民主党政権の歴史観?:無駄の削除とか行政改革は、大化改新の頃からやっている | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

民主党政権の歴史観?:無駄の削除とか行政改革は、大化改新の頃からやっている

秘書です。
民主党政権の歴史観は、大化の改新のときから無駄の削減と行革をやっていた、でok?


■消費税率の引き上げが必要~与謝野経財相
日本テレビ系(NNN) 1月19日(水)8時9分配信

 与謝野経財相は18日夜、日本テレビの「NEWS ZERO」に出演し、増え続ける社会保障費の財源として、消費税率の引き上げが必要との考えを示し、あらためて持論を展開した。
 与謝野経財相「 無駄の削除とか行政改革は、大化改新の頃からやっているこれからも続けていかなければならない問題。それをまずやって、経済成長(の対策)やって、次に税制(改革)というのは、ある種の逃げの議論」 
 与謝野経財相は、「税制改革の前にムダを削減すべき」との意見があることについて、「それでは財源の確保が間に合わなくなる」として、6月までに消費税率引き上げを含めた税制改革の案をまとめる考えを示した。
 また、与謝野経財相が自民党の比例代表で当選したため、野党側から議員辞職を求める声が出ていることについては「制度としてそうなっていれば辞職するが、そうなっていない」と述べ、辞職しない考えを強調した。

→政権交代は何だったんでしょう。民主党に期待されたのは無駄の削減だったんじゃないですか?それを「逃げ」とは!

政権交代の否定でしょう。これは。まあ、政権交代直前に政権中枢にいた人を迎え入れたんですから、この「無血入城」はなんといったらいいのでしょう?

→経済成長が逃げ??小泉政権後半に経済成長軌道にのりはじめたのに、その後ダメになった責任、2005―2006年の経済財政政策担当大臣たる与謝野さんが日銀の政策転換を容認した責任、どうなんでしょう?


■「日銀復権への1086日 量的緩和解除した総裁の長い日々」
2006年3月27日「週刊アエラ」
 「デフレと闘う総裁」として日銀に戻った福井俊彦は二つの使命を負っていた。
 地に落ちた日銀の信用を回復すること、失った金利機能を取り戻すこと。
 就任して3年、難関を一つこじ開けた。
 (編集委員 山田厚史)

…(2005年)12月8日、名古屋で講演した福井は、
 「金融政策の枠組みを変更する可能性は、2006年度にかけて高まっていく」
 婉曲表現ながら旗を掲げた。
 想定外の事態が起きない限り、経済は改善に向かう。06年には回復を裏付ける強い数字が出てくる。だが景気重視の政府・与党がスンナリ受け入れるとは思えない。
 予想通り、決定会合の直前になって首相官邸や自民党から牽制する声がわき上がった。安倍晋三官房長官は3日、定例会見の後、取り巻く記者に「3月にやるのは早すぎる」と語り、6日には小泉が国会で福井の前で露骨な牽制球を投げた。
 「デフレが終わったとは思えない。私は(解除に)慎重だ。聡明な日銀総裁は、私の意見をくみ取って判断すると思う」
 官房長官に続き、首相自ら「ダメ」というのなら日銀は動けまい、と市場は受け取った。だが、
 「一連の政治家発言が福井さんの退路を断った」
 そう見る関係者は少なくない。政治への遠慮が失敗につながる。手痛い経験は日銀の歴史にいくらでもある。

