日中関係:「形」ではなく「中身」が大事なんですが | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日中関係:「形」ではなく「中身」が大事なんですが

秘書です。
今日の参院予算委員会でも、日中ブリュッセル首脳「交談」の通訳問題が議論になりました。
自前の通訳がいないことの問題点は、10月13日産経新聞7面の曽野綾子さんの文でよくわかります。

日本の文芸評論家が鄧小平とあったときのエピソード。

菅民主党政権中枢は、一連の処理過程で、中国指導部の真意がわからない、と思っていたかもしれません。だったら、通訳を介さない生の温家宝総理の声を聞いて、中国語の微妙なニュアンスを分析しなければなりません。本当に真意を確認したかったとは思えません。日本国内政治向けに「形」を重視したんじゃないでしょうか。



■中国:会見ドタキャン、面会拒否 強硬姿勢にEU困惑
毎日新聞 2010年10月14日 11時56分
 【ブリュッセル福島良典】アジア新興国との関係強化を目指す欧州連合(EU、加盟27カ国)が、報道の自由や人権を巡る中国政府の強硬姿勢に困惑の色を深めている。今月に入ってから、ブリュッセルでの共同記者会見が中国側の都合でキャンセルされ、EU外交官がノーベル平和賞の民主活動家、劉暁波氏の妻、劉霞さんとの面会を拒まれるなど、不本意な出来事が相次いでいるからだ。

 発端は6日にブリュッセルのEU本部で開かれたEU中国首脳会議。中国当局によって非合法化されている気功集団「法輪功」系の新聞・大紀元の楊立新記者(43)ら中国語メディアの記者4人が記者会見場のあるEU本部への立ち入りを約3時間にわたり禁じられる事件があった。

 「報道の自由を定めたEU基本権憲章に違反する行為だ」と抗議する楊記者らに対してEU係官は「保安上の理由」と説明したという。だが、EU筋は中国当局から事前に4人について「危険人物」との通報があり、入館を禁止するよう求められていたと述べ、中国当局からの圧力があったことを認めた。

 結局、記者証などをチェックしたEU側が「問題なし」と判断、4人の入館を認めたところ、首脳会議に臨んでいた中国側が「それでは記者会見はできない」と通告してきたという。ファンロンパウ欧州理事会常任議長(EU大統領)、バローゾ欧州委員長、温家宝・中国首相の共同記者会見は直前になってキャンセルされた。

 これに対して、中国の駐EU代表部は「首脳会議の開始が予定より45分遅れ、中国政府の代表団が夜の特別機で次の訪問地(イタリア)に向けて出発できるよう双方が会見の取りやめで合意した」として「日程上の都合」と説明している。

 8日のノーベル平和賞発表を受け、EU首脳は相次いで歓迎と支持の声明を発表しているが、北京からの報道によると、バローゾ委員長の祝賀メッセージを持参したEU大使館員は11日、劉霞さん宅のある敷地内への立ち入りを警備員に拒否され、面会を果たせなかった。

 成長著しい中国との経済・貿易関係の強化を目指すEUは「根本的な価値観である自由と人権」(バローゾ委員長)で隔たりの大きさを見せつけられている。

→ノーベル平和賞を劉暁波氏が受賞し、日中関係をとりまく国際環境が劇変しています。欧米は普遍的価値を最優先にしています。中国にとっての主要矛盾の対象は、領土から価値観になりました。日中関係は従要矛盾です。これは1989年以後に近い雰囲気です。しかし、あのときでも日中蜜月は5年も続いていません(94年アジア競技広島大会頃までですかね)。日本だけが普遍的価値を棚上げするのかどうか。それが今朝の山本一太議員の追及の焦点でした。菅総理の「望ましい」と「釈放すべき」は雲泥の差があります。

日本としては釈放が望ましいと思うけど内政干渉はしません、中国は中国の人権の判断があるでしょう、というのと、日本は釈放を要求します、は全く違います。欧米とは異なるメッセージですね。

日本は、中国と欧米が価値観で激突するなか、関係改善に進んでいます。そういう環境にあることを理解していればいいのですが、国会対策、世論対策でがむしゃらに日中関係改善に進んでいませんか。中国と欧米の対立は永久的なものでないはず。次の日中摩擦期までに何をするのか。欧米と価値観が違う国としていくのか。いまできることは首脳会談を成功させるという「形」ですか?「中身」は何ですか?


■自衛隊練習艦隊 中国訪問中止
10月14日 16時21分 NHK
日中防衛交流の一環として15日から予定されていた海上自衛隊・練習艦隊の中国訪問が、中国側からの延期の申し入れを受けて中止されることに決まりました。

海上自衛隊の若手幹部ら730人が乗り組む練習艦隊は、日中防衛交流の一環で15日から5日間の日程で中国の青島を訪問する予定でしたが、今月になって中国側が延期を申し入れてきました。防衛省・自衛隊は、その後も訪問の実現に向けて調整を続けてきましたが、中国側の姿勢に変化が見られないことから訪問を取りやめることに決め、14日、中国側に通知しました。これについて海上自衛隊トップの杉本正彦海上幕僚長は「中国訪問が実現できなかったことは、残念だが、海上自衛隊としては、今後も艦艇の相互訪問を含む防衛交流を推進していきたい」とコメントしています。日中間の防衛交流をめぐっては、今月20日から予定されていた自衛隊と中国人民解放軍との交流行事が中国側からの延期の申し入れを受けて中止されることになったばかりで、交流の停滞が懸念されています。

→もっと、ふさわしい環境で交流すべきです。いずれ、そのときもくるでしょう。私服の自由行動の時間に、アクシデントに巻き込まれるリスクがなくなって本当に良かった。