漁船衝突:尖閣諸島に在日米軍の射爆撃場があることをお忘れなく | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

漁船衝突:尖閣諸島に在日米軍の射爆撃場があることをお忘れなく

秘書です。
今日は参院外交防衛委員会をやっています。


■国会要求あれば公開可能=尖閣、衝突時ビデオ―柳田法相
時事通信 9月28日(火)12時28分配信
 柳田稔法相は28日午前の閣議後の記者会見で、尖閣諸島沖での中国漁船衝突の際に海上保安庁が撮影したビデオ映像の扱いについて「(刑事訴訟法の例外規定に)当たるのかなあと思っている」と述べ、国会から要求があれば公開は可能との認識を明らかにした。
 刑事訴訟法47条は、訴訟にかかわる書類などの公判開廷前の公開を禁じる一方、「公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合はこの限りではない」と例外を定めている。柳田法相は「捜査状況、国会などからの要望を踏まえて適切な判断がなされると思っている。国会の審議の状況を見ながら判断したい」と述べた。
 ただ、前原誠司外相は同日午前の参院外交防衛委員会で「(容疑者の船長は)処分保留であり、証拠物件として検察にある。刑事訴訟法に基づき判断がなされるべきだ」と述べるにとどめた。民主党の斎藤嘉隆氏への答弁。

「公益上の必要そのほかの事由があって相当と認められる」と政府自ら判断し、ASEM首脳会議にビデオをご持参ください。

■漁船衝突、故意は明白=参院委質疑で前原外相
時事通信 9月28日(火)11時30分配信
 参院外交防衛委員会は28日午前、沖縄県・尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件に関し、閉会中審査を行った。前原誠司外相は衝突時の状況について、海上保安庁が撮影したビデオ映像を根拠に「中国漁船がかじを切って体当たりをしてきた。ミスの場合にはエンジンを逆回転して(巡視船から)離れる措置を取るはずだが、そういった形跡は全くない」と述べ、故意は明白だと強調した。斎藤嘉隆氏(民主)への答弁。
 同委での閉会中審査は、事件後に政府が国会の場で一連の経緯を説明する初の機会となった。
 外相は、ビデオ映像の公開について「(容疑者の船長は)処分保留であり、証拠物件として検察にある。刑事訴訟法に基づき判断がなされるべきだ」と指摘。鈴木久泰海上保安庁長官は「処分保留の状況なので、今後の捜査の状況を考慮して検察当局と協議して適切に判断する」と述べるにとどめた。 


■日中首脳会談を模索=仙谷官房長官
時事通信 9月28日(火)11時35分配信
 仙谷由人官房長官は28日午前の記者会見で、10月4、5両日にブリュッセルで開かれるアジア欧州会議(ASEM)首脳会議の場を利用した日中首脳会談について「環境整備ができれば、やろうと模索している」と述べた。 

首脳会談を実現することを目的として、先方が「謝罪」として国内で宣伝できる言葉、「賠償」として国内で宣伝できる政府系機関を使って環境などを名目とする経済協力を差し出すような玉虫戦略を手段とすることだけは、絶対にやらないでください!それが玉虫色に見えるのは日本だけで、世界は先方が解釈した色で見ます。日本の国力が圧倒的であり、中ソが対立し、米中も緊張が残っていた時代の玉虫色は、いまの段階では全く別の色になります。80年代の業師に頼らないほうがいいです。


■私はこうみる 尖閣敗北 米戦略国際問題研究所 ラリー・ニクシュ氏
産経新聞 9月28日(火)7時57分配信

 ■領海近辺での軍事演習許さぬ配慮を

 日本が中国漁船の船長をこの時点で釈放したことは唐突に過ぎ、いかにも中国の圧力に屈したようにみえる。私が日本側の当事者だったら、明らかに違法行為を働いた中国船長はもう少し拘束を続け、もっと尋問して、厳しく扱っただろう。日本の法律に従っての最大限の拘束をしただろう。

 日本の検察はこれまでの尋問で、この船長が日本側への侵犯や海上保安庁の船への衝突をまったく個人の次元で実行したのか、それとも中国当局から指示を受けてそうしたのか、を解明したのだろうか。この点は極めて重要だといえる。その点をあいまいなままに釈放したとすれば、日本の大きな誤りだろう。

