TPP政局:幕末の「開国」か?国際内戦か? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

TPP政局:幕末の「開国」か?国際内戦か?

秘書です。
いよいよ、TPP政局の幕開けか?


■首相が参加方針 環太平洋協定 反対派120人決起
産経新聞 10月21日(木)7時56分配信

 ■小沢・鳩山系主導 党内対立も

 菅直人首相が参加方針を固めている貿易自由化のための「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」に反対する民主党の有志議員の勉強会が21日、発足する。参加予定議員は20日現在で約120人に上り、小沢一郎元代表のグループに属する議員が約3分の1を占める。首相に批判的な鳩山由紀夫前首相も名を連ねており、貿易、農業自由化をめぐる党内対立に発展しそうだ。

 勉強会は会長に小沢グループの山田正彦前農水相、幹事長に鳩山グループの松野頼久前官房副長官が就く見通し。勉強会の案内状では、TPPへの参加は、食料自給率の向上や農林水産業・農村の再生の流れに反するものと主張している。小沢氏の参加も検討されたが「政局を仕掛けていると受け取られかねない」として見送られた。

 民主党は今夏の参院選マニフェスト(政権公約)で「アジアをはじめ各国とのEPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)の交渉などを積極的に進める」と公約。首相は横浜市で来月開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPPへの参加を表明する意向だ。

 発起人の一人は「TPP参加で農業は壊滅的打撃を受ける。首相には農業政策のビジョンが見えない。食料安全保障を考えていないのでは」と批判する。

 首相は20日夜、首相官邸で記者団に対し、「党と内閣の両方にまたがる議論をし、順次、方向性を定めていきたい」と語り、党側の意見にも配慮する姿勢を示した。


→TPPは、幕末でいうところの「開国」なのか?国際政治においてはどういう意味があるのか?

■経済統合への道筋、埋まらぬ米中の思惑 来月横浜でAPEC首脳会議
2010/10/18 21:18産経新聞
 日本や米国、中国など21カ国・地域が加盟するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が11月13、14日、横浜市で開かれる。日本での開催は1995年の大阪会合以来15年ぶり。今回は、経済統合に向けた道筋をめぐる議論が最大の焦点になる。域内の国内総生産(GDP)の合計が世界全体の約53%(2008年)を占めるまで成長したAPECの将来像をどう描くのか。議長国・日本の指導力が試される。
 1年前のシンガポール会合では、域内すべてを包括する経済統合構想「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」の実現に向けた道筋を横浜会合までにつけることで合意。同構想の下敷きとなる経済連携の枠組みをどうするかが横浜最大のテーマとなった。

 だが、これまでの実務者会合では足並みがそろう気配すらなかった。米国と中国が主導権争いを繰り広げているためで、両国はそれぞれFTAAPにつなげる別の枠組みを推している。

 米国は貿易自由化に向けてニュージーランドやシンガポールなど9カ国と交渉中の「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」をベースにするよう主張。ここに中国は入っていない。

 これに対し米国抜きの枠組みを優先する中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本、中国、韓国を加えた「ASEANプラス3」に軸足を置く


 両国以外の対応をみる限り、現状では米国が優勢になりつつあるようだ。日本がAPECでTPPへの参加を表明する方針を固めたほか、韓国やASEANのマレーシア、タイなど、中国が自陣に引き込もうとしている多くの国がTPPに関心を寄せているためだ。

 米中両国はAPEC前に行われる20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)でも人民元相場などをめぐって対立するとみられており、一連の綱引きは今後の世界経済の“主役”の座を占う激しさをみせる。

 ■米とアジア橋渡し

 そんな中で日本がTPPに参加しようとするのはなぜか。これまで日本はASEANプラス3にオーストラリアやインドなども加えた「東アジアサミット」に参加する計16カ国の統合構想を描いてきた。米国よりも中国やインドなどアジアの新興国との連携強化を模索するものだ。

