本物の熟議の国会:菅総理には本物の熟議型民主主義断行の覚悟がありますか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

本物の熟議の国会:菅総理には本物の熟議型民主主義断行の覚悟がありますか?

秘書です。
「熟議」という言葉が定着しました。
本物の熟議とは何でしょう?


■首相「本物の熟議の国会に」、野党は対決姿勢
読売新聞 1月24日(月)22時42分配信

 24日に召集された菅再改造内閣発足後初の第177通常国会は、菅首相が施政方針演説で、社会保障改革などの政策課題実現に向けた与野党協議を訴えた。
 野党側は一斉に批判し、与野党全面対決の構図でのスタートとなった。政府・与党が今年度内成立を目指す2011年度予算案の審議入りをめぐる日程協議でも、与野党は合意点を見いだせなかった。
 首相は24日夜、首相官邸で記者団に「今度の国会は本物の熟議の国会にしたい。野党も、反対の時は対案を出してもらいたい。期待している」と述べた。「予算は年度内に何としても成立させたい」と強調した。
 民主党の安住淳、自民党の逢沢一郎両国会対策委員長は24日、国会内で会談し、野党側が要求していた与野党の幹事長・書記局長会談を27日に開くことで合意した。野党側は、民主党の小沢一郎元代表の「政治とカネ」の問題をめぐり、同党の岡田幹事長に小沢氏の証人喚問実現を求める方針だ。


→本物の熟議ってなんでしょう?

熟議型民主主義(deliberative democracy) は、個人の選好は熟議の過程で変化するものであり、個人的価値を加算しても社会的価値にならないと考えるものです。

対極にあるのは、利益集積型民主主義 (aggregative democracy)であり、個人は常に自己利益の最大化を考え、個人の選好は所与のもので不変であり、個人的価値を加算すると社会的価値になると考えるものです。

国会運営でいえば、個人の選好は所与のもので不変で議論の過程での選好変化を認めない党議拘束はやめる、というのが本物の熟議ですね。

菅総理、その覚悟はありますか?

熟議型国会の指針になると思われるのが下記の21世紀臨調の提言です。

・法案修正における「小委員会」活用
・内閣一元と政党の「党議拘束」のあり方の見直し

この2つは本物の熟議には不可欠でしょう?

総理その覚悟はありますか?
ただたんに増税協議したい、というのが本物の熟議ですか?



国会審議活性化等に関する緊急提言~政権選択時代の政治改革課題に関する第1次提言~
平成21年11月04日
新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)
政権選択時代の政治改革課題に関する検討小委員会
http://www.secj.jp/pdf/091104-1.pdf

(3)与野党における政治家同士の議論(議案審査会等)

・法案修正における「小委員会」活用

法案の審議は与野党対決を基調とするものの、修正などによって与野党の合意を調達してゆく等の必要も出てくる。委員会審議が公開の場における政治家同士の議論のぶつかり合いだとすれば、合意を形成するためには、衆参両院の議院規則に定められている「小委員会」(衆規43条48条87条90条、参規35条関係など)を積極的に活用し、「小委員会」の場で政府案の修正または合意案作りが行なわれる手続きを進化させるべきである。かりに、現在の「小委員会」の使い勝手が悪いのであれば所要の改正を行い、「使える仕組み」に作り直すべきである。「小委員会」において与野党の歩み寄れる項目について具体的に検討することは、院外の政党間の協議よりも記録が残る点で優れており、歴史的な批判に耐えうる議論が要求されるようになることも重要である。
また、このように「小委員会」を活用した法案修正協議が定着すれば、たとえその場で合意が調達できなくても、後院に議論が移った段階で、その続きを行うことも可能である。こうした積み重ねがあれば、例えば、両院の意見が食い違った場合でも、両院協議会での議論はあらかじめ検討した地点からの議論となり、両院の合意を得る可能性が高まる。

