上げ潮派の視点:実証分析で米国経済をみると、そして日本 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

上げ潮派の視点:実証分析で米国経済をみると、そして日本

秘書です。
昨日、米国リベラルのジャーナリストのオバマ政権論を聞く機会がありました。
経済が低迷していることが政治混迷・政治対立の原因であると。
(いまの米国議会は、まるで2007年にねじれ国会が発生したときみたいです。つまり、野党が次の選挙で政権をとるために一切の妥協を拒否してマヒ状態になる!)
経済についてはかなり悲観的でした。
では、米国経済はどうなのでしょう?


■米金融・債券市場展望=長期債利回り、一段と上昇か
2010年 12月 16日 08:40 JST
[ニューヨーク 15日 ロイター] 16日の米国債市場は、長期債の利回りが再び上昇する可能性がある。2011年の成長率やインフレ率が高まるとの見通しを背景に、市場参加者は国債の持ち高削減を視野に入れている。
 米東部時間午前8時半(1330GMT)に発表予定の11月の米住宅着工件数と週間失業保険申請件数が予想を上回る内容となれば、米国の景気が勢いを増しつつあるとの見方を支援し、指標金利は7カ月ぶり高水準に上昇する見通しだ。
 ハリス・プライベート・バンク(シカゴ)の最高投資責任者(CIO)、ジャック・アブリン氏は「金利をめぐり、だれもがチキンゲームに参加しているようだ」と語った。
 アナリストらによると、米議会で審議中の減税法案は来年の国内総生産(GDP)を1%押し上げる可能性がある。同法案が可決されれば、米国経済が一段と勢いづくとみられる。
 景気が力強さを増せば、インフレの高まりにつながる。こうした強気のGDP見通しを背景に、連邦準備制度理事会(FRB)が再度の米国債買い入れを表明して以降、11月初めから続く市場での米国債売りが激しくなった。
 EMFファイナンシャル・プロダクツ(ニューヨーク)のデビッド・ゴットリーブ氏は「オバマ大統領の減税延長決定は、2011年の経済見通しに対する市場の見方を高める触媒として機能したようだ」と指摘。同氏は、流動性が低下する中、リアルマネーによる大量売りやプログラム売りもあったと、市場の動きを説明した。
 トレーダーやファンドマネジャーらはテクニカル指標からは売られ過ぎの状態にあるとみて、市場の安定を予想していたため、こうした金利の急上昇に戸惑っている。
 さらに、FRBが量的緩和第2弾を完全に実施するというコミットメントや欧州の財政危機をめぐる長引く懸念も、利回り上昇の抑制にほとんどつながっていない。

■【米国債市況】続落、長短利回り差は過去最大に迫る(12月15日)
2010年 12月 16日 8:28 JST WSJ
【ニューヨーク】15日の米国債市場では、幅広い市場参加者からの売りが続いたため、米国債価格は前日の下げを一服することなく続落した。
指標となる10年債利回りは一時3.563%と、5月13日以来の高水準をつけた。トレーダーらは、売りがさらに加速すれば利回りがまもなく3.6%をつける可能性があると指摘した。
この1週間で米国債市場が大きな売りを浴びている主な理由は、米経済に対する楽観的な見方だ。これを受けて多くの投資家が安全資産の米国債から資金を引き揚げ、経済回復が勢いづけば高い投資収益が見込めるリスク資産に資金を振り向けている。
米国債利回りが大幅上昇したため、債券ポートフォリオを損なうような利回りのさらなる上昇をヘッジすべく多くの住宅ローン担保証券(MBS)投資家も売りを強いられたと、トレーダーらは指摘した。年末を控えた持ち高整理の動きも売りを促した。
「市場では年末にかけて慎重な展開が続いている。現時点では、売り手が買い手を上回っている」と、MFグローバル・ホールディングスの米国債取引部門ヘッド、リチャード・ブライアント氏は述べた。
米消費者や企業の借り入れの指標となる10年債利回りは、10月初めにつけた今年の最低水準からおよそ130bp上昇した。この1週間だけでも40bpを上回る上昇を見せている。
利回り曲線の尺度とされる2年債と10年債の利回り差は286bpへと拡大し、2月18日につけた過去最大の292.9bpに近づいた。前日の281bpからも拡大した。
米国債市場は朝方の上げを解消する形となった。米国11月の消費者物価指数(CPI)の伸びが低調だったことや、ムーディーズがスペインのソブリン格付けを引き下げ方向で見直すと発表したことが、上昇の背景だった。さらに米連邦準備制度理事会(FRB)が向こう4年~6年に償還期限を迎える米国債67億8,000万ドルの買い入れを行ったことも支援材料となった。
しかし、午後の取引では下げに転じ、週初13日の上昇から一転して14日には売り込まれたのと同じような動きをたどった。

