今朝の米国中間選挙関連ニュース:日本の視点から | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

今朝の米国中間選挙関連ニュース:日本の視点から

秘書です。
米中間選挙関連ニュースです。

今朝の読売新聞は、1面の「オバマ敗北(上)対中協調軌道修正も」という解説記事で、

「新議会では、共和党がオバマ政権に対中政策見直しを促すのは必至だ」
「政策研究機関「カーネギー国際平和基金」のダグラス・パール副理事長は、「オバマ政権は、議会から中国に強い姿勢を見せろと突き上げられる」と述べ、対中政策が協調から圧力に軸足を移す可能性を指摘している。」


→中国側の昨晩からの様々のメッセージはそうしたものを反映している可能性があります。柳腰外交派のみなさんはそこまで視野に入れていますか?でも、みなさんにもとても辛い判断が迫られる可能性もあります。

「・・・中間選挙では、大きな政府反対の「茶会運動」系をはじめとする保守派が台頭。カネのかかる米軍の海外前方展開を縮小し、同盟国に負担増を求める声が強まる、との指摘が出ている。」

「複数の日米関係筋は、交渉中の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する新たな特別協定で、基地維持に必要な光熱費や基地労働者労務費が削減されれば「日本が批判の的になる」と、新議会への懸念を強めている。」


「親日派とされるダニエル・イノウエ上院歳出委員長ですら、・・・こう警告した。「米国の軍隊が東アジアに永久にいるわけではないだろう。米国はそこまで忍耐強くない。」

→柳腰外交派のみなさんは、軽はずみにも反米心情を表に出して「米軍がでていくならいいじゃん」と思ってはいけません。昨晩の環球時報をみてもわかるように、中国が冷静になりつつあるのは米国の要因によるものであって、必ずしも、官邸が冷静に、冷静に、といっているからではありません。冷静に、冷静に、といっていれば、漁船監視船がいなくなるわけではない。日米安保をどするのか、防衛計画大綱をどうするのか、そして憲法をどうするのか?

→ゆらりゆらゆらただようだけの柳腰外交派のみなさんで、米中間選挙による議会構成変化の好機をつかみ、危機を防止することができるでしょうか?好機をのがし、危機を深めるのでしょうか?

→では、議会共和党はどのようなことを要求すると予想されているのでしょうか。


■米共和党の躍進で待ち受ける衝突
2010年 11月 3日 19:50 JST WSJ日本版
. 税金:ブッシュ政権から引き継がれた所得減税と相続減税が2011年1月1日に期限切れを迎える。機能不全に陥った議会に目先、困難が待ち受ける。

 歳出:共和党は来年、赤字削減に向け1000億ドルの歳出削減を望んでいる。一方、議会は、政府に資金を供与するための法案も可決させる必要がある。オバマ大統領は11年初めに2012会計年度(11年10月-12年9月)予算教書を議会に提出する。

 赤字:現在、14兆3000億ドルの連邦債務の上限は、11年初めに再度引き上げられねばならず、財政保守派との間に早々に火花が散りそうだ。ホワイトハウスは、財政赤字削減策を協議する超党派委員会が12月1日に勧告する財政健全化策を待っている。

 ヘルスケア:共和党はオバマ大統領の医療保険制度改革を後退させ、資金拠出プログラムを停止させるよう試みている。

 景気刺激:オバマ大統領は投資を増やすための事業減税の実施とインフラ銀行の設立を提案しているが、これまでのところ動きは緩慢だ。将来の減税の一要素としてこれらが採用される可能性はある。

 戦略兵器削減条約(START):新たに選出された保守系議員の就任前に、民主党はオバマ大統領が提唱しているロシアとの核兵器削減条約を可決させたい意向。ただ、一部の共和党員はこれを先延しにしたいと考えている。

 聞かざる・言わざる政策:ホワイトハウスは同性愛者による軍勤務を禁じたクリントン政権時代の政策の撤廃を議会に求めている。国防総省は12月に報告を提出する見込みだ。

 貿易:韓国(交渉中)やパナマ、コロンビアとの2国間協定は、議会の承認待ちだ。

 気候変動:共和党議員と一部の民主党議員は、環境保護庁による温室効果ガス規制を容認しないよう求めている。温室効果ガスの大幅削減などを盛り込んだ温暖化対策法案の可決を目指す民主党の政策からの転換となる。

 移民:一部の民主党員は若年不法移民の法的地位の確保を求めている。一方、共和党員は国境警備の強化を目指している。

 米軍グアンタナモ基地:議会はキューバの米軍基地からイリノイ州トムソンの拘置所へと抑留者を移動させる法案を検討する可能性がある。

 食の安全:議員は食品医薬品局(FDA)に、食の安全をめぐるより強力な権限を与える可能性がある。一方、小規模農家はこれに反対している。


■難航必至の政権運営―オバマvsねじれ議会
2010年 11月 3日 17:50 JST WSJ日本版
 【ワシントン】2日の米中間選挙は、共和党が4年ぶりに下院を制する一方、民主党は上院で辛うじて過半数を維持した。オバマ大統領は、「ねじれ」議会への対応という難しい舵取りを迫られることになった。