 今回の船長釈放はアジアの他の諸国からみれば、中国が領土紛争でも一方的に行動し、攻撃的な態度をとって、その行動を通用させてしまうという強硬なイメージを鮮明にした。

 日本としてこれからまず注意すべき第1の点は、中国側の「民間活動家」に尖閣諸島への強引な上陸や付近領海への侵入を許さないようにすることである。第2には、中国側の尖閣付近での軍事演習に気をつけ、日本側の領海やそのすぐ外側では軍事活動をさせないよう配慮することだ。中国側の軍事部隊の進出を許すと、尖閣問題は性格を変え、日本側を不利にしてしまう

 日本政府が中国漁船の船長を釈放したのは米国政府の圧力もあったからだという推測もあるようだが、オバマ政権にとって日本と中国が尖閣の問題で対立をエスカレートさせることは好ましくないという認識はやはりあっただろう。オバマ政権でも国務省はこの釈放に内心、ほっとしていると思う。

 その一方、国務省は尖閣諸島が日米安保条約の適用を受け、もし軍事攻撃を受けた場合は日米共同防衛の対象になるということをかつてなく明確に言明した。米側のこの点での日本支援誓約は重視してよいだろう。

 日本側も米国と連帯して中国の領土拡大の動きに反対するならば、最近のクリントン国務長官が表明した、南シナ海での中国の覇権的な姿勢への反対に明確に同調すべきだ。同長官は南シナ海の諸島への中国の領有権を認めず、南シナ海の航行の自由はすべて保障されるべきだと主張したのだが、日本の態度がまだはっきりしない。尖閣でも中国との衝突を機に、この点での対米協調を考えたらどうだろうか。(談)

【プロフィル】ラリー・ニクシュ
 米国議会調査局で30年以上、アジア情勢を分析し、歴代政権の外交政策に関与してきた。朝鮮問題の専門家でもあり、北朝鮮への制裁強化に消極的な中国に対し、「米国、日本、韓国の3カ国が連携し、中国に圧力をかけていくことが必要」などとも語っている。



民主党政権が狼狽している中、米国の決心がみられていることでしょう。
第7艦隊のプレゼンス、尖閣諸島の米軍の射爆撃場での目に見える行動が注視されれていることでしょう。




「管内・在日アメリカ合衆国軍・海上訓練区域一覧表」(平成22年7月現在)第十一管区海上保安本部  
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN11/anzen/Us97/US97.html


■尖閣衝突で仙谷氏 修理費請求も時期明言せず
産経新聞 9月28日(火)7時57分配信

 ■法務省、衝突時のビデオ公開検討

 尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件で損傷を受けた海上保安庁の巡視船2隻について、仙谷由人官房長官は27日の記者会見で、修理代を中国側に請求する考えを明らかにした。中国人船長を釈放したことに対し、与野党から噴出している「弱腰」批判をかわす狙いがあるとみられるが、請求時期については明言せず、中国側への配慮もにじませた。

 衝突事件では、巡視船「みずき」の外板が長さ約3メートル、高さ1メートルにわたりへこむなど2隻に損傷が発生。政府関係者は修理費について「巡視船は外板なども特殊な金属を使う。2隻合わせて1千万円台になるだろう」としている。

 仙谷氏は「検察庁が(中国人船長を)釈放したわけだから、戦略的互恵関係を充実させる作業に入っていく段階だ。ボールは中国にある」と語った。

 さらに「戦略的互恵関係の内実をどうつくっていくか。今回の事件で日本は船を相当傷つけられており、原状回復について協議をしなければならない」と強調した。

 ただ、請求の時期に関しては「外交ルートで(請求を)現時点で行うのか、(日中関係が)クールダウンしてから行うかは別だ」とし、明確にしなかった。

 中国政府が日本側の費用請求に応じた例はある。

 平成16年8月、北京でサッカー・アジア杯決勝戦が日中間で行われた際、中国の敗戦で暴徒化したサポーターらが日本公使の公用車を襲撃。中国側は17年7月に修理費約25万円を負担した。

 17年4月、日本の国連安保理常任理事国入り反対に端を発した反日デモで北京の日本大使館、大使公邸、上海の日本総領事館の窓ガラスなどが破損された際も、18年6月までに総領事館の修理に応じ、総額数千万円を負担した。

