国民の激昂を恐れる民主党政権に:日本版茶会運動としての尖閣問題 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国民の激昂を恐れる民主党政権に:日本版茶会運動としての尖閣問題

秘書です。
下記のサマーズ氏の講演、是非、総理に聞いてほしかったですね。


①以下の歴史観をもってますか?

「急速に変わりつつある世界のシステムにおいて、急速に変わりつつある国は、必ずしも好ましいとは言えない歴史を作り出すことを長い歴史は示している」
「歴史の舞台が中国に移ることに、世界がいかに調整を施すか」


総理の歴史観には、日中二国間の時間軸しかないのでは?いつも日中関係における6月と比較している。あれから世界は変っている。中国も変わっている。日本だけ2010年6月に戻りたがる?

②頭どりでカメラが入っているときの挨拶部分でいきなりメモを読んでしまったことをなぜ批判されるかわかりますか?この歴史的局面で以下のことの重要だからです。

「互いの英知や付き合い方が何よりも重要になる」

事務方が用意したメモを読むなら要人会見はいりません。指導者の英知も付き合い方も関係ないじゃないですか。

③民主党政権の成長戦略は「増税のための堅めの成長率」、増税しなければ財政再建できないように名目成長率は4%以下に抑えることから逆算するという、永田町ー霞が関のエスタブリッシュメントの合意を踏襲していることが、国際政治においてどう受け止められるか、それこそが、日本無視、日本への挑発的行為になっている。戦後日本の国力の根幹は経済力。それを「もう成長はしなくていい」ということの国際政治の意味を中国やロシアが示している。しかし、米国ではそのような議論になりません。


「最も重要で、米国の国力を図る上で世界が注目するものが1つある。国内経済を再生させる政策で成功を収めることだ」

日本のエスタブリッシュメントの縦割り的思考では、国際政治とマクロ経済は完全に寸断され、マクロ経済は増税論に従属して理論武装の一手段となっております。増税派のみなさん!マイナス成長・増税国家がどうすれば世界から無視され挑発される国家にならなくてすむのか、ビジョンを出してください。「それは所管外のことです」などといわないで!


■中国が米国の中心的課題に=サマーズ米NEC委員長
2010年 11月 16日 16:36 JST Reuters

 サマーズ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が主催する最高経営責任者(CEO)カウンシルで「急速に変わりつつある世界のシステムにおいて、急速に変わりつつある国は、必ずしも好ましいとは言えない歴史を作り出すことを長い歴史は示している」とし、「互いの英知や付き合い方が何よりも重要になる」と述べた。

 さらに「最も重要で、米国の国力を図る上で世界が注目するものが1つある。国内経済を再生させる政策で成功を収めることだ」と付け加えた。

 サマーズ氏はまた、拡大しつつある中国の政治・経済力は、世界が直面する中心的な課題になっている、と述べた。同氏は年末にNEC委員長を退任する。

 サマーズ氏は「歴史の舞台が中国に移ることに、世界がいかに調整を施すか」が21世紀初めの歴史になるだろう、と語った。

 中国人民銀行(中央銀行)の副総裁を務め、現在は国際通貨基金(IMF)の特別顧問を務める朱民氏は、同カウンシルで、世界の国内総生産(GDP)に中国や高成長を続ける新興国が占める割合が大きくなる一方、先進国は引き続き、高水準の債務と低成長に直面しているとし、米中両国間の緊張を浮き彫りにした。

 朱氏は、最近の傾向から判断すれば、今後6年で新興国市場と発展途上国が世界のGDPの60%を占めるようになるとし、「今とは異なる世界になる」と述べた。

 英金融大手バークレイズのロバート・ダイヤモンドCEOは、米国企業に雇用を開始するための信頼感が喪失しているとし、米国が歳出や赤字、税の問題で正しい道を進んでいないとの懸念が存在するため、と説明した。

 一方で朱氏は、中国はハイテク資本財へとバリューチェーンを広げており、先端機器・装置の製造で世界に占める割合が、現在の約8%から10年以内に約3分の1に上昇する見通し、と述べた。その上で「中国は恐らく、世界の製造業の再編を主導する可能性がある。これは先進国、とりわけハイテク製品の輸出国にとって大きな打撃になるだろう」と語った。

