国際関係と政局:政局の仕掛け方にも新思考が必要 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

国際関係と政局:政局の仕掛け方にも新思考が必要

秘書です。

こちらが配慮すれば先方も喜んでくれて配慮してくれるはずだ、というムラ社会の論理は国際社会に通用するか?多分、日本のほうが圧倒的に力のある相手であり、首脳同士に個人的な信頼関係がある相手であれば、通用したかもしれせん。
しかし、国力は衰え、個人的な信頼関係なく、会議に内容もなく、ひたすら首脳会談をセットするという形にこだわる相手を、どう思うでしょう?

民主党はいまでこそ付け焼刃の成長戦略を提唱していますが、立党以来一貫した民主党の反成長主義は明らかです。今になって国力の根幹としての経済力の重要性を認識したことでしょう。しかし日中経済規模が逆転されたいまどうします?しかも、外国指導者との個人的信頼関係もつくれていないようです。そんな環境のもと、菅民主党政権は、ひたすら相手に配慮することで相手が矛をおさめてくれるのを待っている。でも、そういう配慮と冷静な対応だけの態度をとればとるほど事態は悪化することでしょう。今の日本は80年代の日本ではない。
菅民主党政権の配慮と冷静な対応という名の状況追随主義が間違いであることを、国民は直感的に気づいている。そして警鐘を菅民主党政権に乱打している。しかし、この警鐘は、日比谷焼き討ち事件にしかとらえられない・・・


内容よりも首脳会談ができるかどうかが気になりはじめると、相手国が会談するか否かの決定権を持つことになります。菅民主党政権は自らこの術中にはまっていっているようです。「交談」→「寒暄(かんけん)」→APECで首脳会談をしたければ日本側が努力をしなさい。

■日中首脳:ハノイ懇談、中国見解は「時候あいさつ」
毎日新聞 2010年11月3日 
 【北京・成沢健一】中国外務省の洪磊(こうらい)・副報道局長は2日、菅直人首相と中国の温家宝首相が10月30日にハノイで懇談したことについて、時候のあいさつを交わすことを意味する「寒暄(かんけん)」との表現を使い、中国側は懇談と位置づけていないことを明らかにした。横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に胡錦濤国家主席が出席するかについては、日本側の対応次第との見解を示した。
 洪副局長は定例会見で「温首相は休憩室で菅首相と時候のあいさつを交わした」と述べた。10月4日にブリュッセルで行われた両首脳の廊下での懇談に関しては、中国政府は言葉を交わすことを意味する 「交談」との表現で発表していたが、ハノイでの懇談は公表していなかった。
 首脳会談をキャンセルしながら、翌日に10分間の懇談に応じた理由に関しては答えず、「中国側は日本との関係発展を重視しており、戦略的互恵関係を堅持することは両国と両国人民の利益に合致する。対話で問題を解決するとの立場は変わっていない」と語った。胡主席のAPEC首脳会議出席や菅首相との会談の可能性については「日本が努力し、関係改善にふさわしい条件と雰囲気をつくるように望む」と述べた。

→菅総理が成果を誇る「会談」は、中国ではブリュッセルのものは「交談」、ハノイのものは「寒暄(かんけん)」と表現。「時効の挨拶」!菅総理は「中国側は日本との関係発展を重視しており、戦略的互恵関係を堅持することは両国と両国人民の利益に合致する。対話で問題を解決するとの立場は変わっていない」という言葉にすがりついています。そして、胡主席のAPEC首脳会議出席や菅首相との会談の可能性について「日本が努力し、関係改善にふさわしい条件と雰囲気をつくるように望む」といわれたら、必死になって、努力するのでしょうか?「双方の努力」でこそ、対等の関係。「日本が努力し」は、対等な戦略的互恵関係ではありません。ここまで言われて、なお、日中関係への配慮からビデオ全面公開をためらうのか。それが首脳会談のための雰囲気づくりなのか?

