多国間国防相会談:日中二国間でなく多国間で成果を検証しましょう
秘書です。
今夏のベトナムにおける多国間国防相会談については、多国間外交という視点で成果を見るべきであって、日中二国間関係だけでみるべきではないでしょう。
どんな賛成をとりつけることができたのか?
何について沈黙があったのか?
またしても、菅民主党政権は多国間外交の場で、国内政治メッセージのための日中二国間関係の成果を焦り、多国間でのチャンスを逸したのではないか?
ビデオ公開をいつまでも遠慮しているから、国際法に基づいて平和的に解決されることを望む、なんていわれることになるのではないでしょうか。そして、多国間の場で国際世論を味方につけるチャンスなのに、国内政治向けに(?)、日中会談の成果を焦るから、主張に説得力がないのでは?
■防衛相 東南アジアと連携を
10月12日 0時25分 NHK
ベトナムを訪れている北澤防衛大臣は、ベトナムやインドネシアなど東南アジア各国の国防相と相次いで会談し、東シナ海や南シナ海で活動を活発化させている中国への対応について、各国と意見交換を重ねながら連携を強めていきたいという考えを伝えました。
ベトナムを訪れている北澤防衛大臣は、12日に開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の拡大国防大臣会議に出席するベトナムやインドネシアなど5カ国の国防相と、相次いで会談しました。一連の会談で北澤大臣は、さきの尖閣諸島沖で起きた中国漁船による衝突事件への日本の対応について、理解を求めたうえで「最近の東シナ海や南シナ海における中国の進出には、連携して対処することが重要だ」と述べ、中国への対応について各国と意見交換を重ねながら連携を強めていきたいという考えを伝えました。これに対し、インドネシアのプルノモ国防相は「我が国も南シナ海やマラッカ海峡で、同様の経験をしており、強い姿勢で漁船の取締りに当たっている」と述べたほか、各国の国防相からは、尖閣諸島をめぐる問題は国際法に基づいて平和的に解決されることを望む声が出されました。
→北沢防衛相は、領土問題での対中統一戦線をASEANにもとめたわけです。成果はどうだったのでしょうか?
■北沢防衛相の「尖閣は日本の領土」に全面賛同なし 5カ国国防相
2010.10.12 00:09 産経新聞
北沢俊美防衛相は11日、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、タイ、シンガポールの国防相と滞在先のハノイ市内で相次ぎ会談、尖閣諸島について「日本固有の領土だ。歴史的にも国際法上も疑いようがない」と説明した。しかし、全面的に賛同した国防相はなく、「国際法に基づき平和的に解決することを望む」(インドネシア)など慎重な対応を求める発言が相次いだ。
北沢氏は各国との会談で、中国の活発な海洋進出に触れ「連携して対処することが重要だ。緊密に意見交換したい」と提案したが、いずれの国も「広い意味での連携」(同行筋)への賛意にとどまり、中国を名指しする発言はなかったという。
南沙、西沙諸島の領有権を中国と争うベトナムのフン・クアン・タイン国防相は南シナ海情勢に一切言及しなかった。(共同)
→対中統一戦線というのは大変な仕掛けです。どこまで根回しができていたのか?「国際法に基づき平和的に解決することを望む」ということは、領土問題が存在しているということなのではないか?ベトナムの国防相が南シナ海情勢に言及しなかったヒントは下記の記事にあり?
■西沙諸島で中国拘束のベトナム船漁師解放
(10/12 05:55)テレビ朝日
南シナ海の西沙諸島周辺で、中国に拘束されていたベトナムの漁師らが解放されたことが分かりました。
フン・クワン・タイン国防相:「中国梁国防相がきのうハノイに来る前に、9人のベトナム漁師が解放された」
ベトナムのタイン国防相は、ANNの単独インタビューに対し、10日に中国の梁光烈国防相がASEAN拡大国防相会議でハノイ入りする前に、だ捕された漁船の乗組員9人全員が無条件で解放されたことを明らかにしました。
フン・クワン・タイン国防相:「ベトナムは、中国とのさまざまな問題について国際法などにのっとり平和的に解決する」
→尖閣問題と南シナ海の西沙諸島がリンケージし、日本とASEANが領土問題で連携し、中国の国防相が多国間会議でメンツを失うことのないよう、しっかりとした仕掛けをしていますね。領土問題での対中統一戦線づくりの牽制は成功したのでは?