 いずれのケースも費用負担まで発生から1年前後かかっている。もっとも今回は、日本側に賠償を要求している中国政府が請求を受け入れる可能性は低いとみられている。

 一方、法務省は27日、民主党の外務・法務・国土交通合同部門会議で、海上保安庁が事件の際に撮影したビデオテープについて「公開を含めて適宜判断したい」と説明した。

 衝突時の模様が映っているビデオはこれまで非公開だったが、与野党から公開を求める声が相次いでいた。


「中国側への配慮」がKOWTOWと誤解されませんように。


■民主も漁船長釈放は「三国干渉に匹敵する国難」
読売新聞 9月28日(火)10時33分配信

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で中国人船長を釈放したことに対し、民主党内から27日、政府の対応に対する厳しい批判が噴出した。

 27日夕、国会内で開かれた民主党の法務・国土交通・外務合同部門会議は、約80人の同党議員が約1時間にわたって松本剛明外務副大臣、小川敏夫法務副大臣ら政府側の説明を求め、「つるし上げ」(出席者)の様相を呈した。

 焦点は、那覇地検が船長釈放の理由の一つとして、「日中関係への配慮」を挙げたことだ。政府側は「検察に任された範囲内の判断だ」と繰り返した。

 しかし、出席者からは検察当局と外務省のやりとりの詳細を明らかにするなど、さらなる説明が必要だとの声が続出した。

 政府への申し入れなども相次いだ。

 吉良州司前外務政務官と長島昭久前防衛政務官らは27日午後、首相官邸に仙谷官房長官を訪ね、「総合的安全保障体制の確立」「日中関係の根本的見直し」など8項目を盛り込んだ「建白書」を同党議員43人の署名を添えて提出した。

 建白書は今回の事態を、「日清戦争後の三国干渉に匹敵する国難で、日本国民として痛恨の極み」としたうえで、「検察が独断で判断したと信じている国民はほとんどおらず、『検察の判断』と繰り返すことは責任転嫁との批判は免れない」と指摘した。

 長島氏らによると、仙谷氏は「中国は隣人であり、将来にわたって友好関係を伝えていかなければならない」と強調した。長島氏も記者団に「倒閣運動ではなく、政権をサポートしたい」と述べたが、「三国干渉後の臥薪嘗胆(がしんしょうたん)のような思いだ」と歯がゆさをにじませた。

 一方、松原仁衆院議員ら12人も、尖閣諸島への自衛隊常駐の検討などを求める声明を連名で発表。レアアース(希土類)輸出停止などの事実関係について丹羽宇一郎駐中国大使から聞くことや、中国漁船の巡視船衝突を映した海上保安庁のビデオ公開も求めた。

 松原氏ら同党議員73人の連名による緊急声明では、那覇地検の対応を「検察の権限を大きく逸脱した極めて遺憾な判断だ」とした。

 建白書や声明に署名した民主党議員は多くが保守系と目され、先の党代表選で小沢一郎元代表を支持した若手議員が過半数を占める。ただ、小沢氏はこの問題について沈黙し、松木謙公農林水産政務官ら小沢氏側近も署名に加わっていない。小沢グループの若手議員は署名に際し、同グループ幹部に相談し、「一議員としてならいいが、グループとして動くのは避けてほしい」と指示されたという。

 政府の対応には、首相に近い議員からも「小沢氏系だけが批判しているわけではない」との声が出ている。

 小沢グループとしては「このままでは菅政権はもたない。足を引っ張っているように見られるので、こちらから動く時期ではない」と、静観する構えだ。

 ◆民主部門会議主な発言◆

 27日の民主党法務・国土交通・外務合同部門会議での主な発言は以下の通り。

 ・長島昭久前防衛政務官

 「那覇地検が釈放の理由について、法と証拠以外に外交関係にまで言及したのは違和感がある」

 ・松原仁衆院議員

 「政治判断はなかったのかどうか。ないならば、検察が日中関係というようなまさに国が判断すべき部分まで判断していいのか。それ自体、民主党の政治主導と矛盾するのではないか」

