超就職氷河期:民主党政権はどう解決するのでしょうか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

超就職氷河期:民主党政権はどう解決するのでしょうか?

秘書です。
若者の超就職氷河期。

これは誰がつくりだしたのでしょう?
「日本にはもう成長はいらない、中高年の終身雇用は守るべきだ」という、みなさんが作り出した合理的な帰結でしょう。この考え方は民主党の主流ではないかと思われますが、どうでしょう?
高度経済成長に適合していた慣行をゼロ成長時代に残せば、若者を犠牲にするしかありません。

選択肢は以下の2つ。

①増税必要額をはじき出すための低め成長率目標をやめますか?(名目成長率を4%未満に寸止めすることで増税が必要という結論になります。菅民主党政権は名目3%成長論)

②低成長下においては女性や若者の犠牲の上に一部の中高年男子の既得権益を守ることを意味するだけになりつつある新卒一括採用・年功序列・終身雇用を抜本的に変えますか?(民主党はこれまで、終身雇用を年金、農業とならぶセーフティネットに位置付けてきた経緯があります)


■冬の就活、2万2000人の企業説明会
読売新聞 11月20日(土)22時17分配信
 来春卒業予定者の内定率が悪化する中、東京・江東区の東京ビッグサイトで20日、2012年春卒業予定の大学生らを対象とした国内最大級の合同企業説明会が開かれ、3年生を中心に約2万2000人が詰めかけた。
 21日までで、延べ362社が参加。有名企業のブース前では、リクルートスーツに身を包んだ学生たちの“立ち見”姿も。茨城県から参加した3年生男子(20)は「状況が厳しいと聞き、焦りを感じて参加した。今日得られた情報を生かして就職活動にじっくり取り組んでいく」と話していた。

→読売新聞3面には以下のようなコメントが出ています。

「50社ほど回って内定ゼロ。自分まで否定された気がして一時は活動する気になれなかった」(学生)

「疲れ果て、挫折する学生もいる」(大学関係者)

「知名度の高い会社を目指す傾向が依然強い」(大学関係者)


「企業規模や学歴で人を評価する風潮が労働市場の流動性を阻害している。個人の能力を見る仕組みが根付けば、転職も容易になり、大企業に殺到する雇用のミスマッチも起きにくくなる」(労働政策の専門家)

「日本経済が成長しなければ、雇用は増やせない」(経済界)

「卒業時に就職できなかった学生には、非正規雇用の道しかのこされていない状態はあってはならない」(経済界)


中小企業の募集は多いが、安定志向、大企業志向とミスマッチを起こしている。

この学生の安定志向、大企業志向は、ゼロ成長社会で個人がリスクをとれなくなっている中での合理的な行動か?親の価値観が子どもに伝わっているのか?

工業化段階の高度成長期の勝ちパターンを、情報化段階の低成長時代にひきずっているのではないか。日露戦争の勝ちパターンで航空母艦を中心とする機動部隊と戦うような。その犠牲を若者に押し付けていることはないか?


■英エコノミスト「未知の領域に踏み込む日本」
読売新聞 11月21日(日)3時4分配信

 20日発売の英誌エコノミスト(本紙特約)は「未知の領域に踏み込む日本」と題した日本特集を掲載した。
 少子高齢化が、日本経済の再活性化やデフレ脱却の大きな障害になっており、日本はこの問題に最優先で取り組む必要があると警告した。
 同誌の本格的な日本特集は、「日はまた昇る」と日本経済の再生に明るい見通しを示した2005年以来だ
 対照的に今回は、若者が新卒で就職できないと一生厳しい状況が続く「一発勝負」の雇用の現状や、企業に残る階層構造など解決すべき課題は山積していると指摘した。その上、日本の「穏やかな衰退」を食い止めるには生産性の向上や女性の活用など「文化的な革命が必要」と結論付けた

→世界が「日はまた昇る」とみた2005年というのは小泉政権期。ところが菅民主党政権は、この時期に失敗の烙印を押す。さらにはデフレ下で生産性の向上をはかるのは間違えだという。「緩やかな衰退」から「急激な劣化」への転換が起こりつつあるのではないか。

→「低成長+男子中高年終身雇用維持」を続けていけば、優秀な女性、優秀な若者は海外に流出していくことでしょう。そして、ますます、国内では安定志向が唯一の価値観になっていく・・・


→そもそも、民主党は、成長に対して否定的なのではないか?下記の民主党政権の人事をみてください。

■内閣府が官房審議官に水野和夫氏起用
2010.7.29 11:35産経新聞
 政府は29日、内閣府の経済財政分析を担当する官房審議官に三菱UFJモルガン・スタンレー証券の水野和夫チーフエコノミスト(56)を起用する人事を固めた。近く発令する。