■ASEAN 南シナ海問題に触れず
10月11日 22時2分 NHK
ASEAN=東南アジア諸国連合の国防相会議が11日、ベトナムで開かれましたが、領有権をめぐって中国と対立する南シナ海の問題は議論されず、ASEANとしては12日、中国も参加して初めて開かれる拡大国防相会議に向け、中国を刺激しない方針を取ったものとみられます。
ASEANの10か国は11日、ベトナムのハノイで国防相会議を開き、12日に予定されているASEANの10か国に日本や中国、それにアメリカなど8か国を加えた拡大国防相会議に向け、意見をまとめました。会議では、洋上での安全確保やテロ対策など5つの分野で協力を進めるため、今後、高官級協議を設けることなどで合意し、これらを盛り込んだ「ハノイ共同宣言」が12日に採択される予定です。しかし、ベトナムやフィリピンなどと中国が南沙諸島など南シナ海の島々の領有権をめぐって対立している問題は議題とならず、地域の安全保障について中国も参加して定期的に協議する場となる拡大国防相会議をまずは穏便に軌道に乗せたい意向があったものとみられます。一方でASEANは、アメリカとの間では、先月ニューヨークで開かれた首脳会議で「海洋の安全と船の航行の自由の重要性を再確認する」という共同声明を出すなど、中国をけん制する方向で一致しています。
→ハノイ共同宣言に向けて、どこまで菅民主党政権は工作をしていたのでしょうか?
■日中防衛大臣がハノイで会談 閣僚級の交流が再開
(10/12 05:54)テレビ朝日
ベトナム・ハノイを訪問していた北沢防衛大臣は、中国の梁光烈国防相と会談し、途絶えていた閣僚級の交流が再開しました。
会談で北沢大臣は、尖閣問題について「立場はすでに伝達済みで、ここでの議論は生産的でない」と話したのに対し、中国の梁国防相は「適切な処理が行われて嬉しく思う」と応じました。さらに、今後、東シナ海などで不測の事態が起きるのを避けるため、両国間で連絡システムを早期に作ることで一致しました。一方で、中国側は対日感情悪化のため、予定していた両国の交流イベントの延期もやむなしとの考えも示しました。
北沢防衛大臣:「中国全体のなかでは、完全に前向きになりきっていないという雰囲気はあります。もう少し時間が必要なのかなという印象は受けました」
今回会談が実現したことで一歩前進したことは間違いありません。ただ、尖閣問題などで生じた日中間のしこりはそう簡単に取りのぞくことはできませんでした。
→日中防衛大臣会合も、ハノイにおける多国間外交の一環としてとらえるべきでしょう。領土問題での対中統一戦線づくりを目指す日本(本気でめざしていたのか?)の工作に対抗するための会合ということでしょう。
→尖閣問題について、①胡国家主席訪日を控えて軍部は比較的冷静だ、といえるのかどうか、②「適切な処理が行われて嬉しく思う」ということは、中国側のペースで事態が進行していることを意味するのか、③多国間外交の中の1シーンでとらえるべきで今後も波乱要因があるのか、もう少し注視しましょう。
■米国防長官、記者会見でも尖閣有事における安保条約履行を示唆
2010.10.11 22:41 産経新聞
ゲーツ米国防長官は11日、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件に端を発した日中間のあつれきをめぐる米国の立場について「米国は過去数十年と同様に日米安全保障条約に基づく義務を履行する」と述べ、尖閣有事に日米安保条約が適用されるとの認識を示唆した。
同時に「すべての紛争は調停や話し合いを通じて平和裏に解決するべきだ」とも強調した。ベトナムのフン・クアン・タイン国防相との会談を受けたハノイでの記者会見で述べた。
南シナ海での中国とベトナムなどの領有権問題についても「米国は航行の自由を国益とする立場を明確にしている。(領有権については)どちらの側にも立たないが、対立は話し合いによって解決されるべきだ」とした。(共同)
