菅民主党政権:黒船来襲ならぬ漁船来襲を防ぐために | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

菅民主党政権:黒船来襲ならぬ漁船来襲を防ぐために

秘書です。

黒船が来襲したときの、幕閣のうろたえぶり、目に浮かびます。

宥和政策の先にあるのは護衛艦に囲まれた漁船の来襲かもしれません。いま、断固たる決心を固めることが、相手の冷静さと平和の礎です。押せば折れると思われたら、相手は冷静になれません。どんどんエスカレートします。



■中国漁船・尖閣領海内接触:中国人船長釈放 真意探る日本 中国なお強硬
(2010年9月26日 毎日新聞)

 <追跡>

 ◇「謝罪・賠償を」中国なお強硬 強い不快感/「国内向け」見方も
 沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域で中国漁船が日本の海上保安庁巡視船に衝突した事件で25日、日中間に再び緊張が走った。中国漁船の〓其雄(せんきゆう)船長の釈放を受けて中国外務省が「謝罪と賠償」を要求して強硬路線に拍車をかけ、日本外務省が「まったく受け入れられない」と全面拒否する声明を発表して対抗した。船長釈放で事態打開に動いた日本を見透かすように、要求を強める中国。日本は中国の真意を探り、中国が日本の出方をうかがう神経戦が続く

→まず、民主党政権には中国の真意を確認できるルートはないのか。幕府ですら、長崎の出島があり、オランダや中国から情報が入っていたはず。次に、日本側からの神経戦は。領土問題は存在しない、はよし。だからといって何もしないということは国際社会にどういうイメージでしょうか。情報戦、心理戦、経済戦でみずから環境整備を行わず、相手の情報戦、心理戦、経済戦に狼狽し、冷静にというだけ。国際社会はどうみるでしょうか。

 「尖閣諸島をめぐり、解決すべき領有権の問題は存在していない」「謝罪や賠償といった中国側の要求は何ら根拠がなく、まったく受け入れられない」。外務省の佐藤悟外務報道官は25日、中国側の声明に対抗する談話を発表し、謝罪・賠償要求を一蹴(いっしゅう)した。外務省幹部は「中国がおかしな声明を出したから、こちらも黙っているわけにはいかない」と強い不快感を示した。

 中国人船長の釈放で緊張緩和を期待した日本側だが、追い打ちをかけるようにハードルを上げた中国。中国に詳しい外交専門家は「謝罪・賠償と口で言っているだけなのか、さらに強い要求を突きつけようとしているのか、見極める必要がある。日本の拒否表明で中国側が取ってきた対抗策を解除するタイミングを遅らせる可能性は十分ある」とみる。

 →下記の声明をみると、見極めはついているように思いますが。

■謝罪・賠償求める権利、と中国外務省が談話
(2010年9月25日23時31分 読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国外務省の姜瑜(きょうゆ)・副報道局長は25日夜、日本政府が同日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖での中国漁船衝突事件を巡る謝罪と賠償を拒否したことについて談話を発表、「中国側には当然、謝罪と賠償を求める権利がある。日本側が中日間の戦略的互恵関係を充実させるために実際の行動を取るよう望む」と述べた。
 また姜副局長は、前原外相が尖閣沖で同様の事案が再発した場合に毅然(きぜん)と対応すると発言したことに対し、「釣魚島は中国固有の領土だ。中国政府は今までと同様、主権と領土を断固防衛する」と強調した。

■領有権問題存在せず、外務報道官談話で対抗
読売新聞 9月25日(土)21時23分配信
 沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件で、政府は25日夕、中国側が求めた謝罪と賠償を拒否する佐藤悟外務報道官の談話を発表した。
 政府は、中国との関係修復に向けて「ハイレベルでの会談」を探る方針だが、中国側の出方は不透明だ。日中政府間の対立は長期化する可能性も出ている。
 外務報道官談話では、尖閣諸島について「解決すべき領有権の問題は存在していない」と重ねて指摘し、中国漁船衝突事件に関して「我が国法令に基づき厳正かつ粛々と対応した」と強調した。中国側が日本に謝罪と賠償を求めていることについては「何ら根拠がなく、まったく受け入れられない」と拒絶した。
 同時に「日中双方は大局的な立場に立って引き続き戦略的互恵関係の充実を図っていくことが重要」と、中国に冷静な対応を改めて呼びかけた。
 玄葉国家戦略相(民主党政調会長)は25日、仙台市での講演で、船長釈放について「コメントしたくない」と不快感をにじませ、「多くの日本人が日米安保(条約)の重要性、離島防衛の必要性を再認識する契機になった」と述べた。
 船長釈放を受けても、中国側は強硬姿勢をゆるめていない。中国の声明は、尖閣諸島の領有権主張をさらに強める内容となっている。
 政府としては、日本国内で船長釈放への批判が強まっていることもあり、「中国の声明を放置するわけにはいかず、事実上の対抗措置」(外務省幹部)として談話を発表したとみられる。



