日銀法改正:日銀擁護派と反デフレ派のどちらに覚悟があるのかの問題です | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日銀法改正:日銀擁護派と反デフレ派のどちらに覚悟があるのかの問題です

秘書です。
「現時点で具体的に内閣としてどうこうということを検討している状況ではない」という発言は、立法府を統制するものではないですね?


■枝野氏:首相と日銀総裁が会談、経済金融情勢で意見交換(Update1)
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 1月19日(ブルームバーグ):菅直人首相は19日、官邸で日銀の白川方明総裁と会談し、経済金融情勢について意見交換した。会談に同席した枝野幸男官房長官が同日午後の会見で明らかにした。枝野氏は首相と白川総裁が一般的に意見交換したとした上で、具体的な内容については公表しなかった。首相と白川総裁との会談は昨年11月10日以来、2カ月ぶり。

  枝野氏は会見で、政府・日銀の関係について「日本銀行との間ではこれまでも機会をとらえて意見交換を行ってきていると承っている。本日の会議でも経済金融情勢について一般的な意見交換を行った」と語った。ただ、「先ごろ総裁はバーゼルの国際決済銀行(BIS)の会合に出たということで、そこでの話を含めて経済金融情勢について意見交換を行ったが、具体的なことについては申し上げるべきではないと思っている」とも述べ、詳しい内容については公表しなかった。

  共同通信によると、白川総裁は会談後、記者団に対し「世界経済全体の動きをバランス良く説明したいと思った。米国、欧州、新興国はそれぞれ抱えている問題が違う」と語った。

            日銀法改正

  一方、枝野氏は与野党の一部にある政府が主導してインフレターゲットを設定するための日本銀行法改正論については「そういった意見があることは認識しているが、現時点で具体的に内閣としてどうこうということを検討している状況ではない」と述べ、政府としては検討していないことを明らかにした

  先の内閣改造で就任した藤井裕久官房副長官も昨年8月、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「大反対だ。インフレの危険性があり、お年寄りを直撃し、サラリーマンにも相当影響がある」と言明している。

  日銀法改正論については、民主党の有志でつくる「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)やみんなの党などが主張している。


→官邸が「デフレ下の増税派」に占拠されましたね。

財政当局が増税と日銀がデフレターゲットというのは、戦前日本が海軍が米国を仮想敵国とし、陸軍がソ連を仮想敵国としたのと同じようなポリシーミックスのミスであり、同じように国民生活に破滅的な打撃を与えることでしょう。

自分の庭先だけきれいにして、合成の誤謬を認識できないことこそ、日本の政策決定システムとその担い手、すなわち、日本のベストブライテストの病理現象です。この点についての歴史総括が不十分のまま、また、同じ過ちですか。焦土と化しても、エスタブリッシュメントは生き残り、犠牲になるのは庶民です。


そしていま、ポリシーミックスに責任を持つべき官邸と経財相が「増税+デフレターゲット」の国民生活に最悪のポリシ―ミックスを確信とする人に占拠された。菅政権を支持する産業界、労働界、メディアのみなさん!本当にこれでいいのですか?

→さて、戦時中だって議会には非翼賛議員がいた。内閣が「デフレ下の増税派」で占拠された以上、立法府でできることは議員立法。

→ところが、この議員立法を阻止することは簡単で、党幹部にロビイングして、党プロセスで潰せばいい。


→国会議員の立法活動つぶしのロビイングは党幹部数人をすればいいから効率的です。いまのシステムでは、党内プロセスの拒否権を持つ人数人の幹部に日銀がロビイングをすれば議員立法を阻止できることでしょう。

→この程度のルーティンなロビイング活動に屈するのか?デフレファイターの覚悟はその程度か?

→郵政民営化は、政府与党二元体制の拒否権ゲームを見事に突破しました。


小泉総理は日本人の国民性を「ドラスティックな変化に抵抗感を抱かず、環境がガラッと変わっても対応できる」ととらえ、日本では「客観情勢が変わるとガラリと一挙に雰囲気が変わる可能性を持っている」と考えていました。「既存のシステムをご破算にする。あるいは既得権を打ち破るには痛みが伴う。恩恵を受けてた人びとから必ず反対の声が上がる」。しかし、ドラスティックに変化した国民の支持により、改革は可能であると考えていました。
(小泉純一郎(1996)『官僚王国解体論』光文社、 pp.153-156.)

そして、「政界の奇跡だね。この奇跡を実現してくれたのが、小泉を支持してくれた国民のみなさんのおかげです。」と語る郵政民営化は実現した。


ではなぜ、国民は郵政民営化を支持したのか?それは国民は小泉さんを支持したのであり、2005年8月8日に民営化法案が参院で否決された日に小泉首相が記者会見で述べた「郵政民営化に賛成か反対か、国民に聞いてみたい。もし反対というなら、自分は辞職する」という「覚悟」をみて、小泉さんを支持したのでしょう。
(竹中平蔵(2008)「補正予算を国民は望むか」『VOICE』PHP研究所、2008年10月号)


→日銀は総力をあげて議員立法を阻止してくることでしょう。その程度のロビイング活動にひるむようでは国民に日銀法改正の重要さは伝わらない。

→最初は政界にたぶん小泉さん1人しか支持者がいなかった郵政民営化にくらべれば、既に民主党内だけで100人の支持者がいる日銀法改正のほうがまだ、実現可能でしょう?

→日銀法改正阻止の悔いあらためないデフレ派の覚悟と、国民生活のために日銀法改正しなければならないという政治家の覚悟とどっちが強い覚悟か?国民はそこをみていることでしょう。

→政局に発展してまで、執拗にデフレターゲットを死守するためのロビイングをする覚悟があるのか、その臨界点までいかないと、議員立法の重要さは理解されないことでしょう。