密使のその後:9.29公開的「極秘」訪中についてのニュースクリップ(1) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

密使のその後:9.29公開的「極秘」訪中についてのニュースクリップ(1)

秘書です。
そういえば「密使」のその後、どうなっていましたっけ?



■壁耳・永田町:「密使」その後
毎日新聞 2010年10月26日 東京朝刊
 首相の密使として先月、訪中した民主党の細野豪志前幹事長代理。仙谷由人官房長官の要請で日中外交の修復に一役買った。仙谷氏が後見役を務める前原誠司外相グループに復帰する足がかりかと思われたが、毎週開催と定例化した同グループの会合には14、21日と欠席を続けている。

 細野氏は前原氏の側近だったが、小沢一郎元代表にも重用されてきた。小沢氏の政治手法を間近で学び、9月の代表選では小沢氏を支持。親しい議員には「前原さんが代表選に出るときは前原さんを支持する。前原さんも理解してくれている」と説明してきた。

 細野氏周辺は「これからは首相官邸の補佐官のような仕事をするのでは」と密使役に続く活躍を期待するが、二元外交を懸念する前原氏は「静かにしていてほしかった」と細野氏への不満を漏らし、同僚からは「男芸者」と皮肉る声も聞こえてくる

 検察審査会の起訴議決で小沢氏の影響力低下は必至。このタイミングでグループの会合に顔を出せば、小沢氏を見切ったと受け取られかねない。戻るに戻れない細野氏の苦悩。グループの若手は「ほとぼりが冷めるまでには時間がかかりそう」と語る。【野口武則】

→二元外交と密使についてふりかえっておきましょう。それにしても、密使なのになぜ、記者団が待ちかまえているところでカメラ付きのぶら下がりをしているのか??

【社説】日中関係 「静かな外交」の危うさ
2010年10月16日中日新聞

 予算委員会の論戦を通じ政府は尖閣事件後、間を置かず日中首脳の顔合わせが実現し関係緩和に向かったと胸を張った。しかし、経過を点検すれば今後も外交的失策を繰り返す危うさが潜んでいる。

 仙谷由人官房長官は「柳腰外交」という表現を使い政府の「しなやかでしたたかな対応」を自画自賛し判断ミスを否定した。

 菅直人首相の周辺には謝罪と賠償を要求する中国と派手にやり合わず、建設会社の四人の釈放を実現したことを「静かな外交の勝利」と誇る声さえあるという。

 中国漁船の船長釈放後、まもなくブリュッセルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)で菅首相と中国の温家宝首相の「廊下会談」が実現し、その後、日中関係が緩和に向かった。仙谷長官らは、これを誇りたいのだろう。

 しかし、そのプロセスは問題が多い。外交筋によると、関係緩和には民主党の細野豪志前幹事長代理が訪中し外交政策の司令塔である戴(たい)秉国(へいこく)・国務委員(副首相級)と会談したことが功を奏した。

 仙谷長官や前原誠司外相は表向き細野氏の訪中への関与を否定している。実際には細野氏は首相官邸の要請に基づく事実上の「政府特使」として訪中したようだ


 細野氏は昨年末、小沢一郎幹事長(当時)が百四十人の民主党議員を引き連れ訪中した「長城計画訪中団」の事務総長も務め、共産党対外部門とパイプを築いた。細野氏には中国ビジネスの経営コンサルタントも同行し、独自の人脈から中国側と折衝したという

 細野氏の訪中に外務省は関与せず、ブリュッセルの日中首脳顔合わせにも外務省の中国・モンゴル課長や中国語通訳も同席しなかった。これに対し党と政府が一体の中国は日本担当者が同席した