 ただ、表向きの対立姿勢の一方で、外務省は中国側声明の意図を詳細に検討。「戦略的互恵関係の発展」「両国関係の大局を維持する立場」に言及した点に着目し、日本側の談話も「日中双方は大局的な立場に立って引き続き戦略的互恵関係の充実を図っていくことが重要」と関係悪化を望まない姿勢も盛り込み、呼応した

 →中国側の戦略的互恵関係の解釈は変化していませんか。首脳会談を開けない段階で、個別案件が両国関係の大局に影響しています

 「中国は国内向けに『賠償』と言わなければならないから言っているのだろう。声明全体をみれば問題を早期に収めようとしている姿勢が読み取れる」。別の外務省幹部はこう分析し、首相周辺も「(拘束された)フジタ社員と領事部職員が面会した。(謝罪・賠償要求は形式的な)声明だ」と指摘する。

→中国の立場からすれば、中国の領土で起きたことについての謝罪と賠償の要求でしょう?ことはもっと深刻だと思います。面会できたのは「面会をさせていただいた」という「恩寵」になっていませんか?

 民主党幹部も「中国は本気で対立をあおる気はない」とみる。(1)日米外相会談で米側が「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象」と明言したことに中国が反発していない(2)米国も船長釈放を歓迎している--ことを理由に、事態沈静化を望む米国の意向を中国も受け入れたと分析する

→中国は対立をあおる気はないというよりも、中国が強硬姿勢に出ても、日本が腰砕けになるので対立が激化しないとみているのではないでしょうか。米国マタ―については南シナ海のことも含めて検討したほうがいいでしょう。(米国の意向をそれほど重視するなら、民主党は同盟関係をもっと大切にしましょう。)

 一方、政府内には初動への批判もくすぶる。首相官邸筋は「尖閣諸島問題では危機対応マニュアルで何通りものシミュレーションができている。このケースは現行犯逮捕だったが、仙谷由人官房長官が渋った」と明かし、逮捕までに時間をかけたうえ中途半端に釈放した対応を批判。「中国はどんどん調子に乗ってくるだろう。それが分かっているからマニュアルがあるのに」と警鐘を鳴らした。

→対日要求エスカレートの原点を「首相官邸筋」が語っていますね。ここは臨時国会の焦点になるでしょうね。いまごろ、「首相官邸筋探し」が始まっているかもしれませんが

 ニューヨークから帰国した菅直人首相は25日夜、公邸で仙谷官房長官から船長釈放の経緯について報告を受けた。国内世論の反発が強いことも報告され、「首相は冷静にやっていこうという反応」(周辺)だったという。

 一方の中国。25日早朝に中国政府が用意したチャーター機で福建省福州市の空港に到着した〓船長がVサインでタラップを下りるシーンを、中国中央テレビは何度も放映し、国内向けに中国外交の「勝利」を印象づけた。

 空港には副省長や外務次官補らが出迎える異例の待遇。船長は中国メディアの取材に「日本側は繰り返し、私が入った場所が日本領海だったと認めさせようとしたが、私は拒否した。私が死んでも釣魚島は中国のものだ。今後も釣魚島で漁をしていく」と言い放ち、「政治ショー」(外交筋)を演出した。

 中国が通常の報道官談話より重い外務省声明で日本に「謝罪と賠償」を要求したのは、中国人船長を逮捕して拘置手続きを取った行動を、日本の主権行使として既成事実化させない狙いがある。

 中国外務省は25日夜、「中国には当然、謝罪と賠償を要求する権利がある。日本が実際の行動で中日の戦略的互恵関係の充実を図るよう希望する」という姜瑜副報道局長の談話を発表。中国にとって謝罪・賠償要求は「当然の権利」だと改めて主張した上で、中国側が「謝罪と賠償」と解釈できる妥協案を日本側に求めたといえそうだ。【犬飼直幸、吉永康朗、北京・浦松丈二】

→明らかに戦略的互恵関係の解釈を変えてきていますね。安倍政権のときの原点からかなり逸脱しています。民主党政権のみなさん、よく学習してください。

→「謝罪と賠償」と解釈できる妥協案を日本側が出せば、緊張は緩和するということで、いろいろな工作をしてくるでしょう。民主党政権は緊張緩和を急ぐあまり、この工作にのる危険があります。でも、それはこれまでの緊張緩和策と同じ以上の取り返しのつかない結果をまねくでしょう。そのときの緊張緩和は平和ではありません。宥和政策は平和をもたらしません。戦略的互恵関係は宥和政策ではありません

