実質秘?形式秘?:国民の知る権利か?国家機密か? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

実質秘?形式秘?:国民の知る権利か?国家機密か?

秘書です。

尖閣映像問題は、国民の知る権利VS国家機密が問題の本質でしょう。

一部の民主党から流れた倒閣クーデター論は、本人の意図においても、組織的背景においても、全く関係ないのではないでしょうか。

政権の政策ミスについての情報についての内部告発にどう対応するのか、それは国家機密なのか、国民の知る権利なのかという判断の問題なのではないでしょうか?


尖閣映像問題について、どんな原則に立つべきなのか?

①小泉政権時代の平成13年12月22日に発生した九州南西海域工作船事件についての広報用ビデオを、海上保安庁は12月22日から24日までに作成し、即時報道機関に提供されたことを判断基準にする


海上保安庁では、その主な活動の場が、海上という国民の目に触れがたい場所であることから、積極的な広報により、国民の理解と協力を得て海上保安業務を遂行するよう努めている。特に、事件、事故等に係る広報に当たっては、捜査上の支障の有無をも考慮しながら、再発防止や防犯効果も期待して行なっているところである。このため、広報の実施に当たっては、広報文を配布するほか、より効果的であると考えられる場合には、ビデオ等の映像提供も積極的に実施しているところである。

尖閣沖漁船衝突事件について、なぜ、広報用ビデオを作成しなかったのか、誰がその判断をしたのか?


②映像は捜査情報であるとともに、広報用、研修用、調査研究用という公益性があるとの認識に立つ。

従来、海上保安庁では、広報ビデオについて、捜査等への支障と事件の内容を国民に説明するという公益上の必要性について、慎重に比較考量を行なった結果、公表が相当であると判断した範囲に限定して公表している。


捜査機関たる海保の捜査情報には、他の公益性の観点からの扱いがあり、尖閣漁船衝突事件のみこれらの公益性よりも捜査情報としての公益性を優先するというのであれば、そうした特別の扱いのための根拠がなければならないはず。(先週金曜日の衆院内閣委員会の官房長官答弁では、官邸からは指示は出していないとのこと。では、誰がいつもつくっているはずの広報用ビデオの作成にストップをかけたのか?)

③国家公務員法の守秘義務の及ぶ範囲=「秘密」とは「非公知(公に知られていない)の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの」である


実質秘の要件は、海上保安庁文書管理規則に基づく秘密文書指定と、その内容が実質秘に値するものであるということの判断も必要でしょう。10月18日の馬淵大臣の指示も、どうやら秘密文書指定ではなかったのではないか。

実質秘に当たらず形式的に秘密扱いされているものを漏洩した場合には、守秘義務違反は問われないが、懲戒処分の対象になるのかどうか。実質秘ではない非公知の漏えいについて、国家の規律の観点からは?



■保安官擁護論に懸念=自民・谷垣氏
時事通信 11月15日(月)5時14分配信

 自民党の谷垣禎一総裁は14日、さいたま市で講演し、中国漁船衝突事件のビデオ映像流出を名乗り出た海上保安官を擁護する声があることについて、「わたしも半分ぐらい気持ちは分かるが、国家の規律を守れないというのは間違っている」と指摘した。
 党内の一部にも、「日本の正統性を国民と世界に示した」(安倍晋三元首相)など、保安官の行為を称賛する声もある。谷垣氏は、旧陸軍の青年将校が反乱を起こした2・26事件を例に「(国民の一部は)若い純粋な気持ちを大事にしなきゃいかんと言っていたが、最後はコントロールできなくなった」として、保安官の行為を称賛する声に懸念を示した。 


→原則論として、国民の知る権利と国家機密との関係の問題ではないでしょうか?甚大な国益の損害がない場合には国民の知る権利を優先すべきではないか?

→国家の規律の観点から、実質秘ではなく形式秘説でいくのでしょうか?実質秘の要件は満たしているのでしょうか?仮に、形式秘だけなら、国家の規律の観点からは?

→事件発生当初、なぜ、菅民主党政権は映像非公開にしたのか?ここが問題の本質だと思います。



■【尖閣ビデオ流出】「映像非公開はおかしい」 参院外交防衛委員会理事の佐藤正久氏が石垣海保を訪問
2010.11.9 20:10産経新聞

 参院外交防衛委員会の理事で、自民党の佐藤正久参院議員が9日、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)を訪れ、中国漁船衝突の映像流出事件について「映像は問題ない内容で、公開しなかった菅政権の判断はおかしい」と述べた。

 佐藤氏は石垣海保の尾崎正宏部長から業務の説明を受けた。佐藤氏によると、映像流出について尾崎部長は「データ管理が若干、甘かった」との認識を示したという。

 佐藤氏は記者団に「『流出』というより『投稿』という表現がいいのかもしれない」と指摘。「いかに主権を守るかが一番大事。捜査協力も重要だが、士気が低下して離島警備が二の次になってはならない」と話した。

 参院外交防衛委は11日に石垣海保を訪れるが、佐藤氏はスケジュールが合わず、日程を前倒しして訪問した。


■守秘義務、割れる解釈 尖閣ビデオ、一部議員には公開 問われる「実質性」
産経新聞 11月11日(木)7時57分配信

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、映像が国家公務員法上の「秘密」に当たるかについて、専門家の間で意見が分かれている。国会議員にも一部公開されたため「要件を満たさない」と否定的な意見もあり、警視庁は「流出」を告白した神戸海上保安部の海上保安官(43)について、慎重に捜査を進めている。

 ▽最高裁判例

 国家公務員法の「秘密」をめぐっては、昭和52年の最高裁決定がある。

 同法の守秘義務違反罪に問われた税務署職員の裁判で、 「秘密」を「非公知(公に知られていない)の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの」と定義。(1)一般人が知らない(2)秘密として保護すべきだ-の2つの条件を満たす場合にのみ、守秘義務の対象になるという判断を示した

 つまり、行政機関が形式的に秘密として扱っていただけでは、仮に漏らしても罪に問えないという考え方だ。甲南大法科大学院の園田寿(ひさし)教授(刑法)は「以前はマル秘のはんこが押してある書類は全部秘密という『形式秘説』という考え方だったが、近年は『実質秘説』が主流になっている」と話す。

(以下、略)