「投稿」ビデオ:海保は報道機関配布用映像DVD化作業に着手したが官邸サイドの意向で中止? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「投稿」ビデオ:海保は報道機関配布用映像DVD化作業に着手したが官邸サイドの意向で中止?

秘書です。

今朝の読売新聞33面の記事にご注目。

①「日夜、日本の海を守る海上保安官の姿を広く知ってもらう必要がある」として、普段から現場で撮影した映像を比較的オープンにしてきた

②衝突事件のあった9月7日、海保本庁は報道機関への配布用に映像をDVDにする作業に着手したが、官邸サイドの意向で中止した

③馬淵国土交通相が、映像の厳重管理を指示したのは10月18日になってからだ

④流出した映像は国家公務員法上の『秘密』には当たらず、刑事罰には疑問がある


これこそ問題の核心部分です!


■尖閣ビデオ流出 立件に賛否 法曹界「秘密」の解釈巡り
11月10日読売新聞

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■「刑事罰」には疑問
 「流出した映像は国家公務員法上の『秘密』には当たらず、刑事罰には疑問がある」。堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)はそう話す。
 最高裁は1977年、同法違反に問われた税務署職員の裁判で、①一般人が知らない②秘密として保護するべきーーの2つの条件を満たす場合にのみ、守秘義務の対象になるという判例を示した。行政機関が形式的に秘密扱いにしていただけでは、漏らしても犯罪には当たらないことになる。
 堀部氏はこの基準について、「国民の知る権利の観点から、公務員の守秘義務の範囲が安易にひろがらないようにした」と解説した上で、「今回は流出前から、海上保安庁が船長逮捕の会見で衝突の経過を詳細に説明し、衆院でもビデオが限定公開されて議員がその内容を記者に説明しており、一般人が知らない情報とは言えないのではないか」とする。

■海保と映像
 ・・・「日夜、日本の海を守る海上保安官の姿を広く知ってもらう必要がある」として、普段から現場で撮影した映像を比較的オープンにしてきた。2001年に奄美大島沖で起きた北朝鮮不審船事件でも、不審船の銃撃や沈没を撮影した映像を公開。内部でも「危険な職務の実態を伝えられた」と評価されている。今回も、衝突事件のあった9月7日、海保本庁は報道機関への配布用に映像をDVDにする作業に着手したが、官邸サイドの意向で中止した。馬淵国土交通相が、映像の厳重管理を指示したのは10月18日になってからだ。行政情報に詳しい弁護士は、「管理が緩かった時期に映像を持ち出し、国民の知る権利のためにあえて公開したとすると、裁判で違法性が否定される可能性もある」と指摘する。
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→さらに、下記の産経新聞を見てください。
ここに出てくる自民党の佐藤正久参議院議員のプロフィールは、

防衛大学校、米陸軍指揮幕僚大学卒
平成8年 国連PKOゴラン高原派遣輸送隊初代隊長
平成16年 イラク先遣隊長、復興業務支援隊初代隊長

そして、自由民主党では、

「影の内閣」防衛副大臣兼ねて国防部会長代理
参議院自由民主党政策審議会副会長
防衛政策検討小委員会委員長

です。その軍事のプロフェッショナルな経験のある佐藤議員の発言として次の記事を読んでください。


■【尖閣ビデオ流出】「映像非公開はおかしい」 参院外交防衛委員会理事の佐藤正久氏が石垣海保を訪問
2010.11.9 20:10産経新聞

 参院外交防衛委員会の理事で、自民党の佐藤正久参院議員が9日、石垣海上保安部(沖縄県石垣市)を訪れ、中国漁船衝突の映像流出事件について「映像は問題ない内容で、公開しなかった菅政権の判断はおかしい」と述べた。

