人口減少と物価:白川日銀総裁の説と高橋洋一さんの説と | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

人口減少と物価:白川日銀総裁の説と高橋洋一さんの説と

秘書です。
①人口減少と物価の問題について、②国際収支不均衡や為替レート変動はすぐれて貨幣的現象である



■最近の金融経済情勢と金融政策運営── きさらぎ会における講演 ──
日本銀行総裁 白川 方明(2010年11月4日)
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1011a.pdf

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物価面では、新興国や資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇などによって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方で、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもあるとみています。

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本日は、リーマン破綻後の世界経済および国内経済の動向、金融政策運営について、ご説明しました。色々な場で申し上げているように、また、皆様自身もお感じになっていることだと思いますが、日本経済の課題という点では、短期循環的な問題と並んで、成長力の趨勢的な低下という、より中長期的な課題への対応も極めて重要です。そこで、最後に、この点について、簡単に触れたいと思います。1990 年代以降の日本を振り返りますと、経済成長率が趨勢的に低下しているうえ、労働力人口は1998 年をピークに、総人口は2005 年以降、減少に転じています。この人口動態の変化、特に労働力人口の減少はボディーブローのように大きな影響を日本経済に及ぼしています。このことは、今後、国内市場の拡大が見込めるのか、あるいは将来的に安定した雇用や所得が得られるのか、財政は維持可能なのかといった点を考えるだけでも明らかです。こうした点について、国民の不安感が拡がると、現在の家計の消費活動や企業の設備投資行動を抑制してしまいます。長期にわたる需要の低迷や、それによって生じる需給ギャップのもとでのデフレという現象も、より根本的にはこのような中長期的な成長期待の弱まりが原因です。


人口と物価の関係については、高橋洋一さんの10月13日頃のツイッターに頻繁にでております。
http://twitter.com/YoichiTakahashi

まとまったものとしてはこちら。

■高橋洋一の民主党ウォッチ 「人口減少でデフレになった」 本当かどうかデータから検証する
http://www.j-cast.com/2010/10/14078201.html?p=all

高橋さんの文にでてくる参考試算はこちら。

■生産年齢人口が減るとデフレになる?
http://tacmasi.blogspot.com/2010/10/blog-post.html

通貨・準通貨増加率と物価上昇率の間には高い相関がある。
一方、人口増加率、15-64歳人口比率の変化は、物価上昇率とは無相関。


ところで、高橋さんのツイッターに、

「私がいう二国の通貨量の相対比で為替レートの8~9割説明可能というのは、白川総裁が31年前に書いた論文と同じマネタリーアプローチの実証からでてくる。米ドルの代わりに日本国内のモノをもってくると、モノに比較してカネが少ないので、モノの値段が安くなるデフレもいえる。円高とデフレは同じ 」

とあります。

それは、31年前のある論文と同じマネタリーアプローチからでてくる結論なのだそうです。



■「マネタリーアプローチによる国際収支・為替レートの実証分析-わが国のケースを中心に-」
(1978年4月、1979年5月加筆訂正)
http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/shiryou/kks3-2.pdf

「実証結果は「国際収支不均衡や為替レート変動はすぐれて貨幣的現象である」というマネタリー・アプローチの基本命題を実証的に明らかにするとともに、次のような政策的インプリケーションを示すものといえよう。すなわち各国通貨当局の政策スタンスは国際収支、為替レート変動に極めて大きな影響を及ぼすということである。
例えば、わが国が外国に比し相対的に引き締め敵な金融政策をとると、わが国の国際収支は黒字となり、円レートは上昇する。また、米国が相対的に拡張的な金融政策をとると、米国において通貨の超過供給を貼っていさせることにより米国の国際収支赤字(その他諸国の国際収支黒字)。ドル・レートの低下を惹起する。」


へえー、高橋洋一さんと同じようなことを実証分析していた人が31年前の日本にいたんですね。

ここで問題です。

(Q)高橋洋一さんの主張と同じアプローチの実証分析を31年前にしていたのは誰でしょう?



(A)正解は、白川方明さんです。つまり若かりし頃の現日銀総裁でした!