うかつな政治主導?:かつて民主党は何をいっていたのか?なぜ「豹変-転向」するのか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

うかつな政治主導?:かつて民主党は何をいっていたのか?なぜ「豹変-転向」するのか?

秘書です。
政治主導といっていたのがうかつだったとの民主党幹部の発言は衝撃です。
政治主導法案はどうするのでしょう?
ところで、かつては、民主党は何をいっていたのか?
以下、塩田潮さんの2009年の『新版 民主党の研究』(平凡社)にのっていた政権交代前の枝野さんの発言です。


「衆参で過半数を握り、法律を作ってしまえば、役人は従わざるを得ない」(P.334.)
「自民党は法律を出すとき、各省の事務次官をみんな納得させて閣議決定しようとする。党で決定して議員立法で国会に出せば、各省の了解はいらない。なぜそうしないのか不思議でならない。政権交代して、つくる法律がマニフェストに具体的に書いてあれば、役所の了解とか審議会の議論は不要です。役人は言うことを聞く。政治がこうやるんだとなれば、大部分の役人は懸命にやる。役人が悪いのではない。決めない政治が悪い」(P.334.)

→なぜそうしないのか不思議でならない!

「過去にこんなにひどかったということを次々に公開し続ければいい。菅さんが厚相だったときに薬害エイズ問題で経験しているので大丈夫かと思うが、政権を取っておかしなことを見つけたら、見つけた瞬間に公表しなければいけない。一週間とか十日間とか、どうしようかとやっていたら共犯になる。」
(P.327.)

→もう1年たってしまった!官僚主導の「共犯」になってしまった。それが政治主導はうかつだったという転向宣言なのか?

→なぜ、尖閣漁船衝突事件を公開しなかったのか。公開を外交手段につかうことが民主党政権らしかったはずなのに。小泉政権にも前例があったのに。


「民主党がごった煮状態から抜け出すのが重要ではない。一枚岩の集団は絶対に大政党になれない。幅のある政党でないと二大政党は担えない。それをどうやって伝えていくかが課題だとずっと思っている。ばらばらだと言われたら、そうだと答えるべきだ。向こうとの対立軸は、少なくとも最初の政権交代までは、いま利権を握っているか握っていないか、これが唯一、最大の明確な対立軸、それ以外は必要ないと思う。」(P.337.)

→では、政権交代したらどうするのでしょうか?利権をとりにいくのでしょうか?

■民主政権、全土連と和解 野中氏「政治的中立」を宣言
2010年10月21日3時0分朝日新聞
 自民党の有力な支持団体だった全国土地改良事業団体連合会(全土連)の野中広務会長が今月6日、鹿野道彦農林水産相と会談して「政治的中立」を宣言し、民主党政権と和解していたことが分かった。民主党政権は小沢一郎元幹事長が主導して今年度の土地改良予算を大幅に減らしたが、来年度予算では増額する見通しだ。
 会談は農水省で行われた。野中氏が鹿野氏に対し、「我々は政治的に全く中立だ。自民党にも民主党にも一切選挙運動はやらない」とする文書を読み上げたうえで、土地改良予算への配慮を要望。鹿野氏も理解を示したという。会談に同席した吹田(ふきだ)あきら(あきらはりっしんべんに晃)副会長は「あれほど予算削減されては政治活動はできない。土地改良は補助金を受けての仕事。中立でよい」と説明する。

 全土連は、今夏の参院選比例区に自民党から元九州農政局長の擁立を決定。小沢氏から「政治的態度が悪い」と批判され、2010年度予算編成で概算要求段階の4889億円から2129億円に大幅に削られた。野中氏は小沢氏に直接会って予算の復活を要望しようとしたが、面会さえできなかった。
 その後、全土連は候補者擁立を撤回し、政治団体の活動も休眠させた。全土連理事だった森喜朗元首相、青木幹雄元参院議員会長ら自民党の実力者も退いた。これを受け、民主党は土地改良のワーキングチーム(WT)を設置。今年8月には全土連幹部から予算要望を聞き、和解の機運が高まっていた。
 近く閣議決定する今年度の補正予算案などでは約725億円が復活。来年度予算案の概算要求にも2508億円が盛り込まれた。民主党WTの玉木雄一郎事務局長は「全土連が中立になるならいい話。多くの議員が地元の要望を受け、予算を付けようと動いた」と話す。(川見能人)


→予算査定が政治的態度=選挙第一主義で判断されています。これは恐ろしいことではないですか。施策の合理性の判断ではなく、政治的態度で予算額が判断される。こういうことを「利権をとりにいく」というのでは?

→まさか、事業仕分け第一弾の対象となった関係団体で予算削減を恐れて「政治的態度」を示すために民主党比例区から著名人候補を立候補させた、などということはないと思いますが・・・

→また、塩田潮さんの2009年の『新版 民主党の研究』(平凡社)の中で、民主党の松井さんは以下のように話しています。


「政権担当能力があるかといえば、民主党はいつでもいまの政治以上のものはある。普通に官僚の言うことを聞けば、安定性はある。だが、それだけでは世の中は変わらないから、国民の批判が高まっている。プラスアルファのことをするとき、どれだけの人脈を持ち、いまの官僚機構の意思決定の仕組みを押さえながら、やれるだけの知恵と経験があるのかと言われれば、まだ発展途上だと思う。それは民主党がじみんとうに追いつく発展途上ではない。自民党と官僚機構がつくれなかった新しい政策形成の仕組みをつくり出すところに行く途上という意味です」(PP.334-335.)

→自民党と官僚機構がつくれなかった新しい政策形成の仕組みはどうなってしまったのか。なぜつくらなかったのか?政権長期化のために官僚機構と最初から妥協していたのではないか?そしてこの1年間に、政権長期化のために次々に「共犯」関係が拡大してしまったのではないか?それをうけての「政治主導=うかつ」発言なのではないか。

所詮、政治主導は権力奪取のための看板にすぎなかったのか?
「それが政治というものさ」などというなら、公約には一体何の意味があるのか?
有権者は権力闘争のために動員されるだけの存在なのか?

民主党の権力奪取段階と権力維持段階の「豹変-転向」は、重大な研究テーマです。