 ただ、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で露呈したように対中経済関係には大きなリスクも伴う。経済界からは「日本はTPPを通じて米国とアジアの橋渡し役を担うべきだ」(米倉弘昌日本経団連会長)との声も高まっていた。

 ASEANプラス3などほかの枠組みが研究段階にとどまるのに対し、TPPは11年中の妥結を目指して具体的に動いており、「FTAAPへの最短の近道になる」(経済官庁)という現実的な判断もある。

 日本は2国間での自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)への取り組みで中国や韓国に差をつけられている。関税撤廃を目指すTPPは、投資や金融サービス、人材など幅広い分野にまたがる包括的なFTAともいわれ、出遅れを一気に巻き返せるという期待も大きい。

 ■農業問題で矛盾

 一方で日本は各国・地域の意見を調整し、経済統合への道筋をつける難しい役割も求められる。中でも農業保護についての日本の姿勢は、議長国としての発言力も左右しかねない。

 域内で経済統合を進めれば、必然的に安い農産物が日本に流入し、農業に与える影響は極めて大きい。菅政権は、農産物の販売価格と生産費の差額を穴埋めする戸別所得補償で輸入自由化に対応する考えだが、農家の反発はなお根強い。

 17日、日本が多くの農産物を輸入するニュージーランドのカーター農相からEPAの提案を受けた鹿野道彦農林水産相は、農業問題という「構造的な問題」を理由に事実上断った。TPP参加国でもある同国から閣僚レベルでEPAが提案されたのは、民主党政権下で初めてのことだ。

 多国間協定のTPPには加わりたいが、2国間協定でいきなり農業問題に直面する事態は避けたい。鹿野氏自身が「論理的に矛盾する」と認めるこうした日本の姿勢がAPECの場でどこまで通じるのか。それは会議を成功に導けるかどうかのカギともなる。

 ■域内成長戦略も焦点

 域内経済統合に向けた道筋づくりのほか、議長国の日本が目指すAPECでの成果には、APEC初となる域内共通の経済成長戦略の策定や、貿易・投資の促進を目指した「ボゴール目標」の達成度合いを評価する作業がある。

 域内の成長戦略については、8月に直嶋正行前経済産業相らが出席して大分県別府市で行われた成長戦略ハイレベル会合で議論。優先的に取り組む5分野として(1)構造改革(2)人材・起業家育成(3)グリーン・イノベーション(4)知識基盤創造(5)金融円滑化-を挙げ、その進展具合を毎年評価することが決まった。

 ■「目安」盛り込めるか

 その上で11月の首脳会議に向けた懸案となっているのが、成長戦略を進めるための行動計画として、実施時期や数値目標などの「目安」を合意文書に盛り込めるかどうかだ。具体的には構造改革時期やエネルギー効率化目標、研究開発費の国内総生産(GDP)比などが想定されている。

 ただ、中国などの新興国は「各国によって事情が異なり、むしろ経済成長の妨げになる」などとして目安を明記することに強く反発している。行動計画を作るという点では合意できた8月の会合でも、目安の策定作業は見送られた経緯があり、意見集約に向けた日本の手腕が問われることになりそうだ。

 一方、1994年にインドネシアのボゴールで採択されたボゴール目標は、先進国・地域が2010年まで、途上国・地域は20年までに「自由で開かれた貿易および投資を達成する」と定めており、横浜会合は先進国・地域の評価年に当たる重要な節目となる。

 今回、評価対象となるのは、日本や米国のほか、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、香港、マレーシア、シンガポール、メキシコ、チリ、ペルーの計13カ国・地域。ボゴール目標が出た後に飛躍的に経済力が高まった中国は含まれない。

 横浜会合では、対象国・地域での自由貿易の進み具合を確認するが、すでにこれまでの関連会合で「一定の成果があった」と評価する方向が固まっている。


→TPP政局は、米中のアジアの主導権争いともリンクした「国際内戦」になっていくのか?