柳田法相発言:そもそも内閣改造時に遡ると | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

柳田法相発言:そもそも内閣改造時に遡ると

秘書です。
柳田法相発言が波紋を呼んでおります。



■公明幹部、柳田法相の問責決議案に「出たら賛成」
産経新聞 11月18日(木)12時5分配信

 公明党幹部は18日午前、柳田稔法相の問責決議案が出された場合の対応について「出たら賛成せざるを得ない。前向きに検討する」と述べ、賛成する考えを表明した。都内で記者団に答えた。

■「法相の問責に同調」社民が方針
(2010年11月18日11時55分 読売新聞)
 参院予算委員会は18日午前、菅首相と全閣僚が出席して質疑を行い、2010年度補正予算案に関する実質審議に入った。

 自民党は質疑で、「国会軽視」と取れる発言をした柳田法相への批判を強めて罷免を要求し、応じなければ参院に問責決議案を提出する構えを見せた。

 また、自民党は、複数の閣僚に対する問責決議案の提出を検討しており、18日夕の参院議員総会などで対象閣僚や提出時期を詰める。18日午前の党国会対策委員会の会合では、衆院でも法相を追及していく方針を確認した。

 社民党は18日の党常任幹事会で、法相の自発的辞任を求めていく方針を決めた。重野幹事長はこの後の記者会見で、参院に問責決議案が提出された場合には「反対するものではない」と述べた。社民党は衆院に提出された官房長官、馬淵国土交通相の不信任決議案には反対したが、重野氏は「(柳田氏の問題は)質が違う。今回は誰が見てもおかしい」と指摘した。

■国会軽視発言の法相罷免、首相が拒否
(2010年11月18日11時45分 読売新聞)

 参院予算委員会は18日午前、菅首相と全閣僚が出席して質疑を行い、2010年度補正予算案に関する実質審議に入った。

 自民党は質疑で、「国会軽視」と取れる発言をした柳田法相への批判を強めて罷免を要求し、応じなければ参院に問責決議案を提出する構えを見せた。菅首相は罷免を拒否したが、社民党が同日、新たに法相の辞任を要求するなど、野党内には問責決議案に同調する動きが広がっている。法相の問題が今後の国会審議に影響することは必至の情勢で、首相は厳しい判断を迫られることになる。

 自民党は冒頭から、柳田法相や北沢防衛相、仙谷官房長官らに照準を絞って追及し、「閣僚としての資質」に疑問を投げかけた。

 自民党の世耕弘成氏は、法相が今月14日に地元・広島での会合で「法相は二つ(国会答弁を)覚えていけばいい」と発言したことについて、「国会を侮辱している」と批判し、菅首相に法相の罷免を求めた。さらに、「罷免しないなら、問責決議案を出す」と述べた。

 これに対し、首相は「身内的な人がいると、多少口が滑ることもあるかもしれないが、しっかり反省してもらい、法相としてやるべきことはやり、国会答弁もしっかりやるよう強く注意した。今後さらに頑張ってもらえると思う」と述べ、罷免を拒否した。

 法相は会合での発言について「心から反省し、再度おわび申し上げたい」と改めて陳謝した。「(国会では)誠実に答えてきたつもりだ。何かを隠す意図で答弁したことは1回もない」と釈明した。

■法相?えーっ何で俺が…柳田法相の発言要旨
読売新聞 11月18日(木)10時43分配信

 柳田法相が14日に広島市で開かれた法相就任を祝う会合での発言要旨は次の通り。

 「9月17日(の内閣改造の際)、新幹線の中に電話があって、『おい、やれ』と。何をやるんですかといったら、法相といって、『えーっ』ていったんですが、何で俺がと。皆さんも、『何で柳田さんが法相』と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。私は、この20年近い間実は法務関係は1回も触れたことはない。触れたことがない私が法相なので多くのみなさんから激励と心配をいただいた