 サマーズ氏は、米企業幹部に対し、「市民」を自らの役割として捉えるよう訴えた。

 サマーズ氏は、米中間選挙はオバマ大統領の政策への拒絶であったと同時に、米国ではなく(「世界経済フォーラム」の総会が開かれる)ダボスの市民であるとみなされたエリート層への拒絶でもあった、と語った。

 同氏は、米実業界は「米国市民としての義務を真剣に考えるべきだ」と述べた。

記者: Jeffrey Sparshott

→そして、法律論をこねくりまわして衝突漁船を釈放する一方で保安官を厳罰にしようとすることへの反発は、民主党政権への拒絶であったと同時に、国民に対する不信感に満ちた「エリート層への拒絶でもあった」ともいえるかもしれません。

→日本のオールエスタブリッシュメントの秀才を集めたはずの民主党のダッチロール現象に対する国民の怒りは、米国の茶会運動に匹敵する大きなうねりといえるのかもしれません。

→米国の建国の原点が茶会運動とすれば、日本の維新の原点は「黒船来襲」ですから。黒船来襲が近代の幕開けなら、「漁船来週」はポスト近代の幕開けです。


■甘利氏、日中首脳会談巡り菅首相を追及
TBS系(JNN) 11月17日(水)3時8分配信

 「菅内閣の腰砕け外交でマイナスに陥っていた日中関係を白紙の状態に戻せた、要するに成果はゼロだったということを菅総理自らが告白をしてしまったと言わざるをえません」(自民党・甘利明元経産相)

 「甘利さんは、白紙に戻したからプラスになったとは言えないと言われましたが、私の数学の知識でいえば、マイナスからゼロになったということは大きな前進だと、このように考えているところであります」(菅首相)

 菅総理は、14日の記者会見で横浜で行われた日中首脳会談について、「戦略的互恵関係を進めていくという6月の就任時の関係に戻すことができた」と述べていましたが、自民党の甘利元経済産業大臣は、白紙に戻したということは「成果はゼロだ」と追及。

 これに対して菅総理は、「マイナスからゼロになったということは大きな前進だ」と胸を張りました。

→ノーベル平和賞授賞式に出席と回答期限の11月15日までに回答できない日中関係は、まだ、マイナスです。

→米中関係の変化など、全く視野に入っていないのか。ひたすら、譲歩することで首脳会談ができたという「形」だけで白紙状態というのか。


■【正論】東洋学園大学准教授・櫻田淳 首相よ過剰な対中配慮はなぜだ
2010.11.17 03:02 産経新聞

 ≪外交が票になる時代の到来≫

 「対外政策は、票にはならない」と語られた時代は、とうに過ぎ去ったようである。たとえば、11月上旬にNHKが実施した世論調査は、菅直人内閣への支持率31%、不支持率51%という数字を出した。そして、その調査は、対外関係に関する政策対応への評価を問う設問で、次のような結果を示している。

 「大いに評価する」1%

 「ある程度評価する」12%

 「あまり評価しない」44%

 「まったく評価しない」38%

 後日、発表された時事通信の世論調査が、「内閣支持率2割台突入」と「民主党と自民党の支持率逆転」という結果を伝えていることを考え併せれば、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降の菅内閣の政策対応は、昨夏の「政権交代」に寄せられた熱気をも雲散霧消させたようである。

 対外政策の不手際が加速させた菅内閣の零落は、次に挙げる二つの観点からの説明ができるであろう。

 第一に、菅内閣における対中配慮の論理は、国民各層には十分に説明されていない。

 そもそも、現下の中国は、ベトナムやマレーシアのような東南アジア諸国には領土紛争への対応を通じて、さらに、欧米諸国にはレアアース(希土類)の輸出制限や中国の民主活動家、劉暁波氏のノーベル平和賞受賞への対応を通じて、「粗暴」や「傲慢(ごうまん)」といった印象を強く植え付けている国家である。

