FRB5000億ドル国債買い入れ報道:何が為替相場を動かしているのか | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

FRB5000億ドル国債買い入れ報道:何が為替相場を動かしているのか

秘書です。
米国の中央銀行が半年で5000億ドル規模の国債買い入れという報道が為替相場を動かしています。
このようなミサイルに対して、まだ、ピストルだけで対抗します?


■ドル/円が一時15年ぶり安値
2010年 10月 21日 02:19 JST
[ニューヨーク 20日 ロイター] 20日午前のニューヨーク外国為替市場で、ドルが円とユーロに対して下げ幅を拡大し、電子取引EBSでは対円で15年ぶり安値をつけた。
 米連邦準備理事会(FRB)が向こう6カ月で5000億ドル規模の国債買い入れを計画しているとのメドレー・グローバル・アドバイザーズの報告書を受けた動き
 ロイターデータによると、ユーロは対ドルで1.1%高の1.3966ドル。EBSではドルが対円で80.04円と15年ぶり安値をつけた。

→下記がその報告書についての報道です。

■米FRB、半年で5000億ドルの国債買い入れへ─報告書=関係筋
2010年 10月 21日 02:15 JST
 [ニューヨーク 20日 ロイター] メドレー・グローバル・アドバイザーズの報告書によると、米連邦準備理事会(FRB)は6カ月間で、5000億ドル規模の国債買い入れを計画している。関係筋が20日、ロイターに報告書の内容を明らかにした。
 一段の買い入れもあり得るとしている。
 同筋によると、報告書は「FRBは11月の連邦公開市場委員会(FOMC)最終日に、インフレ期待を押し上げ、インフレと成長に関する両方の目標を段階的に達成するため、大規模な国債追加買い入れ実施について賛成多数で合意に至るだろう」とした。
 さらに報告書は「FRBは、国債買い入れが直ちに失業率を低下させ成長を支援するとの期待に対応しようとするだろう」とした。
 メドレー・グローバル・アドバイザーズの報道担当からは、報告書に関し確認、否定のいずれのコメントも得られていない。
 同社は、著名投資家ジョージ・ソロス氏の政治戦略担当者だったリチャード・メドレー氏が創設。今年2月、英ピアソン傘下のフィナンシャル・タイムズ(FT)に買収された。

→FRBが本当にこのような国債引き受けをしたとき、日本はどうするのか?同じようなことをしなければ超円高になるリスクがあるのでは?もちろん、FRBが報告書通りにするのかどうかはわかりません。報告書には何かの目的があるのかもしれません。しかし、何が為替相場を動かしていて、日本には何の準備が必要なのかはよくわかりますね。

→国債買い入れは悪魔の手法といって超円高をうけいれるのか。牛丼の値段が下がってうれしいといっている一方で、どんどん給与も下がり、来年の経済も縮小予測で雇用も絞る、そんな国が超円高になっていくということこそ「悪魔の手法」だと思いますが。既得権益勢力という究極の勝ち組のイデオローグのみなさんは超円高を甘受しようキャンペーンをはじめるころですね。


→日銀法上、失業率に配慮する必要は必ずしもないわけですから、そうなるリスクはありますよね。やはり日銀法改正ということは、単なるブラフではなく、本当にやらなければ。日米の中央銀行のおカネの供給量の違いで、庶民の人生設計、若者の人生設計がここまでおかしくなることを放置することはできません。これこそが個人の努力の限界を超えています。

→円高になると、「ここまで円高になると努力ももう限界」という報道があります。それは会社単位の話ではなく、個人の話でもあります。企業努力で採用を絞った年の新卒者は、どんな努力をすればいいのでしょう。努力をしても報われない社会と日銀のおカネの関係を、もっと真剣に考えましょう。


→「お前が消えろ、そうでなければオレが生き残れない」というバトル・ロワイヤル的な弱肉強食社会とは、成長によるパイがなくなったゼロ成長社会、ゼロ・サム社会のことです。そんな社会にしないように成長を確保しようと各国の中央銀行はしているのでしょう(日本を除く)。弱肉強食が嫌いな人は、なぜ、日銀のデフレターゲットを批判しないのでしょう?

→よく、日本は国民に自己責任をおしつけているといわれますが、その裏で誰が責任を回避しているのでしょう?政策判断の結果責任が問われないことこそが真のエリートである、というところに日本の閉塞感の根本的な問題があるのでは?これは身分の安定こそが日本のエリートの最大の価値、昭和の受験競争の最大の目的だったわけですから、ここを変えるのは本当の意味の文化大革命です。日銀法改正への抵抗が強いのも、そこのところでしょうね。