 「法相とはいいですね。二つ覚えておけばいいんですから。『個別の事案についてはお答えを差し控えます』と。これはいい文句ですよ。これを使う。これがいいんです。分からなかったらこれを言う。これで、だいぶ切り抜けて参りましたけど、実際の問題なんですよ。しゃべれない。『法と証拠に基づいて、適切にやっております』。この二つなんですよ。まあ、何回使ったことか。使うたびに、野党からは責められ。政治家としての答えじゃないとさんざん怒られている。ただ、法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話。法を守って私は答弁している

→上記の柳田発言のうち、本ブログでは前半に注目してみましょう。

特に注目すべきは、

「皆さんも、『何で柳田さんが法相』と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。私は、この20年近い間実は法務関係は1回も触れたことはない」

の部分です。この発言を踏まえ改造当日の菅首相の「有言実行内閣」論をみてみましょう。


■菅改造内閣が発足 菅首相「有言実行内閣」
< 2010年9月18日 2:15 >
 菅改造内閣が発足した。菅首相は17日夜に記者会見し、自ら「有言実行内閣」と名づけた。また、小沢グループからの入閣がなかったことについて、意図的ではないことを強調した。

 菅首相「(政権交代後の)この1年間は、試行錯誤の内閣であったと考えます。これからは、その試行錯誤を踏まえて『有言実行内閣』」
「第1に、何といっても経済の課題であります。一瞬たりとも気を緩めることはできません。第2点は、これから日本の国際社会での活動について、しっかりと位置づけていきたい。どういう形で日本が世界の中で役割を果たそうとしているのか。もう一点は地域主権。霞が関のここが中心となった縦割りの中央集権の国の形を、根本から変えていく」
適材適所で、全員が自分の能力や経験を生かせるような、そういう態勢を作ることが挙党態勢だと申し上げてきた。どこかのグループを外したとか外さないということは全く念頭にもありません」
「小沢さんのグループは期数の若い方が多いものですから、18日以降、副大臣、政務官を含めて全体の人事をやりますので、それを含めて見ていただきたい」

 また、代表代行への就任を打診した小沢元代表からは「相当体力を消耗したので、しっかり支えるから勘弁してほしい」と返答があったことを明らかにした。その上で、菅首相は「現在のところ、残念だなと思っている」と述べるにとどまった。

 菅首相はまた、経済対策として検討している10年度補正予算について「野党の希望も入れた形で編成すれば、国会の審議も順調にいくだろう」と述べ、野党と意見交換しながら編成する考えを示した。

 この後、新閣僚が首相官邸で記者会見を行った。
(以下、略)

→菅総理のいうところの、


「適材適所で、全員が自分の能力や経験を生かせるような」

というのは、柳田法相人事ではどのように解釈できるのでしょうか?柳田法相がいうところの、


「皆さんも、『何で柳田さんが法相』と理解に苦しんでいるんじゃないかと思うが、一番理解できなかったのは私です。私は、この20年近い間実は法務関係は1回も触れたことはない」

との整合性は?

→要するに、「有言実行内閣」というのは「派閥順送り内閣」だったのではないか。各派閥2人づつの派閥均衡人事のうちの民社2枠の論功行賞人事というところに合理性があったのではないか?

