ASEM首脳会談への心理戦:第二戦線への準備はできてますか? | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

ASEM首脳会談への心理戦:第二戦線への準備はできてますか?

秘書です。
ASEM首脳会談を前に、情報戦、経済戦、心理戦に一喜一憂せず、長期持久戦を覚悟し、日本が冷徹に分析し、団結してKOWTOWを拒否し続け、国際世論に真実をうったえることが、短期解決の道です。


■中国通関正常化傾向か、抜き取り比率下がる
(2010年10月1日01時33分 読売新聞)
 【北京=幸内康】中国政府による通関手続きの厳格化で滞っていた中国から日本への輸出が正常化されつつあることが30日、明らかになった。
 通商筋によると、上海市や広東省広州市で輸出貨物に対する抜き取り検査の比率が下がった。レアアース(希土類)に関しては通関手続きの申請は可能になったが、実際の輸出は本格的に再開していない模様だ。
 日本政府は27日付で中国の税関当局に対し書簡を出し、通関手続きの適正化を求めている。中国は国慶節(建国記念日)で、10月1日から7連休に入るため、中国から日本向けの輸出が本格的に正常化したかどうか確認できるのは、連休明けになりそうだ。

10月1日からの7連休明けに結果が分かるということは、日本の敗北です。ASEM首脳会議までには確認できないということ。何やってるんですか。ASEM首脳会議までに邦人企業から聞き取り調査して、結果を出してください!そして、事実を世界に伝えてください!

■中国「解放カード」温存 フジタ1人なお拘束 「尖閣」譲歩誘う
10月1日 読売新聞
(抜粋)
・「日本が中国の言い分を認めれば、対日関係を改善できる」という衝突事件での中国の態度と重なっている。
・中国は、3人解放で、「対日関係改善」へのシグナルを送る一方、圧力カードの1枚はしっかり握っている。
・日中関係筋は、「10月上旬にベルギーで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議を前に、く動くは新たなカードを手にした」と分析した。
・中国は最近、漁船衝突事件を巡る強硬姿勢から軟化したかのような印象を日本側に与えようとしている。
・外交筋は「中国は外交戦においては、対立相手の結束を崩して力を分断させ、有利な状況を作りだそうとする」と語る。

・今の中国の「笑顔」は、日本の対中強硬策を封じ、融和策を促すための宣伝でもある。また、今の中国の融和姿勢には、漁船衝突事件後、世界的に広まった中国脅威論を勢いづかせないという予防的な意味合いもある
・とりわけ、ASEM首脳会談は重要だ。温家宝首相が非難を浴びることがあってはならないと、共産党政権は考えている模様だ
・「中国側が延期、キャンセルした日中間の各種交流で復活したものはない」北京の日中関係筋はこう話し、「中国が軟化したとはいえない」と強調する

ASEMという第二戦線の意味を菅民主党政権は分かっていますか?ASEMで日本は何のカードを持っているのか、見えてますか?一見、軟化にみえる微笑み外交の目的がわかりますか。なぜ、1人だけ解放しないのか分かりますか。ASEMで中国指導者がメンツを失わないことを第一にする、それに対して、菅民主党政権はどうしますか?このASEM第二戦線で局面打開できなければ、ASEM後は一旦、再び強硬姿勢に転ずると覚悟したほうがいいですよ。驚いちゃだめですよ。

■3人解放で安堵も…「恩着せるつもりか」専門家ら批判
産経新聞 10月1日(金)0時48分配信
 ・・・また、平松茂雄・元防衛研究所研究室長は「3人釈放で恩に着せるつもりではないか」と分析し、1人の拘束を続けるのは「取引材料にしようとしている」と中国を非難。官邸筋からは「衝突事件を起こした中国漁船の乗組員14人はすぐに帰国させ、船長だけを拘束した日本政府への当てつけではないか」と先行きを懸念する声が漏れた。

国民の誰もが無辜の民が「取引材料」にされていると思っています。しかし、一部の人はそれを認めていません。官邸筋も、「船長だけを拘束した日本政府への当てつけ」と、気づいている。なのに・・・

■菅首相「残り1人も一刻も早く解放を」
(2010年9月30日21時28分 読売新聞)
 ・・・仙谷官房長官は30日夕の記者会見で、尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件で、政府が中国人船長を釈放したこととフジタ社員3人の解放との関連について、「分からない。今の段階では、ひとまず別の話として考えなければならない」と述べた。

ASEM第二戦線を前に、日本政府が尖閣と「別問題」とすることの戦略的な意図が全く理解できません。

■尖閣衝突 首相、船長釈放「早く」…対中国、いら立つ官邸
毎日新聞 10月1日(金)2時41分配信
 沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で逮捕・送検された中国人船長が処分保留のまま釈放されて1週間。30日に建設会社「フジタ」の社員ら4人のうち3人が釈放されるなど、中国側は軟化の動きを見せ始めたが、「対中弱腰外交」「検察への政治介入」批判に菅政権は揺れている。

