来年度予算編成過程:むしろ財務省に依存する構造が強まったのではないか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

来年度予算編成過程:むしろ財務省に依存する構造が強まったのではないか

秘書です。
今朝の読売新聞12面で田中秀征さんが来年度予算案について以下のように語っています。


・一言で表現すれば、「後は野となれ山となれ予算」だ。
・歳出額が大きい社会保障分野については、制度改革を先送りした。
・その場しのぎの対応が目立ち、将来への展望がまったく見えない。
・バラマキ体質も相変わらずだ。

・(子ども手当については)財政再建の重要性を強調する一方で、所得に関係なく一律支給するのは、ちぐはぐな対応と言わざるをえない。
・政権への国民の支持率が低下する中で、来年に統一地方選を迎える焦りからなのか、固定票を持つ業界団体や労働組合への配慮もうかがわれた。
・民主党が化かがてきた政治主導の予算編成ができたとは思えない。国家戦略局が予算編成の基本方針を策定し、財務省に代わって指令塔になる構想は、いつの間にかうやむやになってしまった。
・(小泉政権時代に比べ)今回の予算編成過程で、財源のつじつま合わせをするために財務省に頼った分だけ、むしろ財務省に依存する構造が強まったのではないか
・首相が、将来の国造りに向けた展望を示し、リーダーシップを発揮することもなく編成作業は終わってしまった。

この秀征さんの言葉に全てが言い尽くされていますね。


■23年度予算】異常事態「10年もたない」…現実味
2010.12.24 22:30産経新聞

 平成23年度予算案は、前年度に続き、新規国債発行額(借金)が税収を上回る「異常事態」となった。特別会計の剰余金といった「埋蔵金」は食いつぶし、消費税率の引き上げ幅を含め、痛みを伴う税財政の将来ビジョンは依然示されていない。2度目の民主党政権による予算編成は「借金漬け」を恒常化し、日本の財政を危機のふちに立たせるものとなってしまった

 「44兆円を守ることができた」。野田佳彦財務相は、内閣支持率の低下にあわて、歳出圧力が強まった予算編成でありながら、新規国債発行額を22年度の44兆3千億円よりも低く抑えたことを強調した。だが、過去最大の発行額となった前年度実績を物差しに、胸をはることにどれほどの意味があるのだろうか。

 実際、目前に迫った統一地方選を意識したマニフェスト(政権公約)関連予算へのばらまきは目を覆わんばかりだった

 子ども手当の上積み、農家への戸別所得補償制度の対象拡大…。「最後には私が決める」といって菅直人首相が決断した基礎年金の2分の1の国庫負担割合の現行水準維持もそうだ。本来、その財源には消費税増税などによる恒久財源を充てるはずだったが、結局、「埋蔵金」を代替財源としてつじつまを合わせた。

一時金頼みの財政運営はもう限界にきているのは明らかだ。少子高齢化や経済の低成長で税収の増加は見込みにくい。

 国債発行残高は23年度末に約668兆円に膨らみ、国債の利払いなどに充てる国債費は21兆5千億円にのぼるにもかかわらず、今後も結局は借金頼みにならざるを得なくなる。

 消費税増税にしても、財政破綻回避のシナリオの第一歩にすぎない。「日本の財政は10年もたない」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との声が現実味を帯びてきているが、危機の自覚なき民主党政権には届きそうにない。(橋本亮)

→バラマキと財務省依存の関係如何?これはですね、選挙前に目いっぱいの買い物リストを認めてあげて、その代わり増税を約束してくださいよ、という取り引きがあるのではないでしょうか?だから、バラマキ予算策定と同時に、増税連立工作が表に出るわけです。

■【23年度予算】「何とかなるよ」官僚に丸投げ、財源は帳尻合わせでツギハギだらけ
2010.12.24 20:55産経新聞

 24日に閣議決定された平成23年度予算案は、支持率アップにつながりそうな政策に場当たり的に飛びつき、官僚への丸投げで財源の帳尻を合わせる「ツギハギ」だらけとなった。政治主導は名ばかりで、菅直人首相肝煎りの「元気な日本復活特別枠」をめぐっても、各省庁の分捕り合戦が繰り広げられ、官僚が跋扈(ばっこ)した。“無責任予算”のツケは将来に大きな禍根を残す。

 「そんな話は聞いてない」。23年度の子ども手当支給をめぐる閣僚折衝が大詰めを迎えた17日、普段は温厚な細川律夫厚生労働相が電話口で声を荒らげた。

 相手は玄葉光一郎国家戦略担当相。3歳未満に限り7千円を上積みするのに必要な約2500億円の財源を確保するため、玄葉氏が厚労省予算を削減するよう迫ったのだ。

 20日に設定された関係5閣僚による最終折衝を前に大臣室に“籠城”して抵抗したが、同日深夜に200億円の削減で折り合った。しかし、それでも財源は足りず、大規模災害や経済危機に備え毎年度1兆円を計上している予備費の一部を取り崩すという異例の事態となった。

 「一定の成果はあったと思う」。特別枠について、野田佳彦財務相の歯切れは悪い。

 特別枠は、各省庁の既存予算を削る一方で、成長戦略や公約政策に重点的に配分するのが狙いで、削った分の3倍の予算を認めるという「ニンジン」をぶら下げ、省庁を競わせた。