(6)政府・政党・国会の関係再構築

・内閣一元と政党の「党議拘束」のあり方の見直し

国会改革を進めるためには、政府、政党、国会の関係を再構築する中で、戦後の「政府・与党二元体制」の下、政府提出法案に対する「与党事前審査・承認慣行」と表裏一体で制度化されてきた日本独特の政党の党議拘束のあり方についても根本から再検討し、「党議の意味するところ」を再定義しながら、「対象となるものの範囲」「拘束の軽重」「拘束をかける時期」等について見直し を行うべきであり、政党はそのための議論を直ちに始めるべきである。
これまでのわが国の国会では、国会の自律権を過度に強調する戦後の行き過ぎた「三権分立」的発想のもと、議院内閣制を採用しているにもかかわらず国会に内閣の位置がなく、法案審議は国会の専権事項とされ、諸外国に普通にみられるような内閣による法案審議日程への公式な協議関与権が与えられていなかった。加えて、日本の国会が採用してきた会期不継続原則により、限られた短い期間の中で大量の法案を「荷崩れ」することのないよう通過させねばならない事情が加わり、このことが、政府・与党二元体制の下で与党に頼らなければ何事も進まない与党依存の国会運営をもたらした。そして、政府は与党に対して法案の国会提出前に党議拘束をかけることを求め、また、与党は与党による法案の事前審査を通らない法案を閣議決定しないように求めるという、日本独特の与党事前審査と政党の事前の党議拘束を表裏一体の関係で生み出してきた
議院内閣制の制度原理に基づき、政府と与党の政策決定が内閣に一元化されることは、このような状況を根本から変えうるものである。今般の政権交代により、民主党政権が政府・与党の決定を内閣に一元化し、政府外における与党政策審議機関を廃止し、与党による政府提出法案の事前審査制をとりやめる方針を明確にしたことは、議院内閣制原理の確立にとってきわめて重要な改革であり、評価に値する。内閣の外に「与党」という存在が別個に独立した形で存在し、いわば公式な政府と非公式な政府との二元構造の中で政権の運営実態が分化し、権限と責任の所在がきわめて曖昧になりがちであった日本政治の構造問題を克服し、政府と与党の指導体制を「首相を中心とする内閣のもとに一元化する」という議院内閣制本来の「内閣一元」の原則を確立することこそが、政権選択時代、政治主導時代に求められる政権運営の姿だからである。
しかしそのためには、与党事前審査とともに制度化されてきた政党の党議拘束についても、「新たな責任ある政党規律の指針」を基に新ルールを確立することが必要である。われわれはこれまでにも、日本の政党における党議拘束がその他の議院内閣制諸国と比べていかに特異なものであるかを繰り返し提言してきた。内閣一元を促進し、与党事前審査制を廃止するのであれば、政党の「党議」のあり方についても見直しをおこない、例えば、

「党議拘束」の対象となるものの範囲を、政党の綱領、総選挙において国民に実現を約束した政権公約(マニフェスト)、党首等による国会冒頭演説に掲げた事項などを参考に選別することとし、

「党議拘束」を必要とする場合であっても、当該法案を国会に提出する前段階での事前の拘束についてはこれを自粛し、所属議員による国会委員会での活発な審議や活動を保障することなどが検討され
てよい。

そして、「党議拘束」は委員会審査の結果を踏まえた、本会議における最終表決にあたって投票態度の統一をはかるための手段へと純化し、本会議直前に行なわれるものとするなどの「新しい政治慣行」の確立に向かうべきである。

党派よりも個人の信条や良心に関わるものについては、「党議拘束」の対象外とすることなどについても検討されるべきである。


現在、政党の党議拘束については、全く方向性を逆にする二つの極論があるのは残念である。一つは、政府・与党一元化によって政策は内閣に一元化されるのであるから、与党議員はただ、内閣提出法案を擁護しさえすればよく、独自の見解を持つ必要がないという極論である。もう一つは、与党による事前審査や事前の党議拘束がなくなるのであれば、与党議員は内閣提出法案であっても自由に審議し、自由に修正することが許されるという極論である。求められるのは、議院内閣制の原理原則と、総選挙で国民に約束した政権公約(マニフェスト)を基本としつつ、従来型の党議拘束に代わる「新たな責任ある政党規律の指針」と、それと両立可能な「新たな審議関与ルール」を確立することである。議院内閣制である以上、政権党の所属議員が内閣提出法案に賛成するのは当然である。

しかしながら、所属議員が国民代表の一人として国会審議に加わるのも当然であり、審議の過程で問題点を発見した場合には、内閣側ともよく相談した上で、法案の修正に努力してもよいというのが自然の姿である。

例えば、政権公約を政策として具体化する段階では様々な論点が明らかになることは当然予想される。そのような場合、所属議員の意見を聞きながらまとめてゆくのは当然である。そうした意見集約が十分ではなかったとき、あるいは国会論戦において野党の提案に合理性がある場合などは、与党会派議員も加わる形で法案の修正が行われることがあってしかるべきである


ただ、与党議員の法案修正はあくまで例外的であるべきであり、事前の意見集約の努力が丁寧になされることが望ましい。

政府・与党一元化によって法案提出前の事前の党議拘束がなくなれば、法案の通過を確実なものとするために、委員会審査が終了した段階で代議士会、議員総会などを開催し、会派としての方針を最終確定し、会派の方針に沿った投票行動を所属議員に求める新たな仕組みや手続きを確立することも考えられる