 水野氏はマクロ経済が専門の著名なエコノミストとして知られ、就任後は菅政権が目指す財政再建と経済成長の両立に向けた政策立案などに携わる予定だ。

 経済財政分析担当の審議官は現職の鈴木明彦氏も民間出身。仙谷由人官房長官は22日の記者会見で、引き続き民間人を充てる考えを示していた。

 また政府は、事務次官級の内閣府審議官に沖縄政策を担当する原田正司政策統括官(59)を充てる人事も内定した。藤岡文七内閣府審議官は退任し、浜野潤事務次官と福下雄二内閣府審議官は留任する。

→民主党政権は、財政再建と経済成長の両立に向けた政策立案に携わるポストに、成長懐疑派を起用しています。

■「成長が全てを解決する時代」の終焉 水野和夫さんが民主党・新緑風会・国民新・日本の研修会で講演
2009/10/06民主党ニュース

 三菱UFJ証券デットリサーチ部チーフエコノミストの水野和夫氏が、民主党・新緑風会・国民新・日本の研修会で6日夕、「21世紀は陸と海とのたたかい~『成長が全てを解決する時代』の終焉」と題して講演した。

 このなかで水野氏は、経済成長、16世紀からの時代の終焉を説き、新たなモデルを構築する必要性を強調した。特に、50億人が原油を使う時代、新グローバル時代になった現在、安く仕入れて高く売ることはもうできず、工業化社会が危機に瀕しており、物づくりによる輸出型経済モデルからの転換や、近代の仕組みからの卒業が日本に求められているとした。

 原因として、原油価格の上昇を挙げ、1974年の第1次オイルショックから現在に至るまで、物づくりの前提が崩れた結果、アメリカは物づくりを放棄し、金融大国の道を選び、「市場の決定は正しい」とする新自由主義、バブルの物語の時代に入ったこと、日本は新自由主義を取り入れた結果、景気回復局面でも賃金の上昇は見られず、成長が全てを解決し、豊かさを手にすることができる時代は終焉したとした。

 さらに、昨年9月のリーマンショックによって金融大国の神話も崩壊したこと、1974年に先進国の粗鋼消費量はピークを迎えたこと、人口、資源の埋蔵量からしても、これからの成長の中心はユーラシア大陸の中心部にならざるを得ず、大英帝国の時代から続いた海の国家(アメリカも日本も海の国家)の時代も終わりを迎えつつあるとした。

 その象徴として、2001年の9月11日のテロがあり、それは、新たな陸と海のたたかいの始まりを告げたものであるとした。

→「成長が全てを解決し、豊かさを手にすることができる時代は終焉」という考え方の人が民主党政権の経済財政の要に抜てきされています。「日本経済が成長しなければ、雇用は増やせない」という経済界の声はなかなか届きにくいのではないでしょうか。

→そもそも、去年の総選挙で民主党はどんな成長戦略を語っていたのか。


■民主と自民では経済の成長戦略に明確な違いがある 愛媛で岡田幹事長
2009/08/01 民主党ニュース


 岡田幹事長は1日午後、愛媛県松山市で記者団の質問に答え、民主党と自民党では経済の成長戦略に明確な違いがあると強調した。

 岡田幹事長は愛媛県の情勢について聞かれ、「党としても全力を挙げて結果を出せるように今後、頑張りたい」と答えた。

 自民党のマニフェストをどう評価するのかとの問いに岡田幹事長は、「4年前のマニフェストはほとんど実現されていない。例えば幼児教育について今回入っているが、4年前にも入っていて何も進んでいない。また、10年後に議員定数の3割削減など、これはマニフェストと言えない」と答え、4年が任期の衆院選のマニフェストとしては不適当だとして、これから議論の中で明らかにしていくとした。

 また、民主党のマニフェストに経済成長戦略がないなどと自民党から批判が出ているとの質問には、「(自民党の政策では)一部の輸出関連産業は利益を上げたが、国民の生活は変わらなかった。(民主党は)まず、国民の生活を豊かにするため、直接支払いを導入する。国民の所得を増やすことにより消費を喚起する。これがわれわれの成長戦略だ」と、岡田幹事長は明示し、自民党との違いを鮮明にした。 

 さらに、自民党のマニフェストに消費税に関する言及があったとする記者の指摘には、何時やるのかはっきりしないと岡田幹事長は指摘したうえで、「民主党は、4年間は上げない。もし上げる場合は、国政選挙でマニフェストに書いて、国民の審判を受ける。極めてクリアだ」と答えるとともに、自民党のマニフェストの曖昧さを改めて指摘した。

