民主党の法人減税:法人税率引き下げ論と内部留保批判論の矛盾 | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

民主党の法人減税:法人税率引き下げ論と内部留保批判論の矛盾

秘書です。
今日午前中の衆院予算委員会で、西村康稔先生の質問に対して、菅総理は法人税率引き下げの意向を示しました。
菅首相の法人税減税論と「企業は200兆円の内部留保を抱えている。しかし、企業も個人もお金を使うより持ったままの方が安心だとしてお金が回らない」という昨日の菅総理発言(10月12日衆院予算委員会における答弁)とは、どう整合性つけるのでしょうか?



■衆院予算委 法人税率下げを首相改めて表明
毎日新聞 10月13日(水)13時28分配信

 菅直人首相は13日の衆院予算委員会で、法人税率について「国外にいろいろな事業所が移転する動きを促進してしまう危険性が現実にある。引き下げの方向での検討を指示した」と述べ、税率引き下げを検討する意向を改めて表明した。引き下げ幅については「数字を申し上げる段階まで来ていない」と述べるにとどめた。

 円高の進行について野田佳彦財務相は「デフレが進行し、厳しい経済情勢の中で円高が進行し長期化することは、日本の経済に大きなマイナス。必要な時は断固たる措置を取りたい」と述べ、再度の為替介入の可能性を示唆した。西村康稔氏(自民)の質問に答えた。

 また首相は、強制起訴される民主党の小沢一郎元代表への対応について「我が党の大変重要な仲間で、功績を持った仲間であることは共通認識だ。代表選で争ったから過剰に何かするのもおかしなことなので、適切な対応を取ろうと臨んでいる」と述べた。下村博文氏(自民)の質問に答えた。


→一方、昨日の民主党議員と菅総理のやり取り。民主党と赤旗が取り上げています。

■民主党ニュース
http://www.dpj.or.jp/news/?num=19009
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これに関連し城島議員は、雇用重視のなかで特に消費者サイドに立っていることの重要さを指摘。これまで、いざなぎを超える景気だと言われ大企業が多くの利益を上げる一方、正規労働者は約100万人も減少、非正規労働者が増え、所得、家計の収入は減少してきたとして、国民に再分配するという機能が働かないなかで1円でも安いものへと国民が流れるのは当然であり、国内消費が盛り上がるわけがないと新自由主義の弊害を改めて問題視した。

菅総理は、城島議員と同じ認識だとして、政策転換の必要性に言及。雇用を生み出す分野、潜在的需要があるにもかかわらずお金が回ってないことで需要が顕在化していない介護・医療・福祉、保育といった分野にお金を充てることで雇用、需要、生産が発生すると述べ、従来型の失業対策ではなく、サービスを含め需要を増やし、雇用を増やすことによりけっかとして介護、医療分野が充実すれば社会保障の強化になると力説した。
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城島議員はまた、内部留保約200兆円を抱える企業が社会的責任として雇用の門戸を広げるべきだとして、このまま若者を放っておいていいのか、経団連を含め大手企業へ強く要請すべきではないのかと提起。

菅総理は、経済界に対しては国内投資の強化、国内立地等について強く要請していると述べ、新卒者問題は社会全体として取り組み、企業の社会的責任を含め今後さらに要請していく考えを示した。


→ひさびさの新自由主義批判!しかし、民主党のみなさんが諸悪の根源たる新自由主義とのレッテルをはる小泉政権は法人税率引き下げはできませんでした。法人税率引き下げのない新自由主義なんて!そして、新自由主義批判をする民主党のみなさんが法人税率保引き下げをする!!

■衆院予算委 経済対策 内部留保還元で議論
2010年10月13日(水)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-13/2010101302_02_1.html

 衆院予算委員会で12日から基本的質疑が始まり、初日は民主、自民の両党が質問に立ち、小沢一郎元民主党代表の証人喚問問題や経済対策、尖閣諸島問題などが議論になりました。

 注目されたのは、民主党から「基本的には『大企業とか高額所得者とかの所得が上がれば、中小企業の利益はおのずから増える。そうすればおのずから国民の所得も増えるだろう』という新自由主義の考え方がとられてきた。その結果は、みるも無残な状況だ」(城島光力政調会長代理)との主張が出されたこと。

 城島氏は「この10年間をとらえても、大企業はバブル期を上回る利益率をあげているのに、正社員が400万人減り、平均賃金も家計収入も下がりっぱなし。こういう国は日本だけだ」と述べ、デフレ脱却のために「まっとうな再配分をして、家計を潤す」よう求めました。

 これに対して、菅直人首相は、「(大)企業は200兆円の内部留保を抱えている。しかし、企業も個人もお金を使うより持ったままの方が安心だとしてお金が回らない」 との認識を示したものの、労働者派遣法の抜本改正や最低賃金の大幅引き上げなど実効性のある内部留保の還元策にはふれませんでした。
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→民主党の法人税減税論と内部留保批判論はいったいどう整合性があるのでしょう?