その結果、「1兆円を相当程度上回る」とした上限をはるかに上回る2兆9千億円分の要求が殺到。うち2兆1千億円を認める大盤振る舞いとなった。

 しかも、米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)や教員の人件費など、成長戦略とは無縁の既存予算が潜り込んでいる。省庁は「特別枠は、菅政権に要求を丸のみさせ、予算をせしめるための“口実”にすぎない」(幹部)とほくそ笑む

 子ども手当増額、地方交付税増額、農家の戸別補償の拡充、科学技術費の増額、法人税減税…。政権支持率と来春の統一地方選を強く意識する人気取り政策が次々に決まっていく中、仙谷由人官房長官は「財務省が必ず(財源を)掘り出すと確信している」と言い放った。

 一方で菅首相は、6月に決めた財政再建目標に従い、「一般歳出は71兆円以内、新規国債発行額は44兆円以内」とすることを早々に閣議決定した。

 予算編成が大詰めを迎えても、4兆円規模の歳入が不足していたが、財務省幹部は「何とかなりますよ」と胸をたたいた。その言葉通りに、最後はピタリと帳尻があった。

→秀征さんがいう「(小泉政権時代に比べ)今回の予算編成過程で、財源のつじつま合わせをするために財務省に頼った分だけ、むしろ財務省に依存する構造が強まったのではないか」というのはこの記事からよくわかりますね。

→毎年何とかなるんです。そのためにも、財務省にしか全体像が見えないように、いろんなところに埋蔵金を寝かせてあるわけですね。


■【23年度予算】成立は大丈夫?関連法案で国会の攻防焦点に
2010.12.24 20:51 産経新聞

内閣記者会のインタビューに応える菅首相=24日午後7時56分、首相官邸(代表撮影) 平成23年度予算案の閣議決定を受け、今後は法案成立に向けた国会での攻防に焦点が移る。衆参両院で多数派が逆転するねじれ国会では与野党の協力が不可欠だが、菅直人首相の求心力低下が足を引っ張り、歩み寄りの気配はない。税制改正など重要な関連法案が否決されれば予算全体が崩壊するだけに、首相は年明けの国会開幕後、正念場を迎えることになる

 予算案は憲法の規定により、与党が過半数の衆院での議決が優先されるが、関連法案は対象外だ。野党にとっては格好の攻撃材料になる。例えば赤字国債発行を認める特例公債法案や、特別会計の剰余金といった「埋蔵金」供出に必要な特例法案が否決されれば、歳入全体の44%に穴が開く

 また、サラリーマンや扶養家族を抱える人の税負担を軽減する所得控除の縮小は、子ども手当を3歳未満に限り7千円上積みするための財源だが、異論の多い個人増税で野党の賛同を得るのは容易ではない。

 自民党は、民主党の目玉施策である子ども手当、高速道路無料化、農家の戸別所得補償、高校授業料無償化を「バラマキ4K」と呼んで厳しく批判。政策ごとに「是々非々」で対応してきた公明党も、支持率が急落した「泥船」(党幹部)との協力には及び腰だ。

 野党が多数を占める参院での法案可決が困難となる中、菅政権は衆院での再可決に希望を託し、必要な3分の2議席を確保しようと社民党の6議席に狙いを付けた。同党は子ども手当や戸別所得補償、地球温暖化対策税(環境税)の導入などで政府と歩調を合わせており、有望な協力先だ。

 ただ、社民党は沖縄の米軍普天間飛行場移設問題で政権に立ちはだかる。社民党は22日の民主党との政策協議で関連費用の予算計上を見送るよう求め、交渉は決裂。予算案の賛否決定を来年2月まで先送りにする方針を固めた。

 連立与党の国民新党は予算案を了承しつつも、政策の細部では民主党と意見が異なる部分が多く、「必要に応じて修正を求めるのがわれわれの役目」(関係者)という。菅政権は関連法案成立までに多くの妥協を余儀なくされそうだ。

→そこで、増税連立工作。

→民主党新人議員のみなさん!増税案ができたら衆院解散です。民主党は増税するときには信を問うといってきたわけですから。


菅総理のもと、どんどん景気が悪くなる中、駅頭で、客待ちタクシーの運転手さんになじられ、駅前商店街の人からなじられてでも、たとえ女性の6割が反対しても、増税の旗を高らかに掲げて選挙をやる覚悟を固めることが迫られる日が来ることでしょう。街頭では増税への揺らぐことのない信念が問われることでしょう。

それとも、造反しますか。給料が減っている中での消費税込価格が上がるとどうなるか?常識的には消費を控えることになるのでは?そうすれば消費税込の値段を据え置くかさらに値下げするために、税抜き価格は引き下げなければならないのではないか。住宅も、自動車も販売価格下落がおきるのではないか。インボイス制度がないなかでは立場の弱い下請け中小零細がその分をかぶる。価格上乗せができず、どんどん価格の安い海外との競争に負け、いよいよ力尽きる・・・。公務員は1.5%しか給与が減っていませんからわからないかもしれませんが、給料が減る中で商品の税込価格が上がれば、当然買い控えになることでしょう。その結果、いよいよデフレスパイラルになるのではないか?戦前の大恐慌化の金解禁に匹敵するような大きな政策判断ミスになるのではないか。

これに対して一部のエコノミストは、毎年少しづつ消費税をあげていけば、駆け込み需要がでて景気はよくなるといいます。

さあ、増税支持に理が有るのか?造反に理が有るのか?政治家としての決断が迫られます。