・・・

 日銀批判の急先鋒は竹中平蔵総務相。小泉ブレーンとして改革路線を演出してきた。「増税に頼らない財政再建」を掲げ、多少のインフレを加味した4%成長を目指すべきだ、と主張。増税は景気を冷やすから後回しに、成長軌道に乗せるにはゼロ金利を続けるべきだ、そのためには量的緩和を解除すべきではない、という論法だ。
 小泉も安倍も政調会長の中川秀直も竹中に同調した。ここを突破しない限り日銀の復権は果たせない。福井は経済財政担当相の与謝野馨に接近した。実務家で政策通の与謝野は「財政再建には増税は不可避」と論陣を張って竹中に対抗していた。
 福井は、日銀の先輩で理事まで務めた中川幸次にかわいがられた。中川は中曽根康弘の親友で、与謝野は中曽根の秘書から政界に転じた。そんな縁から2人は以前から接点があった。98年日銀法改正の責任者だった福井(当時副総裁)が自民党への根回しに走り回ったとき、力を貸したのは官房副長官だった与謝野だった。
 与謝野は今度も日銀応援団として動いた。所轄する経済財政諮問会議で竹中のインフレ路線を抑え込み、その一方で「金融政策は日銀に任せるべきだ」と一貫して主張した。財務省に太いパイプを持つ与謝野が支援に動いた意味は大きい。「日銀の天敵」ともいわれた財務省は、今回も量的緩和の解除には慎重だった。3月解除へと動く日銀を牽制し、場合によっては政策決定会合で「決定延期」の切り札を切るのでは、と見られていた。それが3月2日の省内の会議で延期要請はしない、との方針が決まった。
 その前日、1日夜に福井と与謝野は都内某所で密かに会った。何が話し合われたかは明らかにされていないが、9日の政策決定会合に向けての対応が話題になったと見られる。3日発表の1月消費者物価指数で2カ月連続の上昇が確認される。景気回復を示すお膳立ては整いつつある。後はガンコに突っ走る。福井はそうハラに決めていた。
 いま日銀内には「政治の壁を突破した」という密かな充実感が漂っている。「福井さん、よくやった」と心で叫びながら、騒がずはしゃがず喜びをかみしめている。
 福井は、記者会見で「量的緩和に再び戻る選択はない」と述べた。次の目標であるゼロ金利の解除が順調に行くか。今回押し切られた官邸・与党は「ゼロ金利は当面続ける」という方針で一致している。
 小泉首相の後継者は来年、参議院選挙を戦う。多少バブルがあっても、全国津々浦々に明るさが戻るような環境で選挙を乗り切りたい、というのが与党の事情だ。福井日銀の真骨頂が問われるのはこれからである。

→量的緩和に再び戻っちゃいましたね。この2006年の政策転換が日本の経済成長に与えた影響はどうだったんでしょうね。経済成長の芽をつぶしたんじゃないでしょうか。明日のデフレ脱却国民会議のシンポジウムで是非議論してほしいですね。

→では、ムダと成長について学習しましょう。


■埋蔵金6兆円で好景気に
高橋洋一 voice+
http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=59&nif=false&pageStart=0