■ハノイでアセアン・プラス8国防相会議始まる
11.10.2010, 17:11 ロシアの声
アジアで集団安全保障のシステムが形作られようとしている。ハノイで、歴史上初めて、アセアンとそのパートナー諸国間の防衛問題をめぐる会議、アセアン・プラス8国防相会議が3日間に渡り開かれている。
この会議には、東南アジア諸国とアセアンの対話パートナー国、中国・日本・ロシア・アメリカ・オーストラリア・韓国など8カ国の国防担当大臣が一同に会している。アセアン自体の枠内では、このような国防相レベルの協議メカニズムは以前から存在しており、そこでは、タイ・カンボジアの国境問題や南シナ海の島々の領有権問題が取り上げられ、部分的には解決を見た。しかし、今回の会議は、その参加国が本質的に拡大した。
主催国べトナムの責任者の1人、グエン・チヴィン国防次官は「世界的な安定と安全に対する脅威が増大している中、今回の会合は、アセアンとパートナー国間の密接な関係調整と相互信頼強化を促すものになるだろう」との期待感を明らかにしている。会議で各国の国防相が話し合う具体的テーマとしては、テロリズムとの戦い・海上での安全保障・自然災害時の対応などの他、当然地域の安全保障問題が上がっているが、2国間問題も重要だ。中でも、日中・米中のコンタクトが注目されている。
ご承知の通り、日中関係は、東シナ海の日本名「尖閣諸島」沖で操業していた中国漁船の船長を日本側が逮捕するという事件後(その後釈放されたが)ギクシャクしている。すでに両国の国防担当相は、ハノイで短い話し合いを行い、中国側は日本側に対し「敏感な問題を適切に処理し、中日関係をできるだけ早く正常な軌道に乗せるよう努力してほしい」と要請した。ちなみに日本は、ほぼすべての隣国との間で、領土問題を抱えている。南北朝鮮との間には、日本海の所謂「竹島」問題があり、ロシアとの間には南クリール、「北方領土」問題が存在する。新内閣はロシアに対し、これまでもかなり多くの激しい主張を展開している。又ハノイでは、米中コンタクトも期待されているが、テーマは言うまでもなく、まず第一に、今もアメリカが続けている台湾への武器供与問題だ。
ロシアについて言えば、ロシアはアセアンの完全なパートナー国であり、積極的に多面的接触の拡大に努めてきた。軍事面での協力が果たす役割も、決して小さくはない。国防相や参謀総長どうしの会合も持たれ、軍事艦船の相互訪問も実施されている。さらに、アセアン諸国の半数はロシア製武器・兵器の顧客で、マレーシアやインドネシアはロシアの戦闘機を買い付けた。
そして、このところ取り沙汰されているテーマは、べトナム南部カムラン湾にかつて存在した旧ソ連軍基地の復活である。これについて、ロシア海軍の前参謀総長、ミハイル・アブラモフ提督は、次のようにコメントしている-
「海賊対策の問題は非常に緊迫した問題だ。ロシア海軍は、その解決に積極的に関わっている。その際、様々な問題が生じているが、特に、ロシア艦隊の国外での駐留における法的根拠が問題となっている。最も重要なのは、母港から遠く離れた海域での艦隊活動を、共同して支援するための基地の確保であるだろう。」
もちろん、他の国々もカムラン湾進出を計画しているが、ロシアはその中でも、ベトナムとの間で抱える問題が少なく、地域発展および二国間関係についての似通ったアプローチを持っている。さらにベトナムは自国の国益を考慮したうえで、発展戦略のひとつとして、地域の海洋大国となることを目指している。そのためには、自国の艦隊の建造・充実が不可欠であり、その点で、長年の伝統を有するロシアとの協力関係は、ベトナムにとっても有益なものとなるだろう。
→ロシア海軍のカムラン湾基地「復活」は、アジアの平和と安定にとってどうなのか。日本の国益にとってどうなのか。その支持、不支持は、尖閣問題、及び、北方領土問題の解決にどういう影響があるのか。菅民主党政権のどなたか、考えてますか?
