天下り根絶の実態:専門スタッフ職はやっぱり高級窓際ポスト? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

天下り根絶の実態:専門スタッフ職はやっぱり高級窓際ポスト?

秘書です。
過去の民主党の主張でいえば、天下り根絶といえば、「ハローワークへ行け」か「降給で残ることができる」かの選択なのでは?


■高位専門スタッフ職はやっぱり高給 年収1200~1400万円 人事院が追加勧告へ 
2010.12.31 00:07 産経新聞
 政府は30日までに、審議官以上で出世コースを外れた中央省庁幹部を処遇する高位の「専門スタッフ職」の年収を1200万~1400万円とする方針を固めた。人事院は各府省数人の任用にとどめるよう内閣官房に求めた。調整が終われば人事院が同職の給与水準について追加勧告を行う方針だが、「高級窓際官僚をつくるだけだ」との批判は避けられそうにない。

 高位の専門スタッフ職は、主要ポストを外れた幹部官僚が省内に残ることができるようにし、天下りを防止する目的で新設された。6月に閣議決定した退職管理基本方針に盛り込まれ、職務は「部局横断的な重要政策の企画立案サポート」と規定された。

 各府省にはもともとポストから外れた課長補佐、室長、課長級を処遇する専門スタッフ職(年収650万~1100万円)がある。

 制度創設時は審議官級も専門スタッフ職への移行が想定されたが、審議官級の年収は1369万~1585万円、局長級が1734万円で年収差が大きすぎるとの指摘があった

 このため高位の専門スタッフ職を新設し、給与水準を職能に応じて専門スタッフ職より高めることにより、出世競争に敗れた幹部官僚の給与減を最小限に抑え、天下り防止の実効性を高めることになった

 府省庁は8月の人事院勧告での給与勧告を求めたが、人事院は「具体的な職務と責任のあり方を踏まえて検討し、成案が得られれば速やかに勧告したい」と先送りしていた。

 ただ、政府の閣議決定で同職の整備が盛り込まれていることもあり、人事院は任用乱発による公務員総人件費の増加を抑制することを条件に年明け以降に追加勧告を行う方針を固めた。取りまとめを行う内閣官房には「特別な調査・研究能力を有する」など基準の厳格化を要請している。

→「出世競争に敗れた幹部官僚の給与減を最小限に抑え、天下り防止の実効性を高めることになった」ということですが、つまり、「天下りで外出し+補助金」だったのが「専門職で内にとどまる+高級」になっただけで、国民の税金負担ということでは変らない、ということではないでしょうか?

→幹部官僚は全員「特別な調査・研究能力を有する」ことでしょう。全員が厳格な基準をクリアできるでしょう。

→降給は誰でもいやです。民間人だっていやです。その民間人が払っている税金を使って、出世競争の緩和をする。やっぱり、何か変ですね。

→子どもがサッカー選手になりたいといっても、公務員になれ、という世の中はまだ続くのか?そんな社会の現状を「しかたがない」と放置しておいて、他方で、「最近の若者には覇気がない、夢がない」などというのはやめましょう。



■菅総理、「天下り根絶」の方針はどこへ行ったんですか?
官僚の勝ち逃げを許す「退職管理基本方針」を閣議決定
2010年07月01日 現代ビジネス永田町ディープスロート 原英史
http://gendai.ismedia.jp/articles/print/781


菅直人総理は就任早々、「官僚の皆様は政策のプロフェッショナル」と表明した。では総理、あなたは30年も政治家をやっていて、政策はプロじゃないのか、と言いたくなる。アマチュアなら4300万円の総理の給料は国庫に返納すべきだ。

 政策は官僚に任せ、政治家は選挙と党内抗争(「反小沢」)に明け暮れていればいいというのでは、昔々の自民党時代のようなものだ。

 しかも、その選挙が、政策論争とは程遠い。今回の参院選で、菅民主党は明らかに、「政策で勝負」しようとしていない。

 マニフェストやCMを見ても、売りは「サラリーマンの息子が総理に」といった生い立ちなど。「他党より優れた政策」をPRしようという意欲はほとんど感じられない。

 こうして、民主党も自民党も、同じような政策を掲げ、ともに大きな政府・官僚主導・増税路線になってしまったのだろう。

 しかし、人気の高いうちに選挙をやってしまおうとしても、メッキは剥がれ、ボロが出てくるものだ。鳩山内閣は、口先だけでも「脱官僚」と言っていたので多少歯止めは効いたが、菅内閣はどうやら歯止めがなくなったようだ。

