対ロ柳腰:「日露関係に重大な支障」→「冷静な対応」「適切な措置」・・・ | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

対ロ柳腰:「日露関係に重大な支障」→「冷静な対応」「適切な措置」・・・

秘書です。

「冷静な対応」「適切な対応」→既成事実への屈服
「検察の判断」→権限への逃避

幕末、奇兵隊が打倒した幕府の対外姿勢も、こんな感じだったんじゃないですか。


■日ロ首脳会談「行われる」=仙谷官房長官
時事通信 11月2日(火)10時42分配信
 仙谷由人官房長官は2日午前の記者会見で、横浜市で今月中旬に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際の菅直人首相とメドべージェフ・ロシア大統領の首脳会談について「行われるのではないか」と述べた。
 大統領が北方領土の国後島訪問に踏み切ったことへの対抗措置については、「今、適切な措置をどう考えるか(政府部内で)検討していると思う」と語るにとどめた。 

→「適切な措置」って何でしょう?首脳会談やるのを認めるのがはやいですね。外相と外務副大臣が啖呵をきったのは昨日です。

■北方領土訪問 政府、対抗措置を検討
2010年11月2日 朝刊

 政府は一日、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問を受け、対抗措置の検討に入った。ただ、河野雅治駐ロシア大使の召還など両国関係に深刻な影響を与える可能性がある措置には、慎重な意見が強い。 
 前原誠司外相は同日昼、ロシアのベールイ駐日大使を外務省に呼んで抗議し、「適切な対応を取っていかざるを得ない」と述べ、なんらかの対抗措置に踏み切る可能性を伝えた。
 これに関連し、松本剛明副大臣は同日の記者会見で、十三日から横浜で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ来日するメドベージェフ大統領と菅直人首相の会談を行うかどうかについて「適切な対応の中に、日ロの外交関係すべて入ってくる」と述べ、見送りの可能性を否定しなかった
 一方、仙谷由人官房長官は記者会見で「日ロ関係が直ちに決定的にどうこうということはない」と指摘。対抗措置に関しては「ここ数日は推移をみないといけない」と述べ、ロシア側の動向を見極める考えを示した。

→前原外相は昨日、ロシア大使に「適切な対応」と啖呵を切った。松本副大臣も首脳会談見送りの可能性を示唆した。その翌日に、官房長官は首脳会談はやるといった。はやい柳腰ですね。官邸は何かロシア側と取引できたんでしょうか。できていないとすると、単に、前原-松本ラインのメンツをつぶしただけでははいですか。官邸主導の柳腰外交が対ロシア政策でも発揮か。

■見透かされた「弱腰」の外交 計画把握…「政治判断ミス」
産経新聞 11月2日(火)7時57分配信
 ■動かない民主・菅政権、口開けば「冷静」
 ロシアのメドベージェフ大統領が事前の観測通り北方領土を訪問したことで、民主党・菅政権の外交政策に対する批判と疑問が、沖縄・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件に続き、高まった。「冷静な対応」を強調する菅直人首相と政府は、訪問を阻止すべくどこまで真剣に動いたのだろうか-。
 「ハノイで懸念を伝えようとしなかった政治の判断ミスだ」 
 1日午後、急遽(きゅうきょ)開かれた自民党の外交部会では、メドベージェフ大統領の訪問を許した菅政権への批判が集中した。
 菅首相と前原誠司外相が参加し、10月下旬にベトナムのハノイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議の場には、メドベージェフ大統領とラブロフ外相もいた。このとき、すでに大統領の訪問計画は報じられていた。だが、日本政府は訪問を阻止すべく、ロシア側との会談を設定しようとすらしなかったのだ
 部会で議員の批判の矢面に立たされた外務省幹部は、大統領訪問の事実すら「報道によれば…」と答える心もとなさだ。ましてや、前原外相がこの日、ロシアのベールイ駐日大使に抗議した際に伝えた日本としての「適切な対応」が、具体的に何なのか、示せるはずもない
 こうした対応に議員側はいらだちを募らせ、「ロシアに対し首脳の入国禁止や経済制裁などを検討し、ロシアが失うものが何かを思い知らせるべきだ」(中谷元・元防衛庁長官)との強硬論も出た。
 日本側の対応を振り返ってみよう。大統領の北方領土訪問計画が浮上したのは9月下旬。これを受け、前原外相は同月29日にベールイ大使を外務省に呼び、「訪問が実現すれば日露関係に重大な支障が生ずる」と伝えた。10月上旬に日本側は、モスクワで行われた日露事務次官級協議の席上、訪問中止を申し入れた。だが、ロシア側は「大統領の訪問計画は知らない」と答えるだけだった。
 日本政府の表だった抗議の動きはおおむね、この程度だったとみていい。日本側は「懸念」を伝えただけにすぎないのである。
 10月28日、在モスクワ日本大使館で記者会見した河野雅治駐露大使に、記者団からは「メドベージェフ大統領が11月早々に北方領土を訪問するとの情報がある」との質問が集中した。大使は「うわさはあるが、具体的な計画があるとは承知していない。準備しているという話はない」と語った。大統領が国後島を訪問する4日前のことである
 「大統領はいずれ現地に行くだろう」(日露外交筋)という感触はあったという。だが、大使館が得ていた情報は断片的なものであり、確たる情報をもち合わせていたとは言い難い。
 ロシア政府は情報機関出身のプーチン大統領時代に、意思決定を大統領府に一元化し、情報漏洩(ろうえい)を厳しく監視するシステムを導入し、ロシア外務省も外交政策決定の中枢から外されたという。日本はこうした「情報の壁」の前にも無力ですらある。(政治部 酒井充、モスクワ 佐藤貴生)