今夏のベトナムにおける多国間国防相会談については、多国間外交という視点で成果を見るべきであって、日中二国間関係だけでみるべきではないでしょう。
どんな賛成をとりつけることができたのか?
何について沈黙があったのか?
またしても、菅民主党政権は多国間外交の場で、国内政治メッセージのための日中二国間関係の成果を焦り、多国間でのチャンスを逸したのではないか?
ビデオ公開をいつまでも遠慮しているから、国際法に基づいて平和的に解決されることを望む、なんていわれることになるのではないでしょうか。そして、多国間の場で国際世論を味方につけるチャンスなのに、国内政治向けに(?)、日中会談の成果を焦るから、主張に説得力がないのでは?
■防衛相 東南アジアと連携を
10月12日 0時25分 NHK
ベトナムを訪れている北澤防衛大臣は、ベトナムやインドネシアなど東南アジア各国の国防相と相次いで会談し、東シナ海や南シナ海で活動を活発化させている中国への対応について、各国と意見交換を重ねながら連携を強めていきたいという考えを伝えました。
ベトナムを訪れている北澤防衛大臣は、12日に開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の拡大国防大臣会議に出席するベトナムやインドネシアなど5カ国の国防相と、相次いで会談しました。一連の会談で北澤大臣は、さきの尖閣諸島沖で起きた中国漁船による衝突事件への日本の対応について、理解を求めたうえで「最近の東シナ海や南シナ海における中国の進出には、連携して対処することが重要だ」と述べ、中国への対応について各国と意見交換を重ねながら連携を強めていきたいという考えを伝えました。これに対し、インドネシアのプルノモ国防相は「我が国も南シナ海やマラッカ海峡で、同様の経験をしており、強い姿勢で漁船の取締りに当たっている」と述べたほか、各国の国防相からは、尖閣諸島をめぐる問題は国際法に基づいて平和的に解決されることを望む声が出されました。
→北沢防衛相は、領土問題での対中統一戦線をASEANにもとめたわけです。成果はどうだったのでしょうか?
■北沢防衛相の「尖閣は日本の領土」に全面賛同なし 5カ国国防相
2010.10.12 00:09 産経新聞
北沢俊美防衛相は11日、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、タイ、シンガポールの国防相と滞在先のハノイ市内で相次ぎ会談、尖閣諸島について「日本固有の領土だ。歴史的にも国際法上も疑いようがない」と説明した。しかし、全面的に賛同した国防相はなく、「国際法に基づき平和的に解決することを望む」(インドネシア)など慎重な対応を求める発言が相次いだ。
北沢氏は各国との会談で、中国の活発な海洋進出に触れ「連携して対処することが重要だ。緊密に意見交換したい」と提案したが、いずれの国も「広い意味での連携」(同行筋)への賛意にとどまり、中国を名指しする発言はなかったという。
南沙、西沙諸島の領有権を中国と争うベトナムのフン・クアン・タイン国防相は南シナ海情勢に一切言及しなかった。(共同)
→対中統一戦線というのは大変な仕掛けです。どこまで根回しができていたのか?「国際法に基づき平和的に解決することを望む」ということは、領土問題が存在しているということなのではないか?ベトナムの国防相が南シナ海情勢に言及しなかったヒントは下記の記事にあり?
■西沙諸島で中国拘束のベトナム船漁師解放
(10/12 05:55)テレビ朝日
南シナ海の西沙諸島周辺で、中国に拘束されていたベトナムの漁師らが解放されたことが分かりました。
フン・クワン・タイン国防相:「中国梁国防相がきのうハノイに来る前に、9人のベトナム漁師が解放された」
ベトナムのタイン国防相は、ANNの単独インタビューに対し、10日に中国の梁光烈国防相がASEAN拡大国防相会議でハノイ入りする前に、だ捕された漁船の乗組員9人全員が無条件で解放されたことを明らかにしました。
フン・クワン・タイン国防相:「ベトナムは、中国とのさまざまな問題について国際法などにのっとり平和的に解決する」
→尖閣問題と南シナ海の西沙諸島がリンケージし、日本とASEANが領土問題で連携し、中国の国防相が多国間会議でメンツを失うことのないよう、しっかりとした仕掛けをしていますね。領土問題での対中統一戦線づくりの牽制は成功したのでは?