 佐藤氏は石垣海保の尾崎正宏部長から業務の説明を受けた。佐藤氏によると、映像流出について尾崎部長は「データ管理が若干、甘かった」との認識を示したという。

 佐藤氏は記者団に「『流出』というより『投稿』という表現がいいのかもしれない」と指摘。「いかに主権を守るかが一番大事。捜査協力も重要だが、士気が低下して離島警備が二の次になってはならない」と話した。

 参院外交防衛委は11日に石垣海保を訪れるが、佐藤氏はスケジュールが合わず、日程を前倒しして訪問した。

→軍事のプロフェッショナルな経験を持つ議員が、「映像は問題ない内容で、公開しなかった菅政権の判断はおかしい」、「『流出』というより『投稿』という表現がいいのかもしれない」との認識を持っている。(今後は「投稿」と表記します!)

→それに対して、菅民主党政権は機密保護法まで持ち出して、国民の知る権利を制限しようとしている!
何を隠そうとしているのか?菅民主党政権の失政を国家機密として隠そうとしているのではないか?


【社説】尖閣ビデオ問題 情報統制は許されない
2010年11月10日中日新聞

 尖閣事件をめぐるビデオ映像の流出問題は、検察と警察が捜査に乗り出した。看過できないのは、これを機に政府が秘密保全の法整備を公言したことだ。情報統制の強化には強い懸念を抱く。

 インターネット上にどういう経緯で、海上保安庁が撮影したビデオ映像が流出したのか。東京地検と警視庁に望まれるのは、まず真相解明である。仮に内部者による漏えいなら、組織の信用性を揺るがす行為である。

 ただし、ただちに守秘義務違反の罪に問われるかどうかは、専門家の間にも意見の違いがある。役所が形式的に秘密としているだけでは刑罰が科されないからだ。最高裁の判例で、国家公務員法の守秘義務については「実質的にもそれを秘密として保護するに値する」ものが対象としている

 政府が尖閣ビデオを「秘密」とするのは、刑事事件での証拠であることと、外交上の問題であることだ。だが、中国船の船長は検察が既に釈放しており、事実上、起訴できない状況である。ならば、証拠としてのビデオを秘密とする根拠は、著しく低下しているといえるのではないか

 そもそも中国漁船の衝突場面は、公海の場での映像であり、仮に民間人が撮影していた場合は、秘密にならないのは当然である。

 外交を考えると、確かに高度な政治的配慮や判断もあり得る。ただし、このビデオ映像が外交の“切り札”に該当するのかどうか。むしろ、既に流出し、報道された映像を見た国民は、中国船の実態を目の当たりにして、驚きを新たにした。公開されて当然の映像が、なぜ今なお隠され続けるのか。その意図を疑う国民も多いだろう。

 さらに、いまだ流出ルートも漏えいした人物なども不明な段階で、仙谷由人官房長官が国会で、国家公務員の守秘義務違反の罰則強化とともに、「秘密保全法制」に言及したことは、筋違いである。 自民党もこれに同調する姿勢を示したことは見逃せない。

 この動きの本質は「情報統制」の言葉に集約されるのではないか。公務員に広範な情報統制を敷くことで、国民が必要とする情報の“蛇口”が極端に狭まる恐れがあろう。知る権利の大きな制約となりかねない

 自民党政権下の一九八五年には、国家秘密法案が廃案になった経緯もある。情報公開の流れとは全く逆方向で、「表現の自由」が後退する事態を憂慮する。

→情報公開の例外事項として国家機密を規定すべきで、そうでなければ、政権の失態に関する情報もすべて国家機密扱いになることでしょう。昨日の「極秘」答弁資料写真の「盗撮」発言などはそのいい例です。

■尖閣ビデオ投稿は是か非か 「犯人捜ししないで」電話も
2010年11月9日朝日新聞

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐるビデオ映像の流出問題で、市民から映像の投稿者を擁護する声が上がっている。捜査当局が刑事責任追及の動きを加速させるなかで異例の反応だ。

