密使のその後:9.29公開的「極秘」訪中についてのニュースクリップ(3) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

密使のその後:9.29公開的「極秘」訪中についてのニュースクリップ(3)

秘書です。
「秘密訪中」ニュースクリップ・その3です。



■日中首脳会談へ極秘交渉 仙谷ルート構築

2010年10月6日13時8分朝日新聞
  
 4日夜(現地時間)、ブリュッセルの王宮で開かれたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合のワーキングディナーの後。菅直人首相と中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相の電撃的な日中首脳会談は、たまたま廊下にあったいすに座って偶発的に行われたように演出された。しかし、実際は1日に極秘に行われた菅内閣の要である仙谷由人官房長官と、中国外交を統括する戴秉国(タイ・ピンクオ)国務委員との電話会談が、首脳会談へのレールを敷いていた。

 尖閣諸島沖の漁船衝突事件でもつれた日中関係を修復するため、首相官邸は外務省ルートに頼らず新たな政治家ルートの構築を探った。仙谷氏は中国側に歩み寄りの意思があることを独自ルートで察知し、9月の民主党代表選で小沢一郎氏を支持したものの、中国人脈をもつ細野豪志前幹事長代理を密使として9月29日に北京に派遣した

 細野氏は戴氏との会談に成功し、ASEMでの首脳会談の可能性を協議。帰国後、首相官邸に報告し、仙谷氏と戴氏との電話会談につなげた。

 両氏の電話会談では(1)戦略的互恵関係の重要性(2)日中交流の推進――という大枠が確認され、首脳会談への環境整備は整った。その後、細野氏が東京で、仙谷氏の腹心・福山哲郎官房副長官が首相外遊に同行して現地で水面下の交渉を続けた。

 廊下での首脳会談は約25分間に及んだ。急な出来事と装うためか、菅首相の通訳は通常の「日本語―中国語」ではなく、英語だった。両首脳はその場で戦略的互恵関係の原点に立ち返ることにあっさり合意したのだった。

■密使・細野氏、協議7時間

 ASEM首脳会合を利用した日中首脳会談は、両国関係の早期改善を望む菅直人首相の強い意向を受けたものだった。実現に向けて、官邸側は周到に準備を進めた。

 動きはじめたのは先月24日、日本側が中国人船長の釈放を決めた頃だ。臨時国会に向けた人事を進める中で鉢呂吉雄国会対策委員長が、衆院厚生労働委員会の筆頭理事に名前が挙がっていた細野豪志前幹事長代理について、国対幹部に指示を出した。「細野氏の役を外しておいてくれ」。この国対幹部は「細野氏は10月1日の衆院本会議に出席できないかもしれない。何か密命を帯びているんだな」と受け止めた。

 細野氏は前原誠司外相グループに所属し、同グループの後見役を任じる仙谷由人官房長官も目をかける。前原氏が代表時代の2005年に訪中した際に同行した経験を持つ。民主党の小沢一郎元代表からの受けもよく、昨年12月に小沢氏が民主党議員約140人を引き連れた訪中では、中国側との折衝役を任された。民主党内では数少ない中国人脈の持ち主であることで「密使」として白羽の矢が立った。

 そして27日、菅首相はいったん見送りを決めていたASEM首脳会合に一転、出席を決断。2日後の29日、細野氏が北京入りした。北京国際空港には中国外務省の車が出迎え、そのまま市内の釣魚台迎賓館へ。細野氏のそばには中国外務省の日本担当者が寄り添った

中国外務省高官との協議は7時間近くに及び、途中で中国外交を統括する戴秉国・国務委員も姿を現した。無役の中堅議員に過ぎない細野氏相手に戴氏まで登場したのは、菅内閣の番頭役である仙谷氏の要請を受けての訪中だったためだ

 仙谷氏は水面下で中国側に歩み寄りの気配を感じ、日本外務省を通さず、政治家の訪中による解決を探っていた。この協議では「ASEM首脳会合を利用した日中首脳の対話」が話し合われた。

