9月コア・コアCPI-1.0%:11月2,3日のFOMCで大規模な国債買い入れ観測の中で | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

9月コア・コアCPI-1.0%:11月2,3日のFOMCで大規模な国債買い入れ観測の中で

秘書です。
物価下落。自分の給与が下がらなければ悪くないと思うでしょう。
牛丼は安いほうがいい。
居酒屋で酒代がただの店はありがたい。
しかし、そんな窮乏化策をとっていたら、競合相手をつぶすだけ。
回りまわって自分の給料は下がり、売上が落ちる経済規模縮小につながっていきます。
小泉政権期、景気拡大が実感できなかった大きな原因が物価が下落していたために、給料になかなか反映しなかったことにあります。
そして、みんな成長なんて自分に関係ないや、という風潮となり、低所得者の所得がようやく上がり始めたところで景気後退してしまった。
それくらい、物価下落は深刻です。
一部に、先進国はみんな物価下落していると勘違いしている方がいますが、違います。日本だけです。
そして、先進国の中央銀行は日本型デフレにならないように必死になっています。
そんな中、本日、消費者物価指数が発表されました。




■9月コアコアCPIは前年比‐1.0%=内閣府
2010年10月29日10時55分朝日新聞
 [東京 29日 ロイター] 内閣府は29日、9月の石油製品・その他特殊要因除く消費者物価指数(コアコアCPI)が前年同月比マイナス1.0%になったと発表した。
8月のマイナス1.0%に対してマイナス幅は変わらずだった。
 季節調整済みでは前月比マイナス0.1%だった。

■平成17年基準 消費者物価指数 全国 平成22年9月分
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm

(1) 総合指数は平成17年を100として99.8となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は0.6%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.1となり,前月と同水準。前年同月比は1.1%の下落となった。
(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.1となり,前月比は0.1%の上昇。前年同月比は1.5%の下落となった

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合・前年同月比の推移(全国)
2010年1月=-1.2
2月=-1.1
3月=-1.1
4月=-1.6
5月=-1.6
6月=-1.5
7月=-1.5
8月=-1.5
9月=-1.5

→なんでそうなるの?
①日本の競争力が劣化している。生産性の問題。日銀はこのことを本当はいいたいのかもしれませんが、菅民主党政権ではデフレ下では生産性の話はしない、という方向性で見解がずれているように見えます。ここはしっかり対話してほしいところ。特に、同一待遇が保障された中での制限された同期競争しかしていない、一部の既得権益をもつエリート層の劣化が著しいように思います。
②競争力が落ちているのになぜ円高なのか。それは米国などが量的緩和をやって貨幣を増大させているのに対して、相対的に日本が現状維持的だから、円高になるのではないか。
③そのほかの要因は、なぜ日本だけ?という疑問への回答にならないように思います。


■海江田氏:生産落ち込みは大変深刻-現段階で景気後退の見方は取らず
 10月29日(ブルームバーグ):海江田万里経済財政担当相は29日午前の閣議後記者会見で、同日発表の9月の日本の鉱工業生産指数に関連して、生産の落ち込みは大変深刻だとしながらも、今の段階で景気後退との見方は取らないと語った。その上で、生産の動向を注視すると語った。
  9月の日本の鉱工業生産指数は4カ月連続のマイナスになった。アジア向け輸出の鈍化や政策効果のはく落により、7-9月期の生産は6四半期ぶりにマイナスに転じた。先行きもマイナスが見込まれており、不透明感が強まっている。

→現時点では景気後退していないにもかかわらず、なんで、物価は下落し続けるのか?

■海江田経財相:政府・日銀一体でさらに努力-デフレ克服目指し
 10月29日(ブルームバーグ):海江田万里経済財政担当相は29日午前の閣議後記者会見で、デフレ脱却に向けて、政府と日銀が一体になってさらに努力すると述べた。

→政府と日銀の「努力」の期限と数値目標は?政府と日銀は「努力してます」ですまされるのか?経済規模縮小のリスクの中でサラリーマンや自営業者が「努力してます」ではすまされない環境の中、それでいいのか?