無駄にもっていた埋蔵金
 

行政の無駄を省くべきだ。この意見に反論する人はいまい。ただ、人によって「無駄」の程度に差が出るのは致し方ないだろう。
 ちなみに与謝野馨経済財政相は、「予算の無駄には2種類あって、会計検査院が指摘するような間違った使い方ということと、この政策は無駄な政策だという政策の評価の問題とがある」と講演で述べていたが、先日のテレビ番組では、天下りや官製談合、特殊法人などでの無駄遣いの指摘に対して、「無駄遣いはない。政策判断の問題だから」といっていた
 もちろん、政策判断の程度の差という問題はあるが、それをオープンな場で議論することは有用だろう。そうすれば、無駄の意味も明らかになるし、何より政策議論の質が向上する。これは長期的には行政の「無駄」をなくすことになるだろう。
 一例として、筆者がこれまで指摘した「霞が関埋蔵金」について考えてみよう。
 筆者と埋蔵金の関わりはこれまで3回ある。1回目は3年ほど前である。経済財政諮問会議において、特別会計の資産負債差額が50兆円弱あり、それらの1部は取り崩しても問題ないと指摘した。その結果、財政融資資金特別会計などから20兆円の取り崩しが閣議決定され、その内容を盛り込んだ「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」が2006年6月に成立した。
 2回目は、2007年11月の話だ。自民党財政改革研究会(与謝野馨会長)が、増税路線を打ち出したが、中川秀直元幹事長が異論を唱え、増税の前に特別会計積立金のうち財政貢献できる部分があると主張した。ところが、この増税反対論に対して、財政改革研究会は「そのような話は霞が関埋蔵金伝説だ」と揶揄し、「埋蔵金は存在しない」と応酬した。中川氏は、具体的に財政融資資金特別会計と外国為替資金特別会計の繰越利益・当年度利益が合計40兆円あると指摘し、それらは過大であると反論した。財政当局はこの指摘を受け「埋蔵金」の存在を認め、10兆円を2008年度予算に取り入れることとした
 1回目と2回目での「埋蔵金」は、特別会計のバランスシートにおける資産負債差額の総計である。資産負債差額が行政の「無駄」につながるかは、慎重な検討を要する。まず、無駄に使わなかったからこそ、その結果、資産負債差額として残っているといえる。
 ただし、過剰にもっているかどうかで、有していることが無駄であるかどうかがわかるであろう。1回目の20兆円、2回目の10兆円はいずれも取り崩されて、一般会計や国債償還に使われたのであるから、結果として特別会計では過剰な剰余金をもっていたわけである。それは無駄にもっていた埋蔵金だったといわれても仕方ない
 3回目の関わりは今年7月に出た「清和骨太」の埋蔵金50兆円である。7月4日、自民党の総裁派閥である清和政策研究会が発表した政策であるが、まず、「骨太」の意味を説明しておきたい。
 そもそも「骨太」というのは、正式名称についていえば、2001年は「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」、2002年から2006年まで「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」、2007年と2008年は「経済財政改革の基本方針」である。いずれも、6月までには閣議決定されて、次年度の予算方針などの前提となる国の経済政策の基本方向を定めている。
 じつは2年前に、「骨太2006」というものがあって、その後の5年間、2011年度までの「5年間の予算シーリング」がすでに決まっており、それで2011年度のプライマリーバランス黒字化が目標となっている。
 ところが近年、社会保障費2200億円をカットすべきかどうかという問題や、基礎年金について国庫負担割合の引き上げにどのように対応すべきかという問題があり、さらには、ここ2年間の名目成長率が政府見通しを大幅に下回り、税収も下方修正せざるをえなくなっている。ということは、本来であれば経済状況を踏まえて、2011年度の黒字化目標を含め、今年の「骨太2008」では「骨太2006」を改訂すべきであった。
 埋蔵金の話を抜きに、来年度以降の予算の話などできるわけないが、なぜか諮問会議が埋蔵金の話をしないまま、6月27日に「骨太2008」は閣議決定された。社会保障費の問題や2011年度のプライマリーバランス黒字化などについて、この「骨太2008」では解が盛り込まれておらず、明らかに不完全であった。そこに、清和研の政策提言は、具体的な財源の裏づけのある答えを示した。つまり、埋蔵金の活用によって、社会保障問題への対策や、成長・環境などの新たな課題にも対応しつつ、2011年度のプライマリーバランスの黒字化の方針は堅持できるとした。
 8月1日、福田康夫総理は政権発足後初の内閣改造を行なったが、「清和骨太」の作成に関係していた、いわゆる「上げ潮派」は一掃されたかたちだ。
 しかし、「清和骨太」が示した事実は、今年度の補正予算編成や来年度の予算編成に確実に大きな影響を与えるはずだ。つまり、少なくとも来年度までは、消費税増税の議論はできない。福田総理が自ら公言しているが、50兆円の埋蔵金が否定できない以上、増税論議はできるはずがない。伊吹財務相(前自民党幹事長)も、埋蔵金は10兆円以上あることを認めており、今年度補正予算と来年度予算ではそれを活用せざるをえないわけだ。

4四半期ぶりのマイナス成長

・・・

日本の景気が後退した理由

 具体的な景気対策を論ずる前に、日本の景気後退の理由を整理しておきたい。
 景気減速が2007年中に始まったとすれば、効果のラグを考慮して2006年中の出来事に注目すべきである。
 いまサブプライム問題をきっかけとして、アメリカ経済は危機状況に陥っているが、2006年には住宅価格の上昇率が鈍化するとともに、住宅ローンの延滞率が上昇してきたという状況であったものの、サブプライムローンが世界的に問題視されはじめたのは2007年夏ごろからである。しかも、日本はサブプライム問題の発信地ではない。
 まず思い出すのは、定率減税の廃止だ。定率減税は、所得税と住民税の税額をそれぞれ20%、15%減額するもので、景気対策のために暫定的に1999年から導入されていた。それが、2006年(度)と2007年(度)で半分ずつ段階的に廃止された。
 定率減税の廃止は、マクロ経済的観点からみれば、3兆円強の所得税増税になる。その経済効果は、ある試算によれば、実質GDPを0.5%程度低下させるという。
 また2006年は、日銀が金融引き締めに転じた年でもあった。2006年3月9日、日銀は量的緩和政策を解除した。2006年7月14日、2007年2月21日、日銀は誘導金利をそれぞれ0.25%ずつ引き上げた。
 量的緩和政策の解除は金利に換算すると0.5%程度の効果であるといわれているので、一連の金利引き上げは1%程度と思っていいだろう。ある試算によれば、この一連の金利引き上げによるマクロ経済効果は実質GDPを0.5%程度押し下げるといわれている。
 いずれにしても、マクロ経済的には、2006年に財政引き締めと金融引き締めが同時に行なわれたわけで、形式的に考えても、実質GDPを1%程度押し下げてもおかしくない