■中国外務省 首脳会談実現は「日本の努力次第」
(11/03 00:33)ANN
中国外務省は、今月中旬のAPEC=アジア太平洋経済協力会議で日中首脳会談を実現するには、日本側の努力が必要だとの見解を示しました。
 中国外務省の洪磊報道官は2日、今月中旬に横浜で開催されるAPECの焦点である菅総理大臣と胡錦涛国家主席の首脳会談について、「日本が切実な努力をして中国との関係を改善し、会談にふさわしい条件と雰囲気を作り出すよう努力することを望む」と述べました。また、先月末のハノイでの菅総理と温家宝首相との懇談の内容については「休憩室で挨拶を交わした」と述べるにとどめました。

→官邸が大好きな「双方の努力」ではありません。「日本が切実な努力」をしなさいといっています。だから、ビデオ非公開ですか?さらには前原外相を更迭しますか?

■メドベージェフ大統領国後島訪問 ロシア外相「大統領は歯舞・色丹も訪れる計画」
(11/03 01:03)FNN
ロシアのメドベージェフ大統領が、北方領土の国後島を訪問したことへの日本政府の対抗措置は、ロシア駐在の河野大使を一時帰国させるという、事実上の大使召還だった。しかし2日夜、ロシア外相が「大統領は、歯舞・色丹も訪れる計画」と発言。菅内閣にとって想定外の事態が続いている。
前原誠司外相は、「河野駐ロ日本大使を、一時帰国させることといたしました」と述べた。
ロシア・メドベージェフ大統領の国後島訪問から一夜明けた2日、前原外相は、ようやく正式な対応策を発表した。
仙谷由人官房長官は、「(この一時帰国なんですが、期間は決まってるんですか? 帰国の期間は?)未定です」と述べ、事実上のロシアからの大使召還とも取れる、対抗措置を強くにおわせた。
一方、FNNが入手した映像では、メドベージェフ大統領の行動が明らかになった。
1日、国後島でメドベージェフ大統領は、「はいはいはい、あとは文化スポーツ施設を必ず造りますよ。全部、全部造りますよ」と話した。
国後島住民が「学校も援助してください」と言うと、メドベージェフ大統領は、「学校、子どもは大切。一番大切だからね」と話した。
国後島住民は、「わたしたちは、あなたがもっと大統領でいられるように、選挙であなたに投票するわ」と話した。
正に、大盤振る舞いともいうべき、北方領土と島民へのロシア政府のてこ入れ。
国後島で自ら写真を撮影していた大統領は、その後、自身のツイッターに、写真とともに、「ロシアには、なんと美しい場所があるのだろう」というコメントに加え、「大統領の義務は、最も遠いところも含めたロシアの全地域の発展を監督することだ」と書き込みしていた。
そして2日夜、さらなる衝撃が走った。
ロシア・ラブロフ外相は、「メドベージェフ大統領が国後島以外にも、歯舞・色丹を訪問する計画がある」とロシアの通信社に語ったという。
挑発的ともいえるロシア側の行動。
一方、野党からは、日本政府の「弱腰外交」との厳しい声が上がった。
自民・小泉 進次郎議員は、「外交の痛手というのは、今回のロシアだけで終わらないですよ。これからも、まだまだ外国は突いてくる」と述べた。
自民・小池 百合子総務会長は、「(谷垣総裁は)ロシアの大統領の北方領土の視察は、挑発的だ。しかし、日本政府は毅然(きぜん)として対応しなければならない(と言っていた)」と述べた。
みんなの党・渡辺喜美代表は、「尖閣事件における菅内閣の、覚悟も戦略もない外交姿勢が、まさに、こうした強攻策を誘発をしていると」と述べた。
また、民主・西岡武夫参院議長は、「ロシアの大統領の、この北方四島に対してとられた行動というのは、前に(大統領が)1回来るって言われて、時間があるんですよね。その間、何をしておられたのか。何もしなかったとすれば、政府としては怠慢ではないのか」と述べた。
民主党議員からは、「今さら大使を召還したところで、あとの祭りだよ」、「与党議員が言うのもなんだけど、問題だと思う」などの声も上がっている。
メドベージェフ大統領の電撃訪問は、中国でもトップニュースとして伝えられた。
CCTVは2日午前、「ロシアの大統領が、日本との間で争議のある島を初めて訪問しました」と報じた。
2日朝のテレビニュースでは、大統領の国後島訪問を地図や資料映像を使い、くわしく説明した。
新聞各紙も一面で伝えた。
環球時報では、「ロシア大統領の国後島訪問で、日本は再び自尊心を傷つけられた」という見出しが躍った。
記事では、「日本にとっては、中国とロシアから二重の侮辱を受けたようなものだ」という専門家の論評を紹介した。
さらに討論番組では、「菅政権は外交問題の素人だ。民主党は政権を失う可能性がある」という指摘もあった。
首脳会談の直前でのキャンセル、処分保留での船長釈放、そして同盟国大統領とのディナーにあわせた短時間の非公式会談など、屈辱的なシーンが目立つ民主党政権の外交。
その一翼を担った鳩山 由紀夫前首相は、「対抗措置ということをやり合うと。一番大事なことは、北方領土問題を早く解決することなんです」と述べた。
日本側の大使一時帰国という対抗措置。
しかし、この日本側の措置に対し、ロシア外務省筋は2日、インタファクス通信に対し、「われわれは、問題があるとはみなさない」と、黙殺とも取れる態度を表している。

