まえ、適切な措置をとる。
b) 上記a)以外の特定ポストについては、別途定める指針に基づき、当該再就職先の独立行政法人、特殊法人、政府関連公益法人等に対して、当該特定ポストの任期終了時点において公募による後任者の選任を要請するなど適切な措置をとる。

中川秀直は、この「何代も」とは何代なのかを聞きました。これについて、2月22日の政府答弁書では、「退職管理基本方針」2(3)アにおける「同一府省退職者が何代も連続して再就職している独立行政法人、特殊法人、政府関連公益法人等における理事長等ポスト」について、府省庁退職者が三代連続して再就職している理事長等ポストを想定しているとしています。

そして、今日、衆議院予算委員会で、総務省の平成二十一年十二月二十五日の「各府省等からの再就職者が五代以上続いている独立行政法人・特殊法人等・公益法人の役職に関する過去五代の再就職者の最終官職及び府省庁によるあっせんの有無」にある五代以上連続して再就職しているところに、民主党政権下で天下りが行われていることについて平将明代議士が指摘し、上記の記事になっているわけです。

②菅内閣が「事実上の再就職あっせん」を適正化するための政府答弁書部分

平成23年2月22日「衆議院議員中川秀直君提出菅内閣の営利企業への天下り・渡り根絶についての基本姿勢に関する質問に対する答弁書」(内閣衆室177号第67号)の五の(二)について(18-19ページ部分)
http://nakagawahidenao.jp/n_media/228_kaitou.pdf

2月22日の政府答弁書では、「「退職管理基本方針」2(3)アにおいては、特定ポストについて、事実上の再就職あっせんの慣行があるのではないかとの疑念を解消し、適正化を図る観点から、当該府省の法人に対する行政上の権限、契約・補助金等の関係、当該再就職の経緯等を精査することとしているものであり、例えば、行政上の権限関係及び契約・補助金等の関与が適正であると認められる場合や、公平性及び透明性が確保された手続による選任が行われている場合等には、基本的には問題ないものと考えられる」としています。


菅内閣は、「行政上の権限関係及び契約・補助金等の関与が適正であると認められる場合」には事実上の再就職あっせんがあったとしても基本的には問題ないものと考えられると判断していることを示しています。

これにより、事実上の再就職あっせんの慣行が発覚しても(例えば、指定席ポスト)行政上の権限関係及び契約・補助金等の関与が適正であると認められれば、菅内閣は容認されることになります。

上記記事にある事案も、菅内閣は「適正」と判断する可能性があります。本日提出した再質問主意書はこの点を聞いています。この部分は極めて重要です。「指定席ポスト」を容認するための理論武装になる可能性があります。また、官僚OB斡旋の根拠にされるかもしれません。


「行政上の権限関係及び契約・補助金等の関与が適正である」との判断基準が極めて重要です。そこで中川秀直は、この基準と判断する主体を明らかにするように求めています。

③天下り調査権限について

菅内閣は、昨年の国会で法案が流れたから天下り監視ができないといっていますが、これは違います。

「職員の退職管理に関する政令」(平成20年12月25日閣議決定)の附則第21条では、「監視委員会の委員長等が任命されるまでの間、内閣総理大臣が権限を行使するための所要の読替えを行う経過措置」が定められており、この規定は民主党政権下でも有効です。しかし、この権限を使わないという政治判断を鳩山総理も菅総理もしてきているのです。


中川秀直他、自民党議員は一貫してこの権限を行使して天下り調査することを求めてきましたが、民主党政権は一貫して拒否してきました。

「再就職等監視委員会」が官僚OBの斡旋を監視することができます。この委員会は法律で設置することになっており、早急に人選すべきです。ところが政権交代前から、民主党が反対してできないだけです。現行の国家公務員法では、総理が再就職等監視員会の委員長と委員を、国会の同意を得て任命することになっている。いますぐ人選して、しっかり監視すればいいのです。中川秀直他、自民党議員は一貫して監視委員会の委員任命を求めてきましたが、民主党政権は一貫して拒否してきました。


そして、今日、中野寛成公務員制度改革担当大臣は、民主党の提案が成立したら、過渡期に対応するために監視委員会の委員を選任してもいいようなことを言っていました。それならなぜいま委員を任命しないのか、まったく理解不能です。平将明代議士も、なぜ、いま委員を任命しないのか合理的な理由をと質問していましたが、まともな答弁は返ってきませんでした。