日中首脳会談ドタキャン問題:焦点は、APEC前に前原外相外しをするのかどうかへ? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日中首脳会談ドタキャン問題:焦点は、APEC前に前原外相外しをするのかどうかへ?

秘書です。
昨晩の日中首脳会談のドタキャン問題ですが、実は、「日中首脳会談行われない見通し、ASEAN関連会議で=中国外務省当局者」というハノイ発ロイター電が、昨日の朝04:55にネット配信されています。当ブログでもこの件はお伝えしました。↓


10-29 06:45:46
首脳会談なし?:心理戦に狼狽せず、手段の目的化、目的の手段化はしないように
テーマ:秘書ひしょ
http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-10690710721.html

つまり、中国側は、首脳会談がないかもしれないというメッセージをリークして、日本側の反応をみていたのであり、それに対して日本側が期待する反応をしなかったから、首脳会談をキャンセルした、ということなのではないでしょうか。

このように解釈すると、日中外相会談後にAFP電が誤って前原外相発言を伝えたことなどは問題の本質ではなく、用意周到にドタキャンに向かって戦略的に1日が進んでいた、とみるべきなのでしょう。


今朝の一連の報道を見ていると、中国側の標的は前原外相、ということのようです。

これは、9.29細野秘密訪中で前原外相外しをした官邸二重外交の傷跡といえるのではないでしょうか。APEC首脳会談に向けて、官邸に対して「前原を外せ」といってきているのかもしれません。

「前原外相を相手にせず」といってきたとき、官邸は再び秘密外交、二重外交をやるのか、更迭人事をするのか、ここが焦点です。 


国益を損する可能性を否定できない官邸秘密外交をさせないためにも、国会で細野秘密訪中は何だったのか、何を約束してきたのか、ビデオ非公開と関係しているのか・・・・、確認しなければなりません。

昨日の幻の日中首脳会談のためなのか、衆議院内閣委員会でこの点を追及するはずだった中川秀直の質問が「空回し」の刑にあってしまい、残念!(ビデオ全面公開を求める予定だった中川秀直「空回し」の刑は日中首脳会談のため雰囲気づくりの一環たったんでしょうかねえ)


■日中首脳会談中止に 中国、前原外相を批判
< 2010年10月30日 3:09 >日テレニュース24
 ベトナムを訪問中の菅首相と中国・温家宝首相との首脳会談が急きょ、中止された。中止の理由について、中国側は日中外相会談のメディアの報道ぶりを挙げた。
 菅首相に同行している福山官房副長官によると、日中首脳会談は日本時間29日夜、いったんはセットされた。しかし、中国側が急きょ、「会談できない」との連絡があったという。中止の理由について、中国側は日中外相会談のメディアの報道ぶりを挙げたが、中国側が指摘したような報道は見当たらないという。
 福山官房副長官は「根拠のない報道で首脳会談を中国側がキャンセルしたということであれば、非常に遺憾なことだ。中国側の真意を、現在も図りかねている」と述べている。
 日中首脳会談が予定されていた場所で、菅首相と前原外相は30分、待ちぼうけを食わされた形となった。その間、中国外務省の幹部は香港メディアを呼び、「首脳会談を開く雰囲気を日本が壊した」と会談キャンセルを発表。その上で「この責任は前原外相が負うべきだ」と激しく批判した。菅首相に近い民主党議員は「中国は前原つぶしを狙っているのではないか。こうなると日本側も言い返さざるをえない」と困惑している
 悪化した日中関係改善の糸口を見つけたかった菅首相だが、結果として中国との溝はさらに深まった形となった。

→「中国は前原つぶしを狙っているのではないか。こうなると日本側も言い返さざるをえない」という菅首相に近い民主党議員の推測は正しいのでは?しかし、日本側が言い返すのが遅すぎます。