 ◇パイプ細く、情報入らず

「早く釈放できないのか」。国連総会出席のため22日にニューヨークに出発するのを前に菅直人首相は首相官邸スタッフに語った 

→「米国出発前に官邸スタッフに質問したことをもって政府内で首相の意向ととらえたならば、これは広い意味での首相指示であった」と認めましょう。沖縄地検に戦後外交最大の失敗の責任を押し付けるのは、やめましょう。国の恥です

民主党政権は中国指導部とのパイプが細く、情報が十分に入ってこない。中国側が威圧的な対抗措置を次々と打ち出し、日中の緊張が高まるなか、首相は「何でもたついているんだ」「もっと機敏に対応できないのか」といった態度をあらわにし、「いらいらして『イラ菅』の状態だった」(官邸筋)という。

 →危機において情報が少ないのは当たり前です。今回の最大の問題は政治指導者の、不完全情報下の危機における判断能力の問題です。危機管理は常に、完全情報はありません。「霧の中の前進」を強いられます。霧の中の前進にはリスクがあります。不完全情報の中で適切な判断をすることが政治指導者の仕事です。だから結果責任が問われるのです。政治指導者として不完全情報での判断を誤ったのですから責任をとるべきです。沖縄地検の責任にしてはいけません。

 首相は船長釈放について政治介入を全面否定するが、実は解決を促すような発言をしていたのだ。船長釈放を決めた24日の検察首脳による会議がセットされたのは22日午前。首相が同日午後にニューヨークに出発する前に、同会議開催を知っていたのは間違いない。

 首相不在の首相官邸で「釈放」の調整に当たったのは仙谷由人官房長官だった。同じころ、ニューヨークでは前原誠司外相が環境整備に動いた。強固な日米同盟を演出し、中国にプレッシャーをかけた。仙谷氏は民主党が野党時代、台湾・民進党とのパイプを築いた「台湾派」で知られ、中国人船長の逮捕後も「中国とはいずれこうした問題に直面する。日本は危機感が乏しいから、今回はいいテストケースだ」として「国内法に基づき粛々と対応」路線をとっていた。しかし、中国が強硬姿勢をエスカレートさせ、姿勢を転換。釈放決定当日の24日も柳田稔法相と2回にわたり協議したが、記者会見では「全くの別件」とけむに巻いた

→「日本は危機感が乏しいから、今回はいいテストケースだ」。そして中国が強硬姿勢に転じて腰砕け?「強硬姿勢→腰砕け」は相手の強硬姿勢をさらにエスカレートさせ最悪の結果となります。途中で降りるなら最初から乗るな、それが自民党総裁のメッセージじゃないんですか。

 仙谷氏は船長の釈放後、首相官邸筋に「情報不足はあった。中国とは外務省だけに頼らないルートが必要になっている」と反省の言葉を漏らしている。

→あらゆる問題について役所以外のルートなしに政権をとってはいけません。しかし、中国問題でいえば、外務省の情報すら使っていなかったんじゃないですか?今回のケースは、役所の情報をしっかり使っていれば避けられたミスがたくさんあるのではないですか。(いくら台湾ルートがあっても、まさか、尖閣の領有権を主張している台湾ルートを使ってはいないでしょう。) 

 ニューヨーク滞在中の首相の耳に那覇地検の釈放決定の一報が入ったのは、現地時間24日午前1時(日本時間24日午後2時)ごろ。首相秘書官が外務省から「那覇地検が午後2時半ごろ会見する。首相に伝えてくれ」との連絡を受け、ベッドで休んでいた首相を起こして報告すると、首相は「ああ、そうか」と短く答えただけだった

→記事冒頭の、広い意味の首相指示の範疇だったから、就寝できた、ということでしょうか? 

 事件を巡り日中関係がこじれた一因として、政府が中国側のメッセージを読み違えたとの指摘も出ている。事件直後、中国側の対応は抑制されたものだったが、中国側が丹羽宇一郎駐中国大使を繰り返し呼んで抗議したのに対し、日本側は立場を変えなかった。

 12日未明には、外交を統括する副首相級の戴秉国・国務委員が丹羽氏に「情勢の判断を誤らないように賢明な政治判断を求める」と求めた。未明の呼び出しに対する批判が日本で噴出した。「外相より高位の戴秉国・国務委員が出てくることで中国側は解決を図ろうとしたのに日本が反発し戴氏はメンツをつぶされた」(外務省幹部)との見方だ。中国側は態度を硬化させ、日本側は翻弄(ほんろう)された。

 「要するに菅首相が慌て、仙谷氏が動いて失敗した。しかも、首相は『釈放』と言い残して米国に向かったのに、釈放は司法判断だなんて国民に見え見えのうそをついた」と外務省幹部は首相や仙谷氏の対応を批判する。

 「仙谷長官が辞めるという責任の取り方もあるかもしれない」。30日の衆院予算委員会で塩崎恭久元官房長官(自民)からこう指摘されると、仙谷氏は閣僚席でうなずいた。【犬飼直幸、大貫智子】