■中国、対日強硬姿勢に終始 関係改善の糸口見えず
2010年9月26日5時0分 朝日新聞

 【北京=峯村健司】沖縄県尖閣諸島沖の衝突事件で逮捕・勾留(こうりゅう)された中国漁船船長が釈放された25日、中国外務省は日本に対し、「謝罪と賠償」要求を突きつけた。日本外務省は「まったく受け入れられない」と拒否したが、国連総会が開かれている米ニューヨークで模索したハイレベルの政府間接触は実現せずじまい。日中関係改善の兆しは見えていない。

 「日本側の主張は、あからさまな強盗の論理でめちゃくちゃだ。中国政府が受け入れられるわけがない」

 25日付の人民日報系の国際情報紙、環球時報は事件をめぐる評論記事でこう指摘した。船長解放への評価はほとんどなかった。


 中国外務省は「声明」という強い形式で賠償などを求めた。25日夜には、姜瑜副報道局長が「謝罪と賠償を求める権利は当然ある」と日本側に再反論する談話を発表。「簡単には譲歩しない」との決意をのぞかせており、今後、外交交渉の場で繰り返し提起する可能性が高い。

 尖閣諸島の領有権を主張する中国にとり、事件は「領海内」で起きたもので、過失があるのは日本政府だ。船長は「処分保留」で釈放され、日本の法手続きが残っている状態が続いているため、「賠償で決着させる必要がある」(中国筋)  というのだ。

 →岡田民主党幹事長は昨日、奈良市内で、中国の謝罪と賠償要求について「日本は法治国家だから法に基づいて粛々とやってきた。謝罪とか賠償というのは、全く納得のいかない話だ」と語ったそうですが、日本は法治国家だから法に基づいて粛々とやってきたのに、途中で折れるから、中国側は中国に領有権があるとの立場から、謝罪と賠償を要求して、日本の法律の適用外であることを世界に示そうとしているのではないですか

 関係改善の兆しが見えないのは、摩擦が起こるたびに冷静な対応を呼びかけてきた中国外務省が、今回は強気な姿勢に終始しているとの事情がある。中国筋によると、環球時報の記事も、外務省が「対日圧力をかけるように」と掲載を働きかけたという

 →全体として、対日圧力をかけ、個別に一歩一歩、日本側からの譲歩を引き出す情報戦の非公式な工作をやっているようにみえますね。民主党政権はこの非公式工作にのって、判断を誤っていませんか。

 衝突事件の発生当初、インターネットの掲示板には外務省の対応を批判する書き込みが相次いだ。「骨を強くしろ」と記された手紙とともにカルシウムが同封された手紙が送られてきたこともあるという。北京市内で18日に起きた反日デモでは、日本大使館前で抗議の声を上げていたデモ隊が次に向かったのが外務省だった。同省関係者は「強硬論を唱える世論の圧力に従わざるを得ない」と打ち明ける。

 →反日世論があるから、しかたなくポーズをとる、というのは古い考え方ではないでしょうか。圧力をかければ譲歩をする国から、どれだけ譲歩をとれるか、その結果の緊張は日本側の責任で鎮静化すると考えれば・・・

 対日関係改善に積極的だった温家宝(ウェン・チアパオ)首相も、対日強硬姿勢に転じた。5月の訪日では東シナ海ガス田共同開発の条約交渉入りを決断したが、直後に鳩山由紀夫首相(当時)が辞任。温首相は対日強硬路線の保守派長老や軍幹部らから突き上げられたという。対日レアアース(希土類)禁輸などの措置について「温首相の指示がある。対日政策を批判され、方針転換を余儀なくされた」と北京の外交筋はみる。

 船長釈放を「外交交渉の勝利」(中国外交筋)と位置づける中国は、尖閣問題でも攻勢を強めそうだ。日本側は今後、中国漁船の取り締まりに消極的になると見られる。中国側が漁業監視船を尖閣諸島付近に頻繁に派遣することで、既成事実を積み重ねようとする可能性もある

→日本が領土保全の意思に消極的になるとの誤解を民主党政権は与えた可能性があります。この誤解は解く責任が民主党政権にあります。民主党政権の決心が問われる事態が必ず起きるでしょう。そのときに謝罪と賠償に応じて一時的な緊張緩和と長期的な国益の損失につながる愚かな決断をすることのないように

 中国は今後、「政治」の季節を迎える。10月には、共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会)が控える。大幅な人事異動が予想される2012年の共産党大会に向けた指導部内の水面下の権力闘争が始まっているとされる。安易な対日妥協は権力基盤を揺るがしかねず、関係改善の動きに影響する可能性がある。

■釈放─収拾のはずが…交渉カード失い目算狂う
読売新聞 9月26日(日)3時8分配信

 沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件で、中国は「謝罪と賠償」を要求し、船長の釈放により、日中関係悪化が収拾に向かうと期待した菅政権は目算が狂った格好だ

→民主党政権の目算の根拠は何だったんでしょう? 

