危機における対応を間違える菅総理の退陣を求めるべき段階を迎えた(中川語録) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

危機における対応を間違える菅総理の退陣を求めるべき段階を迎えた(中川語録)

参議院予算委員会の審議で、菅民主党政権の危機管理の意思と能力に繰り返し疑問が提示されている。菅総理は、一体、何を判断基準に危機管理にあたっているのか。

朝鮮半島情勢の緊迫した局面で、菅総理は公邸で午後4時すぎから約40分間、民主党国会対策委員会幹部と面会して国会対策を話し合っていたという。これが菅総理の判断基準の全てを表している。

菅総理にとっては、国会対策により守る「政権の利益」のほうが国益よりも重要だということである。国会対策を話し合う日程は、危機発生の前からあったという国会での弁明は、何をいいたいのか全く意味不明である。

新聞報道では、政府高官は「安保会議は日本への武力攻撃の可能性がある場合か、周辺事態に対して一定の方向性を決める時に開くもの。今はそういう状況ではない」と話しているとのことである。

この解釈はおかしいのではないか。それでは誰が何を根拠に安保会議開催の決定をするのか。安保会議の事務を司る官僚が判断するのか。官僚主導ではないか。危機における状況判断を政治家が下すために安保会議を開催するのではないか。危機においては完全情報などない。完全情報がなくても決断を下すのが危機における指導者の役割だ。完全情報を待って判断すればいいことは事務方に任せておけばいい。安保会議を開催し、あらゆる可能性に備えるべきであった。安保会議開催の是非を官僚に任せるのは、危機においておかしな対応である。究極の官僚主導である。

安全保障会議設置法第二条は、内閣総理大臣は、内閣総理大臣が必要と認める重大緊急事態への対処に関する重要事項については、会議に諮らなければならない、としている。 重大緊急事態とは、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によつては適切に対処することが困難な事態であるが、今回の事態はまだこの段階に達していないと政府は判断しているのか。たとえそういう判断をしたとしても、「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」には該当するはずである。いずれにしても、会議に諮らなければならないのはおかしい。 総理が気づかなかったとしても、同条第2項は、「会議は、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べることができる」としている。閣僚も、安保会議開催を求めるべきだった。 菅総理の危機における宰相としての意思と能力の不足は明らかである。今日の極東情勢において、事務方のお膳立てがなければ何も判断できない人が日本の危機管理中枢にいてはいけない。そのことが明日の極東の不安定化要因になる。

現時点において、危機だから政治休戦しなければならないというのは間違えである。幸い、日本国内が政治休戦しなければならないような危機のエスカレートは当面予想できない。

危機における対応を間違える菅総理の退陣を求めるべき段階を迎えた。より大きな危機が訪れる前に、である。

(11月25日記)中川秀直