 ちなみに、実質GDP伸び率について、2007年度の政府の見通しは2.0%であったが、実績は1.6%。2008年度の政府見通し2.0%が、実績見通しは1.3%にとどまった。また、名目GDP伸び率について、2007年度の政府の見通しは2.2%であったが、実績は0.6%。2008年度の政府見通し2.1%が、実績見通しは0.3%にとどまった。
 この名目GDPの低迷と裏腹のことであるが、ホームメイドインフレの指標とされ総合的な物価の動きを示すGDPデフレータについて、2007年度の政府見通しは0.2%であったが、実績は▲1.0%、2008年度の政府見通し0.1%が、実績見通しも▲1.0%と2年連続して大きく下回った。

金融のイロハを間違った日銀

 こうした経済指標を見ても、2006年の財政引き締めと金融引き締めのどちらが主因であるかを判断することは難しい。ただ、明確な決まりはないが、政府見通しについて、実質成長率は政府、GDPデフレータは日銀の責任という漠然とした思いはある。
 もっとも、日銀はその責任分担さえ拒否してきた。現行の仕組みでは、日銀は、政府経済見通しについて、マクロ経済運営に関して基本的視点を共有するのみであり、コミットメント(結果責任を伴う約束)はしていない。この意味で、政府見通しの達成義務は政府だけにあり、それが達成できなくても、日銀は政府に対して何の責任もないことになる。日銀は、どこにもコミットしておらず、経済運営の結果についていっさい責任は生じないというのだ。
 考えてみればこれはおかしいのだが、いまの日銀法の下では仕方ないことである。ちなみに、日銀法では「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」(第3条第1項)、「日本銀行は、通貨及び金融の調節に関する意思決定の内容及び過程を国民に明らかにするよう努めなければならない」(第3条第2項)となっており、政府との関係は、「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」(第4条)と規定されているのみで、意思疎通さえすれば、結果は問わないのだ
 これは、中央銀行の独立性を曲解しており、日銀法の欠陥であるといわざるをえない。現行制度の下では、先進国の行政機関で導入されているPDCA(PLAN‐DO‐CHECK‐ACT)サイクルさえ、日銀には適用できない。
 中央銀行の独立性については、中央銀行は政府と目標を共有するが、その達成手段は中央銀行に任せ、政府が口出ししないとなっているのが世界標準である。となれば、中央銀行の目標について、政府が設定するか、または政府と中央銀行が設定し、その目標の達成は中央銀行に任せて、中央銀行のPDCAサイクルを適用できるわけだ。このような中央銀行と政府の関係について、しばしば「中央銀行は目標の独立性をもたず、手段の独立性をもつ」と表現している。
 こうした見方について、日銀としては政策委員会・金融政策決定会合で決めた金融市場調節方針にコミットメントしていたとの反論があるかもしれない。たしかに、2001年3月から2006年3月まで、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的に0%以上となるまで継続するとの明確な「約束」に沿って、量的緩和政策を継続してきた。
 ただし、これは外部から見たら「言い訳」にすぎない。というのは、日銀は物価見通しをこれまで何度も下方修正して、それでシナリオどおりだという後出しじゃんけんばかりやっている。日銀はフォワードルッキングといって、先読みの政策をやってきているというが、先読みがあったためしはない
 また、見るべき物価を間違えている。一般的に、物価はGDPデフレータで見るのが優れている。ただしGDPデフレータは統計作成が遅れるため、できるかぎりそれに連動するもので物価を見る必要があるので、コアCPI(消費者物価指数)で見るのが世界の常識である。
 海外では、このコアCPIは変動の激しいエネルギー・食品を除いているのが通例であるが、日本はなぜが生鮮食品しか除いていない。このため、コアCPIの数字で海外から誤解を招くことが多かったので、竹中平蔵氏が総務大臣になった2006年から、エネルギー・食品を除いたCPIも公表するようにした。ところが、マスコミ報道は相変わらず、古いCPI(除く生鮮食品)であり、日銀も古いものを使いつづけている。
 ちなみに、6月のCPI(除く生鮮食品)は前年同月比1.9%の上昇であるが、CPI(除くエネルギー・食品)は0.1%、4―6月期のGDPデフレータは前年同期比1.6%の下落であった。
 このようにいうと、「日常品で値上がりしているのでインフレではないか」という声が聞こえてくる。だがインフレというのは、正しくは全体の物価水準の上昇であり、現在のような状況は「海外インフレ、国内デフレ」である。国内が本当にインフレになれば、賃金も地価も上がるはずであるが、そうなっていない。
 いずれにしても、ホームメイドインフレの指標であるGDPデフレータがマイナスである以上、日銀の金融政策は失敗したといわざるをえない。要するに、GDPデフレータがマイナスのまま、しかもそれはCPI(除くエネルギー・食品)を見ていても容易に判定できたにもかかわらず、2006年から金融引き締めを行なったのは、金融政策のイロハを間違ったのである。
 さらに、増税を行なう政府と金融引き締めを行なう日銀とのあいだの連携も結果としては不十分だった。こうして景気後退になった。


