日中関係:現在のニュース | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日中関係:現在のニュース

秘書です。

状況の何が変化し、何が変化していないのか。「実事求是」。


■拘束続くフジタ・高橋さんに大使館員が20分間面会
(10/06 05:48)テレビ朝日
中国で拘束が続いている建設会社「フジタ」の高橋定さんと日本大使館職員との3度目の面会が5日、石家荘市内で行われました。
 面会は20分ほど行われ、大使館職員は高橋さんに家族からのメッセージを伝えたほか、衣類や日本語の本を差し入れたということです。また、中国当局に対して、人道的な扱いの確保や迅速な処理などが行われるよう重ねて申し入れました。拘束された日本人4人のうち、高橋さん以外の3人は大使館による2回目の面会が行われた先月29日の翌日に解放され、すでに帰国しています。

■中国漁業監視船の撤収確認=仙谷官房長官
時事通信 10月6日(水)11時35分配信
 仙谷由人官房長官は6日午前の記者会見で、9月下旬から沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海の外側に隣接する接続水域(領海の外側約22キロ)で活動していた中国の漁業監視船「漁政201」と「漁政203」が6日未明に同水域を離れたことを確認した。仙谷長官は「海上保安庁の巡視船が警戒を行っていたので、領海内への侵入はなかった」と指摘、今後も関係省庁が連携して監視・警戒活動を継続する方針を強調した。 

■ASEM首脳会議 議長声明を採択し閉幕
< 2010年10月6日 8:22 >日テレニュース24
 ベルギー・ブリュッセルで開かれていたASEM(=アジア欧州会議)首脳会議は5日、議長声明を採択して閉幕した。声明は、沖縄・尖閣諸島をめぐる日本と中国の問題に触れなかった。

 2日にわたった会議は、ヨーロッパとアジアが経済の安定と持続的な成長を目指し、連携をさらに強化する議長声明を採択して閉幕した。北朝鮮やミャンマーをめぐる問題は声明に盛り込まれたものの、尖閣諸島をめぐる日本と中国の問題については、触れないままだった

 EU(=ヨーロッパ連合)・ファンロンパイ大統領は会見で「ASEM参加国の間で衝突や論争を起こすテーマがあっても、全員がテーブルを囲み、互いに話ができるのです」と述べた。

 中国・温家宝首相は4日、菅首相とワーキングディナーの会場の外の廊下で、25分間の会談を行った。温首相は5日も、韓国との首脳会談に臨んだ。韓国の大統領府によると、会談の中で温首相は「戦略的互恵関係が重要」という点で菅首相と意見が一致したことをあらためて説明した。これに対し、韓国・李明博大統領は「この問題が円満に解決することを期待する」と述べたという。

 来月にはG20(=20か国・地域)首脳会議やAPEC(=アジア太平洋経済協力会議)が開かれ、首脳同士が顔を合わせることになる。今回の首脳会談をきっかけにどれだけ関係改善を図れるかが焦点となる。

欧州の目線ではどう映っているでしょうか?
ある見方では「1対0で中国の勝ちだ」です。


■中国外交:巨人の鼻に突っ込まれた槍
2010.10.05(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2010年10月2日号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4596

日本の「挑発」に対して中国が示した過剰反応は、中国のアジア外交を数年分も後退させた。

小人国リリパットで目を覚ましたレミュエル・ガリバーは、張り巡らされた細い糸に縛られて身体を動かせず、自分の胸の上で数十人の小人が浮かれ騒いでいるのを見て、叫び声を上げた。「その声はあまりにも大きく、小人たちは皆、恐れおののいて一目散に逃げ出した」という。

 やはり目覚めつつある巨人である中国も、最近になって同様の外交政策を採用しているようだ。中国のやり方は、ガリバーの叫び声と同じく効果があった。だが、ガリバーも気づいたように、このやり方には欠点もある

 最も大きな叫び声が向けられたのは日本だった。9月7日、日本の施政下にあり、日本では尖閣諸島、中国では釣魚島と呼ばれる島嶼の沖合で、中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船2隻に衝突するという事件が起き、日本は中国漁船の船長を2週間拘留した。

 中国の反応は、日本の前原誠司外相の言葉で表現すると、「極めて過剰」なものだった。前原外相は中国側の圧力の兆候を「様々なところ」で感じたという。

 実際、中国の政府高官が、船長が釈放されなければ何らかの措置が講じられることになると緊急の警告を発すると、奇妙なことが起き始めた。

 異常に厳しい通関検査が行われ、日中貿易は滞った。中国からのレアアース(希土類)の輸出は、公式の発表がないままに1週間にわたり差し止められた。また、日本のゼネコンの社員4人が、軍事施設を撮影したという不可思議な容疑で拘束されたことも、単なる偶然とは考えにくい

 日本はこれに恐れをなしたようだ。9月24日には、尖閣諸島を管轄する地方検察庁が、中国船の船長を釈放した。奇妙なことに、地方検察庁は日中関係の重要性に言及した。まるで、外務省が末端の司法機関に外交上の責任を預けたかのようだった。しかし中国は態度を和らげようとせず、日本に謝罪と賠償を要求した。