→この民主党の成長戦略に成長期待が高まらない、だから超就職氷河期がやってきたのではないか。

■【参院予算委】財政赤字解消のためには法人税引き上げが必要 富岡議員
2009/03/09 民主党ニュース

 参議院予算委員会で9日午後、民主党・新緑風会・国民新・日本の富岡由紀夫議員が質問に立ち、財政再建のためには法人税引き上げが不可欠との考えを示した。

 富岡議員は午前中の鈴木寛議員に引続き、西松建設の違法献金に関して調査の見通しについて言及した漆間官房副長官の発言を問題視。記者の認識が違っていたと強弁する漆間官房副長官に対し、「20人の記者がいて、皆の認識が違っていたのか。(漆間官房副長官)とマスコミとどちらが正しいのか明らかにしてほしい」と、本日の定例会見において説明責任を果たすよう求めた。

 次に富岡議員は、多額の債務残高を取り上げ、1000兆円の借金に対しGDP500兆円だとして、日本の歳入不足について質問。麻生首相は、現況においては「経済成長、景気対策が重要」だと主張、中期的には財政再建を図ると述べた。与謝野財務相は、歳出削減、歳入改革の規模に関して、直感的な数字と前置きしたうえで「15兆円前後確保しないとプライマリーバランス到達できないだろう」との見通しを示した。

 歳入改革のための15兆円について与謝野財務相は、法人税、所得税、消費税を列挙。消費税は今後、経済回復後に社会保障費に直結するかたちで引き上げる考えを明かす一方、「法人税は国際的な動向を見て考える。下向きになっていると思うが、実際はその時の経済状況による」とした。

 これに対し富岡議員は、「利益をあげているところにはそれ相応の負担してもらわないと改革できない」と述べ、日本の財政赤字を解消するためには法人税の引き上げが必要だと主張。法人税収51兆円のうちの約7割の35兆円が10億円以上の利益をあげている企業のものであるとして、260万社のうちわずか0.2%のみが利益をあげている現状においては法人税引き下げは必要ないと指摘、法人税体系を変えない限り日本企業全体の底上げはできないと訴えた。

 さらに、下請けいじめの実態にも言及。国際競争力を盾に法人税を20年前の43.3%から30%に引き下げているにもかかわらず、その分の6.7兆円が研究開発などの設備投資や労働者の賃金に回っておらず、一方で株式配当金のみが3.2兆円から16.2兆円に増えていると問題視した。

 与謝野財務大臣も、法人税を下げてきたのは会社が活力をもって活動できるようにと意図したものと説明。「配当が上がり労働分配率が上がらないというのは望んだ世界ではない」とした。

 富岡議員は、二階経済産業大臣に平成19年度に行ったアンケートにおいて、法人税を国際水準並みに下げたとしても既に海外移転している企業の7割が国内回帰しないと回答しているとの結果を確認したうえで、改めて法人税引き上げを主張。二階経済産業相は「国際競争力の観点含めて総合的に検討していく」と述べ、下請けいじめについても公正取引委員会と連携取りながらしっかりと対応していく方針を強調した。

→このような法人税率引き上げについての「ホンネ」を抱えているから、「(成長)戦略の目玉となる法人税減税は、多くの財源を産業界の追加負担でまかなうという案が有力であるという。これでは企業活性化の効果がそがれてしまう」(今朝の読売社説)ということになる。

■安倍政権の思いやりのない政治、国民のためにならない 幹事長
2007/07/28 民主党ニュース

 鳩山由紀夫幹事長は28日夜、神奈川県の横浜駅西口と東口で続けて街頭演説を行い、思いやりのある、国民の皆さんのためになる政治の必要性を訴えた。

 鳩山幹事長は「今の安倍政権は、一言で言えば愛がなさ過ぎる。思いやりのない政治は、国民の皆さんのためにならない」などと述べ、安倍首相が「美しい国」をうたい政府が経済成長を重視する中で、セーフティネットが崩れ「影」の部分が国民の皆さんの生活を脅かすようになったことを指摘した。
・・・

→2007年参院選は年金記録問題で自民党が大敗した選挙ですが、景気拡大から後退への分水嶺の年の選挙で、あの選挙で「成長」が否定され、「分配」論が勢いを増した。ここが大きな岐路でした。この頃からようやく成長の成果として低所得者層の所得がはじまっていただけに、残念。景気拡大とはいえ、国民が実感できる名目成長率が実質成長率を下回る状態が続いていたため、成長なんて自分の懐は関係ない、と国民が思ってしまう環境が長く続いた結果だったのではないかと思います。そこを、新自由主義批判のプロパガンダを展開する人々に突かれてしまいました。そもそも自らを新自由主義者と名乗る人はいないのですから、新自由主義批判は反成長派・反市場派が敵に対して行うレッテル貼りであり、ナントカ陰謀説に近いようなプロパガンダでしょう。新自由主義者がいなくなったはずの民主党政権下の雇用悪化をどう説明するのでしょうか。小泉政権下の2003年よりも厳しい超就職氷河期を、どう説明するのでしょうか?小泉政権期後半、2003年から就職内定率があがりはじめたことから教訓を素直に学ばないで、どう対応するのでしょうか?