■首脳会談拒否 「中国の国内事情だ」「前原外相が悪い」 政府・民主で飛び交う声
2010.10.30 01:20産経新聞
 中国が29日、ハノイでの日中首脳会談を拒否したことに対して、政府・民主党から、さまざまな声が出た。
 政府高官は同日夜、困った表情で「分からない。分からない」と繰り返し、会談拒否の理由は中国の国内事情との見方を示した。そして、「たぶん、首脳(会談)はできない」とぽつり。
 11月1日に、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像が、一部国会議員に公開される件との関連を推測する議員は多かった。
 閣僚の1人は「よく分からないけど、ビデオの影響じゃないか」。閣僚経験者は「きょうビデオの公開を決めたからだ。シナリオを立てずにやるからだ」と述べた。
 これに対し、前原誠司外相への批判もあった。
 党中堅幹部は「日中両国のために前原はつぶした方がいいというメッセージじゃないか。中国に言われてすぐに辞めさせるのはよくないが、前原が外相をやるのは無理だ」と、中国そっちのけで外相批判を展開した。
 別の若手は「前原がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で中国包囲網みたいなことを言ってきたから、牽制しているのだろう」との見方を示した。
 一方、中国内の権力闘争が原因との分析もあった。
 外務省出身の議員は「中国の国内事情だ。菅(直人首相)さんと仲良く映る姿が本国に伝われば、温家宝首相はまた弱腰だと批判される。外交日程のキャンセルはだいたい国内事情であって、ビデオ公開や前原さんの態度はあまり関係ない」との見立てを示した。
 中国への不信感、警戒感を示す議員は多かった。中堅は「中国お得意の揺さぶりだ。領土に関して中国は絶対譲らない。日本は、『会ってくれないと顔が立たない』みたいな軟弱なことではだめ。原則論を主張し、毅然とするしかない」と語った。
 保守系若手は「中国の言いがかりで、あきれてモノが言えない。日本は毅然としていればいい。中国は冷静になった方がいいんじゃないか」と語った。

→ビデオは関係ないでしょう!ビデオでいえば、不快感を示されれば狼狽して、日中関係への配慮といって2時間のテープが6分になるようなことをするから、6分だ秘密会だという政府・民主党の努力を超えて、押せ押せになって、「さあ、前原外相をどうしますか?」とエスカレートしてしまうのではないですか。

→民主党内でも「日中両国のために前原はつぶした方がいいというメッセージじゃないか」「前原が外相をやるのは無理だ」という分析がでてきているみたいですね。でも、「中国に言われてすぐに辞めさせるのはよくない」、いや、すぐでなくてもよくないのでは。こういうことを口実に権力闘争をはじめるのが衛星国家化の第一歩。中国の気にいならない幹部を更迭するようになったら、本物の衛星国家です。

→「中国の国内事情だ。菅(直人首相)さんと仲良く映る姿が本国に伝われば、温家宝首相はまた弱腰だと批判される。外交日程のキャンセルはだいたい国内事情であって、ビデオ公開や前原さんの態度はあまり関係ない」という見方については、下記の矢吹先生のコメントをみてください。「中国国内は強硬派と穏健派とで割れている。反日デモも収まっておらず、抑えようという人とやらせようという人の権力闘争を反映している。前原外相は分裂を引っかき回す発言ばかり行った」ということで、結局、前原外相です。

■中国が首脳会談拒否 外相発言を批判
2010年10月30日 東京新聞
 【ハノイ=大杉はるか、池田実】日中両国政府が調整していたベトナムでの菅直人首相と中国の温家宝首相の会談は二十九日、見送られることになった。中国側が拒否する考えを日本側に伝えた。中国外務省の胡正躍次官補は同日夜、香港メディアに対し、前原誠司外相を名指しする形で「日本側が首脳会談を実施するムードを壊した。日本が完全に責任を負うべきだ」と述べた。菅首相は沖縄県・尖閣諸島沖の漁船衝突事件で悪化した日中関係の修復を進めたい考えだったが、逆に両国間の溝が際立った。
 菅首相に同行している福山哲郎官房副長官は二十九日夜、現地での会談は「今のところ予定はない」との見通しを記者団に示した。菅首相が首脳会談見送りについて「冷静に対応していく」と述べたことも明らかにした。
 福山氏によると、同日午前の日中外相会談に関し前原氏から「雰囲気がよかった」と報告があり、一度は午後六時半(日本時間同八時半)に首脳会談が設定されたが、約二時間前に中国側から見送りの連絡があった。日本側がいったん会談の予定を発表し、直後に取り消す混乱もあった。
 一方、胡次官補は首脳会談見送りについて「日本の外務省の責任者がほかの国で今回の問題を蒸し返す発言をした」と述べ、前原氏が二十七日に米ホノルルでクリントン米国務長官と会談した際に尖閣諸島をめぐり発言したことを批判した。
 さらに「ハノイでも中国の主権を侵すことを散々話している」と前原氏が日中外相会談で尖閣諸島を日本の領土だと強調したことを非難した。中国国営の新華社通信によると、胡次官補は日中外相会談の内容について、日本側が事実と異なる発表をしたと批判した。
 前原氏は外相会談で東シナ海のガス田共同開発をめぐる条約締結交渉の再開を楊潔〓(ようけつち)外相に要請。日本外務省幹部は、楊外相が「交渉の再開に必要な環境を整えていきたい」と回答したことを記者団に説明した。