 大統領にとって、民主党後退の“犯人捜し”をしている余裕はない。失われた支持を回復し、2012年の再選に向けて待ったなしの戦いが始まる。

 民主党指導部では、妥協案による対応はすべきではないとの声が聞かれ、ナンシー・ペロシ下院議長は2日、「われわれは新たな道に踏み出した。過去の失敗に戻ることはない」と述べた。

 一方、共和党側では、ホワイトハウスとの協調の可能性について、まだ足並みがそろっていないことをうかがわせる発言が続いた。歩み寄りを示唆する共和党議員もいるが、上院院内総務のミッチ・マッコーネル議員は、最優先事項はあくまでオバマ再選阻止であると明言した。

 2日の投票は、2008年にオバマ当選を支えた浮動票が一気に反対票に回ったことを示すものとなった。再選を目指すオバマ大統領は、共和党との妥協を図るか、逆に、左旋回で、支持を失ったリベラル派の信頼を取り戻す必要がある。このところの大統領は、双方の機嫌を取ろうとしていた感があるが、今後は明確な方向性を示さなければならない。

 大統領は先週末のラジオ演説で、雇用拡大と民間部門の立て直しに向けて「妥協点」を探る、としていたが、2日には、共和党主導の議会は過去1年半に民主党が成し遂げた変革を危うくする可能性があると危機感をあらわにしている。

 民主党内では、共和党との協調路線に前向きな発言も聞かれた。今回、デラウェアの上院選で勝利したクリス・クーンズ氏は、歩み寄りの重要性を強調し、オバマ大統領にもそう進言したいと述べた。クーンズ氏は「デラウェアの有権者は、党派間の争いをやめ、共同で問題解決に当たることを求めた」と語った。

 実際、民主、共和両党が譲歩できる余地は残っている。財政支出の削減、ブッシュ政権の減税延長、インフラ投資、国際貿易などの分野がその例だ。オバマ大統領は今回の選挙戦で、企業が雇用を再開できる環境を整える必要性を繰り返し訴えたが、この点についても、両党間に温度差はない。

 民主党内部では、多くの政策ストラテジストが大統領に協調路線を求めている。オハイオ、ペンシルベニア、ノースカロライナなど08年のオバマ当選を支えた州で無党派層の信頼を取り戻すには、共和党との共同歩調が不可欠、との見方が大勢だ

 クリントン政権で顧問を務め、オバマ大統領の支持者でもあるラニー・デービス氏は、「大統領は財政赤字削減を進め、企業との信頼関係を再構築しなければならない。現在の支持層は反発するだろうが、無党派層を呼び戻すカギは中道路線だ」と述べた。

 だが、リベラル派は共和党との妥協に慎重で、共和党がオバマ政権の医療保険改革や金融規制強化を骨抜きにしようとする事態を警戒している。アメリカン大のアラン・リヒトマン教授(米国史)は、オバマ大統領に、「自らの原理原則を貫き、議会が譲歩しなければ、議会を非難する」ことを求める。

 実際、中間選挙で敗北しても、2年後に再選を果たした大統領は多い。レーガン大統領は82年の中間選挙で大敗したが、民主党と共同で税制改革に当たり、クリントン大統領は、94年に共和党が下院を制したことを受けて、中道路線に軌道修正し、福祉改革で共和党との合意にこぎ着けた。

 もっとも、 そうしたケースは景気の回復が追い風になっていた。クリントン政権で報道官を務めたジョー・ロックハート氏は、「クリントン時代の前例を参考にしようとする動きが目立つが、現状との比較は必ずしも適当ではない」と語る。「景気回復が本格化しない限り、オバマ大統領の行く手は厳しい」との見立てだ

 オバマ大統領は、当選以来、民主党が上下両院を制する状況で政権運営を進めてきた。その意味で、オバマ政権の舵取りは、ホワイトハウスと対立することが多かったペロシ下院議長とハリー・リード上院院内総務がカギを握っていたとも言える。

 だが、2日の中間選挙を受けて、状況は少なくとも従来より明確になった。オバマ大統領は共和党主導の下院と対峙しなければならない。民主党内では、大統領のイメージがこれまでよりはっきりする、との声も聞かれる。

 オバマ対共和党――。そうした明確な構図を描くことが2012年のオバマ再選につながる、とクリントン政権の労働長官、ロバート・ライシュ氏は語った。

記者: Neil King Jr.


→菅総理も、ねじれ国会での自民党とのけんか腰議会運営はやめろ、と指示すべきでしょう。テレビ放映がない衆院内閣委員会の「空回し」による野党議員の質問権はく奪を自己批判し、隠れ霞が関擁護の姿勢を改め、野党提出法案についての与野党協議をするように指示を出すべきでしょう。

→民主党政権発足以来、霞が関と妥協と合意を重ねてきた一部の閣僚は抵抗するかもしれませんが、そこでこそ、菅総理の「脱官僚主導」の信念を発揮すべきとき!