→さらに、柳田法相の大臣就任直後の記者会見をみてみましょう。


■柳田新法務大臣官邸記者会見の概要平成22年9月17日(金)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00066.html
大臣あいさつ
この度,法務大臣,拉致問題担当大臣を拝命しました柳田稔です。どうぞよろしくお願いします。法務省は,法秩序の維持と国民の権利の擁護を主たる任務としています。これは,国民生活の基盤と非常に密接な関係もあり,重い役割だと思っています。初めて法務大臣,またそういう関係に就くわけですので,常に国民の目線に立って,謙虚にしかも柔軟な姿勢で法務行政の先頭に立って,様々な問題に取り組んでいきたいと思っています。法務大臣就任に当たりまして,菅総理から2点御指示を受けました。1点目は国民にとって身近で充実した司法を目指し,司法制度改革を推進するようにということでした。そして2点目が国民の人権が保障され,安心して暮らせる社会を作るようにということでした。この中でも特に再犯防止の観点から刑務所出所者等に対する就労支援の推進など,国民が安心して暮らせる社会の実現に向けて種々取り組んでまいりたいと思っています。また,政府全体としての施策にありますように,新しい公共の理念を取り入れて,地域社会や民間の方々とより一層連携して,安全・安心な社会の実現に邁進してまいりたいと思っています。また,前大臣の千葉大臣が,いろいろと議論を皆様の前に提起したかと思っていますけれども,このことも含めて党のマニフェストにいろいろと書かれています。このこともいろいろと新しい取組も含めながら頑張っていきたいと思っています。
 次に拉致問題担当大臣として菅総理から言われたことは,国の責任において拉致問題の解決に取り組み,すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くすようにということでした。私は民主党の前,最初当選したとき,民社党でした。当時,大先輩に中井先生もいらっしゃいました。いろいろと御指導を賜っておりますので,中井先生のお考えも十分聞かせてもらいながら精一杯努力をしてまいりたいと思っています。特に中井大臣になりまして,拉致問題対策本部,いろいろと組織改正をしたというふうに思っていますので,その体制の強化もしてまいりたいと思いますし,こう着した状態の拉致問題ですので,何とか突破口を開いて,いろんな情報収集をしながら,全力で取り組んでまいりたいと思っています。北朝鮮は最近いろいろな話が出ています。韓国の哨戒船撃沈の事件,それから金正日国防委員長の訪中,さらには44年振りの朝鮮労働党代表者会議を開催するといった動きもあります。こういった動きを考えながら,拉致被害者の家族の皆様の高齢化,このことも考えますと,安全に1日も早く帰国していただくように,最大限の努力をするということが私の最大の使命だろうと思っています。これからも頑張ってまいりますので,どうぞよろしくお願いします。

拉致問題に関する質疑
Q:拉致問題についてお伺いします。政権交代で拉致問題の進展に期待する向きもありましたが,今のところ目に見える動きがありません。今後,必ず突破口を開くとおっしゃいましたけれども,情報収集以上のどういったものに取り組みながら拉致問題の解決を図っていくのか,お考えをお聞かせください。
A:私は,先ほど申し上げましたように,当選したとき民社党でして,当時からこの拉致問題は党を挙げて真剣に取り組んでいました。当時,党の職にいたのが,現在,特定失踪者問題調査会代表をされています荒木さんで,その当時からいろんな意見交換もしていましたし,今でも年に1,2回会う機会もありますので,そういった方々とのお話とか,また,韓国の皆様とのお話を聞いて,いろいろな情報を得ながら,頑張っていきたいと。いろいろなことがあるかも分かりませんけれども,私の最大限の目標は,安全に,1日も早く帰国していただくことに全力を挙げることだと,そう思っています。

死刑制度に関する質疑
Q:かつて,法務大臣になられた方々は,死刑を執行されなかった方もいれば,粛々とされている方々もいらっしゃいますが,大臣は死刑制度についてどのような考えをお持ちでしょうか。それと,既に法務省内には制度の存廃を含めて議論するという省内勉強会があるわけですけれども,今後,どのような方向性で運営されていくおつもりかお伺いしたいのですが。
A:皆様もよくお分かりのことだと思いますけども,裁判所の判断を尊重しなければならないと。同時に,法の定めるところに従って,慎重かつ厳正に対処すべきだと,私はそう考えています。制度の廃止については,今,いろいろと議論が始まっていますし,その議論も見守りながら,国民の世論もどういうふうなことになるのか,そういうことも見守りながらやっていきたいと思っています。省内にも勉強会がありますので,その中で鋭意検討を進めていきたいと,そう考えています。


