公約違反とデフレ:もしも2003年1月23日の菅さんが2011年の菅さんに質問したら | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

公約違反とデフレ:もしも2003年1月23日の菅さんが2011年の菅さんに質問したら

秘書です。
2003年1月23日の衆院予算委員会。
菅さんは、小泉総理に公約違反とデフレの問題を追及。
少なくとも、野党時代、公約違反とデフレはいけないと思っていたんですね。

全く同じセリフで、2003年の菅さんが2011年に菅さんに質問したら、どう答えるんでしょう?

是非、「2003年の菅さん対2011年の菅総理」という、1人党首討論をやっていただきたいものです。



(1)公約違反問題(衆 - 予算委員会 - 平成15年01月23日) 

○菅(直)委員 これ以上この問題に時間を費やすことは避けますが、少なくとも、総理は、平壌宣言が誠実に履行されることの努力をする、それは当然でしょう。現時点で、少なくとも総理が出かけた時点では、北朝鮮はNPT条約に加盟していたんですよ。いいですか。変化がないんだったらわかりますよ。加盟していたのが、離脱するという行動をとって、逆方向を向いているんですよ、その宣言をしていますよ。そういう中で、こんな答弁で、物事が、総理として国民に対する説明責任を果たしているとは、私は、見ている人、聞いている人はだれ一人思わないと思います。
 それでは、次に問題を移します。
 いいですか。総理は、首相になる前後の中で、国民の皆さんに対して三つの公約をされております。首相に就任したら、八月十五日に、いかなる批判があろうとも必ず参拝する。二つ目には、財政健全化の第一歩として、国債発行を三十兆円以下に抑える。三つ目には、ペイオフについて、予定どおりペイオフ解禁を実施します。この三つの約束を国民にされました。
 総理、この三つの約束の中で、一つでも守れた約束がありますか。

○小泉内閣総理大臣 誤解していただきたくないんですが、私は、確かにこれは約束はいたしました。しかし、私の最大の国民に対する約束は行財政改革ですから、そういう改革の中でこういうことを言ったのも事実であります。
 靖国神社に対しては、八月十五日に行けなかったのは残念でありますが、それぞれ中国、韓国の立場も考えて、十三日に参拝いたしました。これは、昨年もことしも参拝しましたけれども、菅さんは、靖国神社参拝すらいかぬというんでしょう。そこら辺は、菅さんと私とは全く違います。私は、靖国神社は、総理大臣である小泉純一郎が参拝して悪いと思っていません。しかし、菅さんは、靖国神社、いつでも参拝しちゃいかぬと思うのは菅さんでしょう。そこが私はわかりません。
 また、国債発行枠三十兆円以内。これはなんですか、菅さんが幹事長のとき、民主党は三十兆円枠を法律で縛れと言ったんですよ。私は、これは、経済は生き物だ、状況を見て、大胆かつ柔軟に対応する必要があるから、法律で縛る必要はないと言ったんですよ。それで、状況を見て、大胆かつ柔軟に考えて、発行枠三十兆円以下に抑えるというのをやったんだ。だから、これは、菅さんが、それじゃ、三十兆円以下に守らなきゃいかぬという法律を出した、そのとおりやったらどうなったかという議論をしなきゃいけないんだ。
 これはペイオフの、もう一つ何だっけ……(菅(直)委員「ペイオフ」と呼ぶ)ペイオフね。これは、金融改革をいかに円滑に実施するか。ペイオフ延期と実際の金融改革とどっちが大事か。金融改革を円滑に実施する方が大事だという観点から、これは延期するのが妥当であると、むしろ促進するためにやった措置であります。

○菅(直)委員 いいですか、相変わらずはぐらかしていますね。私の意見は幾らでも言いますけれども、私のような意見だけじゃない人もたくさんあるんです。総理にこのことをそのままやってくれと望んでいる人もあるんです。靖国神社にこのとおり参拝してほしいと望んだ人もいるんです。多分、そういう人は、こういう約束をされたから自民党総裁選で総理のことを応援したんじゃないですか。私は応援していませんけれどもね、当たり前ですが。自民党員じゃありませんから。
 国債発行額についても、また、民主党がどう言ったこう言った、いや、それはちゃんと答えましょう。しかし、最初に言い出したのは総理自身じゃないですか。総理は国民に対して約束したんじゃないですか。民主党に対して約束したんじゃないですよ。ペイオフもそうです。この三つとも約束が守られていないという意味ですね、今の答弁は