もっとも効果的な経済政策は

以上を踏まえ、景気対策を考えるなら、単純にいえば、2006年の逆をやればよい。つまり、金融政策を緩和しゼロ金利・量的緩和政策まで戻るとともに、財政政策も定率減税を復活させればよい。
 さらに、経済政策のセオリーを使うと、もっと効果のある対策もある。マクロ経済政策の効果について、マンデル=フレミング理論というノーベル経済学賞の栄誉に輝いた有名な理論があるが、同理論によれば、変動相場制の下では、金融政策のほうが財政政策より効果が高い。財政政策は為替変動・輸出入変動を通じて、その効果が海外にスピルオーバーするからだという。
 ここで、今年度中に使える埋蔵金6兆円に戻ろう。じつは2回目の埋蔵金10兆円(正しくは9.8兆円)について、今年度予算で国債償還に充てられていると説明したが、正確にいうと、埋蔵金9.8兆円のうち、市中の国債買い入れに充てたのは3兆円だけであり、残りの6.8兆円分は、日本銀行が保有する国債3.4兆円分と、財務省の資金運用部が保有する国債3.4兆円分を買い入れるとされていた。
 要するに、6.8兆円は広義の政府部門の国債償還に充てられているので、政府の外から見れば、何もしていないことになる。つまり、まだ使えるわけで、これが6兆円の意味だ。
 もうおわかりであろうが、マクロ経済効果が少なく財政赤字を増す定率減税の復活もさることながら、それよりも埋蔵金6兆円を活用すべきである。マンデル=フレミング理論の応用になるが、この6兆円を財政支出や減税より市中国債の償還に回すほうが、長期金利低下となって、金融緩和政策と相まって、大きなマクロ経済効果になるにちがいない。
 こうしたマクロ経済政策ミックスは金利低下を促すので、実質的には設備投資減税と同じことになる。今回のようなエネルギー・輸入価格を上昇させ交易条件を悪化させる外的ショックに対して、省エネ体質にして長期的な競争力を強化するために、政策的にも望ましい。
 埋蔵金6兆円を使わないのは、もったいないし無駄である。使うとしても、財政支出や減税より、市中国債の償還のほうが、効果的という意味で無駄がない。まして現在、与党内で議論されているように、金融政策なしで個別業界対策のような支援を行なうのは、ここで述べたマクロ経済政策ミックスと比べると、大いに無駄な対策である。
 最後に、来年度予算に使える10兆円の内訳に触れよう。
 今年度の特別会計では、来年度への繰越金が25.4兆円ある。特別会計は、1年間で使い切れなかったお金は次年度に繰り越せるのである。だが余っているなら、その金を一般会計に返せばよい。
 ただ、約25兆円の繰越金のうち、翌年度に繰り越さないと資金がショートして支障が出かねないものある。しかし、一般会計に繰り入れても問題ない繰越金が、私の見積もりによると、5.3兆円ある。その内訳は、労働保険特会で0.8兆円、財政融資特会で2兆円、外為資金特会で2.5兆円である。
 また、特別会計で今年の黒字分を繰り越すのは、会計学でいうフローの数字だ。一方で、ストックに当たる積立・準備金がある。そのうち、財政融資資金特別会計は、金利リスクに備え現在10兆円の積立・準備金をもっているが、ここから4兆円分を取り崩すことは十分に可能だ。
 もう1つは、労働保険特会である。先に指摘したとおり、雇用保険料が高すぎるのか、0.8兆円もカネが余っている。にもかかわらず、一般会計から毎年0.2兆円が投入されている。
 すき焼き三昧の離れに、粥をすすっている母屋から仕送りをする必要はなく、すぐ停止すべきだ。「骨太2006」では、社会保障費の自然増分を年に2200億円ずつ抑制するとされ、それは難しいと厚生労働省は文句をいっている。だが、自分たちがもっている労働保険特会の埋蔵金だけで解決できる。さらに、労働保険はストックベースでも4兆円以上余っているので、それらを取り崩しながら、長期的に維持可能な社会保障システムを考えたらいいだろう。
 こうしたお金をうまく使わなければ、無駄なお金といわれてしまうだろう。


→さて、無駄の削減と経済成長は逃げですか?