 同じ日、菅首相は、細野氏の訪中をいぶかる周辺に電話で漏らしていた。「あれは仙谷がやっていることだから大丈夫なんだ」

■「演説で尖閣に触れぬ」約束

 細野氏は1泊だけして30日に帰国。中国側から伝えられた内容をすぐさま仙谷氏らに報告した。だが、官邸のお墨付きを得た細野氏の動きを知り、日本外務省は慌てた。日中外交の主導権が政治家側に奪われてしまうためだ。外務省は外交ルートを通じて中国側に日本政府高官と戴氏の電話会談を要請した。

 この動きを伝えられた仙谷氏は周辺に「そんな話は知らん」と不快感を示していたが、細野氏の訪中でも首脳会談までは定め切れない。そこで、日中双方が歩み寄る形で仙谷氏と戴氏が10月1日、極秘に電話で会談した。関係者によると、両氏が確認したのは(1)戦略的互恵関係の重要性(2)日中交流の推進――の2点。日中首脳会談の実現に向けて大枠は固まった。

 菅首相は3日夜、温首相は4日昼ごろにそれぞれブリュッセル入りした。最後まで調整が続いたのは、ASEM全体会合で行う両首脳の演説内容だった。「尖閣諸島問題はお互いに直接言及しない」。それが首脳会談の実現に向けた水面下の確認事項だった。仙谷氏や細野氏と親しく、今回首相に同行した福山哲郎官房副長官が現地で極秘で中国側と接触し、演説案に筆を入れ続けた。

 温首相は日本語に堪能な複数の中国外務省幹部を現地に連れてきていた。だが、会議参加者としての登録が間に合わなかったのか、本来の名前とは違う名札をぶら下げている同行者もいた。中国側は「日本側から会談の申し入れはない。首脳会談の予定はない」(政府高官)と繰り返したが、急ごしらえでも対応は取っていた。

 4日夕、菅首相、温首相ともに尖閣諸島問題には触れずにスピーチを終えた。双方はぎりぎりまで互いの姿勢を確かめ合い、その後2時間にわたったワーキングディナーを終えて両首脳が会談した。

 終了後、菅首相は記者団に対して会談を振り返った。「割と自然に、普通に話ができました」

■官邸外交に外務省絡めず

 「こっちでは何もしていない」。外務省幹部は5日、首脳会談実現に向けて政治家ルートを稼働させた首相サイドの動きに、あまり絡めなかったことを当惑気味に認めた。

 ASEM首脳会合には中国の担当課長が同行せず、首相には中国語の通訳もつかなかった。首相側には「こちらから日中首脳会談を望むような姿勢は見せない」(周辺)との思いもあったが、自民党の外交部会幹部は「英語を介した通訳で、温首相の発言のニュアンスまでつかめたのか」と批判する。

 そんな足元を中国側も見透かしている。衝突事件があった9月上旬から中旬、中国政府は連日のように日本側へ抗議し、出てきた中国政府高官のレベルも徐々に上げた。最後に登場したのが戴氏だった。中国政府関係者が語る。

 「外交経験のない民主党政権を外交官がプロとして支えるべきだ。民主党政権を担う政治家には、こちらの声がちっとも届いていない」

 官邸と外務省に信頼関係がなく、中国側が外務省ルートの情報が官邸に伝わらないと感じたことが、細野氏ら政治ルートの活用につながった可能性もある。日中交流にかかわる民主党議員は「官邸には外務省が本音の情報を取れていないことへの不満がある。政治家を使い官邸が独自に動くことも良い」と指摘した。



■細野氏が菅、温家宝両首相の会談を打診
2010年10月2日22時11分 共同通信

 9月末に訪中した民主党の細野豪志前幹事長代理が北京滞在中、中国外交を取り仕切る戴秉国国務委員(副首相級)と会い、4、5日にブリュッセルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に合わせ、会議に出席する菅直人首相と温家宝首相の首脳会談の開催を打診していたことが分かった。日中関係筋が2日、明らかにした