○小泉内閣総理大臣 今の言うとおりならば、確かに、そのとおりにはやっていないということになれば約束は守られていない。
 しかし、もっと大きなことを考えなきゃいけない、総理大臣として。その大きな問題を処理するためには、この程度の約束を守れなかったというのは大したことではない。(発言する者あり)

○菅(直)委員 よく国民の皆さんにはわかっていただけたと思いますね、今の答弁で。
 この程度という話ですよ。つまり、総理大臣になる、あるいは自民党総裁になる、そのときの選挙で言うことは、この程度の約束は後になったら幾らでもほごにしてもいいんですよということをみずから認められた。国会での答弁も、この程度の答弁で後で縛られることはない。これから何を聞いても、総理が言うことはこの程度だというふうに皆さん聞くでしょうね。私もそうしましょう

 これから、一つ一つは申し上げませんが、私は靖国神社に自分自身もお参りしたことはあります。しかし、総理大臣として、国の機関として参拝することは、私はすべきではない。それは、A級戦犯の問題あるいは政教分離の問題で、そういう認識を持っております。
 三十兆については、私は後ほどこの問題はしっかりやりますから、後でゆっくり聞いてください。
 ペイオフについては、結果的には、この一年九カ月の自民党小泉政権あるいはその前の政権がやるべき準備をやらなかったから、ペイオフは実施ができなくなった。私たちが九八年の国会で出した二つの法案をしっかりやっていれば、当然予定どおりペイオフは解禁できました。そういうのが結論です。
 そこで、次のこの問題に移っていきます。
 そこで、今の日本の状況について、一九三〇年代の世界や日本に共通しているんじゃないかという議論があります。ここに「経済論戦は甦る」という、最近よく話題になっている竹森さんの本がありますが、総理はこの本は読まれましたか。竹森さんですよ。

・・・

→「この程度という話ですよ。つまり、総理大臣になる、あるいは自民党総裁になる、そのときの選挙で言うことは、この程度の約束は後になったら幾らでもほごにしてもいいんですよということをみずから認められた。国会での答弁も、この程度の答弁で後で縛られることはない。これから何を聞いても、総理が言うことはこの程度だというふうに皆さん聞くでしょうね。私もそうしましょう」

「私もそうしましょう」というのは、私も総理になったら約束を反故にしましょう、という意味だったんでしょうか。
しかし、小泉総理はその後、菅さんが公約違反といったものを全て実現しています。


①靖国神社参拝

2006年8月15日に参拝。

②新規国債発行額

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/hakkou01.pdf
2001年度(小泉政権発足年) 30兆円
2002年度          34兆9680億円
2003年度          35兆3450億円
2004年度          35兆4900億円
2005年度          31兆2690億円
2006年度(小泉政権最終年) 27兆4700億円
2007年度          25兆3820億円

2008年度          33兆1680億円
2009年度          51兆9550億円
2010年度          44兆3030億円

菅政権のもとの2011年度予算=44兆2980億円

③ペイオフ解禁
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/explain/pamphlet/0310/13/index.html

ペイオフの実施については、不良債権処理の加速等の政策強化を進める中で、預金者にいたずらに不安を与えることのないよう、不良債権処理問題が終結した後の平成17年4月から行うとの措置が講じられました。

→国債発行を抑えるヒントが小泉政権にあるのに、これを否定したのでは話になりません。

→小泉総理は、民主党のように、できませんでした、できそうもない公約は見直します、というのとは全く違います。

菅さんが指摘した小泉総理の3つの公約は上記の通り、小泉政権下で全て実現しています。菅総理にマニフェスト2009を実現する覚悟はありますか?「マニフェストなんて大したことない」というなら、2003年1月23日の予算委員会質問を撤回されてはどうですか?