■柳田法務大臣初登庁後記者会見の概要平成22年9月17日(金)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00067.html
大臣あいさつ
 この度,法務大臣並びに拉致問題担当大臣に就任いたしました柳田稔です。どうぞよろしくお願いします。生まれ育ちは鹿児島県で,高校まで鹿児島にいまして,大学を卒業し,就職をして,縁があって政治の世界に飛び込みました。平成2年に初当選させてもらいまして,当時35歳でした。党は民社党で平成2年の選挙というのは民社党にとっては大変厳しい選挙でございまして,新人が3人で,今日,高木文部科学大臣が誕生しましたが,民社党の中の同期です。あと1人小平議員,3人初当選しましたけれども,厳しい選挙を戦ってきたからかも分かりませんけれども,3人ともまだ元気に頑張っていると,そういったことで今日に至っています。私は,昔は社労委員会と言っていましたけれども,社労委員から始まりまして,途中外交防衛委員というのもやらせてもらって,また最近は厚生労働に名前が変わっていますが,厚生労働委員会委員長ということで,大方厚生労働関係の仕事をメインでやってまいりましたし,外交防衛についても,周辺事態法も含めいろいろな重要法案がありました。そのようなことをやってきましたので,皆様とこうして顔を合わせて話をすることはほとんどなかったと思いますけれども,今日官邸に行きまして菅総理からしっかりやれというお言葉をいただきましたので精一杯頑張っていきたいと思います。皆様もどうぞよろしくお願いします。先ほど官邸の記者会見でも申し上げましたけれども,法務省というのは法秩序の維持と国民の権利の擁護,これを主たる任務にしていると思っています。正に国民生活の基盤という非常に重い役割だと存じています。前任者の千葉大臣も重責だという感想をお述べになりましたけれども,今,じわじわとそういう思いが私の心の中にも湧いてきているのが現実です。そういった中,法務省,法務行政の先頭に立つわけでありますので,身が引き締まる思いがしています。ただ,私は国民の目線というのを大切にしたいと思っています。あとでもう少し私の経歴を触れようかと思っていますけれども,国民目線でやっていきたいし,謙虚で,そして柔軟に考えを持った,そういった感じでいろいろな課題に取り組んでいきたいと思っていますのでどうぞよろしくお願いします。いろいろな方から,「ホームぺージを見たよ。すし屋の写真が載ってるじゃないか。あれは一体何なの。」と聞かれるのが多いのですけれども,選挙区が広島の人は大方知っているのですが,私は昭和29年生まれ,大学に入ったのが18歳,昭和48年,というと皆さん何か思い出すかと思うのですが,オイルショックがありました。私は理系なもので,大学で進んだ学部は造船,当時は船舶工学科と言っていました。船を造るということです。御多分にもれず円高のオイルショックで日本の造船業が船を受注できない。大型タンカー造船の受注を取ろうとしても1隻も取れない,全て韓国に負けたという時期がちょうど重なりまして,大学3年生の時に実は大学を中退しまして,すし屋で住み込みの修行をしていました。その時の写真がありましたので掲載をしています。その後,しばらくして,いろいろ事情がありまして,もう亡くなりましたけれども,すし屋のおやじから,もう一回学校に戻って勉強して来いと言われまして,私の両親ももう一回勉強して卒業だけはしろということもありまして,大学に戻らせてもらって足掛け10年,ですから18歳で入学して,28歳で卒業して神戸製鋼というところに入りました。ですからそういう意味では,すし屋の修行というのが先ほども言っていましたように,国民目線というか,昼間一生懸命汗流して働いてきて,店に来て一杯のビールを飲みながらちょっとしたつまみを食べて,わいわい騒ぐと,そういうのを若い頃に実感をしましたので,そういう感覚を持ってやっていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

法務行政に関する質疑
Q:法務行政の様々な課題の中で,どの点に重点的に取り組みたいと思っているかということをお願いします。
A:法務行政の中の関心事ということにつきましては,先ほども触れましたように国民目線ということで今まで法務行政を見てきましたので,多分皆様と同じような感覚で見ていたのかなとそう思っています。ただ,テレビでよく見ているのは保護司さんの活動です。ボランティアでいろいろな活動をされて更生された方々に一生懸命に力を貸していると,そういうテレビを何回か見ましたので,なかなか素晴らしいことをされているのだなと思いましたが,だんだんその人たちの数も少なくなってきていて大変だということも見ましたので,それに大きな興味を持ったことは以前にもありました。そういった意味では再犯防止に興味を持っていたということもありますので,そのことは頭の中に入れてやっていきたいと思っています。