→西岡参院議長はさすが!

→中国の専門家たちに同情されるようになったのか?「民主党は政権を失う可能性がある」という認識が中国の日本専門家で一般的なものになってきたら、中国指導部は菅総理とは一切の取引はしないことになるでしょう。中国であれロシアであれ強いリーダーとしか取引はしないでしょうから。

■韓国メディア「日本は2つの領土戦争中」
(02日17:50)TBS
竹島の領有権を巡って日本と対立している韓国では、2日の朝、韓国の新聞各紙がメドベージェフ大統領の北方領土訪問をこう報じました。
 「中国から奪い取った尖閣。ロシアに奪われた千島列島。日本は今2つの領土戦争中だ」(中央日報)
 また、テレビニュースでも、「中国に対する屈辱的外交で危機に瀕した菅政権は、ロシアに挟み撃ちされ、一層苦境に陥っている」と報じています。
 一方、内憂の国会。
 「補正予算の一刻も早い成立が必要であります。なにとぞご審議の上すみやかに ご賛同いただきますよう」(野田佳彦財務相)
 ねじれ国会で過半数を割っている参議院では、野党議員からヤジも飛びました。一応、補正予算案の審議に入ったものの、これに先立って行われた与野党の幹事長会談で改めて小沢氏の国会招致を求めた野党側に対し、民主党の岡田幹事長は・・・
 「政治不信を招きかねないのでいつまでも時間をかけていい問題だと考えていない。何らかの形で国会に説明することは必要」(民主党・岡田克也幹事長)
 「遅いと1年前から言っているのに今ごろかと。それでもないよりかはいいという感じをうける」(自民党・石原伸晃幹事長)
 民主党は、小沢氏に政治倫理審査会への出席を要請する方針ですが、当の小沢氏は司法手続中だとして岡田氏の会談の求めにすら、応じていません。
 その理由について、小沢氏の周辺は、「岡田氏に対する不信感が理由だ」と話しています。

→さて、この国難。大国は内政を国際関係に影響させて平気ですが、衛星国家は国際関係に内政が規定されてしまいます。相手国の内政に配慮しているようで、いつの間にか、衛星国家に進んでいないのか?

→政局の仕掛け方にも新思考が求められているようです。