■法人税引き下げに期待する市場、空洞化で実効性に疑問も
2010年7月14日14時55分
 [東京 14日 ロイター] 参院選での民主党大敗を受け、金融市場には自民党やみんなの党も支持している法人税引き下げの実現に期待感が高まっている。

 実施できれば企業の競争力向上に結びつき、景気拡大にもつながる材料になるとみられているが、産業空洞化の進む中でどこまで実効性があるかと言う懸念の声も出ている。政策実行に大きな障害と言われている「ねじれ国会」の出現にマーケットのいら立ちは次第に高まりつつある。

 クレディ・アグリコル証券・チーフエコノミストの加藤進氏は、与党の参院選敗北を受けて、菅直人政権の経済政策が民主党、自民党、みんなの党の考えを折衷した形になると見込む。「民主党と自民党が一致している法人所得税減税や、みんなの党が主張する公務員改革などを優先せざるを得ない」と指摘する。参院選の結果、国会は参院で与野党勢力が逆転する「ねじれ状態」となり、政策実現には野党の協力が不可欠になる。市場関係者の間では、法人税については民主党が参院選マニフェストに引き下げを明記し、自民党や公明党、みんなの党など野党の多くも同様の主張をしていることから、歩み寄る余地があるとみられている。

 市場が法人税引き下げに注目するのは、日本企業の国際競争力が相対的に低下傾向にあるとの見方が背景にあるためだ。例えば、アジア諸国で法人税率を戦略的に引き下げる動きが相次ぎ、負担の格差が日本企業の投資競争力の低下に直結すると懸念されている。

 税率引き下げは、企業の収益力改善で経済成長にプラスに働くという予想が出ている。第一生命経済研究所の試算によると、法人税率を現行の40%程度の水準から10%ポイント引き下げた場合、企業のキャッシュフロー増加や資本コスト低下により、減税10年目の設備投資拡大効果は乗数効果を含め4.86兆円に達するという。また、経済産業省によると、EU(欧州連合)15カ国でこの10年間で表面実行税率を引き下げた結果、GDPに占める法人税収のウエートは増加傾向で、表面実行税率が平均よりも低い国の実質GDPの伸び率は高い国よりも約1%程度高いとし、法人税引き下げは経済成長に有効との分析を示している

 金融市場からは「経済成長の要因はどうしても企業サイドから来るため、グローバル競争時代にあるべき法人税の水準を考えれば、法人税の引き下げは必須」(三菱東京UFJ銀行・企画部経済調査室長の内田和人氏)、「中長期的にみれば株主に対する還元、所得環境の向上につながり、内需を押し上げる」(米系投信の運用担当者)──など、その効果の規模は現時点では未知数ながら、生産、雇用、消費の循環の起点である生産に直結する設備投資の拡大には、法人税の引き下げが必須との主張が複数出ている。第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣氏は「税率を下げるという単純な事実よりも、日本が本格的な成長戦略に舵を切ったというアナウンス的な効果がある」とも指摘している。

 ただ、期待成長率が高まらないまま法人税を減税しても、日本企業による国内での設備投資は低迷し、成長率や販路先で、より将来性のある新興国など海外に流出するという空洞化懸念は消えない。「大企業のみならず中小企業においても、海外に企業活動の軸足を移そうとする動きが強まっており、法人税率を引き下げれば空洞化を止められるといった筋合いの話ではない」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)との指摘もある。

 7月のロイター企業調査でも、法人税減税で増えたキャッシュフローは「設備投資・研究開発」「内部留保の積み上げ」「海外での事業展開」に回りやすく、雇用・所得環境には好影響を及ぼしづらいことがわかっている。対内直接投資についても、法人税率を現行水準から仮に10%ポイント引き下げ、30%前後としても、先進国平均やアジア諸国と比べると高い水準にとどまるため、増加するとは言いきれない。

 厳しい財政状況の中で、法人税引き下げ分の財源捻出をどうするかとの根本的な問題に加え、今後の政局の展開によっては政策議論不在の2011年度予算編成にもなりかねず、現段階では税制改革の議論自体の行方も不透明だ。

 (ロイターニュース 武田 晃子 伊藤純夫;編集 田巻 一彦)


■企業の内部留保への課税、考えていない=菅財務相
2010年 02月 24日 12:51 JST
[東京 24日 ロイター] 菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は24日午前の衆院財務金融委員会で、企業の内部留保に課税することは考えていないと述べた。竹内譲委員(公明)の質問に答えた。
 鳩山由紀夫首相が、共産党の志位和夫委員長と会談した際に、共産党が提案した大企業の内部留保への課税について検討する意向を表明したと報じられたことについて「総理は一般的に言われたのだろう」と述べ、「総理から直接的に検討する指示もないし、私自身考えていない」と述べた。
 また、子ども手当ての財源のために所得税の最高税率を引き上げる趣旨の発言をしたと報じられたことについては「選挙の応援演説のなかで(発言の)趣旨とは違う形で報じられている」と指摘し、税制全般の議論を始めなければならないと述べるなかで所得税については再配分機能が低下していることや最高税率の議論もあると述べたと説明した。
 そのうえで菅財務相は「所得税の最高税率を引き上げて子ども手当ての財源にすることを言ったわけではない」と述べ、報道を否定した。
  (ロイターニュース 吉川 裕子)


→法人税減税論と内部留保論の整合性をとる唯一の道は、期待成長率を高めるということ。期待成長率を高めて法人税を減税すれば、内部留保は投資に回ることでしょう。従業員確保のための雇用拡大をするでしょう。正社員化をするでしょう。

ところが民主党は期待成長率の重要性を理解せず、増税幅確保のために「固めの数字」という名の低成長路線をとっているため、どんどん期待成長率が下がっていき、どんどん企業が流出するんじゃないですか。

企業が来年の雇用を絞って内部留保に回しているということは、菅民主党政権の成長戦略を信用せず、来年は経済が縮小するかもしれないと恐れているということでしょう。みんな、「増税すればするほど景気がよくなる」という菅ノミクスを信じていないのです。

民主党政権は企業性悪説に立ち、日銀にはいつまでにデフレを脱却するのかの約束もせず、期待成長率が高まらない中での法人税減税は、消費税増税のための多数派工作、自民党支持団体の切り崩し以外にどんな効果があるのでしょう?