対ロ外交失敗の本質:政治主導を支える複数ルートの情報源と判断能力の問題 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

対ロ外交失敗の本質:政治主導を支える複数ルートの情報源と判断能力の問題

秘書です。
下記の記事が正しいとするならば、浮かび上がってくるのは「複数の情報ルート」の不在です。

政治主導の根幹は、事務の公式ルートと異なるもう一つの情報ルートの存在。
政治主導の要諦は、複数の情報ルートの存在。これまでの民主党政権の連戦連敗外交を振り返ると、


①鳩山民主党政権では、対米政策で事務方以外のもう一つの情報ルートの説を過信して失敗。
②菅民主党政権では、対中政策で急ごしらえのもう一つの情報ルートのシナリオにのって失敗。
③菅民主党政権では、対ロ政策でもう一つの情報ルートが不在で失敗。
 
 

いずれにしても失敗していますが、複数の情報ルートがあるとき、最後に残るのは指導者の判断力です。複数の情報ルートからは異なる情報が上がってきて、しかも、お互いの情報ルートはライバル視してつぶし合いをはじめるかもしれません。それをうまくハンドリングし、正しい判断をできるかどうか。
それが政治主導の要諦です。政治主導を唱えている民主党にはこの政治主導の要諦が分かっておらず、民主党の政治主導とは、

①日本の役人は優秀だ(官僚機構は日本最高のシンクタンクだ)
②官僚主導批判は、使いこなせていない政治家が原因
③おれがいえば役人はいうことを聞く、おれなら役人を使いこなせる

という官僚主導型政治家による在来型の「政治主導論」と全く同じだったということですね。


■<駐露大使更迭>私はロシアに詳しくない…首相、怒り爆発
毎日新聞 12月24日(金)2時30分配信

 関係者の証言をまとめると、政府が河野雅治駐ロシア大使(62)を事実上更迭する背景には、在ロシア大使館側から発信された情報を信じ、ロシアに対して事前に北方領土訪問の中止を求めるなどメッセージを発信できなかった官邸側の強い不信感があるようだ。

 メドベージェフ大統領が9月下旬に北方領土を「近く訪問する」と明言、10月下旬に訪問の観測記事が頻繁に流されて以降も、外務省は首相官邸に「訪問はない」と報告し続けた。菅直人首相は、周辺に「本当に行かないのか」と繰り返し確認したが、返ってきたのは「大使館からの情報では『訪問はない』ということです」との答えばかりだった。

 だが、大統領は11月1日、北方領土・国後島への訪問に踏み切った。一時帰国を命じられ、同月3日午前に帰国した河野大使は、同日夕、外務省の佐々江賢一郎事務次官、小寺次郎欧州局長らとともに首相公邸に呼び出された。菅首相や仙谷由人官房長官が事情聴取を始めた。

 「なぜだ。なぜ訪問しないと判断したのだ」。官邸側から問いただされ、河野大使は「ロシア外務省からそういう報告を受けていましたから」と答えた。これに菅首相はカチンときた。「そんなことは聞いていない。誰が言ったかじゃなく、どうしてそう思ったんだ」

 口ごもる河野大使を見て、仙谷長官が助け舟を出した。「大統領はプーチン首相との関係など、いろいろあるのじゃないのか。そのあたりの判断は」。だが、河野大使の口は重くなる一方だった。

 「要するにどういうことだ」。いら立つ首相ら。最後に、河野大使はこう口走ってしまった。「私はあまりロシアに詳しくないので……」。次の瞬間、首相らの怒りが爆発した。

 後任と目される原田親仁(ちかひと)駐チェコ大使(59)は河野氏と違いロシアンスクール(ロシア専門家グループ)。だが、北方領土交渉の見通しが厳しい状況は変わらない。前原誠司外相は早ければ2月にもロシアを訪問、ラブロフ外相と会談し、対ロシア外交の立て直しの糸口を探る。外務省幹部は「まず北方領土訪問以前の状態に戻すところから始めるしかない」と言葉少なだ。【犬飼直幸】

→この記事の情報源と意図は検証が必要でしょうが、この記事が正しいとすると、総理の問題意識は正しかった、しかし、情報ルートに難があった(自ら、確認できるもう一つのルートがなかった)。では、対中政策でも同様だったのでしょうか。秘密訪中外交を含め、是非、何があったのか、公開してほしいですね。

そして、次の政権をめざすみなさま!情報ルートは複数持つという国際標準の政治主導スタイルの準備を怠りなく!

「役人は優秀だ、おれがいえば役人はいうことを聞く」という在来型政治主導論でボロボロになっていく総理の末路をもう見たくありません(そんな準備不足の人を総理にする余裕はもう日本にはありません)。どうか、マスコミのみなさんも、人気投票の数字だけではなく、スタッフの層の厚さで総理候補を評価してください。そうでなければ「役人は優秀だ、おれがいえば役人はいうことを聞く」という在来型首相が、日露戦争の203高地を攻めのぼる白襷隊のように次々に犠牲になっていくことでしょう!