「現代のチェンバレン」として帰国することのないことを望む(中川語録) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

「現代のチェンバレン」として帰国することのないことを望む(中川語録)


昨日の産経新聞の「土日曜に書く」に高畑昭男・論説副委員長が「菅外交はどこで敗れたのか」の冒頭に次ぎのように書いている。

「英国史上最悪の政治家?と問われると、英国民は『チェンバレン首相』を挙げるという。第2次大戦直前、ナチス・ドイツとの対決を回避するために、ひたすら妥協や譲歩(融和政策)を重ねてヒトラーを増長させた。チャンバレンの外交は戦争を防ぐどころか、結局は大戦を招く結果となり、失意に辞任に追い込まれた。後継のチャーチル首相も戦後、『融和政策がなければ、大戦もホロコーストも防ぐことができた』と手厳しかった。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で菅直人政権が示した情けない対応も、『現代版のチェンバレン外交』という汚名から逃れられないのではないか。事件発生から中国人船長釈放までの経過を振り返ると、余りにも稚拙な過ちが多かったからだ」

菅総理はこれまでの外交を総括し、「現代版のチェンバレン外交」との悔悟と自責の念をもってASEM首脳会談に向かわれているのであろうか。

今朝の産経新聞の主張では、菅総理はASEM首脳会談について、『会議に出ること自体が重要』とし、漁船衝突事件に関しても『話が出れば、日本の立場をきちんと説明する』と述べていると、その消極性を指摘している。また、既に、国連総会では、中国首脳が『主権や領土など核心的利益で一切妥協しない』と演説したのに対して、菅総理は2度の演説と日米首脳会談の場で漁船衝突事件に触れていないことも私的している。

国連総会に次いでASEM首脳会談において、菅総理が「現代版のチェンバレン外交」を行なうことは許されない。

菅首相は一昨日の所信表明演説で「今日の国際社会は『歴史の分水嶺』とも呼ぶべき大きな変化に直面している」の時代認識を示したが、漁船衝突事件での自らの戦後日本外交最大の失敗が、世界史な「歴史の分水嶺」になることを食い止められるかどうか、日本国民と世界が注視している。

菅総理が歴史的な過ちを繰り替えし、「現代のチェンバレン」として羽田空港に降り立つことのないことを望む。

(10月3日記)中川秀直