民主党的「政治主導」の悲劇:「権限への逃避」
秘書です。
丸山真男は「軍国支配者の精神構造」の中で、以下のように戦時中の指導者の特徴の一つとして、「自己の無責任」の論拠に「官制上の形式的権限の範囲には属さない」ことを主張することにある、と述べています。
「だから自己にとって不利な状況のときには何時でも法規で規定された厳密な職務権限にしたがって行動する専門官吏(Fachbeamte)になりすますことができるのである」
「政治的事務なるが故に政治的責任を解除されたのであった」
「かくしてこの共同計画の実施中に執られた最重要な行動のあるものに対して、内閣の中に誰一人として責任を持つものがいないということになる」
「要するにこのような「官僚精神」をいくら積み重ねてもそこから言葉の本来の意味での政治的統合(political integration)は出てこない。それに代わって文書や通牒の山が築かれ、法令が頻繁され、官制が新設される。」
そして、この論文にある1940年の官制で出来た「総力戦研究所」についての下記の証言。「国家戦略・・・」と似ていませんか。
「研究所としましては先ず店は開いたが何をするのだろう。何とか格好を付けねばならなぬだろうというのでその職員に命ぜられた者が先ずその場限りの事柄から始めたのが発足であります。」
丸山真男の「軍国支配者の精神形態」は「これは昔々ある国に起こったお伽話ではない」で締めくくられていますが、書かれたのは1949年。
そして、民主党政権の分析にも極めて有効です。
■【名言か迷言か】APEC吹っ飛ぶ発言で、仙谷長官問責も
2010.10.23 18:00 産経新聞
菅内閣の「陰の総理」とも称される仙谷由人官房長官が自らの国会答弁などをめぐり、窮地に立たされている。追い打ちをかけるように、18日の参院決算委員会では、自民党の丸山和也参院議員が尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に関する仙谷氏との電話内容を暴露した。
「『中国人船長の無条件釈放は問題があるんじゃないですかね。訴追して判決を得て送還するのが法に従って粛々とではないか』とお聞きしたら、(仙谷氏は)『そんなことしたら(中国も参加し、11月に横浜市で開かれる)APEC(アジア太平洋経済協力会議)が吹っ飛んでしまう。そこまでやって良いというんだったら別だけどね』と。中国関係を考慮されたんでしょうけど」
政府は船長釈放を「検察の判断」としてきたが、この発言が事実なら、検察の処分への政治介入があったと受け止められかねない。答弁を求められた仙谷氏は「健忘症なのか分からないが、会話の内容はまったく記憶にない」と煙に巻いた。
15日の参院予算委では、経済産業省幹部が民主党の天下りへの取り組みを批判したことに対し、「彼の将来を傷つける」と述べたことを野党が「恫喝だ」と批判。19日に前田武志参院予算員長から「委員会で不適切な発言があった」と注意を受ける場面もあった。
民主党の平田健二参院幹事長は19日の記者会見で、「迷惑千万だ。大臣の答弁や行動で、(与党側が)野党に謝罪するのはもってのほかだというふうに思っている」と仙谷氏を批判した。
野党側では、与党が過半数に届かない参院で問責決議案を提出する動きも出始めた。19日のみんなの党役員会で、渡辺喜美代表はこう語気を強めた。
「もしこういうことが本当だったとすれば、今までいってきた政治介入はなかったとの説明が嘘になる。こういうことがもし本当であるとすれば問責決議案に値する」
一連の問題をめぐって対応を誤れば、APECどころか、自らのクビが「吹っ飛ぶ」事態ともなりかねない。(赤地真志帆)
→責任が発生しないかたちで裏での政治決断はしておきながら表では別に責任を押し付ける政治をしているのか?実は政治判断をしているのに、その責任を沖縄地検に押し付けて、官制上の権限と責任は私にはないといっているのか?