 中国副首相級が政府の役職がない衆院議員との会談に応じるのは異例。細野氏は「訪中は個人的判断」と強調していたが、事実上、官邸サイドの「特使の役割」を担っていたことになる

 細野氏が9月30日に帰国の途に就いた後、中国河北省石家荘市で拘束されていた日本人4人のうち3人が釈放。関係改善への動きが出ており、日中双方はあらためて首脳の接触実現に向けた水面下の調整を続けているもようだ。

 細野氏は9月29日から30日にかけ北京入り。ASEMの場での日中首脳会談を戴氏に求めたが、同氏は難色を示し、色よい返事が得られなかった。

 中国側は漁船衝突事件で悪化した日中関係の改善に向け、日本に「実際の行動」を示すよう求めており、戴氏側としてはさらに日本側の対応を見極めたいとの判断が働いたとみられる。

 

■手探りのパイプ構築 対中外交、民主の課題に
'10/10/2 中国新聞

 民主党が手探りの対中国外交を展開し始めた。細野豪志前幹事長代理に続き、山口壮政調筆頭副会長が北京を訪問し中国外務省関係者と会談。2人は「個人的な訪問」と強調、首相官邸や党の関与を否定するが、漁船衝突事件で悪化した対中関係改善の狙いは明らかだ。自民党に比べ対中交流の歴史が浅い民主党にとって新たなパイプ構築は喫緊の課題となっている。

 「日中両国は一衣帯水の関係だ。日本の国益と、戦略的な互恵関係は両立しうる」。細野氏は1日、国会内で記者団に両国関係の重要性を指摘したが、9月29日の唐突な訪中の中身については口をつぐんだ。

 細野氏は中国との太いパイプを持つ小沢一郎元幹事長にも近く、中国にも迎え入れられるのではとの期待が政府、党関係者にあったことは想像に難くない。訪中には外交政策に詳しい党職員の須川清司氏が同行。須川氏は内閣官房専門調査員の肩書も持ち、現在は仙谷由人官房長官に近いことから、仙谷氏が事実上黙認したとみられている

 外交官出身で在中国大使館勤務歴のある山口氏は1日帰国。細野氏とは別行動ながら、事前に玄葉光一郎政調会長に了解を得た上で、「個人の昔の外交ルートをたどった」と率直に中国への働き掛けを認めている。

 官邸や党執行部は、一連の中国側対応の理不尽さを非難する立場上、日本から「使者」を派遣したとは表向き言えない。かといって意思疎通を欠いたままでは、疑心暗鬼は深まるばかり。政治主導の建前から外務省に助けを求める訳にもいかず、苦肉の策で所属議員の「個人的接触」により、中国側に関係改善に向けたメッセージを発したようだ。

 民主党内では昨年12月に約140人の議員団を引き連れて訪中した小沢氏や、海江田万里経済財政担当相ら親中派で知られる議員もいる。だが小沢氏は代表選で菅政権を批判した立場、海江田氏は現職閣僚で、それぞれ動きにくいのが実情だ。


■民主・細野氏訪中、仙谷官房長官が要請 国務委員と会談
2010年10月2日8時30分朝日新聞

 民主党の細野豪志前幹事長代理が中国・北京を訪問したのは、仙谷由人官房長官の要請に基づくものであることが分かった。細野氏は北京入りした先月29日夜、中国外交を統括する戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員(副首相級)と会談していた。訪中にかかわった関係者が明らかにした。

 細野氏は29日、北京市内の釣魚台迎賓館で中国外務省幹部と長時間にわたり会談。途中から戴秉国氏も加わった。閣僚級交流の停止などの中国側の対抗措置のほか、河北省石家荘市で起きた4邦人の拘束事件などが取り上げられ、関係改善に向けて意見交換したとみられる。