 ・藤末健三参院議員

 「事実関係を明確にし、国際世論を味方につけるべきだ。そのためには映像を公開すべきだ」

 ・小川敏夫法務副大臣

 「政治介入はなかった。検察庁が捜査して決めたことだ」


三国干渉は外圧ですが、船長釈放は民主党政権の判断です。尖閣諸島は戦争とは一切関係のないわが国固有の領土です。

■【主張】中露首脳会談 看過できない歴史の歪曲
2010.9.28 02:55産経新聞

 訪中したメドべージェフ・ロシア大統領と胡錦濤国家主席が会談し、第二次大戦終結と対日戦勝65周年に関する共同声明に署名した。これに先立ち、同大統領は「歴史をねじ曲げようとする勢力がいるが、われわれは大戦の真実を主張していかねばならない」とし、中露がともに努力すべきだとの考えを強調した。

 ロシアはこれまでも「日本が歴史を捏造(ねつぞう)した」と主張しているが、旧ソ連の北方領土侵攻の歴史を勝手に書き換えることはできない。北方四島が日本固有の領土である事実を全面否定することは断じて許されない。

 中国がロシアに同調すれば、日本を標的に歴史を歪曲(わいきょく)し、領土という共通利益を正当化するための共同戦線を両国が構築したことになる。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で日本が毅然(きぜん)たる対応を示せないことも中露に乗じるすきを与えていよう。菅直人首相は直ちに両国に抗議し、反論すべきだ


 中露は漁船衝突事件前から今回の会談をにらんで布石を打ってきた。胡主席は5月のロシアの対独戦勝記念日に訪露、「対独、対日の歴史の真実を守り抜くために連携を強める」と言明した。ロシアは日本が第二次大戦降伏文書に調印した9月2日を事実上の「対日戦勝記念日」に制定した。

 今回の首脳会談でも、胡主席は「国家の核心的利益にかかわる問題で相互支持を堅持すべきだ」と語り、北方領土問題でロシアを支持する見返りに、尖閣諸島の中国の領有権の主張をロシアが受け入れるよう求めた形となった

 択捉、国後、色丹、歯舞群島の北方四島は1945年8月9日、当時のソ連が日ソ中立条約を破棄し、終戦後に不法占拠した日本固有の領土だ。「戦争による領土不拡大の原則」を掲げた連合国大西洋憲章(41年)にも違反する。

 一方、尖閣諸島は日清戦争後に明治政府が沖縄県に編入、戦前にはかつお節工場もあった。終戦後は米国施政下に置かれたが、沖縄返還協定で日本に返還された。

 こうした明白な事実を国際社会に認知させる努力を歴代政権は十分に行ってきたのか。在外公館などを通じた説明が不可欠だ。

 中国は今後も軍事的威嚇や領海侵犯を強める可能性がある。ロシアも加わって、日本の主権は危機に瀕(ひん)している。菅政権は漫然と構えている時ではない。


■中国とロシアの首脳、エネルギー面での関係強化で合意
2010年 09月 28日 10:40 JST
[北京 27日 ロイター] 中国の胡錦濤国家主席とロシアのメドベージェフ大統領は27日の首脳会談で、エネルギー面に関する中ロ関係の強化で合意した。
 両首脳は、東シベリアの油田から中国に原油を供給する石油パイプラインの完成式典にそろって出席。同パイプラインの完成により、2011年1月1日から日量30万バレルの石油がロシアから中国に供給される見通し。
 エネルギー輸出先として欧州への依存度を低下させたいロシアにとっては、これにより成長著しいアジア地域で新たな輸出先を確保したことになる。 
 一方、ロシア産天然ガスの対中供給については、両国は価格面で合意に至らなかった。ただ、大統領に同行しているセチン副首相は記者団に対し、ガス契約に関して2011年半ばまでに合意できるとの見方を示した。
 またロシア政府系天然ガス独占企業ガスプロム(GAZP.MM: 株価, 企業情報, レポート)は、中国石油天然ガス集団公司(CNPC)と、2015年末から年間300億立方メートルのガスを供給する契約をめぐり、条件を固めたと明らかにした。
 中国は今後10年間で、環境負荷の高い石炭への依存度低下を図る取り組みの一環として、エネルギー消費に占めるガスの割合を2倍に引き上げることを目指している。
 中国はまた、ロシアのアトムストロイエクスポルトに、田湾原子力発電所の発電能力増強に向け、原子炉2基の建設を発注した。
 中ロ両国は現在、双方がすでに合意している貿易・エネルギー・地域安全保障に関する関係強化に向けた具体案の取りまとめに取り組んでいるが、今回の首脳会談では、従来通り双方の希望を述べるにとどまり、多くの面で詳細を詰めるにまでには至らなかった