 一方、譲歩に対する批判に感情を害した菅直人首相は、中国は巡視船の補修費用を負担すべきだと要求した。それでも、互いに憤りを表明した後で、両国の気持ちは落ち着いてきたようだ(中国は拘束していたゼネコン社員ら日本人4人のうち3人を釈放した)。これはちょうど良いタイミングだったと言える。世界各国の閣僚や首脳が集まる会談の予定が目白押しだからだ。


10月4日には、ブリュッセルでアジア欧州会合(ASEM)が開かれ、それから数週間のうちにG20首脳会合、東アジアサミット、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれる。そうした会議で、中国と日本の首脳が握手するかどうかという憶測ばかりが注目されるとしたら、情けないことになってしまう。


 外交上の力比べについて言えば、今回の争いに点数をつけるのは比較的簡単に見える。1対0で中国の勝ちだ

 菅政権は、統率されておらず、混乱しており、弱体だという印象を残した。日本の取った措置は、司法権の独立を有名無実にしてしまい、中国の方が法的手続きを尊重したように見える結果を招いた。

 一方の中国は、日本の管理下にあるにもかかわらず、尖閣諸島は中国の領土であるという見解を強硬に示し、自らの主張を通すための経済力、外交力があるということを見せつける形となった。

 同じメッセージは、ほかの地域でも見て取れる。中国は南シナ海のほぼ全域についても、理由の説明もなく曖昧に、しかし徹底的に領有権を主張しており、これを警戒する東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国は、米国に対してこの問題に関与するよう働きかけた。

 7月にはヒラリー・クリントン米国務長官がこれに応えた。クリントン長官はハノイで開かれた地域フォーラムで、南シナ海は米国の国益にもかかわるとして、この海域の領有権を巡り中国と対立する諸国の団結を遠回しに呼びかけた。

 9月24日、ニューヨークでバラク・オバマ大統領が主宰する第2回米・ASEAN首脳会議が開かれた際には、会議の後に発表される共同声明の草稿に、南シナ海についてのクリントン長官の言葉が控えめながらも繰り返し含まれていた。

 草稿では、「係争中の主張を通すために、いずれかの国が軍事力を使用する、あるいはその脅威を示すこと」への懸念が示されていた。つまり、これは中国への警告だった。

 しかし、この草稿が表面化した後、ASEAN内ではより冷静な対応を求める首脳の意見が大勢を占めた。共同声明では南シナ海についての言及は一切なく、単に「地域の平和と安定、海洋の安全、円滑な貿易、航行の自由」の重要性という、当たり前の基本事項が再確認されただけだった。

インドも注意深く状況を見守っている。マンモハン・シン首相は、中国の海洋への野心に対する懸念を口にした。シン政権は、中国がインドのある軍幹部へのビザ発給を拒否するという挑発的な行動を取ったことに対して懸念を示してきた。拒否の理由は、この軍幹部が長年にわたり中国との紛争の続くカシミール地方で任務に就いていたことだと見られる。

 中国はこの数年間、棚上げ状態にある中印間の大きな領土問題(インドがラダック、アルナチャルプラデシュ州と考える地域を巡る紛争)を再び蒸し返そうと躍起になっているように見える。

 力強い新興国である中国が、主権について過敏になっているのは予測の範囲内だ。だが、日本に「勝利」したことが本当に中国にとってプラスになったのかどうかについては、議論の余地があるに違いない。

 前原外相が指摘するように、尖閣諸島に関する中国の振る舞いは「相当数の国に対して、中国の本質の一端を」瞬時うかがわせた。それを目撃した国が、今回見たものをあまり快く思わなかったと考えるのは妥当だ。

中国がくしゃみをすれば、アジアが震え上がる

 中国の、ほとんど好戦的と言ってもよいほど激しい反応がもたらした影響をいくつか挙げてみよう。

 まず米国には、尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象となることを再確認させた。日本には、レアアースなどの天然資源の採掘地を中国以外に求めることを真剣に考えさせ始めた。東南アジア諸国には、米国との距離を縮めさせた。中国の高官なら「拾った石を自分の足の上に落とした」とでも言いそうな状況である。

 日本の高官は今回の一件を、中国における軍部の影響力の拡大、2012年に開かれる次回の中国共産党全国代表大会での次世代指導者層への権力委譲を控えた権力闘争、あるいは共産党に正当性を与える新しい材料となる何か(例えば愛国心)の追求、といった文脈で捉えている。

 だがこのような理由づけは、恐らく肝心なことを見落としている。ガリバーがリリパットで2度目に目を覚ましたのは、催眠薬入りの葡萄酒を飲んで深い眠りに落ちた後のことだった。ある好奇心旺盛なリリパット人が、ガリバーがぐっすり眠っているのを確かめてから、短い槍の切っ先をガリバーの鼻の穴の奥深くに突っ込んだ。

 ところが、それはくすぐったいだけで、ガリバーは激しいくしゃみをした。目を覚ましつつある巨人は、時に自分が抑えられなくなることがある。そんなことを言っても、リリパット人にとっては、何の慰めにもならないわけだが・・・。


まだ日本がアジアのガリバーのつもりの旧式の思考で対アジア政策を考えている人がいるようです。この人たちは、冷戦下、ジャパン・アズ・ナンバー1ともてはやされた80年代の感覚で外交をします。しかし、その後の失われた20年で、もはやガリバーではありません。