被疑者取調べの可視化等に関する質疑
Q:検察の捜査を巡って,昨今厚生労働省の元局長に無罪判決が出されるなど,捜査の在り方について批判の意見もありますが,取調べの可視化も含めて検察捜査の在り方について,どのような御見解かということをお願いします。
A:私が厚生労働委員会の筆頭理事をしているときにちょうど厚生労働省の村木局長が逮捕ということになりまして,間近でいろいろなことに接したわけですけれども,個別の案件について私がどうのこうのということは差し控えますけれども,それなりの思いを持って以前は見ていたのは確かです。ただそうは言っても,個別の案件でどうのこうのと私に今聞かれましても,実際どういうふうなことが行われたのか分かりませんので,村木さんの件に触れるつもりはありません。可視化につきましては,いろいろ党内でも議論があるのは御存知だと思います。可視化を進める議員の意見も大分聞かせていただきましたし,逆に反対をする議員の声も聞かせてもらいました。そういう意味では今のところ私は中立かなと,いろいろな意見を聞かせてもらって,そして国民の皆様のお考えをいろいろと聞かせてもらいながらいろいろと話を進めさせてもらえればというのが率直な今の心境であります
Q:民主党は去年のマニフェストの中で可視化を進めるということをはっきり書いてあったわけですよね,なのに中立ということは,可視化をやらないということも含めて,つまりマニフェストは白紙に戻すということを考えていらっしゃるのかということが一点と,国家公安委員会の方では,外部のいろいろな人たちを呼びながら,可視化をどういうふうに進めていくのかということの検討を始めているようですけれども,法務省は外部の意見を聞いているという会議ではなく,内部の会議なのですけれども,外部の人を集めて,そういった話を聞くということは考えていらっしゃるのか,この二点をお願いします。
A:可視化をやらないという思いや考えもありません。いろいろな話を聞かせてもらったのも事実なので,その意見を聞かせてもらいたいし,党のマニフェストについてもしっかりと分かっています。そのマニフェストで選挙を戦ったわけですから,そのことも十分に分かっているということで,いろいろな意見をこれからも聞かせていただきたいという思いです。
Q:マニフェストは実現するということでよろしいのですか。
A:マニフェストはそういうふうな方向性だと思っています。
Q:外部の人の話を聞くということはいかがでしょうか。
A:お話はお話として伺っておきまして,またいろいろ参考にさせてもらって,検討させてもらえればと思っています。
Q:取調べの可視化問題について,大臣の基本的なスタンスを確認させていただきたいのですが,法務省内では勉強会というものを進めていまして,来年6月以降に報告書を作るということで検討していますが,大臣としては,そういった省内の議論を,いろいろな意見がある問題なのですけれども,とりあえず見守っていくと,尊重していくというスタンスであるのか,それとも政治主導ということで大臣御自身のいろいろな意見を省内にもぶつけていってというふうにお考えなのか,どちらでしょうか。
A:まずはどういう意見があるのか勉強させてもらいたいと,それが先だろうと思っていまして,その意見をいろいろ聞かせてもらって,それなりの判断が自分なりの中でできるようになったならば,自分の意見も言わせてもらえればなと,そんな思いで今はいるところであります。