■中国当局、居住用でない住宅向け融資規制の実施状況を調査=金融時報
2010年 09月 28日 11:27 JST
 [北京 28日 ロイター] 中国の銀行監督当局は、所有者が居住していない住宅のローン規制を銀行が順守しているか抽出調査を行っている。金融時報が地方の銀行監督当局者の話として報じた。
 調査は銀行業監督管理委員会(銀監会)と住宅都市農村建設省が北京、上海、広州などの大都市で実施している。
 また、銀行が開発業者向け融資に関する規則に従っているかどうかも調査の対象となる。
 中国政府は4月以降、不動産価格の上昇抑制のため一連の措置を打ち出している。
 同紙によると、検査結果は政府の次の政策決定の参考となる見通し。
 中国では過去数週間、不動産取引と価格が回復の兆候を示しており、一部の業界関係者は政府による規制強化を予想している。


バブル?さて、現在のロイターランキング第一位の記事です。

■ロイターコラム:中国リスクでインド・ASEANシフト加速へ
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-17382820100927
2010年 09月 27日 15:52 JST
[東京 27日 ロイター] 尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件をめぐる漁船船長の逮捕とその後の釈放に関連し、中国政府が取ったとみられるレアアース(希土類)の輸出差し止めや対日通関の厳格化などは、日本の対中貿易・投資が政治的なリスクにさらされている割合が、主要7カ国(G7)や他の新興国との貿易・投資に比べて高いことを浮き彫りにした。
 今後、国内企業の中では、リスク分散の観点から東南アジア諸国連合(ASEAN)域内やインドなどに生産拠点の重点を置く動きが加速すると予測する。企業の収益性や成長性を計る上で、ASEANやインドなどへの投資比率や生産比率が注目されるようになるだろう。
 大畠章宏経産相は24日の会見で、中国のレアアース輸出に関して、日本以外の輸出は停止されていないもようであり、WTO(世界貿易機関)の規約違反であるとの見解を表明した。中国商務省は差し止めを命令した事実はないとの立場のようだが、大畠経産相は、尖閣諸島での漁船衝突事件が今回の対応に影響しているとの認識も示した。また、一部の国内メディアは、中国が日本との輸出入に対する通関検査を厳しく行っているため、輸出入の手続きに遅れが出ていると伝えた。
 もし、中国政府が尖閣諸島での事件を契機に日本との貿易や投資に新たな規制や負荷を課す対応をしたのであれば、中国との貿易や投資は、G7や他の新興国への投資や貿易とは違ったリスクに直面していると判断せざるを得ない。企業経営者はリスクに敏感であり、世界第2位の経済大国に躍進しようという中国の拡大する消費市場に直目して加速してきた投資の勢いは、いったん鈍化する可能性が大きいだろう。

 <世界の成長センターになるASEAN>

 こうした状況の下で、国内企業に注目されるのは、ASEAN域内だと思われる。ベトナム、タイ、インドネシアなどでは、人口増と中間層の拡大で経済規模が大きく拡大し、中国に次ぐ市場として注目が集まりつつある。リーマンショック後、2009年には国内総生産(GDP)がマイナス2.2%に落ち込んだタイの成長率は、2010年第1四半期にプラス12.0%、第2四半期にプラス9.1%と大きく伸長。タイやベトナムも5─6%台の成長を達成し、ASEANは世界でも注目される成長センターになりつつある。また、勤勉さや労働コストとの兼ね合いで、コスト上昇中の中国から生産拠点を移す動きも出始めた。ASEAN域内から中国やその他の域外に輸出することを想定して、生産拠点をASEAN域内に設けるケースも増えている。日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)のタイでの生産拠点拡充は、その典型だろう。

 インドもこの数年、6─9%の高成長を続け、日本からの直接投資は09年度に11.8億ドルと前年比プラス192.3%の急増となった。スズキ(7269.T: 株価, ニュース, レポート)のインドでの売上高、利益の拡大をみて、インドでの生産拠点拡大を図る企業が目に見えて増えてきたことを示すデータと言えるだろう。