茨城県議選ショック:「複合不信」が渦巻いている | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

茨城県議選ショック:「複合不信」が渦巻いている

秘書です。
民主党の茨城県議選ショック。
何がおきたのでしょうか?

■民主隠し必死も…「逆風、肌身で感じた」 茨城県議選
2010年12月13日20時59分

民主党の茨城県連事務所では郡司彰会長(左)と藤田幸久臨時幹事長が開票状況を伝えるテレビ速報を見守った。当選の赤いバラが付けられた公認・推薦候補のポスターは6枚にとどまった=水戸市
 来春の統一地方選の前哨戦となる茨城県議選(12日投開票)で、民主党は公認・推薦を合わせた24人のうち、当選は現有議席と同じ6人にとどまる惨敗を喫した。政権交代後初の都道府県議選だったが、逆風は想像以上に強く、候補者たちは「民主」の看板を隠すのに必死だった。政権与党になった強みも全くいかせなかった。

 茨城は保守地盤が強く、改選前の県議会は定数65のうち45議席を自民党が占める「自民王国」だ。しかし、昨夏の衆院選では県内7の小選挙区で民主党が5勝。その勢いを駆って、民主党は県議選に公認・推薦あわせて現有の4倍の候補者を立てた。

 新顔19人は国会議員の秘書や元市議のほか、弁護士やオーケストラ指揮者、歯科医師ら。労組系が目立つ現職とは対照的な顔を並べた。

 水戸市選挙区から立候補した星野幸子氏(46)は新顔の一人。水戸市内の高校の出身だが、別の市で司会者派遣業を営む。今春、民主党の衆院議員から誘われ、立候補したが、結局は4500票の大差で落選。12日夜、「逆風は肌身で感じた。(民主党内で)ゴタゴタをやっている場合じゃないだろう、というのが大きかった」と振り返った。

 予兆はあった。告示2日前の決起集会の会場に蓮舫行政刷新相とのツーショットポスターを張り巡らせて460席を用意したが、開会時刻になっても聴衆は約50人。応援に訪れた国会議員は「風に頼る候補。もう少し集まらないと厳しい」と漏らした。壇上に立った星野氏が「民主党」と口にしたのは1度だけだった。

 つくばみらい市選挙区に立った水上ゆう子氏(49)も新顔。元客室乗務員で選挙前につくば市から転入した落下傘候補だ。街頭でマイクを握っても「民主党」という言葉はなるべく使わず、民主色を薄めることに腐心した。

それでも頭を下げて手渡したビラは何度も投げるように返され、政権交代後に支援を約束してくれた約100世帯の集落から「もう応援できない」と突き放された。当選には5千票足りず、落選。「民主への失望から、やり場のない思いをぶつけられた感じがした」と悔しさをにじませた。

 政権交代で民主党に傾きかけた業界団体からも見放されつつある。

 昨夏の衆院選で全国でいち早く民主党支持を打ち出した茨城県医師連盟は、県議選で民主党の15人を上回る17人の推薦を自民党に出した。同連盟の小松満委員長は「民主は柳田稔法相の辞任などムチャクチャ。逆に自民は社会保障費2200億円削減の撤回など私たちの考えに寄ってきた」と話す。

 農協の政治団体、県農協政治連盟も同じだ。参院選では民主、自民の候補に推薦を出したが、今回出した推薦17人の内訳は自民15人、保守系無所属2人。農政連幹部は「日本の農業が壊滅しかねない環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の問題が出なければ、民主を推薦する可能性はあった。裏切られた」と語った。(中村真理、今村尚徳)

→無党派層のみならず、業界団体の地殻変動も始まったようです。

■転換期の茨城政界:’10県議選 選択肢のない危うさ=水戸支局長・末次省三 /茨城
毎日新聞 2010年12月14日 

 かけた期待が大きければ大きいほど、それを裏切られた時の失望もまた大きい。そんな当たり前のことを教えてくれたのが今回の県議選だ。

 政権交代を受けた「新時代」の選挙、山口武平前自民党県連会長の引退に伴う「転換期」の選挙で、政権党はあまりにお粗末な姿をさらけ出した。

 今年7月の参院選の後、毎日新聞水戸支局が比例代表票をもとに県議選をシミュレートしたところ、民主党は32議席を獲得する結果が出た。「保守王国」と言われ続けた茨城で、しかも民主党が全国的に振るわなかった選挙で示されたこの数字は、大きな意味を持つ。昨年8月の衆院選で県内7小選挙区のうち五つを制した実績もあった。

