APEC:米中関係の根本的な質的変化が背景 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

APEC:米中関係の根本的な質的変化が背景

秘書です。

日中関係の「変化」は、米中関係の根本的な質的変化がもたらしたものです。
政権中枢はこのことを客観的に正確に理解する必要があります。
努力という名の譲歩の結果ではありません。


■オバマ大統領、対中政策転換 経済・安保、主導権渡さず
産経新聞 11月14日(日)7時57分配信

 オバマ米大統領が13日の菅直人首相との首脳会談で、中国に対し「適切な役割と言動が重要だ」と注文を付けた背景には、オバマ政権の対中政策の転換がある。米政府高官がアジア歴訪出発前、「中国の台頭に備えて同盟国のテコ入れを図る」ことが狙いだと語っていた通り、オバマ政権は今回の歴訪で対中外交の質的な変化を強く印象付けた。オバマ大統領は14日午後、インドを皮切りに4カ国、10日間に及んだアジア外交を終えて離日する。

 ドニロン米国家安全保障担当補佐官は13日、横浜市内で同行記者団に、「インド、インドネシアと新たな協調関係を構築でき、日韓両国とは東アジア地域における米国の存在が重要であることを確認できた」と述べ、今回のアジア歴訪の成果を強調した。

 オバマ大統領もこれまでの記者会見で「胡錦濤国家主席らとの個人的な信頼関係を築けた」と“タテマエ”を語る一方、13日の菅首相との会談では、国際社会における中国の立ち居振る舞いに強い不満を表明。アジア歴訪の最大の狙いが中国牽制(けんせい)にあったことを改めて想起させた。

 不満の表明は、市場原理によらない中国の為替政策のほか、南シナ海や沖縄・尖閣諸島をめぐる挑発的行動、それに関する中国政府高官の強硬発言を念頭に置いたものとみられる。

 記者会見で中国に「責任あるパートナー」となるよう促したのは、「図体(ずうたい)(経済・軍事力)の割に無責任だと批判しているようなもの」(日米関係筋)だ。オバマ政権が発足当初、21世紀を「米中新時代」だと宣言し、戦略的関係の拡大を打ち出したのと対照的な対中政策の変化といえる。

 実際、中国の楊潔●(ようけつち)外相は10月下旬の米中外相会談で、尖閣諸島への日米安保条約適用に言及するクリントン米国務長官に「言葉を慎め」とかみつき、比較的中国に寛容だった米メディアから「驚くことはない。これが中国の本性だ」(米紙ウォールストリート・ジャーナル)と批判された。

 米国が「今後、何十年間もアジアに関与する」(オバマ氏)ことを表明したのは、欧米型の国際秩序への挑戦もためらわない中国に、経済・安保面での主導権を渡さないという意思の表れでもある。(佐々木類)

●=簾の广を厂に、兼を虎に

→米中関係についての冷静な判断が必要です。日米関係が重要です。

■【同盟弱体化】第5部 尖閣事件の陰(下)普天間切り離し策、米が一蹴
産経新聞 11月14日(日)7時56分配信

 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問と、北東アジア情勢の緊張度が増すなかで行われた13日の日米首脳会談。首相、菅直人は米大統領、バラク・オバマにまず謝意を示すことから始めた。

 「日中、日露間で生じた問題について力強く支援していただいたことをうれしく思う。米軍のプレゼンスがこの地域で重要という意識を私もだが、多くの国民や近隣諸国も持った」  

 米軍の重要性を認識せず、米軍普天間飛行場の県外移設論やグアムへの国外移設論で、日米同盟をがけっぷちまで追いやったのはどの政権だったか? 前首相、鳩山由紀夫がオバマに「トラスト・ミー」(私を信頼してほしい)と、普天間問題の解決を約束したのは1年前のこの日だった。

 「日本の防衛に対するわが国の決意は揺るぎない」

 中国に同盟関係の揺らぎをみせたくないオバマは最大限のリップサービスをした。ただ菅を全面的に信頼しているわけではない。

 「米軍再編ロードマップが進展を遂げることを期待している」

 オバマは普天間問題を先送りしないよう、クギを刺すことも忘れなかった。菅は日本の国内問題である沖縄県知事選(28日投開票)を言い訳に使った。

 「県知事選が終わった段階から、最大の努力をしていきたい」

 だが鳩山政権の後遺症は大きく、知事選でだれが勝とうと名護市辺野古への移設実現の見通しはたっていない。日本政府内では膠着(こうちゃく)状態が続くことを見越し、新たな動きも出ている。