価格   前日比  利回り
2年債 99 23/32 横ばい 0.645%
5年債 96 22/32 - 3/32 2.082%
10年債 92 19/32 - 13/32 3.511%
30年債 94 19/32 - 29/32 4.583%
(米東部時間15日午後4時)

(ダウ・ジョーンズ)

→さて、米国経済で何がおきているのか?米国経済についてはデータをもとに議論できるからいいですね。上げ潮派の理論的ベースをつくった熊坂侑三さんのチームのデータでは?
http://www.iteconomy.com/defaultj.asp

→超短期予測モデルがあると、機動的な政策判断ができますね。日本では何に基づいて判断しているのか?タクシーの運転手さんの感想、それも大事ですが、実証分析のベースでは?

→上げ潮派のことを、ただたんに増税がいやだからいっているポピュリストだとか、高度経済成長期に戻そうとしているという悪質な増税派のプロパガンダが定着してしまっていますが、上げ潮派の理論的ベースはノーベル経済学賞を受賞したローレンス・R・クライン教授ら著名な教授陣を加えた実証分析に基づいています。
http://www.iteconomy.com/Summary/summaryindexj.html
http://www.keidanren.or.jp/21ppi/pdf/thesis/081006.pdf

→新橋の飲み屋談義のような話ではなく、実証分析ベースで経済政策を議論しましょう!日本経済の潜在成長率は0%だと真剣にいっているみなさんは、新橋の飲み屋談義風にいわせていただけば、ICTによる技術革新効果を認めたくないあなたがパソコンとインターネットを使いこなせていないというだけではないですか?それは明治時代に、おれは人力車がいい、鉄道は嫌いだ、人力車の車夫の雇用問題をどうするつもりだ、といっているようなものではないですか?


→話はとびますが、ICTによる潜在成長率の工場という点で、事業仕分けは、結果的に、やっているみなさんの思いとは別に、現代のラッダイト運動みたいなことになっていないでしょうか?
http://www.cao.go.jp/sasshin/shiwake3/details/pdf/1115/kekka/A3.pdf

→縦割りの弊害を指摘するのは正しいでしょう。しかし、そこまでいうのであれば、子どもがパソコン1台持つべきかどうかは文部科学省が決めることなのでしょうか。それこそ地域主権の発想に反するでしょう?地域主権というならば地域で考えればいいのでは(財源は税源移譲して地域が自主的に考えるべき、というのが整合性のある判定でしょう)?そもそも、パソコンを子どもに1台与える必要はない、というのはどのような根拠に基づいているのでしょうか?それが民主党の教育政策なのでしょうか?

→今朝の読売新聞2面の企画記事「民主イズム 「先生、ぼくらのパソコンは?」」には、冒頭、11月中旬からはじまった電子黒板とパソコンを組み合わせた授業を行っている子どもの「先生、僕たちのパソコン、なくなっちゃうの?」という言葉から始まっています。総務省の「フューチャースクール推進事業」のモデル校の子どもで、同事業が事業仕分けで廃止判断となったためです。

→こういうことの蓄積が、日本の潜在成長率をどんどん押し下げていくことになるでしょう。そして、エスタブリッシュメントのいうとおり、本当に潜在成長率がゼロの経済が実現するのでしょう。

→そのとき、国民はハッピーなのか。いまはまだ、新小学1年生の男の子の将来の夢はスポーツ選手です。しかし、すでに小学1年生の男の子の親が子どもになってほしい職業の第一位は公務員です。これがさらに将来、小学校1年生自身が第一志望=公務員になったらどうします?子どもの夢をかなえるために、みんなが税金で給料をもらえる国民皆公務員化しますか?そのとき、誰が経済を支えるのでしょう?税金をふやせば増やすほど景気がよくなるという日本経済の末路は、「税金は納めるよりもらう立場になろう」ということが最も合理的だ、ということではないでしょうか?

→昨日のスピーチでもそうでしたが、最近、ボスは「民主党よ、子どもたちの未来を奪うな」と演説でいうようになりました。これが解散・総選挙論の熱源ですね。