拉致問題に関する質疑
Q:拉致問題についてなのですけれども,先ほどの官邸での会見で,初当選当時は民社党にいてということをお話されたのですけれども,大臣の拉致問題とこれまでの関わりについて教えていただけますか。また,官邸での会見で何とか突破口をというお話でしたが,現段階で何か道筋のようなものが御自身の中でおありなのかどうかについてお願いします。
A:民社党で国会議員になったときに,現在の特定失踪者問題調査会代表の荒木さんが職員でいまして,当時から荒木さんは韓国語もマスターしたりして,一生懸命にいろいろなことをやっていまして,その中で勉強もさせてもらったし,拉致問題がいかに重要かという話も聞かせてもらいました。中井先生も同じ党にいて先輩でありますので,中井先生からも酒を飲みながらも含めて,いろいろと教えてもらいましたので,全然関心がない,知らないというふうなことではないのではないかと自分自身では思っています。出身が鹿児島と言いましたが,吹上浜は子どもの頃に親に連れられて行きまして,海水浴もしましたので,映像を見ると思い出しますから,その辺は人一倍強い思いを持っていると,そういうふうに思っています。突破口があるかどうか,中井先生が昨日,皆様にお話しされたということは聞きましたけれども,中井先生本人からまだ何の話も直接聞いていませんので,中井先生との引継を来週火曜日にやることになっていますので,中井先生の本音のところも聞かせてもらって,努力をしていきたいと思っています。先ほども言いましたけれども,いろいろと進んできましたけれども,私は一にも二にも,拉致被害者に安全に1日も早く日本に帰っていただきたい。それを実現するために最大限の努力をしたいと,そんな思いでいます。その拉致した犯罪者を寄こせとか,いろいろなことも過去あったことも聞いていますけれども,それよりも先に帰っていただきたい。これを最優先課題だとそう思っています。
Q:拉致被害者の御家族の関係で,これから家族会の方とはどんな形でお会いになったり,どういうことを重点的に話して,意思疎通していくのかというようなお考えがあるのかということと,中井大臣は拉致被害者の安否確認ということも含めて,情報収集の強化とか非常に一生懸命にやってこられましたが,大臣はその辺の重点項目といいますか,どの部分を重点的にやりたいというお考えなのか,もしありましたら,お願いします。
A:重点項目と特にと言われましても,中井先生がやってこられたことを一つ一つ理解しているわけでもないので,また多分,お話になれないこともあるでしょうから,1対1でお話をすれば,いろいろなことも教えてくれるのではないかと,御示唆も願えるのではないかと,そう思っていますので,いろいろ話を聞かせてもらいたいと,それが先ではないかなと,私自身はそう思っています。ただ,先ほど突破口と申し上げましたが,そういう情報も,話も聞かせてもらいながら,そういう思いで頑張っていきたいという一つの現れだと思っていただけるとありがたいです。先ほど事務方ともいろいろ話をしていたのですが,拉致被害者の御家族と1日でも早く,会えるものなら会わせてください,そういう連絡を取ってくださいとお願いしましたので,その辺は,来週中にはどうにか実現をしたいと思っています。
Q:先ほどの拉致関係で中井前大臣の発言というのは,被害者について,幾人かの方がほぼ間違いなく生存状況にあるという発言について承知していないということでしょうか。
A:その談話については,聞きましたけれども,どういう思いがあって,どういう内容があってそういうふうに発言されたのか,まだ私は詳細を聞いておりませんので,来週これも引継をさせていただきますので,そのときでも,または別の機会を見つけてでも,中井先生のお話は十分聞かせてもらいたいと,そう思っています。

法曹養成制度に関する質疑
Q:司法修習生の給与について,民主党の部会の方ではこのまま給費制を継続すると,また,一方では11月からは貸与制になるというのがあるのですが,この問題についてどのようにお考えでしょうか。
A:その法案に民主党も賛成して成立をし,今年の11月に実施という状況で,参議院議員選挙を戦うなかでも弁護士の先生方とか,いろいろこの問題についての御要望もいただきました。党内でも協議が始まったというふうに私も承知をしていますので,この協議も見守りながらいろいろな判断をさせていただければと,そう思っています。

死刑制度に関する質疑
Q:死刑制度について,千葉前大臣は御自身の考え方を強調されていましたけれども,大臣の死刑制度に対する考え方をお聞かせください。
A:皆様多分ご存じだと思いますけれども,私はアムネスティに入ったこともありませんし,死刑廃止議連に入ったこともありません。そういう中で今回法務大臣,大変重い判断をしなければならないということになるわけでありますけれども,やはり裁判所の判断というものは尊重しなければならないだろうと,これは法が定めているところでありますので,その定めに従って慎重かつ厳正に対処していきたいと,そう思っています。
Q:死刑の話で,先ほど官邸の会見でも,勉強会の議論のお話が出ましたけれども,前任の千葉大臣は死刑制度の存廃について,そこまで戻って議論したいということだったのですが,今のお話を伺いますと,柳田大臣の場合は,廃止ということはまず前提として考えることはないと,そういうふうなお考えなのでしょうか。
A:死刑制度の存廃について,これも先程から申し上げましたとおり,私の今日まで取ってきた行動は皆様ご存じのとおりであります。ただ,いろいろな議論が出ているのも承知しています。役所の中でも議論が進んでいるというのも聞いています。そういったことをもろもろ聞かせてもらいながら,同時に国民がどういうふうに考えているか,このことも勉強させてもらいながら,いろいろな検討を加えていきたいと,そういうスタンスです。
(以上)