■「尖閣、菅政権は早く降りすぎ」元米国務副長官
(2010年10月21日13時04分 読売新聞)
【ワシントン=小川聡】米知日派のリチャード・アーミテージ元米国務副長官は20日午後(日本時間21日未明)、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡る日本の対応について、「法治国家として日本は、法プロセスを最後までやり抜いて、船長を罰するか、釈放したければ釈放するべきだった。菅政権は早く降りすぎで、中国への意思表示としては、よいものではなかった」と批判した。
ワシントン市内で講演後、記者団の質問に答えた。
また、「日本は今回の中国の行動を、何の対応もせずに見過ごすべきではない」と指摘。具体的には防衛費の増額を挙げ、「米国にすべて頼り切りというのは公平ではない」と注文を付けた。
一方、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を拡大しているとされる問題については、「調査を待つ必要がある」と前置きをしたうえで、「最悪の振る舞いだ」と非難した。
→この「早く降りすぎ」の判断を沖縄地検におしつけるなんて!本当は「APECが吹っ飛ぶ」という政治判断だったのでしょう?
■私の脳の一部に…菅首相「手駒」作りに腐心
読売新聞 10月23日(土)19時24分配信
菅首相が自前のスタッフ作りに励んでいる。
首相官邸の機能強化のための国家戦略室を再編し、首相の「知恵袋」となる政策提言部門を設けたほか、首相の指示に基づく「特命チーム」を四つ設けた。仙谷官房長官の存在感アップが取りざたされる昨今、「菅カラー」の発揮に腐心しているようだ。
「私の目となり耳となり、脳の一部となってほしい」
21日夜、都内ホテルで国家戦略室の政策提言部門の壮行会が開かれた。駆けつけた首相は、いつになく熱のこもった口調で金融機関などから集まった民間スタッフ約20人に声をかけた。「官僚機構は官房長官を通さないと動かせない。首相は、自分の『手駒』が欲しかったんだ」。首相周辺は解説する。
→記事によると特命チームは50か100作りたいと総理はいっているようです。官房長官との権限調整はどうするんでしょう?外交だけでなく、内政でも、「二重政権」になってしまうか、「総力戦研究所」のように、とりあえず、形はできた、ということで終わるのか?
丸山真男は「軍国支配者の精神構造」の中で、以下のように戦時中の指導者の特徴の一つとして、「自己の無責任」の論拠に「官制上の形式的権限の範囲には属さない」ことを主張することにある、と述べています。
「だから自己にとって不利な状況のときには何時でも法規で規定された厳密な職務権限にしたがって行動する専門官吏(Fachbeamte)になりすますことができるのである」
「政治的事務なるが故に政治的責任を解除されたのであった」
「かくしてこの共同計画の実施中に執られた最重要な行動のあるものに対して、内閣の中に誰一人として責任を持つものがいないということになる」
「要するにこのような「官僚精神」をいくら積み重ねてもそこから言葉の本来の意味での政治的統合(political integration)は出てこない。それに代わって文書や通牒の山が築かれ、法令が頻繁され、官制が新設される。」
そして、この論文にある1940年の官制で出来た「総力戦研究所」についての下記の証言。「国家戦略・・・」と似ていませんか。
「研究所としましては先ず店は開いたが何をするのだろう。何とか格好を付けねばならなぬだろうというのでその職員に命ぜられた者が先ずその場限りの事柄から始めたのが発足であります。」
丸山真男の「軍国支配者の精神形態」は「これは昔々ある国に起こったお伽話ではない」で締めくくられていますが、書かれたのは1949年。
そして、民主党政権の分析にも極めて有効です。
■【名言か迷言か】APEC吹っ飛ぶ発言で、仙谷長官問責も
2010.10.23 18:00 産経新聞
菅内閣の「陰の総理」とも称される仙谷由人官房長官が自らの国会答弁などをめぐり、窮地に立たされている。追い打ちをかけるように、18日の参院決算委員会では、自民党の丸山和也参院議員が尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に関する仙谷氏との電話内容を暴露した。