 ところが、民主党は全36選挙区の半数近い16選挙区で、有権者に選択肢を提示するのを放棄する。「逆風だ」「足腰が弱い」「有力候補に集中」などと理屈をつけ、不戦敗を正当化していった。そもそも選挙に臨む姿勢から間違っている。

 こうして絞った候補も75%が落選。選挙戦終盤に岡田克也幹事長らが小沢一郎元代表の「政治とカネ」の問題に力を入れたのもマイナスに働いた可能性がある。県議選が苦戦と判断した中での付け焼き刃的対応だと、県民が見透かしたのではないか。小沢氏系の議員が反発し、党内対立が激化したのにも嫌気がさしたのだろう。

 「政治とカネ」のほか、対中外交、企業・団体献金の復活、高齢者医療制度改革、普天間飛行場の移設問題など、これに党内の主導権争いを加えた民主党政治そのものへの「複合不信」が渦巻いている。民主党は党内抗争よりも先に県議選が示した民意に謙虚に耳を傾けることから始めるべきだ。

 一方、民主党惨敗は決して自民党再生の裏返しではない。自民党にとって徹底した「守りの選挙」がある程度奏功したにすぎない。2大政党のどちらも積極支持ができない「選択肢なき時代」。県議選は政界再編の必要性を映し出す機会にもなったと言えそうだ。

 地方自治体の首長、議員の両方を有権者が直接選挙で選ぶ「二元代表制」の観点からは危うさも感じられる。

 県議選後は共産党を除く「オール与党化」がささやかれている。「選択肢なき選挙の勝者は知事」という政治状況では、二元代表制の意味がない。いたずらに対立を求めるわけではないが、県議会の本来の役割を忘れず、健全な地方自治を実現していくことを当選者には求めたい。

■民主、茨城県議選惨敗 大量擁立 見直し必至
2010年12月14日 東京新聞

 十二日に投開票された茨城県議選で、民主党は公認・推薦候補の四分の三が落選する惨敗を喫した。民主党は昨年の政権交代を弾みにして来春の統一地方選でも躍進する青写真を描いていたが「茨城ショック」を受けて、戦略の抜本的見直しを迫られる。 (渡辺隆治)

 民主党は二〇〇七年の前回統一地方選で四十四道府県議選に四百七十六人の公認候補を立て、三百七十五人を当選させた。公認候補の当選率は八割近い高率だ。だが、千二百十二人当選の自民党に地力の差を見せつけられた。

 今回の統一地方選で民主党は「国会第一党にふさわしい数の候補者擁立を目指す」(枝野幸男幹事長代理)と宣言。(1)空白区の解消(2)定数三以上の選挙区では複数の候補を擁立(3)女性候補を増やす-との原則を掲げ、積極的な候補の擁立を進めている。

 民主党は茨城県議選(定数六五)を統一地方選の前哨戦と位置付け、三原則に従って現有六議席の大幅な上積みを図った。しかし、擁立できたのは全三十六選挙区のうち二十選挙区で公認二十三人、推薦一人だけ。定数三以上の選挙区八つのうち、二人候補が立てられたのは四選挙区にとどまった。

 選挙結果は現有維持がやっとで、複数候補を立てた四選挙区のうち二人当選できたのは一つだけ。茨城が自民党王国という事情があったにせよ、地方での足腰の弱さと菅政権に対する逆風の強さが明確になった格好だ。大量擁立の方針を見直して候補の絞り込みを求める声が強まるのは必至だ。

 菅首相は同日、官邸で記者団に「一○年度補正予算の成立で雇用対策が進むなど成果があったが、県民に十分伝えきれなかったのが大きな原因だ。政治とカネの問題でけじめがついていないことも重なった」と敗因を分析した。

 一方、自民党は四十四人を擁立し、当選は三十九人(公認三十三人、推薦六人)。今夏の参院選以降の復調傾向を維持した。

 統一地方選初挑戦のみんなの党は公認三人のうち二人が当選。無所属候補も前回の十四人を上回る十九人が当選した。うち十二人が政党推薦がなく、みんなの党とともに、統一地方選の台風の目になる可能性がある。

→敗因分析、それだけでしょうか。複合不信はもっと根深いのでは?