■法務大臣閣議後記者会見の概要平成22年9月21日(火)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00071.html

大阪地方検察庁検事による証拠隠滅事件に関する質疑
Q:障害者団体向け郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で,大阪地方検察庁が押収したフロッピーディスクの日付データを主任検事が改ざんしていたという疑いが明らかになりました。検察捜査の信頼を根幹から揺るがす問題ですけれども,これについて大臣がどのように把握しているかという現在の状況と,この件について大臣御自身がどのように捉えているかお聞かせください。
A:朝起きて,新聞を見まして,これは大変なことだと,そういう感じを受けまして,報道については承知しています。先ほど,最高検察庁が直接調査するという報告を受けたのですけれども,私としてはこの行方をしっかりと見守っていきたいと,そう思っています。
Q:主任検事が内部調査に対して,捜査の見立てに合うように意図的にデータを改ざんしたと説明をされているようなのですけれども,この辺り大臣は把握されていますでしょうか。
A:新聞記事を今読んだだけでして,実際どうであったかはまだ聞いていません。ですから,しっかりとした調査,捜査をすると思っていますので,その行方をしっかりと見守っていきたいと思います。
Q:調査の結果,明らかな犯罪行為があるとした場合は,捜査の対象になるかと思いますが,そういったことも視野に入れての調査ということでよろしいのでしょうか。
A:それは最高検察庁の捜査に関することなので,しっかり最高検察庁に聞いてもらえればと思います。
Q:この事態を受けた大臣の感想というものをもう少し詳しくお伺いしたいのですけれども。
A:先ほども言いましたように,大変びっくりしています。
Q:村木さんの裁判に関しては,一審で無罪,その後,控訴も断念する方向で検討を進めていると承知していますが,それに加えて,捜査段階でのこうした証拠品の改ざんの疑いが出ているということは,検察の捜査の信頼の根幹を揺るがすような事態だと思いますが,その点について大臣はどのような御見解ですか。
A:私自身が事実として把握しているという段階ではなく,最高検察庁がしっかりと捜査をすると言っていますので,その捜査を見守っていきたいというのが現在の考えです。
Q:今日の段階で大臣の方には現状の報告として,最高検察庁が捜査します,始めますということと,新聞の報道以外に,現段階でどういうふうな事実関係になっていて,どういうふうに話を聞いているというようなことが,どこまで入っているのでしょうか。
A:新聞を読んだことと,最高検察庁が直接捜査を始めるということを聞いています。
Q:報道にもあったとおり,地検の方では主任検事に話を聞いていたりとか,ある程度の調査は始まっていると思うのですけれども,途中経過というか現段階の状況については聞かれていないのでしょうか。
A:私も朝の新聞を読んで初めて知りまして,現在10時過ぎですが,詳しい状況を把握しているという段階ではありません。ただ,最高検察庁が直接捜査をする,しっかりやると言っていますので,その行方をしっかりと見守っていきたいというのが今の現状です。
Q:調査なり,捜査なり生き物ですので,今後のスケジュール的なことをと言うのは難しいかもしれませんけれども,事態が重大なことだと思いますし,少なくともこういった事実が把握できたというような報告なり発表なりできる目処というのを教えてください。
A:まだ目処について,どうのこうの言う段階ではないと私は思いますので,今日からスタートだと思っています。
Q:なるべく早く聞かせていただけるという認識でよろしいでしょうか。
A:私もそう期待をしていますけれども,しっかりとした捜査をすることがまず第一でしょうから,その結果を踏まえていろいろな判断をさせていただければと思います。
Q:特捜部の捜査がらみで起こった不祥事というのは,過去にもゼネコン汚職事件であったのですが,今回最高検察庁が直接捜査,調査をするということは極めて異例のことではないかと思うのですけれども,その点について,大臣もう少しお話を詳しく聞かせていただきたいのですけれども。
A:異例なことだと捉えて,しっかりと対応するものだと私は考えています。もし,この件が本当であると,真実であるということになれば,到底許されない行為であるという認識は持っていますけれども,その前にしっかりとした捜査をしてもらって,その内容を聞いてからいろいろなことを考えたいと思っています。
Q:大臣の話ですと,新聞報道の情報と,最高検察庁の捜査が始まるということを現時点で認識しているというお話だったのですが,かなり検察捜査の根幹を揺るがすような事態だと思いますし,先ほど大臣がおっしゃられたようにかなり深刻な問題だと思うのですけれども,それでも現時点での地検レベルの調査ですとか,事実関係がどうなっているかといった辺りの報告を求めたりはしないのでしょうか。
A:当面は,先ほど,最高検察庁が直接捜査をするという方針を明らかにしたので,その捜査を見守っていきたいというのが現在の段階です。
Q:最高検察庁がその方針を示す前という時点でも,地方検察庁レベルでの調査の状況などについては特にお聞き取りなどはされていないということでよろしいでしょうか。
A:朝の新聞を読んで,閣議があってこちらに参りましたので,ですからそういう状況の中で,いろいろな情報を把握しているのかと言われると,そういう段階ではありません。
Q:今朝,大臣が最高検察庁から報告を受けたというのは,こういう事実があるということを最高検察庁も把握しているんだけれども更に調査するということであったのか,それとも最高検察庁は全く把握をしていないのだけれども,疑惑として浮上しているので調査するということなのか,どういう説明があったのか教えていただければと思います。
A:直接捜査をするという記者会見を行いますという報告はありました。この捜査は最高検察庁が独自にやられることなので,私がどうのこうの指示したというわけではありません。
Q:確認ですけれども,最高検察庁が午後にでも記者会見をするという方向でしょうか。
A:午前11時からというふうに聞いております。
Q:確認ですけれども,記者会見をするということは,最高検察庁が捜査をするという前提として,先ほども質問がありましたけれども,大臣に最高検察庁の方からはこういう疑いがあるので捜査をするという説明だったのか,それとももう少し踏み込んだ形での,疑惑があるので捜査をしますというような説明があったのか,その辺りもう少し詳しく聞かせていただけますか。
A:最高検からこういうことでこういう捜査をしますという内容を私が聞いたわけではありません。直接捜査を始めますと,そういう話を聞かせてもらいました。