 ≪粗暴、傲慢国家に気遣い≫

 こうした「粗暴」や「傲慢」という印象を持たれている国家に対して、日本が他の国々に比べても突出した配慮を行わなければならない必然性は、どこにあるのか。また、そうした半ば過剰な対中配慮によって、日本は、どのような具体的な利益を得られるのか菅内閣は、このことについての説明を、国民に対して十分に行うべきであるけれども、実際には、自らに対する批判への釈明と強弁に追われている。

 振り返れば、2003年3月のイラク戦争開戦の折に、時の小泉純一郎首相は、「アメリカは、日本への攻撃はアメリカへの攻撃とはっきり明言しています。日本への攻撃はアメリカへの攻撃とみなすということをはっきり言っているただひとつの国であります」と述べて、米国を支持する論理を展開した。

 小泉氏の対米支持の是非をめぐっては、現在でもさまざまな見方がなされている。けれども、現下の菅内閣の姿勢は、小泉氏の明確な説明とは誠に対照的であろう。菅内閣は、その対中過剰配慮の一方で、日本国民に対する配慮には手を抜いている。こうした指摘に誰が反論できるのか

 第二に、尖閣事件以後の民主党政治家の言辞からは、日本国民に対する「不信」の認識が浮かび上がってくるたとえば、9月26日付の産経新聞が報じたところでは、事件の経緯を収録したビデオ映像の扱いに際して、とある民主党幹部は、その公開を渋る理由として、「国民が激昂(げっこう)してしまう」と語った。また、仙谷由人官房長官は、一連の政策判断の正しさを説こうとして、日露戦争後の「日比谷焼き打ち事件」の故事まで持ちだしている。

 ≪国民には不信、軽視の姿勢≫

 件(くだん)の民主党幹部にも仙谷氏にも、「(日本国民が)真実を知れば、碌(ろく)な振る舞いに及ぶまい…」という趣旨の「不信」の認識が反映されている。しかしながら、少なくとも現時点では、中国民衆が日系企業に狼藉(ろうぜき)を働く「反日デモ」と同様の風景が日本で再現されるとは、率直にいって考えにくい。日本における整然とした「対中抗議デモ」の最中に在日中国人に危害が加えられたという話は、筆者は寡聞にして知らない。

 件の民主党幹部や仙谷氏の認識とは異なり、日本の多くの人々は、対外観察に際して、相当な程度までの「成熟」を示している。もっとも、筆者のような学者や言論家ならば、「日本のナショナリズムに本格的に点火すれば、手が付けられないものになる」という可能性を指摘するのは、当然のことであるけれども、件の民主党幹部や仙谷氏のように国民の負託を受けて「統治」に携わっている政治家が、国民に対する「不信」の認識を露(あら)わにするのは、「統治の作法」を弁(わきま)えぬ振る舞いにほかならない

 このように考えれば、菅内閣における国民への「軽視」や「不信」の姿勢が、広く察知されるようになったことこそが、菅内閣の失墜に拍車が掛かっている所以(ゆえん)であろう。

 対外政策案件に限らず、鳩山由紀夫、菅直人の両氏の二代にわたる民主党内閣では、さまざまな政策変更がなされたけれども、そこでは、然るべき「説明」が十分に伴っていない。それは、野党時代には事あるごとに、「説明責任」を唱えてきた政党の内閣であるとは信じ難い風景である。(さくらだ じゅん)

→この論文は民主党政権の本質をついていますね。傲慢さに対して屈服するだけの外交が一体何のためなのかが全く分からない。日中経済力逆転の中、こんなことが前例となって一体どこまで屈服していくのか。そして国民目線、国民生活第一だったはずなのに、統治する側に回った瞬間の国民への不信感。

→ここが、日本のオールエスタブリッシュメントの秀才を集めたはずの民主党の体質が出たということなのか?領土を守るという決心、国民の知る権利を大事にするという決心、それがないことが「日本版茶会運動」としての尖閣映像問題への国民の関心の高さにつながっているのかもしれません。