※〓は竹かんむりに、厂(がんだれ)、下に虎

→日本の専門家にも、前原氏への不満が原因とみる見方があります。

■11月の首脳会談も困難に=中国、「準備役」前原氏に不満
(2010/10/30-00:12)時事通信
 矢吹晋・横浜市立大名誉教授(中国政治)の話 中国側は前原誠司外相がハワイでクリントン米国務長官を味方に付けたような格好を取ったことが気に入らなかった。胡錦濤国家主席は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため来日はするだろうが、菅直人首相との会談を実現するためには、日本側が前原外相を交代させるぐらいのことをせねばならない
 中国国内は強硬派と穏健派とで割れている。反日デモも収まっておらず、抑えようという人とやらせようという人の権力闘争を反映している
 前原外相は分裂を引っかき回す発言ばかり行った。胡主席、温家宝首相にとって、(日本に)弱腰と言われることが一番厳しい。ハノイにいる中国外務省の前線部隊は会談を実現させる方向だっただろうが、国内の強硬派が足を引っ張ってつぶしたということだ。
 中国はハノイでの会談を流したことで拳を振り上げた形になった。よほどの口実がないと(菅首相と胡主席の)会談を行うことはできない。会談の準備に当たっている前原外相が話をぶち壊している形だ

→日中首脳会談のために官邸秘密外交による二元外交化か更迭人事で前原外相を外すのか。そこまでして日中首脳会談をやるのか。APEC前の焦点になったのでは。9.29細野訪中を官邸が仕掛けていたとすれば、もともと菅総理には前原外相への不安や不満があった可能性があります。APEC前の政局の焦点の一つです。

■日中首脳会談:中国、会談拒否 関係修復、振り出し 日本、募る不信感
 <検証>
毎日新聞 2010年10月30日 東京朝刊
 べトナム・ハノイで29日、菅直人首相と温家宝中国首相による日中首脳会談の開催が、中国側が拒否する形で土壇場で見送られた。関係改善への象徴的シーンを演出したかった日本側、国内世論を注視した中国側。両国はぎりぎりまで神経戦を繰り広げたが、思惑は微妙にずれた。関係改善に向けた動きは振り出しに戻り、修復は遠のいたとの見方が広がった。【ハノイ浦松丈二、西岡省二】
  「驚いた。中国側の真意を測りかねている」。菅首相に同行している福山哲郎官房副長官は同日夜、ハノイで記者団に語った。別の政府高官は東京都内で「わからない。多分国内事情なんだろう」と語り、日本側は一様に中国側の対応に不信感を募らせた。
 同日午前に行われた前原誠司外相と楊潔〓(ようけつち)中国外相による日中外相会談は予定の30分間を大幅に超える約1時間20分に及んだ。中国側は、ハワイで27日にあった前原外相とクリントン米国務長官による会談で、尖閣諸島が日米安保条約第5条の適用対象と確認したことを日中首脳会談拒否の理由の一つにあげた。だが、日米外相会談よりも後に開かれた日中外相会談が「大変良かったのを受けて、日中首脳会談が(いったんは)セットされた」(福山氏)という経緯があるだけに、戸惑いを隠せない。
 菅首相と温首相は今月4日(現地時間)にブリュッセルで会談し、戦略的互恵関係の進展やハイレベル協議の適宜開催で合意した。しかし日中双方とも国内世論を意識して、これを正式な首脳会談とは見なさず「懇談」「交談」と位置付けた。
 ハノイでの日中首脳会談は、11月中旬に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への胡錦濤中国国家主席の出席と、その際の日中首脳会談実現への地ならしの意味があったが、「これで胡主席のAPEC出席も危うくなった」(日本政府関係者)との見方も出ている。
 今回、日本側は早い段階からハノイでの首脳会談や外相会談の開催を中国側に打診してきた。だが、菅首相が出国する直前になっても「中国からは一切の返事がない」(外務省関係者)状態が続いた。背景には、日中双方に相手側の出方を見極めたいという思惑があったとみられる。
 日本では、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオ映像が27日、衆院に提出され、29日には衆参予算委理事らに限定して11月1日に視聴が認められることが決まった。また日本側では最近、対中政策の原則的立場の確認作業が始まっている。
 漁船衝突事件をめぐり、前原外相らが「尖閣諸島は我が国固有の領土であり、東シナ海には領土問題は存在しない」との原則論を繰り返している。今月26日には、1978年に当時のトウ小平中国副首相が尖閣諸島の領有権の「棚上げ」を日中両政府が約束したと発言したことについて、「約束は存在しない」との答弁書を閣議決定した。
 菅首相は29日開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳との会談で、漁船衝突事件での対応を紹介しながら「我が国は地域の安定と繁栄のため、両国間の懸案に冷静に対処し、解決を図っている」と訴えた。すると、南シナ海の領有権を中国と争うフィリピンのアキノ大統領は日本の対応を「高く評価したい」と述べ、日本支持を鮮明にした。
 ◇前原氏への打撃狙う?
 中国側が一度設定された日中首脳会談を直前に取りやめた背景には、尖閣諸島付近での衝突事件後、中国側を刺激する発言を続けてきた前原誠司外相にダメージを与えようという思惑がありそうだ 
 目撃者によると、中国政府の日本担当幹部は同日午後5時半(日本時間同7時半)ごろ、会談見送りを発表する文面を推敲(すいこう)していたという。この時点で中国側は見送りを決めていた可能性が高い
 日中双方の現場担当者が午後6時35分(日本時間同8時35分)の日中首脳会談開始を申し合わせ、日本と香港のメディアに冒頭取材の案内をしたのは、その後のことだ。そして、会談は白紙に戻された。肩すかしを食わされた菅首相と前原外相は、約1時間待機した
 中国側は、最初から会談見送りの準備を水面下で進めていた可能性がある
 中国の胡正躍外務次官補は会談キャンセルの理由について、ハワイでの日米外相会談や日中外相会談後の前原外相の発言を問題視した。批判の力点が前原外相に置かれているのは明白だろう。
 一方、中国国内では30、31日の今週末にも反日デモが呼びかけられている。温首相が菅首相との会談に踏み切った場合、温首相への逆風が強まることも予想されていた。
 しかし、ブリュッセルで菅首相と懇談した温首相がハノイで正式会談を行って日中関係の修復に踏み出すことは既定路線だった。いったん設定された首脳会談が直前にキャンセルされた背景には、対日政策を巡って中国指導部内に足並みの乱れがあるという見方につながる可能性もある。