尖閣諸島における漁船衝突事件に関する質疑
Q:尖閣諸島の漁船衝突事件で,日本の大学生らによる上海の訪問が中止になるなど影響が非常に拡大しております。政府としてはこれまで強い対応をとっている影響ではないと思いますけれども,今後強硬姿勢を示す中国に対して,どのような対応を取る必要があると大臣はお考えになりますか。
A:これも個別の案件でございますので,私がコメントすることは控えさせていただきたいと思います。内容については,新聞,テレビの報道等で承知しているということだけは言えるかと思います。

拉致問題に関する質疑
拉致被害者家族の皆様と会うように手配を進めまして,明日午後3時から飯塚家族会代表,増元事務局長並びに横田さん夫婦と会うように連絡を取り合ってます。多分実現の運びになるだろうと思います。
Q:その目的は。
A:会ってお話を聞くことが目的です。
Q:場所はどちらですか。
A:内閣府の大臣室です。
Q:会って何を重点的に聞きたいですとか,どういうお話をしたいということはございますか。
A:今日,中井前大臣との引継を行いますので,その際いろいろなお話も聞けるのではないかと思っておりますので,そのことも頭の中に置いて話をさせてもらえればと思っています。
Q:拉致被害者家族の方々とお会いして,直接話を聞いて,今後の拉致問題の解決に向けて大臣としてもいろいろ知識を得たいというか,家族会の人と話をしたいという理解でよろしいでしょうか。
A:はい。
(以上)


→当初より、「個別の案件でございますので,私がコメントすることは控えさせていただきたいと思います」というマジックワードを使っていたのが印象的です。