予算委員会審議:やはり政府・民主党の経済運営の基本認識に難有り | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

予算委員会審議:やはり政府・民主党の経済運営の基本認識に難有り

秘書です。
いま、予算委員会で与党側の質問が続いています。

やっぱり、政府・民主党マクロ経済政策運営の考え方は、難有りですね。

小泉政権の政策が雇用にプラスだったことを民主党は認めたくない。そこが今後の経済政策の混迷の全ての出発点でしょう。


(1)小泉政権時代に戦後最長の景気拡大だったのに企業が内部留保したために雇用につながらなかった。デフレ時代にサプライサイドの政策をとったのが間違いだった?

・2007年の景気の山を超えて、ようやく低所得者層の所得が上がり始めた、ようやく小泉構造改革の成果が出てきたときに、金融政策を転換した日銀の問題をなぜ、民主党は総括しないのか?

・正規の職員・従業員数は景気回復に伴い増加傾向にあった。これが途絶えた原因は何だったのか。日銀の金融政策転換の総括はどうなのか。正社員化が大事だと考えるみなさんは真剣に考えるべきでしょう。民主党内のデフレ脱却議連のみなさんはそのことに気づいている。しかし、政権としてはどうなんでしょうか。

 2005年平均3374万人、2006年平均3411万人、2007年平均3441万人

・有効求人倍率だって、小泉政権下で改善していたではないですか。今の民主党政権下よりも、ずっと環境は善くなっていた。

2001年0.59 
2002年0.54
2003年0.64
2004年0.83  
2005年0.95 
2006年1.06 
2007年1.04 

2008年0.88
2009年0.47

(2)大企業が巨額の内部留保しているのはけしからん。使い方がわからないようなら増税か国債発行で政府が吸い上げて新規需要をつくりましょう。それが第3の道。

・なんで企業が内部留保しているのでしょうか。来年の経済規模が縮小すると思っているからでしょう。そして、正社員の給料の原資として残しておくためなんじゃないですか。正社員のみなさんの安心の基盤になっているのではないですか。

・来年の経済規模が縮小するという予測、欧米の中央銀行ならばどうするのですか。日銀は何をしているのですか。

・来年、経済が縮小すると思えば新規採用はできない。しかも、中高年労働者の正社員身分と待遇を維持するために新規雇用をしぼり非正規化する。それこそが90年代からの低成長・デフレ時代に非正規雇用が拡大した根本的原因でしょう。つまり、一家の中で、お父さんの雇用を守るために奥さんとお子さんの社会人としての生活が犠牲になっている。この悲劇がなぜ起きているのか、それは低成長とデフレでしょう。2001年からはじまっているなら小泉政権の責任の可能性がある。しかし、90年代からの趨勢ではないですか。

・一部の方は、低成長でいいという。ならば、お父さんは正社員の特権を手放して、お母さんとお子さんとワークシェアするしかない。ところが、民主党はこのことを正面からいわないじゃないですか。終身雇用を守るといっているじゃないですか。

・終身雇用は高度成長経済のもとでなければ持続不可能です。低成長のもとで終身雇用といえば、中高年の正社員の既得権益を守る以外の意味がない。だから成長が必要なのに、去年まで民主党はなんといっていたか。成長は悪いとはいわないが!成長が悪いかどうかではなく、若者も含めて終身雇用を維持したいのであれば、成長経済を復活させなければ若者排除になる、ということをを全く民主党は理解していなかった?(中国指導部は社会不安と成長率を一体に考え、経済成長率を考えるときに新卒者の就業の可能性を考えます。新卒者の多くが就業できないと社会不安になるからです。民主党指導部もその程度のことは理解できすはず?それとも気づいていたけど、政権奪還のために沈黙したのか。そしていまは権力維持のために沈黙しているのか?)


・そして、いまになって成長戦略。戦略をうって実質2%成長、名目3%成長?それで若者に正社員の終身雇用を保証できるのでしょうか。この数字は若者の終身雇用のためでなく、増税実現のための「堅めの数字」になっている。

・そして、民間はおカネを使わないから、増税をする、国債を発行する!たしかに菅総理はそうおっしゃいました。こんなことを総理が堂々と国会で言っているのでが、経済界のみなさん、よろしいのでしょうか?民間より政府のほうが賢い投資ができるといっているのです。これは社会主義国家を意味するのではないでしょうか。

・そして、理解できないのは、そこまで民間企業を悪者扱いしておきながら、法人税率を引き下げようとしていること。菅総理がいうように、民間企業は投資先がわからないようだから政府がやってあげよう、内部留保はけしからん、という世界観から、なぜ、法人税率引き下げという結論が出てくるのでしょうか。

・小泉政権ですら実現できなかった法人税率引き下げをなぜ、菅民主党政権がやるのか?そして、そのことを新自由主義批判、市場原理批判をしてきた人たちは、なぜ沈黙しているのか?

・最後に、新卒者の雇用対策も話題になりました。出てきた政策は、役所(ハローワーク)の仕事が増えることと、企業への奨励金が多いように思いました。おかしいですね。農家も、子育て世代も直接給付をもらっている。間接補助から直接補助へ、そして、訓練のインセンティブとしての給付へ、というのが世界の趨勢のはず。なぜ、新卒者をこの政策哲学から外すのでしょうか。公務労働者の仕事確保を優先しているのか。高卒者には選挙権がまだないからなのか?

・さきほどの民主党の質問者は、中国の人件費が安いからデフレになっているといってますが、では、なぜ日本だけがデフレなのでしょうか?こういう議論が日銀を免責していくことになるのではないでしょうか?

■平成22年度高校・中学新卒者の求人・求職状況(平成22年7月末現在)について

 求人倍率は0.67倍となり、前年同期を0.04ポイント下回る。
    (求人倍率は調査開始(昭和60年3月卒)以来6番目に低い水準)

■高校新卒者の7月末現在の求人倍率の推移
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ryxr.htmlの第4表

2001年3月卒=0.64
2002年3月卒=0.61 (小泉政権は2001年4月~2006年9月)
2003年3月卒=0.50
2004年3月卒=0.53
2005年3月卒=0.69
2006年3月卒=0.90
2007年3月卒=1.14
2008年3月卒=1.29
2009年3月卒=1.31
2010年3月卒=0.71 (民主党政権は2009年9月~)
2011年3月卒=0.67


小泉構造改革の成果で、若者の雇用は増えました。小泉政権以後3年間、求人倍率は1を超えています。
民主党政権は、若者の雇用を増やしていますか。2010年3月卒、2011年3月卒の数字はいかがですか。



■高校新卒者の都道府県別求人倍率 (平成22年7月末現在)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ryxr.htmlの第3表


北海道 0.26
青森 0.21
岩手 0.28
宮城 0.42
秋田 0.29
山形 0.35
福島 0.35
茨城 0.59
栃木 0.61
群馬 0.86
埼玉 0.72
千葉 0.58
東京 2.23
神奈川 0.78
新潟 0.58
富山 0.73
石川 0.65
福井 0.72
山梨 0.58
長野 0.64
岐阜 0.80
静岡 0.70
愛知 1.21
三重 0.66
滋賀 0.62
京都 1.11
大阪 1.40
兵庫 0.68
奈良 0.56
和歌山 0.47
鳥取 0.35
島根 0.45
岡山 0.60
広島 1.06
山口 0.57
徳島 0.55
香川 0.89
愛媛 0.51
高知 0.26
福岡 0.51
佐賀 0.36
長崎 0.29
熊本 0.22
大分 0.58
宮崎 0.25
鹿児島 0.23
沖縄 0.12

合 計 0.67