ネガティブな評価の根源:より楽観的な「成長戦略」が2020年まで名目3.8%という低さ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ネガティブな評価の根源:より楽観的な「成長戦略」が2020年まで名目3.8%という低さ

秘書です。
日本国債の格付け見直しというと、すぐに、増税論がでてきます。
しかし、何を根拠に見直したのかを冷静に見てみましょう。

「政府のより楽観的な「成長戦略」シナリオでも、2020年までの名目GDP成長率は3.8%と見込まれている。これは、プライマリーバランスの赤字を解消するに十分な水準ではない・・・」

つまり、財政再建と経済成長が両立できる名目成長率4%を下回るところに「楽観シナリオ」の上限を寸止めして、増税幅をかせいでいることこそが、ネガティブ評価の根幹なんじゃないですか?

「手堅い成長率」という日本人好みの表現で増税幅を稼ごうとする人たちこそが、ネガティブの根源なのではないでしょうか?

この成長率評価のところは、きっと政権側はデフレ増税派は無視することでしょう。




■日本国債の格付け見通し、「ネガティブ」に引き下げ=ムーディーズ
2011年 02月 22日 11:41 JST
[東京 22日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは22日、日本政府のAa2の格付けの見通しを安定的からネガティブに変更したと発表した。
 ムーディーズによると、今回の格付けアクションは、経済・財政政策が、すでに他の先進諸国の水準を大きく上回っている債務の急激な増大を抑制できるほど十分に強固なものではない可能性があるとの懸念の高まりに伴う。ムーディーズは、日本国債の発行が困難となるような危機的状況が短期から中期的に発生するとは考えにくいが、長期的にはその圧力が高まる可能性があり、現在の高い格付においても、その点を考慮する。

 ムーディーズは格付け見通しの変更の具体的な要因として、1)世界的な金融危機のショックが日本の財政および悪化傾向にあった既存のデフレ圧力に、深刻かつ持続的な影響を与えたこと、2)それに伴い現在の政策の枠組みによって、財政赤字削減への軌道に戻す際に直面する課題を克服することが困難となったこと、3)債務および成長に関する課題に対し、与野党が有効な政策を打ち出す能力に対する不透明性が高まったこと、4)国内の人口動態上の圧力の高まり、および世界的な危機後の脆弱かつ不確実な経済環境において起こりうる新たなショックに対して、日本の長期にわたる漸進的な財政再建戦略が脆弱であることを挙げている。

 今回の格付けアクションは、Aaaの外貨建て債務・銀行預金のカントリー・シーリングには影響を与えず、見通しは引き続き安定的である。また、Aaaの自国通貨建て債務・銀行預金のシーリングにも影響を与えない。シーリングは、国内居住者である他の発行体の自国通貨建ておよび外貨建て債務に付与されうる格付の上限となる。

 <世界的な金融危機、日本経済に深刻な影響>

 世界的な金融危機は日本経済に深刻な影響を及ぼした。政府が2020年までにプライマリーバランス(利払い費を除く)の均衡を達成するにあたり、政策上の取り組みによって克服すべき課題も大幅に困難さを増した。日本の2010年のGDP成長率3.9%は、主要先進国中でも高い水準となったとみられるが、実体面での明確な回復は弱い

 世界的な金融危機の中で悪化した慢性的なデフレ圧力を考慮した名目GDP成長率は1.8%と低い。2020年にかけての長期でも、政府は、ベースラインの「慎重な」シナリオにおける実質・名目成長率レンジが1─2%を上回るとは見込んでいない。

 政府のより楽観的な「成長戦略」シナリオでも、2020年までの名目GDP成長率は3.8%と見込まれている。これは、プライマリーバランスの赤字を解消するに十分な水準ではないため政策改革が重要となる。このシナリオでは、より力強い世界経済と高い国内労働参加率によって成長が促されるが、プライマリーバランスの赤字を解消するには新たな財政施策が必要となることは必至であろう。