                   ◇

 「普天間移設とグアム移転を切り離したい」

 政府高官は9月末に来日した米国防次官補、ウォレス・グレグソンを招いた食事会で切り出した。海兵隊出身で在沖縄米軍トップの4軍調整官も務めたグレグソンは、対日交渉の手綱を握る。

 「つまみ食いか」

 意図を瞬時に読みとったグレグソンは「ノー」と一蹴(いっしゅう)した。平成18(2006)年の日米合意では普天間移設と沖縄・海兵隊8千人のグアム移転をパッケージで2014年までに完了させることになっている。

 高官も原則は百も承知だが、事ここに至り、別の思惑が頭をもたげる。グアム移転が実現すれば、沖縄も県内移設を前向きに考えてくれるのではないか-。いわば「期待外交」だ。

 期待外交は民主党政権の常套(じょうとう)手段になりつつある。中国漁船衝突事件で中国側の軟化を期待して船長を釈放し、禍根を残した。普天間問題にしても、地元の風向きの変化に手応えがあるわけではない。

 それがまた米側の不信感を高める。普天間の混迷を棚上げし、グアム移転という「果実」だけを持ち逃げするように映るからだ。

                   ◇

 「来年前半に首相が米国にいらしてくれることを大変うれしく思う。同盟が深化するよう準備したい」

 オバマは会談終了後、記者団にこう語った。会談では来春にも共同声明を出すことで合意したが、実際のところ今年やるべきことを先送りしたにすぎない。

 菅とオバマが13日に発表した文書「日米同盟深化のための日米交流強化」には、学生や教員の交流強化など民間交流事業ばかりが並ぶ。それはそれで重要だろうが、同盟を直接的に深化させるものではない。

 目玉不足は同盟の「一丁目一番地」である普天間問題の未決着が招いた。拓殖大学大学院教授、森本敏は「核心の普天間移設が欠落した共同声明などあり得ない」と強調する。

 米側が求めているのも、約束の履行だ。普天間だけではない。尖閣問題でも米側には日本の「本気度」を訝(いぶか)る向きがある。

 「日本側が主体的に対応する覚悟を持つべきだ」

 10月中旬に訪米した元首相、安倍晋三に元国務副長官、リチャード・アーミテージは、尖閣問題で米国に依存しすぎないよう注文をつけた。

 日本がたどるべき道は明白だ。前防衛政務官、長島昭久は指摘する。

 「米国との間で北朝鮮と中国に対する脅威認識をすりあわせ、共通戦略目標を練り直す。役割分担を見直し、有事に使える空港・港湾の調査や自治体との協力も詰める必要がある」

 これが同盟を深く掘り下げていく作業であり、同盟活性化のカンフル剤にもなる。民主党政権が国を守る気概を身をもって示すための猶予は長くはない。(敬称略)

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 この連載は有元隆志、加納宏幸、半沢尚久、酒井充、斉藤太郎が担当しました。

→「日中、日露間で生じた問題について力強く支援していただいたことをうれしく思う。米軍のプレゼンスがこの地域で重要という意識を」多くの国民は持っていました。持っていなかったのは日米中正三角形論の民主党でしょう?

■<APEC>米頼み 独自性に足かせ 菅外交 修復なお課題
毎日新聞 11月14日(日)8時49分配信

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)議長国として、各国首脳を横浜に迎えた菅直人首相。日中首脳会談の実現にこぎつけたものの、一方で日米の連携強化をアピールして中国をけん制し、「米国頼み」で外交立て直しを図る姿勢を鮮明にした。

 ただ、日米関係も一皮むけば、米軍普天間飛行場移設問題の解決にめどが立たず、年内の発表を目指した同盟深化の共同声明は来春の首相訪米まで先送り。日露首脳会談でも北方領土問題の進展はなく、外交が菅政権の足かせとなっている状況は続きそうだ。

 「日米安保条約は(改定から)50周年を迎えているが、日米安保、米軍のプレゼンスの重要性を多くの国民が感じたと思う」。首相は13日の日米首脳会談でオバマ大統領に同盟深化を図る意義を強調。大統領は会談後の共同プレス発表で「日本の防衛に対する我が国の決意は揺るぎない」と応じてみせた。

 しかし、同盟深化の具体化に向け、多くの課題が積み残しのままだ。普天間移設問題を巡っては、沖縄県知事選(28日投開票)で事実上の一騎打ちとなっている現職と新人がいずれも同県名護市辺野古に移設する日米合意の修正を主張。首相は会談で「知事選の後、日米合意をベースに最大の努力をしていきたい」と苦しい説明をするしかなかった。