→やはり、前原外相への打撃が狙いか?

■会談見送り、菅政権に打撃=「分からない」とぼうぜん-政府高官
(2010/10/30-01:14)時事通信
 【ハノイ時事】日本政府が周到に準備を進め、いったんは決まりかけた菅直人首相と温家宝首相の首脳会談は29日夜、土壇場で見送られた。中国側は、領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について、日本政府が「固有の領土」と繰り返したことに反発をあらわにした。11月中旬の胡錦濤国家主席の来日に向けた関係修復の目算は狂い、菅政権には大きな打撃となった。
 「日本の外交当局責任者は他国との間で尖閣諸島問題を再びあおった」。中国の胡正躍外務次官補は、前原誠司外相が27日にハワイで行ったクリントン米国務長官との会談で、尖閣諸島を「日米安全保障条約の適用対象」と確認したことに強く反発。会談見送りの責任は「日本側がすべて負わなければならない」と非難した。
 日本政府内では、首脳会談を直前で拒否した中国側の事情について、国内の根強い反日感情が影響したとの見方が強い。実際、中国国内では反日デモが頻発。日本外務省幹部は「温首相に対する突き上げは厳しい」と語り、中国指導部に配慮が必要だと指摘した。
 日本政府は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の模様を撮影したビデオ映像を衆院に提出する際、仙谷由人官房長官が「国際政治情勢に配慮する必要がある」との要望書を添付。首脳会談を前に「関係修復を望む真意に変わりはないとの中国へのメッセージ」(首相官邸筋)だった。
 しかし、衆参の予算委員会理事らに限定した11月1日のビデオ視聴が決定。民主党幹部は「ビデオ公開が影響した」と語り、日本政府の配慮は中国側には通じなかったとの見方を示した
 首脳会談が流れたことに、日本側は衝撃を受けている。ハノイでは29日、日本政府が午後6時半すぎに首脳会談を開催するといったん発表したものの、直後に取り消す混乱ぶりを見せた。会談見送りの連絡を受け、日本政府高官は「分からない」とぼうぜんと繰り返すばかりだった。
 胡錦濤主席来日が予定されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議まで2週間。友好的な雰囲気で首脳会談を実現させるには、残された時間は少ない。

→以上みてきたように、ビデオはドタキャンと関係ないでしょう?

→菅総理は、APEC首脳会談の議長としての「おれのメンツ」のために、前原外相を外しますか?そこがAPEC前政局の焦点になってきました。9.29細野秘密訪中→ブリュッセル首脳立ち話で前原外相・外務省外しをした実績が菅総理にはあります。APEC前、官邸はどうするか、注目です。