■「脱デフレ」強気の日銀…政策決定会合
(2010年10月29日 読売新聞)

金融政策決定会合後に記者会見する白川総裁(28日、日銀本店で) 日本銀行は28日の金融政策決定会合で、格付けの低い社債なども段階的に買い入れることを決めるとともに、市場の予想を上回る見通しを盛り込んだ「展望リポート」を公表した。

 強気の見通しは、5日に決めた「包括緩和」の効果を織り込んだためだが、市場では、基金での資産買い取りによるデフレ脱却に向けた効果に懐疑的な見方も浮上している。

 日銀の行動が呼び水になる――。白川方明総裁は記者会見で、「包括緩和」の一環として上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(Jリート)を買い入れる意義を繰り返した。

 ただ、価格変動が大きい資産を金融緩和の一環として買い入れる初めての試みとなるが、購入額はETFが4500億円、Jリートは500億円にとどまる。このため、市場関係者の間では「株価や不動産市況の下支えに多くは期待できない」との声もある

 日銀が一段の金融緩和を迫られる事態になれば、基金の増額は「有力な選択肢」(白川総裁)となる。しかし価格変動を伴うETFやJリート、社債やコマーシャルペーパー(CP)の買い入れはリスクを伴うことから、容易には増やせない。このため今後の追加緩和策を巡る議論では、長期国債の買い入れ増が焦点となりそうだ。ただ「長期金利は低下しており、基金の効果は象徴的なものにとどまる」(大手証券)との声も出ている。

 日銀が「展望リポート」で示した経済・物価の見通しについても「楽観的すぎる」との指摘が出ている。

 2010~12年度の経済成長率や物価見通しは市場の大方の予想を上回った。これについて「大きなサプライズ」(外資系証券)との受け止めが多い

 白川総裁は「包括緩和(の効果)が見通しの前提に入っている」と、金融緩和の効果が浸透することで物価を押し上げるとの見方を示し、11年度の景気も「緩やかな回復経路に復していく」と強気な見方を示したが、市場では「ゼロ金利政策を早く解除したい日銀の思いの表れ」「あえて高い予想を示すことで一段の追加緩和を求められる事態を回避するためではないか」との見方も浮上した。(三好益史)

■日銀:展望リポート 強気に危うさ 包括緩和策、効果は米次第
毎日新聞 2010年10月29日
 日銀が28日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)は、日本経済の先行きについて、円高などを背景に今年度後半にかけて回復ペースが鈍るものの、来春には再び緩やかな回復軌道に戻るとの強気のシナリオを示した。日銀の白川方明総裁は「(今月5日に決めた実質ゼロ金利復活と金融資産買い入れが柱の)『包括緩和策』の効果を見込んだ」としたが、市場は「12年度まで3年連続で2%前後の成長が続くバラ色の予測」(クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミスト)と実現性を疑問視している。【清水憲司】

 日銀は展望リポート公表に合わせて、実質ゼロ金利政策の長期化を示唆。同時に国債から格付けの低い社債、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(Jリート)まで購入し、金融市場を下支えする「包括緩和策」を進めて景気シナリオの実現を目指す考えだ。白川総裁は「(包括緩和策が)企業や投資家の心理にプラス効果を及ぼし、景気が改善に向かえば向かうほど(景気下支え)効果が強くなっていく」と強調した。

 しかし、米国が一段の金融緩和策を打ち出し、ドル売りが加速して、一段の円高になれば、日銀ができることはほぼやり尽くしたと認める包括緩和策の効果は大きく減殺されかねない。実際、米連邦準備制度理事会(FRB)は11月2、3日の連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模な国債買い入れなど追加緩和に踏み切るとの観測が広がっている。日銀は11月中旬に予定していた次回の金融政策決定会合をFOMC直後の4、5日に前倒しすることを急きょ決定。白川総裁は次回会合の前倒しとFOMCの直接の関連は否定しつつも「必要なら金融資産の購入拡大も有力な選択肢」と言及、日銀も緩和拡大による円高阻止の“対抗策”に踏み切る構えをうかがわせた。

 しかし、4年半ぶりに実質ゼロ金利に戻しリスクの高い資産の購入にまで踏み込んだ日銀に残された追加手段は「資産購入の積み増しくらいしかない」(アナリスト)のが実情。展望リポートの強気のシナリオとは裏腹に、史上最高値(1ドル=79円75銭)に迫る円高への対応に苦慮しているのが日銀の実態だ

→大方の予想を上回る見通しが実現できなかったときの「責任」は?

→11月に米国のFRBが大胆な対策をうってでることが予想される中、事前に日銀は「できることはほぼやり尽くした」といいたかったのか。

→なぜ、FRBと同じ大胆なことをしないのか。副作用?例えば、風邪薬には副作用があります。副作用のリスクがあるからちょっとだけ飲むことにしましょう。そんなことをいっているうちに、風邪薬は効かなくなり、万病につながっている。

→日本の政策エリートはなぜ兵力の逐次投入しかできないのか。組織における人事評価の根本的問題がそこにあるのではないか。そんな日本史を振り返りつつ、11月2、3日を迎えましょう。