(2)デフレ問題(衆 - 予算委員会 - 平成15年01月23日) 

○菅(直)委員 ・・・この本の中で、小泉総理は不況のときにデフレ政策を強行した当時の井上準之助大蔵大臣あるいはその当時のアメリカのフーバー大統領とよく似ているという指摘があります。私もそう思いますね。総理はそういう指摘に対して、どう思われますか。

○小泉内閣総理大臣 私は、民主党が三十兆円枠に法律で縛れというほどかたくなじゃなかったですね。むしろこの状況を、やはり経済情勢を見なきゃいかぬということで、あえて、民主党の主張の国債発行枠三十兆円を守るという法律を出せとまで言ったのを断って、それは経済は生き物だから柔軟に対応する必要があるから、法律で縛る必要はないと言ったところを見れば、むしろ民主党以上に経済をよく見ているというあらわれじゃないでしょうか。
 しかも、当時の恐慌と違います。当時の恐慌状態は、物価が三〇%下がっているんですよ。今何%ですか。三〇%物価が下がっているんですよ、フーバーのときには。しかも、そのとき社会保障制度とかそういう点は、今に比べればはるかに劣っていました。GDPだって三割近く落ちたんでしょう。そういうことからいえば、今の状況と全く違います。

○菅(直)委員 この認識、こんな程度の認識を持っている総理のもとで政権運営がされたら、本当に大恐慌になりますね。そういうおそれがあるということで議論していると思ったら、全く状況が違うと。何が全く違うんですか。
 これを見てください。これは、総理になってから、二〇〇一年四月から今日まで、株価はかつての四万円近いところからずっと下がってきて一万三千円台だった、森内閣が退陣するときに。それが何と八千六百円台。百五十兆円の時価総額がこの間で失われました。銀行の貸し出しは、やれやれと言っているけれども、二十五兆円減りました。企業倒産は同じ高い水準、バブル後の最悪の水準が続いています。完全失業率は四・七から五・三に上がっています、来年度は五・六の見通しだそうです。物価上昇率は、上昇じゃなくて、デフレがとまっていません。名目成長率も下がっています。
 まさにデフレが加速しているんですよ。このままいったら一九三〇年代の日本やドイツやアメリカのようになるんじゃないですかという心配を多くの人がしているんですよ。全く違うんですか、今の状況と当時は

○小泉内閣総理大臣 全く違います。
 数字でも、さっきも言いましたように、一九三〇年代、それはもう国際社会の協力体制も今みたいになっていませんし、そして、今でこそ確かに物価は一・五%下がっています。当時は一・五%どころじゃない、一けた違いますから。GDPも、今大体横ばいですけれども、GDPも当時は三割下がったんですよ。なおかつ、敵同士だったアメリカと日本と、あるいはドイツ、フランス、EU、国際社会の協調体制が今できています。そういう状況と現に今の状況と全く同じだという認識の方が私はあきれています。

○菅(直)委員 まあ、本当にあきれますね。
 一九三〇年代だって、初めからアメリカのGDPが一挙に十分の一になったわけではなくて、いろいろな段階があってだんだん深刻になっていくわけですよ。日本だってそう、ドイツだってそうです。そして生まれてきたのは、ドイツでは、まさにデフレ克服をうたった内需拡大型のヒトラーが出てきたんですよ。そしてアメリカでは、フーバー大統領にかわって、ニューディール政策のルーズベルトが出てきたわけですよ。
 そういう意味で、日本も気をつけなければ、当時一九三〇年代のデフレ対策に失敗した日本は、膨張主義、拡大主義をとる軍部が台頭してきたわけですよ。そういう方向性に対して危機感を持っているのは、これは私だけじゃない。それなのに総理は、いや全く違いますと。のうてんきとはこのことをいうんじゃないでしょうかね
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→「日本も気をつけなければ、当時一九三〇年代のデフレ対策に失敗した日本は、膨張主義、拡大主義をとる軍部が台頭してきたわけですよ。そういう方向性に対して危機感を持っているのは、これは私だけじゃない。それなのに総理は、いや全く違いますと。のうてんきとはこのことをいうんじゃないでしょうかね」

のうてんきとは、デフレが悪いことだとわかっていながら、政府・日銀一体となって与謝野デフレ増税路線を推進していることではないですか?1930年代は、軍人の銃剣が怖かったことでしょう。命がけでした。しかし、いま、総理は何を恐れているんですか?

実は、菅総理がおそれているのは、与謝野デフレ増税路線のもとの自国民窮乏化政策での国民に疲弊と反発ではなく、人事や処遇をめぐる官僚の反発なのか?そうであれば天下り全面解禁、公務員給与聖域化がよく理解できます。まさに、公務員の既得権益を守るための増税路線ですね。