 中国要人は公式発言は中国語でしか行わず、外国語による記録を会談記録と認めない。つまり外交的には、日中首脳の会話は「なかった」と同じである。

 尖閣事件で外務省と官邸の意思疎通不足があらわになり中国側の出方を読み違えることが目立った。事件収拾でも両者の亀裂は一層、深まったようだ。

 これから中国の国力は日本を上回り、対応はますます難しくなる。政治家と官僚が反目していて太刀打ちできるはずもない。

 民主党政権が尖閣事件の収拾を政治主導の成功例とはき違えるなら、日本外交の危機は今後、一層深まるだろう。


■特集ワイド:愚問ですが 小沢元代表「側近」として 細野豪志・前幹事長代理に聞く
毎日新聞 2010年10月15日 東京夕刊

 民主党政権誕生から1年余。この間、細野豪志前幹事長代理は、小沢一郎元代表の「側近」として参院選、代表選を戦ってきた。最近は“官邸密使”として電撃訪中し、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の鎮静化に一役買ったという。今だから言えることは? 「政治とカネ」問題などが噴出する「ねじれ国会」論戦のさなか、キーマンを直撃した。【中澤雄大】

・・・

 --尖閣問題への菅政権の対応に国民の不満がうかがえます。

 細野さん まだ継続中の問題ですが、もう少し時間がたった後で、政府対応の検証作業をすることは大切。ベターな解決策を模索するため、ぜひやるべきです。

 --電撃訪中は「個人的なつながり」で行ったとか。

 細野さん うーん、その件は、私の判断で行ったし、いろいろな人間関係の中で(中国政府関係者と)会ってきた話なので、コメントは差し控えたいなあ。

 --重ねて愚問ですが、すぐにメディアに見つかり、“密使”役としては用意周到ではなかったですね。

 細野さん うーん、一つだけ言えば……外交安全保障を考える時に、守らなければいけない国益があるでしょう。それを守るために何ができるのか。行くか行くまいか正直迷ったけれども、最終的に自分でやれることがあるのであれば、との思いで決断しました。

 --小沢氏と同行した06、07年の訪中で中国共産党中央対外連絡部(中連部)とのパイプができ、先に極秘来日した劉洪才(りゅうこうさい)・駐北朝鮮中国大使とも親しい関係ですね。釣魚台迎賓館で戴秉国(たいへいこく)国務委員や王家瑞(おうかずい)・中連部長と会い、フジタ社員の解放や日中首脳懇談などを模索したそうですが。

 細野さん 中連部などに、「古い友人」がかなりいるのは事実です。ただ、申し訳ないけれども、誰と会って何を話したかも、私限りで、と思っていますのでお話しはできません。

 --失礼ながら、細野さんはこれまで内政・党務を中心に仕事をしてきました。今回は「二元外交」のそしりを受けかねない中での訪中で、官邸スタッフの須川清司・元民主党政策調査会部長が同行するなど、官邸の思惑が随分感じられますが

 細野さん 私の判断で、誰と行くのかを含めて決めた。それに尽きます。

 --中国との関係が深い小沢氏のパイプは使わなかったのですか。

 細野さん 外務省の外交ルートはしっかり機能していた。個人的なつながりで、どうサポートするか、ということです。個人的に行ったことなので、小沢氏にも話していません。

 --代表選後に周辺に「『冷や飯定食』が続く」と言われたそうですね。ただ、細野さんは、菅首相とも話ができるし、小沢氏と距離を置く前原グループの仙谷由人官房長官らとも近い。

 細野さん 冷や飯だとは思っていません(笑い)。ただ、両方にパイプを持つことを前向きにとらえてもらっているけれども、逆に厳しい面があることは承知している。与えられた仕事をこなすのに、コミュニケーションなしでは成果を出せないでしょ。そうした努力をする中で、党幹部との関係を築いてきた。政治家になって10年。今後もこうした調整の役回りをやっていくべきなのかどうか、ここで立ち止まって考えたい気持ちはありますね。

 ■人物略歴

 ◇ほその・ごうし
 1971年生まれ。京大法卒。旧三和総研を経て00年の総選挙で初当選。現在4期目。党役員室長、党組織委員長兼企業団体対策委員長などを歴任した。