■自民・みんな 4法案共同提出へ
11月4日 4時2分 NHK
自民党は、国家公務員の退職手当を民間企業の水準に是正することなどを柱とした改正案など4つの法案を、みんなの党と共同で、今の国会に提出することにしています。

自民党とみんなの党は、さきの通常国会に、政府の国家公務員法改正案の対案として、▽天下りをあっせんした場合に刑事罰を科すことや、▽部長級以上の公務員について課長級への降格も可能とすることなどを柱とした改正案を提出しましたが、政府案とともに廃案となりました。自民党は「公務員などの労働組合から支援を受ける民主党政権のもとでは実効性ある公務員制度の改革はできない」としており、みんなの党と共同で、廃案となった2つの法案を含む4つの法案を今の臨時国会に提出することを決めました。新たに提出する2つの法案には、▽国家公務員の退職手当を民間企業の水準に是正することや、▽地方公務員を対象に能力や仕事の実績に応じた人事評価制度を導入することなどが盛り込まれています。自民党とみんなの党はこの法案の審議などを通じて、政府・与党の公務員制度改革への姿勢をただしていくことにしています。

→最後に、米国におけるネットと政治の関係について。

■米オンライン政治活動家2500万人の時代―功もあれば罪も
2010年 11月 1日 11:06 JST WSJ日本版
 良くも悪くも、米国の民主主義は変化している。インターネットは大量参加や個人による積極行動の新時代をもたらしている。誰でも地域のまとめ役にも、メッセージの発信者にも、資金集めの活動家にもなれ、さらには数千人どころか数百万人でも動員できる。組織化された資金が依然としてゲームを支配しているが、組織化された人々がワイルド・カード(予見できない影響力)を持てるようになったのである。

 世論調査機関ピュー・センターによると、米国では「オンラインの政治活動家」と目される人が約2500万人もおり、日々ニュースをチェックし、関心事を共有し、議論をコントロールしようとしているこうした「参加の民主化」は政治への関心を高めている。デジタル政治活動は、2004年の大統領選でのハワード・ディーンの登場で始まり、08年の大統領選でバラク・オバマの勝利で花開いた。今では、「右派」も新しいオンライン技術を習得している。

 保守派もリベラル派も、この新たな波を先導しているのは熱烈なイデオロギー信奉者である。米国の政治ブログで人気があるのは、左派ではハフィントン・ポスト(Huffington Post)、デーリーコス(DailyKos)、トーキング・ポインツ・メモ(Talking Points Memo)、右派ではホット・エアー(Hot Air)、ビッグ・ガバメント(Big Government)、ニューズバスターズ(NewsBusters)である。ムーブオン・ドット・オルグ(MoveOn.org)、フリーダムワークス(Freedomworks)などは膨大な電子メール・リストを持っている。

 多くのユーザーが発信するメディアが重要な事実を明るみに出す基盤になっている一方、反対派の過ちを脚色したり誇張したりする。保守派の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」の参加者に人種差別主義者とレッテルを貼ったり、オバマ大統領の支持者を反米主義者と決めつけたりする。党派的連携の強さは、イデオロギーの両極化につながっている。

 オンラインの伝達手段が普及したことは、国民の不満に対する解決策を形成するのではなく、政府の政策行動を阻止するための組織化に好都合となっている。また、大量参加の政治となった結果、選挙での投票率が低下し、組織化されたイデオロギー的な少数派が勝利する可能性が出てきている。ランド・ポール候補やクリスティン・オドンネル候補など今中間選挙の予備選では茶会運動が支持する候補が健闘している一方、左派でもニューヨーク州司法長官に立候補しているエリック・シュナイダーマン氏など左翼色の強い候補も好調だ。

 だが、政治のインターネット化は悪いことばかりではない。米国の政治プロセスをより開かれた説明可能な一般参加型のものに移行させている。大口の献金者の必要性は薄まり、小口の献金者や独立のまとめ役の影響力が強まっている。ウェブ化によって、政治家の重要情報を知りたい人にとっては黄金時代が到来しているインフルーエンスエクプローラー・ドット・コム(InfluenceExplorer.com)は、米国全土の政治家に対する献金者とその額について検索できるようにしている。

記者: Micah L. Sifry
英語原文:
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304023804575566603208716666.html


→柳腰外交派のみなさんは、ネット時代に「参加の民主化」「政治プロセスをより開かれた説明可能な一般参加型のものに移行がはじまっている」ことを気づいていないか、気づいていながらエスタブリッシュメントの側について歴史的趨勢に対する反動勢力になっているか、どちらかだということです。彼らの熟議とは「エリートの熟議」にすぎず、市民を信用せず、ビデオ全面公開は日比谷焼き討ち事件しか連想できない。

→菅総理の市民の政治も、内心は市民を恐れる一部のエリート市民、エリート活動家が官僚と共同謀議する権利を得る程度の政治なのか?司法では陪審員制度で無作為抽出した市民が重要な判断をしているというのに?