■ASEAN 南シナ海問題に触れず
10月11日 22時2分 NHK
ASEAN=東南アジア諸国連合の国防相会議が11日、ベトナムで開かれましたが、領有権をめぐって中国と対立する南シナ海の問題は議論されず、ASEANとしては12日、中国も参加して初めて開かれる拡大国防相会議に向け、中国を刺激しない方針を取ったものとみられます。
ASEANの10か国は11日、ベトナムのハノイで国防相会議を開き、12日に予定されているASEANの10か国に日本や中国、それにアメリカなど8か国を加えた拡大国防相会議に向け、意見をまとめました。会議では、洋上での安全確保やテロ対策など5つの分野で協力を進めるため、今後、高官級協議を設けることなどで合意し、これらを盛り込んだ「ハノイ共同宣言」が12日に採択される予定です。しかし、ベトナムやフィリピンなどと中国が南沙諸島など南シナ海の島々の領有権をめぐって対立している問題は議題とならず、地域の安全保障について中国も参加して定期的に協議する場となる拡大国防相会議をまずは穏便に軌道に乗せたい意向があったものとみられます。一方でASEANは、アメリカとの間では、先月ニューヨークで開かれた首脳会議で「海洋の安全と船の航行の自由の重要性を再確認する」という共同声明を出すなど、中国をけん制する方向で一致しています。
→ハノイ共同宣言に向けて、どこまで菅民主党政権は工作をしていたのでしょうか?
■日中防衛大臣がハノイで会談 閣僚級の交流が再開
(10/12 05:54)テレビ朝日
ベトナム・ハノイを訪問していた北沢防衛大臣は、中国の梁光烈国防相と会談し、途絶えていた閣僚級の交流が再開しました。
会談で北沢大臣は、尖閣問題について「立場はすでに伝達済みで、ここでの議論は生産的でない」と話したのに対し、中国の梁国防相は「適切な処理が行われて嬉しく思う」と応じました。さらに、今後、東シナ海などで不測の事態が起きるのを避けるため、両国間で連絡システムを早期に作ることで一致しました。一方で、中国側は対日感情悪化のため、予定していた両国の交流イベントの延期もやむなしとの考えも示しました。
北沢防衛大臣:「中国全体のなかでは、完全に前向きになりきっていないという雰囲気はあります。もう少し時間が必要なのかなという印象は受けました」
今回会談が実現したことで一歩前進したことは間違いありません。ただ、尖閣問題などで生じた日中間のしこりはそう簡単に取りのぞくことはできませんでした。
→日中防衛大臣会合も、ハノイにおける多国間外交の一環としてとらえるべきでしょう。領土問題での対中統一戦線づくりを目指す日本(本気でめざしていたのか?)の工作に対抗するための会合ということでしょう。
→尖閣問題について、①胡国家主席訪日を控えて軍部は比較的冷静だ、といえるのかどうか、②「適切な処理が行われて嬉しく思う」ということは、中国側のペースで事態が進行していることを意味するのか、③多国間外交の中の1シーンでとらえるべきで今後も波乱要因があるのか、もう少し注視しましょう。
■米国防長官、記者会見でも尖閣有事における安保条約履行を示唆
2010.10.11 22:41 産経新聞
ゲーツ米国防長官は11日、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件に端を発した日中間のあつれきをめぐる米国の立場について「米国は過去数十年と同様に日米安全保障条約に基づく義務を履行する」と述べ、尖閣有事に日米安保条約が適用されるとの認識を示唆した。
同時に「すべての紛争は調停や話し合いを通じて平和裏に解決するべきだ」とも強調した。ベトナムのフン・クアン・タイン国防相との会談を受けたハノイでの記者会見で述べた。
南シナ海での中国とベトナムなどの領有権問題についても「米国は航行の自由を国益とする立場を明確にしている。(領有権については)どちらの側にも立たないが、対立は話し合いによって解決されるべきだ」とした。(共同)