 この目的から、政府は6月に包括的な税制改革を導入する意向にある。しかし、野党自民党が参議院議席の多数を占めるねじれ国会の状況と、菅首相に対する政治的な圧力が高まる中で、政府の取り組みが行き詰まる可能性がある。
 一方、2001─2006年の安定した小泉政権下では、経済に対する信頼感が改善し、政治的影響力が高まった。世界的な金融危機が発生しなかったならば、小泉元首相が設定したプライマリーバランス目標は既に達成されていたとみている

 ムーディーズは、日本政府が短期から中期的に資金調達危機に陥るとは考えていないが、白川方明日銀総裁が示した「過去の歴史が示すように、どの国も永久に財政赤字を続けることはできません」という見方には同意する。

 1990年代初頭以降の多額の赤字と景気後退により、財政赤字は主要先進国中で最大規模にまで拡大し、2010年にはIMFの推定ではGDP比226%、内閣府の推定では同174%の水準となっている(両者の差異は異なる会計基準によるもの)。いずれも、現在の政策および成長見通しでは、長期的に債務が容赦なく増大するとみている。

 <日本政府が経済改革の包括案を実行すれば、信用基盤を安定化させる効果>

 日本政府が6月に、財政・サプライサイド経済改革の包括案を実行すれば、ムーディーズは、それが政府の信用基盤を安定化させる効果の進ちょくを注視する。

 日本の格付けを支えている主な要因は、国内投資志向を生み出している厚みのある金融市場である。日本政府は他の先進諸国より低い名目コストで資金調達を行うことが可能である。また、世界的な金融危機を通じて、日本国債は、米国債よりも良好で安定的な安全投資対象としてのパフォーマンスを示した。これは、GDPの3倍に相当する貯蓄を有し、比較的負債の少ない家計貯蓄に支えられた国内金融資産の存在によるものだ。

 この国内投資志向に加え、高水準の対外支払ポジションにより、日本は外部ショックの影響を免れている。構造的な経常黒字に加え、2009年にGDP比58%となった対外純資産は先進諸国の中でも最大で、ドイツの28%より大きく、スペイン・イタリアは対外純債務国である。事実、対外資産からの所得収支が、貿易収支よりも経常黒字に大きく貢献している。

 強固な対外支払ポジションには、日本の大規模な輸出企業の競争力が引き続き反映されている。ムーディーズでは昨今の円高にもかかわらず、輸出セクターが引き続き、成長と対外ポジションを長期的に支えていくとみている。

 <政府の多額のリファイナンスニーズ、格下げにつながる可能性ある>

 日本の非常に規模が大きい経済と、非常に厚みのある金融市場は、経済に対するショックを吸収する基盤をなしている。しかし、政府債務の大幅な増大から、財政再建軌道に戻すための政策実行が喫緊の課題となっている。また、政府の多額のリファイナンスニーズによって、財政の転換点に対して敏感になっており、それが一気に格下げにつながる可能性もある。

 格下げにつながる可能性として考えられるのは、1)政府が包括的な税制改革を実行できない場合、あるいは効果の薄い政策を取ることで行動を無期限に先送りした場合、2)国内金融資産が枯渇し、政府のリファイナンスニーズを十分に賄いきれなくなった場合。これは家計貯蓄率がマイナスとなった場合に生じうる、3)対外収支が経常赤字に転じた場合。これは貯蓄の減少傾向を受けて生じ、政府の資金調達コストは諸外国の国債市場と同程度まで上昇する。また、日本国債のリスクプレミアムも急激に上昇する可能性がある──ことを挙げている。

 一方、経済を活性化させ、財政赤字を明確かつ持続的に削減する政策がとられれば、現在のAa2の格付けは支えられるとみている。

 日本政府に対する前回の格付けアクションは2009年5月18日で、日本政府債務格付けをAa2に統一し、見通しを安定的とした。

  (ロイターニュース 片山 直幸)


→世界的にみて、なんで日本だけ長期デフレが持続しているのか説明してほしいですね。

リーマンショック以後、なんで、日本の中央銀行だけ反デフレ政策に消極的なのか、説明してほしいですね。

どんなニュースでも、すべて、増税につながる報道が続きそうですね。

→国民を窮乏化させておいて増税というのは持続不可能でしょうに。