今朝の日ロ関係ニュース | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

今朝の日ロ関係ニュース

秘書です。
日露関係について。


■駐露大使から菅首相らが事情聴取 与野党から批判
産経新聞 11月4日(木)7時42分配信
 菅直人首相は3日、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土・国後(くなしり)島訪問を受けて一時帰国した河野雅治駐露大使を首相公邸に呼び、訪問の経緯やロシアの国内情勢について事情を聴いた。一時帰国は事実上の抗議に当たるため、政府はロシア側の出方を見て、大使の帰任時期や対抗措置を検討する。前原誠司外相は同日、今月中旬に横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会合で来日予定のロシアのラブロフ外相と会談し、直接抗議する考えを示した。

 首相への報告には外務省の佐々江賢一郎事務次官らが同席し、約1時間に及んだ。河野氏はこれに先立ち前原氏と仙谷由人官房長官にも個別に報告した。

 前原氏は報告を受けた後、記者団に対し、「日露外相会談は行いたい。日本の考え方をしっかり伝える。同時に、今後の日露関係のあり方も意見交換し、協力関係を築く文脈で議論したい」と述べた。

 また、大統領が歯舞群島、色丹島の訪問も計画していることについて「北方四島は日本固有の領土だ。われわれの立場はロシアにも伝えてある。そのことを踏まえてもらいたい」と語り、ロシア側を強く牽制(けんせい)した。

 河野氏は3日午前、モスクワから成田空港に到着した。河野氏は記者団に対し、13日からのAPEC首脳会議での日露首脳会談について「基本的にはあるのではないか。具体的な日程調整はまだできていない」と述べた。

 一方、11月1日の大統領の国後島訪問を事前に察知できなかった日本政府の情報収集能力に対し、与野党から批判の声が上がっている。

 河野氏は10月28日にモスクワで行った記者会見で「具体的な(訪問の)計画があるとは承知していない」と述べていた。河野氏は一連の報告で、訪問の動きを事前把握していたかただされたとみられる。

 民主党出身の西岡武夫参院議長は2日の会見で「大統領は9月にも(訪問すると)言っていた。時間があったのに何もしていなかったとすれば政府の怠慢だ」と批判した

 自民党など野党も首相が大統領の訪問を「報道で知った」と発言したことを問題視しており、4日から始まる平成22年度補正予算案審議で追及する構えだ。


■<北方領土>「露のシグナル見逃す」 東郷元欧州局長が分析
毎日新聞 11月4日(木)2時30分配信

 ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問について、ロシア情勢に詳しい元外務省欧州局長(当時・欧亜局長)の東郷和彦・京都産業大学教授は毎日新聞のインタビューに「7月の択捉島での軍事演習や事実上の対日戦勝記念日制定などの延長線上にある」との見方を示した。3日に一時帰国した河野雅治駐ロシア大使は菅直人首相らに「12年の大統領選を見据えた国内向けの動き」との分析を伝えた模様だが、東郷氏は麻生、鳩山両政権の瑕疵(かし)が要因との見方を提示。現在の政府・外務省とは真っ向から対立する見方に立って警鐘を鳴らしている。【西田進一郎】

 東郷氏は最近1年間の日露関係を考察し、(1)ラブロフ外相が7月に演説した際、アジア太平洋で協力関係を進めたい国として韓中印ASEAN(東南アジア諸国連合)などを挙げたが日本は含まれなかった(2)7月に択捉で軍事演習(3)9月に太平洋戦争勝利記念日制定--などを挙げ、「顕著に悪化した」と強調。この延長線上に訪問があると位置づけた。

 最近の北方領土交渉を振り返って「06年の安倍晋三政権の成立以来、昨年5月のプーチン首相来日までは、ロシア側は『領土交渉を進めよう』というシグナルを繰り返し出してきた」と指摘。にもかかわらず、麻生太郎首相(当時)が「ロシアが北方領土を不法占拠している」と発言したことが日露関係悪化の発端との認識を示した。「大統領が『交渉を本当にやろうと真剣に思っているのなら、相手の国民世論を憤慨させるようなことはやめてくれ』と強烈なメッセージを送ったにもかかわらず、(麻生政権の後の)鳩山(由紀夫)前政権でも同じ趣旨の答弁書を出した」として、ロシアの態度硬化に拍車をかけたと断定。「ロシア側は日本は交渉する気がないと受け取った」と語り、その後の関係悪化につながったとの見方を示した。

 東郷氏は「交渉で領土を取り返す以上、日本政府はロシア側のシグナルを外してはならなかったのに、『やる気がない』と彼らが受け取るメッセージを昨年出してしまい、(現在の菅政権に至っても)修復の兆しはない」と最近の歴代政権を批判した。

 ◇モスクワ勤務3回…東郷氏

 東郷氏は、祖父茂徳氏(元外相)、父文彦氏(元外務事務次官、駐米大使)と3代にわたる外交官。68年に外務省に入省し、3回にわたるモスクワの日本大使館勤務やソ連課長、欧亜局長(01年に欧州局長)などを歴任した。鈴木宗男前衆院議員との太いパイプで領土問題に取り組んだが北方四島支援事業などに鈴木氏が関与した問題に絡み、駐オランダ大使を最後に免職となった。今年3月には、衆院外務委員会の参考人質疑に出席、日米核密約に関する内幕を暴露して話題を呼んだ。


→菅民主党政権はどのようなメッセージをロシアに出せるのか?2012年の大統領選挙を前に何ができるのか?強い政権を望むロシアにどんなサインを?南方と北方の2正面作戦に追い込まれてしまったことをどう修復するのか。APECという多国間外交の場で逆転の契機をつかむことができるのか?