「『中国人船長の無条件釈放は問題があるんじゃないですかね。訴追して判決を得て送還するのが法に従って粛々とではないか』とお聞きしたら、(仙谷氏は)『そんなことしたら(中国も参加し、11月に横浜市で開かれる)APEC(アジア太平洋経済協力会議)が吹っ飛んでしまう。そこまでやって良いというんだったら別だけどね』と。中国関係を考慮されたんでしょうけど」
政府は船長釈放を「検察の判断」としてきたが、この発言が事実なら、検察の処分への政治介入があったと受け止められかねない。答弁を求められた仙谷氏は「健忘症なのか分からないが、会話の内容はまったく記憶にない」と煙に巻いた。
15日の参院予算委では、経済産業省幹部が民主党の天下りへの取り組みを批判したことに対し、「彼の将来を傷つける」と述べたことを野党が「恫喝だ」と批判。19日に前田武志参院予算員長から「委員会で不適切な発言があった」と注意を受ける場面もあった。
民主党の平田健二参院幹事長は19日の記者会見で、「迷惑千万だ。大臣の答弁や行動で、(与党側が)野党に謝罪するのはもってのほかだというふうに思っている」と仙谷氏を批判した。
野党側では、与党が過半数に届かない参院で問責決議案を提出する動きも出始めた。19日のみんなの党役員会で、渡辺喜美代表はこう語気を強めた。
「もしこういうことが本当だったとすれば、今までいってきた政治介入はなかったとの説明が嘘になる。こういうことがもし本当であるとすれば問責決議案に値する」
一連の問題をめぐって対応を誤れば、APECどころか、自らのクビが「吹っ飛ぶ」事態ともなりかねない。(赤地真志帆)
→責任が発生しないかたちで裏での政治決断はしておきながら表では別に責任を押し付ける政治をしているのか?実は政治判断をしているのに、その責任を沖縄地検に押し付けて、官制上の権限と責任は私にはないといっているのか?
■「尖閣、菅政権は早く降りすぎ」元米国務副長官
(2010年10月21日13時04分 読売新聞)
【ワシントン=小川聡】米知日派のリチャード・アーミテージ元米国務副長官は20日午後(日本時間21日未明)、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を巡る日本の対応について、「法治国家として日本は、法プロセスを最後までやり抜いて、船長を罰するか、釈放したければ釈放するべきだった。菅政権は早く降りすぎで、中国への意思表示としては、よいものではなかった」と批判した。
ワシントン市内で講演後、記者団の質問に答えた。
また、「日本は今回の中国の行動を、何の対応もせずに見過ごすべきではない」と指摘。具体的には防衛費の増額を挙げ、「米国にすべて頼り切りというのは公平ではない」と注文を付けた。
一方、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を拡大しているとされる問題については、「調査を待つ必要がある」と前置きをしたうえで、「最悪の振る舞いだ」と非難した。
→この「早く降りすぎ」の判断を沖縄地検におしつけるなんて!本当は「APECが吹っ飛ぶ」という政治判断だったのでしょう?
■私の脳の一部に…菅首相「手駒」作りに腐心
読売新聞 10月23日(土)19時24分配信
菅首相が自前のスタッフ作りに励んでいる。
首相官邸の機能強化のための国家戦略室を再編し、首相の「知恵袋」となる政策提言部門を設けたほか、首相の指示に基づく「特命チーム」を四つ設けた。仙谷官房長官の存在感アップが取りざたされる昨今、「菅カラー」の発揮に腐心しているようだ。
「私の目となり耳となり、脳の一部となってほしい」
21日夜、都内ホテルで国家戦略室の政策提言部門の壮行会が開かれた。駆けつけた首相は、いつになく熱のこもった口調で金融機関などから集まった民間スタッフ約20人に声をかけた。「官僚機構は官房長官を通さないと動かせない。首相は、自分の『手駒』が欲しかったんだ」。首相周辺は解説する。
→記事によると特命チームは50か100作りたいと総理はいっているようです。官房長官との権限調整はどうするんでしょう?外交だけでなく、内政でも、「二重政権」になってしまうか、「総力戦研究所」のように、とりあえず、形はできた、ということで終わるのか?