■ハノイでアセアン・プラス8国防相会議始まる
11.10.2010, 17:11 ロシアの声
アジアで集団安全保障のシステムが形作られようとしている。ハノイで、歴史上初めて、アセアンとそのパートナー諸国間の防衛問題をめぐる会議、アセアン・プラス8国防相会議が3日間に渡り開かれている。
この会議には、東南アジア諸国とアセアンの対話パートナー国、中国・日本・ロシア・アメリカ・オーストラリア・韓国など8カ国の国防担当大臣が一同に会している。アセアン自体の枠内では、このような国防相レベルの協議メカニズムは以前から存在しており、そこでは、タイ・カンボジアの国境問題や南シナ海の島々の領有権問題が取り上げられ、部分的には解決を見た。しかし、今回の会議は、その参加国が本質的に拡大した。
主催国べトナムの責任者の1人、グエン・チヴィン国防次官は「世界的な安定と安全に対する脅威が増大している中、今回の会合は、アセアンとパートナー国間の密接な関係調整と相互信頼強化を促すものになるだろう」との期待感を明らかにしている。会議で各国の国防相が話し合う具体的テーマとしては、テロリズムとの戦い・海上での安全保障・自然災害時の対応などの他、当然地域の安全保障問題が上がっているが、2国間問題も重要だ。中でも、日中・米中のコンタクトが注目されている。
ご承知の通り、日中関係は、東シナ海の日本名「尖閣諸島」沖で操業していた中国漁船の船長を日本側が逮捕するという事件後(その後釈放されたが)ギクシャクしている。すでに両国の国防担当相は、ハノイで短い話し合いを行い、中国側は日本側に対し「敏感な問題を適切に処理し、中日関係をできるだけ早く正常な軌道に乗せるよう努力してほしい」と要請した。ちなみに日本は、ほぼすべての隣国との間で、領土問題を抱えている。南北朝鮮との間には、日本海の所謂「竹島」問題があり、ロシアとの間には南クリール、「北方領土」問題が存在する。新内閣はロシアに対し、これまでもかなり多くの激しい主張を展開している。又ハノイでは、米中コンタクトも期待されているが、テーマは言うまでもなく、まず第一に、今もアメリカが続けている台湾への武器供与問題だ。
ロシアについて言えば、ロシアはアセアンの完全なパートナー国であり、積極的に多面的接触の拡大に努めてきた。軍事面での協力が果たす役割も、決して小さくはない。国防相や参謀総長どうしの会合も持たれ、軍事艦船の相互訪問も実施されている。さらに、アセアン諸国の半数はロシア製武器・兵器の顧客で、マレーシアやインドネシアはロシアの戦闘機を買い付けた。
そして、このところ取り沙汰されているテーマは、べトナム南部カムラン湾にかつて存在した旧ソ連軍基地の復活である。これについて、ロシア海軍の前参謀総長、ミハイル・アブラモフ提督は、次のようにコメントしている-
「海賊対策の問題は非常に緊迫した問題だ。ロシア海軍は、その解決に積極的に関わっている。その際、様々な問題が生じているが、特に、ロシア艦隊の国外での駐留における法的根拠が問題となっている。最も重要なのは、母港から遠く離れた海域での艦隊活動を、共同して支援するための基地の確保であるだろう。」
もちろん、他の国々もカムラン湾進出を計画しているが、ロシアはその中でも、ベトナムとの間で抱える問題が少なく、地域発展および二国間関係についての似通ったアプローチを持っている。さらにベトナムは自国の国益を考慮したうえで、発展戦略のひとつとして、地域の海洋大国となることを目指している。そのためには、自国の艦隊の建造・充実が不可欠であり、その点で、長年の伝統を有するロシアとの協力関係は、ベトナムにとっても有益なものとなるだろう。
→ロシア海軍のカムラン湾基地「復活」は、アジアの平和と安定にとってどうなのか。日本の国益にとってどうなのか。その支持、不支持は、尖閣問題、及び、北方領土問題の解決にどういう影響があるのか。菅民主党政権のどなたか、考えてますか?