■海保に激励相次ぐ 

 東京・霞が関。海上保安庁政策評価広報室では、ビデオ映像の流出が明らかになった5日午前から、11人の職員が電話の対応に追われている。

 「映像が見られてよかった」「海保が現場で頑張っているのが分かった」。8日午後3時までに約250件の声が寄せられた。ほとんどが、ネットやテレビで映像を見た人からの応援の声だ。「セキュリティーをしっかりしろ」といった批判は25件ほどに過ぎない。石垣海上保安部にも「犯人捜しをしないで」といった電話が相次ぐ。

 映像の流出を評価する声が多いのは、ネットの世界も同様だ。「投稿された方の勇気と愛国心に感謝したい」。ユーチューブでは、最初に投稿した人物への賛辞が、動画のコメント欄に並ぶ。

 ツイッターでは、国家公務員法(守秘義務)違反などの疑いで捜査する方針が報道され始めた7日ごろから「映像を隠そうとした政府の方が問題だ」との批判が渦巻く。さらに「国民の知る権利を制限する方が重罪」と、矛先は検察にも向けられている。

 実は検察内部でも、流出元の刑事責任を問うかどうかについて異論がある。「衝突させた漁船の中国人船長は処分保留で釈放し、起訴しない見通しだ。なのに、映像を流出させた公務員を起訴するのは、世間は納得しないのでは」と語る幹部もいる

 沖縄返還の機密公電を暴露した西山太吉・元毎日新聞記者らが国家公務員法違反に問われた裁判で、最高裁は1978年、守秘義務の対象は、形式的な秘密指定の有無で決まるのではなく、「実質的に秘密として保護に値する」かどうかで決まると判断した。今回の映像は「実質秘」にあたるのか。「国会議員は見ているのだから、秘密性が高いとは思わない国民も多いだろう」と、この幹部は語る。

■政府なお非公開

 8日昼、衆院予算委員会で質疑に立つ野党側議員ら約25人が国会の一室に集まった。報道陣を閉め出した「密室」で、約6分50秒の衝突ビデオが上映された。1日に衆参予算委理事らに示されたのと同じ映像だ。中井洽委員長は「質問に資するため。これ以上(公開対象を)広げられない」と話した。

 だが、もっと詳しい流出映像がネット上に拡散したままで、テレビも繰り返し報じている。茶番のような上映会を終えて、小泉進次郎衆院議員は「国民は40分見ていて、国会議員は6分しか見られない」と記者団に語った。

 刑事事件の「証拠物」にあたるとして非公開を決めた判断を、政府・与党は変える口実を見つけられない。

 出発点で非公開とした判断の是非が問われる中、政府は再発防止に議論の焦点を移そうとしている。仙谷由人官房長官は8日の衆院予算委で「国家公務員法の守秘義務違反の罰則が相当軽い」と、罰則強化を検討する考えを打ち出した。記者会見では、機密情報の保全措置や法整備を検討していく考えを示した。

 ただ、「秘密とすべき事項を現代社会において、知る権利との関係でどう設定するのかというのも一つの問題」とも語った。「非公開」への世論の逆風を感じながら、議論の着地点を探っている。

■尖閣映像流出:仙谷長官、秘密保護法に意欲
2010年11月9日毎日新聞
 【東京】仙谷由人官房長官は8日の衆院予算委員会で、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件の映像流出問題に関連して「国家公務員法の守秘義務違反の罰則は軽く、抑止力が十分ではない。秘密保全に関する法制の在り方について早急に検討したい」と述べ、秘密保護法の制定に前向きな姿勢を示し、検討委員会を早期に立ち上げる考えを示した。武正公一氏(民主)への答弁。
 流出した映像内容ではなく、流出した事実を重く見て秘密保護法の必要性を強調する姿勢は、沖縄返還時の米側経費の日本側の肩代わりをめぐる密約が、「機密漏洩(ろうえい)事件」とすり替えられ、国民の「知る権利」が損なわれた事例と重なる。議論を呼ぶことは必至だ。
 石破茂氏(自民)が「秘密保護法を制定すべきということに、民主党はネガティブ(消極的)だった」とただした。仙谷氏は「早急に検討して成立を図る方向で努力したい」と述べた。
 その上で仙谷氏は情報技術(IT)の進展に政府の情報管理が追いついていないとの現状認識を示した。(琉球新報)

