民主党政権論:「幸運な宰相の不幸な限界」=宰相不幸社会? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

民主党政権論:「幸運な宰相の不幸な限界」=宰相不幸社会?

秘書です。
読売新聞の1-2面に、山内昌之・東大教授の「地球を読む 宰相の胆力 国民を守る気概外交で示せ」がでています。
民主党政権論として、非常に示唆に富む内容です。

民主党外交に対する批判を、ポピュリズム、日比谷焼き討ち事件、20年後に分かるといっていたみなさん、国際政治専門の東大教授の以下の指摘に、どう反論されますか?


「そして最近の外交失態の連続は、菅首相の責任だけでなく、整序された国家観や安全保障の共通認識をもたずに、国内法の規範意識で対外関係も処理しがちな民主党政権の個性をまざまざと示している」

→国際政治の専門家からみても、刑訴法で中国などと向き合う民主党の官邸外交は、「外交失態」です。

→民主党のみなさんの国会論戦の特徴は、どんな問題でも自分の得意な問題にもっていって相手を攻撃すること。菅総理でいえば、たとえば2005年郵政選挙で最後は論点を諫早湾の公共事業のムダ遣いにもっていく。(いまは諫早湾も迷走中)。いま、仙谷長官は刑訴法の問題にもっていく。それでテレビ討論や国会答弁をしのぐことができても、中国やロシアと諫早湾や刑訴法の問題に持ち込もうとしても、不可能です。


「全体の外交戦略をつくるのは政治家の責務であり、それを個別の政策として実現するのは官僚(外交官)であるのに、ここでも肝心の政治主導は機能していないのだ」

→菅総理が金科玉条とする「戦略的互恵関係」は、小泉政権から安倍政権への移行期に、安倍総理が打ち出した概念です。

→中国が日本のGDPを抜いてアジアナンバー1、そして世界ナンバー2の経済大国になれば、当然、全体の外交戦略は再構築されなければなりません。


→そして、民主党政権がはっきりと総括しなければいけないのは、「日米中正三角形論」です、あの看板を正式に放棄できるのか。1年前の「日米中正三角形論」を掲げた民主党大訪中団。今年の民主党訪中団はどうするのか。あの9.29官邸-民主党秘密外交の延長線上の訪中団だけに、注目です。

「歴史の事実が証明するように、譲歩を重ねて相手をかわしても、一時しのぎの外交は当座の責任を回避できるにせよ、大局的には大きな敗北を喫して国益を損なう遠因となる場合の多いのだ」

→フジタ社員の拘束を報を受けて、あわてて船長を釈放したことは、誰がどうみても、大局的には大きな失敗でしょう。

→譲歩を重ねて許しをこうことを続ければどうなるのか?宥和政策は何をもたらしたか?世界史をみればその結論は明らかでしょう。


「胡錦涛主席との会談で相手の目でなく手元のメモを見ながら自信なげに話す切ない光景に接すると、鳩山由紀夫前首相と同じく、外交や安全保障の厳しい本質を理解せずに宰相の地位を射止めた、幸運な政治家の不幸な限界を感じざるをえない。」

→「幸運な政治家の不幸な限界」。これが民主党政権の本質ですね。

「人間の能力が限界を越えると地位にそぐわない失敗を犯すことも多い。」

→これも民主党政権の本質をついています。

「菅首相には、普天間基地の移転難航や日米関係の毀損こそ中国やロシアの外交攻勢を許し、北朝鮮の軍事冒険を誘発した大きな要因であることを改めて理解してほしいのである。

→民主党には理解できないでしょうね。失敗から教訓を得ることができないのです。

「(菅首相は)威令が無条件で及び官僚での威圧的態度とは対照的に、外国首脳と会うと意味不明の独特の笑みを浮かべるか、顔に「おびえ」や「恐れ」に似た表情が浮かぶ印象が強い。」

→菅首相は国連総会の演説のときに、しっかりと演説原稿を握っていましたが、その手の力強さに、菅首相の不安感を感じました。外交に苦手意識があるんですね。得意の諫早湾に問題をもっていけませんから。

「外交にあたる政治家に大事なのは、未知の非常現象に遭遇した時に、恐怖心をなんとか中和し、不安な感情を抑える術を身につけることだろう。胆力のある政治家なら、心の乱れを免れない場合にも、それを「緩和」することはできるからだ。」

「普通の人間はだれでも、にわかに現れる妄想や恐怖をすぐにはね返せるわけではない。しかし一国の宰相ともなれば、おびえや恐怖にとりつかれて、内外の政策ともに正常に判断できない状態に陥ってはならない。」

→未知の非常現象におびえや恐怖にとりつかれたという点で、あまりにも「普通の人間」すぎました。宰相になるための鍛練不足でしたね。

「外交で相手が非常識なほど強く出てくるときは相手も苦しいのである。」

→ここをお互いに理解しあって、はじめて外国首脳との信頼関係ができるはず。ところが、恐怖心のとりつかれるとそんな客観的判断もできず、相手の心理をよめずに行動だけに過剰反応してしまう。

「相手が攻勢をかけてきている時に、それと我慢比べしながら現場の公務員を督励すべき宰相が、逆にがみがみと叱りつけるのは、戦場で敵から矢や鉄砲玉が飛んでくる最中に、指揮官が些細な事柄で部下に罵声を浴びせるのと同じであれる。」

→最悪の指揮官です。

「中国船衝突事件やロシア大統領の国後島訪問に直面して、相手の攻勢をかわすだけで精いっぱいの菅首相は、日本の主権を犯した外国に”寛容”でありながら、映像情報を国民に知らせた海上保安官を厳しくなじる”内弁慶”ぶりを発揮した。有権者は国民の安全を保障すべき政治の能力に猜疑的になっている。」

→海上保安官はどうなったのでしょう?あれだけなじった内弁慶は?

→結論として、宰相不幸社会をやめるには、君子豹変か、宰相を除去するしかありません。