 民主党が野党時代に削減を主張していた在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)についても、日米首脳は「より安定的、効率的、効果的なものにしていく基本的方針」で一致。事実上、現状維持を受け入れた。外務省幹部は「この問題でけんかしている場合じゃない」と説明。日中関係の悪化、それに伴う対米傾斜が外交政策の独自性も失わせつつある。

 国内では沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件への政府対応が批判を浴び、衝突時のビデオ映像流出によって菅政権の統治能力に疑問符がつき始めている。中国の胡錦濤国家主席と戦略的互恵関係の発展を確認したからと言って、失われた「菅外交」への信頼はすぐには戻らない。【平田崇浩】


→独自外交?国際情勢をまず見定めて。この1年の極東の不安定化の根本原因の一つが日本の民主党政権誕生だったと世界史に残ることでしょう。

■日中・日露首脳会談 「譲歩」重ね失った信頼
産経新聞 11月14日(日)7時56分配信

 ◆“念願”の22分間

 菅直人首相「心から歓迎します」

 胡錦濤・中国国家主席「お招きいただきありがとうございます。今回の会議にあたって周到な準備をされました。成功できると信じています」

 横浜市内の国際会議場で急遽(きゅうきょ)実現した日中首脳会談。両首脳はぎこちない表情で社交辞令を交わした。

 9月7日に沖縄・尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が起きて以来、首相は国際会議に出席するたびに中国に振り回された。

 ブリュッセルでのアジア欧州会議(ASEM)の際は廊下で約25分間の「懇談」。ハノイでの東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議では、予定の会談をドタキャンされたあげく、控室で約10分間の「立ち話」…。

 そして、念願の正式会談は22分間。ブリュッセルでの「廊下懇談」よりも短いが、首相には通訳を伴い「座って話す」ことが何より重要だった。

 会談に漕ぎ着けるまで日本政府は中国側への「配慮」と「譲歩」を重ねてきた。

 衝突事件で逮捕した中国人船長は勾留(こうりゅう)期限前に釈放。中国漁船の故意性を証明するビデオ映像が極力国民の目に触れないように努力した。映像がインターネット上に流出してもあえて「由々しき事件」として扱うことで中国側の理解を得ようとした。

 「日中の関係改善に向けて大きな一歩を踏み出した」

 首脳会談に同席した福山哲郎官房副長官は胸を張ったが、「配慮」はなお続いた。

 記者「尖閣に関し『日本の確固たる立場』を伝えたそうだが、具体的にどういう発言したのか」

 福山氏「外交上のやりとりなので詳細は控える。外交文書も30年ルールがある」

 首相は8日の衆院予算委員会で、胡主席との会談が実現すれば「尖閣諸島がわが国固有の領土であり、この地域に領土問題は存在しないと必ず申し上げる」と明言した。どんな「確固たる立場」を伝えたのか、説明責任があるはずだが、周辺は口をつぐむ。

 ◆中国「交談」扱い

 しかも中国外務省は最終的に正式な会談ではなく「交談」と発表。首相の努力は水泡に帰した。

 ロシアのメドベージェフ大統領との会談も実現したが、これもやはり「配慮」と「譲歩」のたまものだった。

 最近になって前原誠司外相が「不法占拠」という言葉を口にしなくなった。「北方領土は日本固有の領土であり、ロシアの不法占拠が続いている」という政府の基本スタンスは変わっていないはずだが、首相も首脳会談でこの言葉を封印した。「日本固有の領土」とさえ言わなかった。

 だが、メドベージェフ大統領は「クリール諸島は将来もロシア領だ」と断言。仙谷由人官房長官が主導する「しなやかでしたたかな柳腰外交」はまたもや通用しなかった。

 ◆支持率「危険水域」

 この2カ月余りで首相はいろいろなものを失った。

 一部世論調査では、内閣支持率は政権運営の「危険水域」とされる20%台に落ち込んだ。国民からの信頼は急速に失われつつある。

 もっと深刻なのは、国際社会の評価だ。

 APEC首脳会議の全体会合冒頭で象徴的な場面があった。各国首脳のほぼ全員と親しげに握手を交わす韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領。その様子を着席したまま見つめる菅首相。「どっちが議長国なのか分からないな…」。外国人記者からこんな失笑が漏れた。

 「つくづく外交というものは難しい。言いたくても言えないことがある」

 前原氏は12日の記者会見でこう愚痴(ぐち)をこぼしたが、政権が言うべき言葉を失えば、見放されても仕方あるまい。(船津寛)

→米中関係の根本的な質的変化の結果の一つであることをお忘れなく。そこをわすれると、また、次の瀬踏みがはじまり、危機が発生します。