→追いついていないのは、IT時代における国民の知る権利についての認識です。

■尖閣映像「秘匿実益あるのか」中央大法学部長
2010年11月07日09時00分高知新聞
 中央大学法学部長の橋本基弘教授(51)が6日、高知市内で講演し、沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件の映像がインターネット上に公開された問題に触れ、「国民の知る権利とのバランスを考え、(映像を)秘密として保護する実益があるのか」と憲法上の観点から、これまでの政府対応に疑問を呈した。
 橋本教授は講演とその後の取材に対し、中国漁船との衝突を撮影したビデオの流出それ自体については現行法上、「国家公務員法の秘密保持義務違反に問われる可能性は高い」とする一方、憲法が保護する国民の知る権利の観点から、  「(政府が)『秘密』として保護するだけの実益があるのか、という点を考えなければならない」 と指摘。
 多くの国民が公開を求めている現状を踏まえ、「(外交的配慮や捜査資料であることなどの)事情が国民の知る権利より重いのか」「裁判になった場合、争う余地はある」などと述べた。
 講演会は、同大創立125周年記念として、高知市本町5丁目の高知会館で開催。橋本教授は1991~2004年の間、高知女子大学や高知大学で教授、講師などを務め、県公文書開示審査会委員、県男女共同参画社会推進懇話会委員なども歴任した。

→秘密を保護する実益は、権力者が守りたい何か、なのでは?安全保障上の問題ではなさそうなことは、佐藤正久議員が指摘しています。


【尖閣ビデオ流出】巡視船の修理額は1千万円超 中国側へ損倍請求は?
2010.11.9 23:52産経新聞

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で、船体に被害を受けた石垣海上保安部(沖縄県石垣市)所属の巡視船「みずき」と同「よなくに」の修理費用が計1千万円超にのぼることが9日、政府関係者の話で分かった。政府は当初、修理費用を中国側に求める方針を強めたが、事件のビデオ映像流出後は一転、「関係省庁の協議で適切に対応する」と慎重な構えをみせており、先行きは不透明だ

 船の修理費用について仙谷由人官房長官は、9月末の時点では「(船は)相当傷つけられており、原状回復について協議をしなければならない」と中国側へ修理費用を求める考えを強調。しかし、9日の衆院予算委員会で中国側への請求について質問した高市早苗議員(自民)に対し、菅直人首相は「今後、関係省庁間の協議により適切に対応される」と答弁。一方で仙谷氏は「漁船の持ち主か船長に請求することになる」としており、足並みの乱れが目立つ。

 2隻の損害額の算定は、修理後に第三者機関が数週間の調査を経て行う。政府関係者は「ドック使用料や船体の修繕などで2隻の修理費用が1千万円を超えるのはほぼ間違いない」との見方を示している。

 流出映像では、中国漁船が故意に「よなくに」の船尾と「みずき」の右舷に衝突している。

 海上保安庁によると、「みずき」は右舷の白色塗料がはげ、船体を覆う外板部分が縦約1メートル横約3メートルにわたり陥没した。海保は10月に約2週間、沖縄県内の造船所で緊急修理を実施。現在は通常業務に戻っている。造船所は「(修理内容は)守秘義務で答えられない」としている。

 「よなくに」は、ヘリコプター甲板の手すりの支柱が折れるなどの被害を受けた。11月中旬に鹿児島県内の造船所で約1カ月間の定期修理を受ける予定だったため緊急修理は行わず、この修理期間中に被害個所を直すという。


→なぜ、ビデオ「投稿」後は、修理代請求に慎重になったのか?ビデオ非公開についての密約があり、密約違反を叱られたのか?