日露関係:まだ、チャンスはある! | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日露関係:まだ、チャンスはある!

秘書です。
ゴルバチョフ時代、ある外交専門家と北方領土問題で口論になったことがあります。
その人は、ロシアが民主化するまで領土は返ってこないといっていました。
これに対して、それは違う、ソ連体制のもとでも、1956年に、ソ連の対日戦略、フィンランドへのポルカラ海軍基地返還、オーストリアからの撤退、ドイツ再軍備の容認で一斉に世界戦略の転換した時期がある。これは、中立的緩衝地帯の創造という世界戦略をとった可能性がある。そして、ソ連共産党の綱領が改正されて日米欧の矛盾が激化しているとの国際情勢認識に変化したいま(80年代末)こそ領土返還のチャンスだ、と反論しました。
さて、その後どうでしょうか。
日本が「ソ連の微笑み外交は西側に対する挑戦」とかいっている間に、西ドイツはしっかり東ドイツを回復しました。ロシアが民主化されてからはどうでしょう。いまや、ロシア大統領選挙前は領土交渉の前進は難しい、といわれるようになってしまいました。
しかし、チャンスはあります。


■<日露外相会談>首相の「暴挙」発言冷や水 領土進展望み薄
毎日新聞 2月11日(金)22時49分配信

 外相就任後、初めてロシアを訪問した前原誠司外相は11日、ラブロフ外相との会談で「冷戦後最悪」といわれるまで冷え込んだ日露関係の再構築を目指した。しかし、懸案の北方領土問題ではロシアが四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の実効支配を強化する中、解決に向けた突破口を見いだすことはできなかった。【犬飼直幸、モスクワ田中洋之】

 ロシア側は平和条約交渉自体は拒否していないが、北方領土での経済的・軍事的なプレゼンスを見せつけることで日本に譲歩を迫る立場を鮮明にしている。ラブロフ外相は会談後の会見で、平和条約交渉は「前提や歴史的なとらわれなしで進める必要がある」と語り、「四島は歴史的に固有の領土」とする日本側をけん制した。日露の政治・外交関係が冷却化しても、経済面での協力は進展しており、ロシアが「強気」に出る要因となっている。

 ロシアは昨年11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問に続いて政府高官が相次いで北方領土入りし、インフラ整備や軍備増強を打ち出している。大統領は9日、クリル諸島(北方領土を含む千島列島)の開発に近隣諸国と協力する用意を表明し、そのためには「島々がロシア領であり、ロシアの主権が完全に及ぶことを理解しなければならない」と述べ、“日本抜き”で進める考えを示した。

 日露は今回、北方領土での共同経済活動の可能性を探るハイレベル協議で合意した。日本は「ロシアの管轄権を前提とするなら相いれない」との立場だが、このままでは中国や韓国が北方領土開発に参入する可能性があり、日本側は「置き去りにされない」よう協議に応じざるを得なかったといえる。

 日本は、ロシア側が求める極東や東シベリアでの経済協力をテコに領土問題の解決に道筋をつけたい考えだ。ただ、メドベージェフ大統領の国後訪問に対する菅直人首相の「暴挙」発言がロシアの反発を招き、外相会談に水を差した来年に大統領選を控えるロシアが領土問題で譲歩することは期待できず、「交渉を進めるチャンスが来るのを待つしかない」(外務省幹部)のが実情だ

 一方、ロシアは求心力を失っている菅政権を冷ややかに見ている。ロシアの「独立新聞」は「暴挙」発言に関する記事を8日付の1面トップで掲載。その中で「島の問題を建設的に解決できる政治家が日本に現れるまで現状を維持する」のがロシアにとって重要だとする識者談話を紹介した

→法律的原則論はお互い原則論の応酬になってあたりまえ。経済は問題解決の補助材料。法律と経済だけで領土問題は解決しないでしょう。

→問題は「戦略性」です。1956年の鳩山民主党政権はソ連から見れば戦略的利益があったということでしょう。戦略性があれば、知恵は湯水のごとくわいてくることでしょう。

→少なくとも、ロシアは、ソ連時代のグロムイコのように「領土問題は存在しない」とはいっていない。(そのことはとても大事だと思うんですけど)。ロシアにとって、領土問題で「新たな発見」をして領土問題を解決して平和条約を結ぼうと考える戦略的利益とは何か。「島の問題を建設的に解決できる政治家」とはその答えをもっている政治家でしょう。

→こうした観点から「暴挙」発言は、どのような戦略性に基づいているのか。ロシア側とどんな水面下での意思疎通をしているのか。どのような戦略観に基づくのか?