筋金入り改革派官僚を厄介払い
 新内閣発足後早々、6月22日に閣議決定された「退職管理基本方針」には仰天した。同方針では、現職官僚が天下り法人に「出向」する場合は、天下りと扱わないという。鳩山内閣で独法の役員ポストには公募を課していたが、「出向」の場合には公募の対象外とする。

 本来、純粋民間であるはずの社団や財団にも、「休職」にして「出向」すれば天下りとは扱わない。

 現在の民主党政権の論理では、「出向は天下りとは別モノ」ということのようだ。しかし、実態として、従来、50歳代の官僚が退職して「天下り」していたのと、退職せずに「出向」という形式をとるのは、単なる形式の違いでしかない。

 「天下り法人への出向ならOK」というのでは、かつて民主党が高らかに唱えていた「天下り根絶」は何だったのか。「4500団体に2.5万人の役人が天下って、毎年12兆円以上のカネが使われている」という話はどこへ行ったのか、という話だ。

 こんな閣議決定をわざわざ選挙直前に行うことには、さすがに、民主党内でも異論があったと聞く。それでも閣議決定が強行されたのは、7月の定例人事異動で、「天下り法人への出向」を大量に組み込みたいという、役所の都合が優先されたのだろう。

 菅内閣では、官僚と「緊密な情報共有、意思疎通」をしているそうだが、官僚の若手クラスがこの「退職管理基本方針」について何と言っているか、総理はご存じなのだろうか。

 若手からは、「これで局長・部長クラスの幹部は勝ち逃げが確定」、「いずれツケを負わされるのは若手」とか、「自分の先輩たちがこんな工作をやっていると思うと、さすがに恥ずかしい」といった怒りの声が噴出しているのだ。

 実は、こうした声は、前・公務員制度改革推進本部事務局審議官(現・経済産業省官房付)で、現役の筋金入り改革派官僚である古賀茂明氏が、エコノミスト6月21日発売号でも紹介している。

 古賀氏は、本来ならば局長ポストに就いていてもおかしくない人物だが、その改革姿勢が政権の路線と合わなかったのか、昨年末、仙谷由人大臣により公務員制度改革推進本部事務局を追われ、それ以降、経済産業省でまともなポストにつけられていない。

 古賀氏は、この論考で、現役官僚としては異例のことだが、天下り法人等への「出向」拡大という政権の方針を強く批判している。あくまで推測だが、菅政権は、こうした改革派異分子を封殺するため、敢えて、古賀氏自身に「出向」人事を提示するのでなかろうか。

 同氏が「出向」を受け入れれば、中央官庁の枢要ポストから厄介払いできる上、これ以上の政権批判を封じることもできる。もしそうなれば、早速「退職管理基本方針」を活用した「出向」人事の発動というわけだ。

都合の悪いことは「別添2」に
 「退職管理基本方針」では、もうひとつ、「別添」がついており、幹部官僚の高給窓際ポストを作ることも書かれている。局長・部長用の高給専門スタッフ職を新設するという。霞が関でよく使われる詐欺的手口である。都合の悪いことは「別添2」ぐらいにしておくのだ。

 このポストは、局長・部長の給与よりは少し低く設定するようだが、とはいえ、現行の専門スタッフ職よりは「上位」と明記してあるので、年収千数百万円のポストだ。こんなポストを新設しながら、マニフェストに掲げた「国家公務員人件費2割削減」をどうやって実現するつもりなのか、まったく分からない

 こういう「官僚の既得権維持」を閣議決定しているのが、菅内閣の実像。これでは、もはや、民主党に「公務員制度改革」を唱える資格があるのかさえ疑問だ。

 そんな中で飛び出した、枝野幸男幹事長の「公務員制度改革や行政改革はかなりの部分でみんなの党と一致しており、一緒にやれる」との発言に対し、みんなの党の渡辺喜美代表が「顔を洗って出直せ」と怒ったのも無理はないだろう。

 民主党は、今一度、かつて唱えていた「脱官僚」「天下り根絶」などをどうするのか、よく考え直し、国民にきちんと説明すべきだ。捨て去るのか。あるいは、今度こそ実行するというなら、具体的に何をやるのか。例えば「退職管理基本方針」は撤回するのか

 選挙前はただ「やります」「やります」と言うだけでは、もう許されない。選挙後に再び迷走を繰り返すことが明らかだ。

→最後は増税で帳尻合わせ?