また、会派としての方針を最終的に確定するためには、所属議員同士による事前の議論や意見集約の場や機会が必要となる場合も想定されるが、こうした場があまりにも強大になると、政府・与党一元化そのものが崩壊する恐れもあるので、あるべき政府、与党、国会の関係全体を俯瞰した制度設計が求められる。例えば、国会において所属議員が政府案に賛成の行動を自然にとりうるためには、政府に
おける法案作成過程で所属議員の意見表明の機会が保障され、意見集約がなされる仕組みについてもよく検討してみる必要がある。民主党が設置した「各省政策会議」は、まさにそうした所属議員の意向を伝達すべき場であり、そこで有効な意見集約が行われるように相当な工夫が凝らされるべきである。

→民主党内のみなさま、小委員会方式、党議拘束の緩和(そもそも、民主党は党議決定は存在しているのでしょうか?党議決定なしの党議拘束とは?)こそ、主戦場ではないでしょうか?

→まずは、日銀法改正あたりから、本物の熟議の国会をはじめませんか。



■始まった「党内野党」との戦い、首相が両院総会で返り血
産経新聞 1月24日(月)20時18分配信
 通常国会初日の24日、菅直人首相(民主党代表)は両院議員総会で、所属議員に党の結束を呼びかけた。小沢一郎元代表の強制起訴後の処分を視野に、総会で指導力を印象付けようとした首相だが、かえって小沢系議員の執行部批判が噴出。野党との論戦と同時に「党内野党」との戦いの火ぶたも切られた。(加納宏幸)
 施政方針演説に先立ち、東京・永田町の憲政記念館で開かれた議員総会の冒頭、首相は自らが理想とする政党像に理解を求めた。
 「ただただ話し合って物事が決まらないのでは政党の体をなさない。代表という重い立場を自覚し、決めるべきときにはしっかりと物事を決めていく
 民主党執行部は小沢氏が「政治とカネ」の問題で近く強制起訴された後、離党勧告などの処分を行うことを視野に入れている。
 首相は小沢系議員に「どんなに騒ごうが最終的には自分で処分を決める」と脅しをかけたつもりだったようだが、逆に怒りに火をつけてしまった。
 小沢氏に対する処分、昨年7月の参院選惨敗の責任を取って幹事長を辞任した枝野幸男氏の官房長官への起用、与謝野馨経済財政担当相の民主党会派入り…。総会では十数人の国会議員が次々と手を挙げて、執行部への怒りをぶちまけていった。
 「小沢さんは公判で無罪になる。強制起訴があったからといって、党内で処分を議論するのは筋違いだ」
 小沢氏に近い階(しな)猛衆院議員は執行部を強く牽制。小沢氏が最高顧問を務める同党衆院当選1回生のグループ「北辰会」の石原洋三郎衆院議員も「処分は裁判の結果を待ってからでも遅くはない」と同調した。
 執行部を批判したのは小沢系だけではない。非小沢系の北神圭朗衆院議員も、枝野氏の官房長官への起用に「参院選の結果責任をどう考えているのか。極めて偏った人事だ」と不満を漏らした。
 昨年9月の代表選で首相を支持した宮崎岳志衆院議員も、与謝野氏の経済財政担当相の起用について「(民主党が)引きずられて政策変更する疑いを持たれる」と懸念を口にした。
 岡田克也幹事長はこうした批判に冷静にこたえていった。だが、小沢氏に近い森裕子参院議員が、首相に党人事を一任した13日の党大会の運営について「瑕疵(かし)がある」と批判、挙党態勢の構築を求めた要望書の提出者を有志一同としたのを「名前を書けば(執行部から)弾圧を受けていた」と説明すると、ついに声を張り上げた。
 「党大会に瑕疵があるとか、弾圧だとか、言葉遣いには気を付けてもらいたい! マスコミの餌食になるだけだ」
 小沢氏の衆院政治倫理審査会の招致議決を断念したことで、首相は国会冒頭から野党側の追及にさらされる。かといって、小沢氏を処分すれば党内野党のマグマが噴き出す。首相の「内憂外患」に高みの見物を決め込んでいるのか、小沢氏は施政方針演説の間、目をつぶり続けていた。


→委員会審議はマスコミの餌食になりません。国会で政府提出法案を与野党協議で修正していく、というのは民主党議員のみなさんにとっても活躍の場ができることになって、決して悪いことではありません。

→政府提出法案を成立させるための技に熟練した職人みたいな政治はねじれ国会では不要です。誠実な話し合いのみが、法案成立の道。(強行採決は拒否しよう!)

→さて、本物の熟議ですが、無作為抽出市民の合意は正しい結論が出る、というのが本物の熟議でしょう。既に、裁判では死刑判決まで無作為抽出市民がしています。なぜ、政策はできないのか?形骸化している公聴会の有り方を変えて、与野党合意の参考にしてはいかが?菅総理、そこまでの本物の熟議型民主主義をやる覚悟、ありますか?