→9月29日の前原外相の「日露関係に重大な支障」って、何ですか?何もなかったら、今後は外相が何をいっても「張り子の虎」になってしまいます。

■前原外相が駐日大使を呼んで抗議-ロシア大統領の国後訪問(Update2)
  11月1日(ブルームバーグ):前原誠司外相は1日、ロシアのベールイ駐日大使を呼んで、同国のメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問したことについて、直接抗議した。菅直人首相が同日午後の衆院予算委員会で、赤松正雄氏(公明)の質問に対し、明らかにした。
  外務省が公式ウェブサイドで公表した文書によると、外相とロシア大使との会談は1日午後12時15分から約20分間。前原外相は、同大統領の国後島訪問は日本国民の感情を傷つけるもので、極めて遺憾であると抗議。これに対し、同大使は大統領の訪問は純粋な国内問題で、ロ日関係の悪化は双方にとって利益とはならない、として本国に前原外相の申し入れを至急、報告する考えを示したという。
  これに関連し、仙谷由人官房長官は1日午後の会見で、日本政府の対応について「具体的な措置については現時点で言うことは控えておきたい。いずれにしてもロシアの大統領の北方4島への訪問の事実や、訪問時の大統領の言動を踏まえて適切な対応を取っていこうと考えている」と述べるにとどめた。
  今後の日ロ関係への影響について仙谷氏は「ロシアの経済発展との関係とか、いろいろ奥は深いから、いい材料でないことは間違いないが、これで決定的にどうのこうのということはないと思う」との見方を示した。その上で、「推移を見てみないといけない。ここ数日はもうちょっと見てみないといけない」とも述べ、ロシア側の出方を見守る考えも強調した。
  これに先立ち、首相は同日午前の予算委で、ロシア大統領の行動について「北方4島はわが国の領土であるという立場を一貫して取っている。その地域に大統領が来るというのは大変遺憾なことだ」と表明した。武部勤氏(自民)への答弁。

→「これでどうのこうのということはないと思う」というのと、9月29日の前原外相の「日露関係に重大な支障」発言との整合性は?

■主権に鈍感な首相、日本を不幸にする
産経新聞 11月2日(火)7時57分配信

 菅直人首相は、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土訪問を予告し、それを実行する間、ただ腕をこまぬいていただけだった。国家主権についてあまりに鈍感であり、あまりに無知ではないか。首相は「最小不幸社会」の実現を掲げるが、外交でも内政でも、日本に「宰相不幸社会」をもたらしている。
  大統領が9月29日に「近いうちに(北方領土に)必ず行く」と宣言した際、首相が発した言葉は何とも内容に乏しかった。

 「大統領が北方四島を具体的に訪問するとは受け止めていない」


 自国の領土を守るという意思も、気概も、危機感も感じられない。その一方でことあるごとに「冷静さ」を強調し、何もしないことを正当化してきた。
 ロシアが、日本が降伏文書に調印した9月2日を事実上の対日戦勝記念日に定めた際も日本政府は抗議しなかった。ロシア側は、そうした日本側の姿勢を見極めた上で北方領土実効支配の既成事実をさらに積み重ねたわけだ。
「(日露関係が)これで決定的にどうこうということはない。私はその程度に考えている」
 首相の女房役である仙谷由人官房長官は1日の記者会見でこう述べた。ロシアに助け舟を出したも同然ではないか。これでは足元を見られて当然だろう。
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件での対応も同様だ。衝突時のビデオが1日になってようやく一部国会議員に公開されたが、首相は「国民が最終的に外交の方向性を決める」と言いながら一般公開しようとしない。国民を信頼していないことの証左だといえる
 それでいて中国からも軽侮を受ける。巡視船に体当たりした中国人船長を釈放し、一方的に譲歩を重ねた揚げ句、ハノイでは首脳会談をドタキャンされた。
 内政に目を転じても政権は八方ふさがりだ。産経新聞とFNNの合同世論調査で内閣支持率は36・4%と4割の大台を割り込んだ。それもそのはず、首相が所信表明演説で「今国会最大の課題」と強調した平成22年度補正予算案は2日にやっと審議入りするが、成立のめどは立たない。
 「クリーンな民主党」を強調しながら、小沢一郎元代表の国会招致に関しては「岡田克也幹事長にお願いしている」と丸投げした。マニフェスト(政権公約)はなし崩しとなり、事業仕分けもすっかり色あせた。
 「首相は日本をどういう社会にしたいのか」
 1日の衆院予算委員会で社民党の服部良一氏はこんな根本的な問いを投げかけたが、首相はピント外れな答弁でごまかした。これ以上首相の無為無策が続くと日本はどうなってしまうのか。何もやるべきことが思いつかないならば、いっそ身を退いたらどうか。(阿比留瑠比)

→嗚呼、宰相不幸社会!