 中国の強硬姿勢はやむ気配がなく、日中対立は長引く恐れが出ている。

 ◆甘かった見通し◆

 「日本側の方が(中国より)少し大人の対応をした。抜き差しならない関係になるのはいいことではない」

 片山総務相は25日、東京都内で記者団に対し、公務執行妨害容疑で逮捕した船長釈放を評価した。

→冊封体制のKOWTOWですね。 

 だが、謝罪と賠償を求めるという中国側の予想外の要求に、政府の受けた衝撃は大きかった

 →従来からの中国側の領土主張からすれば、何の裏での手打ちなしに狼狽して船長釈放すれば謝罪と賠償は「想定の範囲内」の結果でしょう。黒船を前にした幕閣のようなうろたえぶりですね

 政府筋は25日、「尖閣諸島は日本の領土だ。日本の法律にのっとったことなのに、謝罪要求とはどういうことなのか」とうめいた

→この政府筋のいっている意味がわかりません。尖閣諸島を日本の法律が適用することす認めていない相手にこんなことをいっても仕方ないでしょう。船長釈放したから、法の適用範囲=領土についての誤解を与えたわけで、謝罪要求をしてくるのは想定の範囲内でしょう。これ以上、エスカレートしてきたら、誤解を解くためには、実効支配を行動で示す以外に選択肢はなくなってきますよ。誤った判断の代償は大きい。法の支配の適用範囲についての誤解を与えた以上、実行支配を行動で示さなければならないかもしれません。この緊張に耐えられますか

 というのも、中国人船長の釈放を決めた24日、首相官邸内には、日中の関係改善に直ちにつながるという楽観論が広がったからだ。中国側の強硬姿勢は、「菅外交」の見通しの甘さを露呈する形となった。

 ◆やりたい放題?◆

 政府内では「中国は船長釈放を勝ち取り、矛を収めるどころかさらに、揺さぶりを強めてくるのではないか」と先行きを危ぶむ声が出ている

→手柄争いでエスカレートということもあるかもしれません。昨年末の民主党大訪中団前後の外交上の失敗が、この手柄争いを加速したかも。

 まず、今回の漁船同様、尖閣周辺の日本領海における中国漁船の侵犯行為がエスカレートする事態が予想される。海上保安庁などからは「中国漁船が違法操業していても、有効な取り締まりができなくなる」と心配する声が出ている。

→断固やらなければならない。やれない原因が政府中枢にあるならば除去しなければならない。 

 中国側が東シナ海のガス田開発問題で単独掘削の構えを見せるなど、船長逮捕の「報復措置」とみられる動きも解決のメドが立っていない

→解決のめどもないのに、なぜ、うごいた? 

 ガス田の一つ「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)では最近、中国側施設で掘削用ドリルのような機材の搬入が確認され、新たに白樺付近の海水に濁りがあることも判明した。24日に開かれた自民党外交部会で、資源エネルギー庁幹部は「掘削の可能性は高いとの判断は変わっていない」と説明。外務省も「中国側が掘削をした可能性がある」とみて、外交ルートを通じて中国側に事実確認を繰り返している。

 中国・河北省で「フジタ」の日本人社員4人が中国当局に拘束された問題でも、北京の日本大使館が25日、ようやく領事面会を実現させたものの、解放には至っていない。政府・民主党内では、「船長というカードを手放したことで、中国にやりたい放題やられる恐れがある」(民主党関係者)との警戒感も出ている。

 「日中は国際社会に責任を持つ重要な隣国で、戦略的互恵関係を深めるため、双方が冷静に努力することが必要だ」

 菅首相は24日(日本時間25日)、ニューヨークでの内外記者会見でこう強調した。しかし、メッセージは中国に届いていないようだ。(政治部 鎌田秀男、宮井寿光)


 →一時代前に、有効だったメッセージですね。このメッセージでは、現段階の日中関係を戦略的視点から改善しようという意欲はわいてこないでしょう。日本は押せば押すほど譲歩するとみられているとすれば。


■レアアース、輸出停止指示せずと中国商務省
(2010年9月26日00時23分 読売新聞)

 省エネ家電やハイブリッド車(HV)などの部品に不可欠なレアアース(希土類)の中国から日本への輸出が停止している問題で、外務省は25日、中国商務省から「レアアースの対日輸出を止める指示は出していない」との回答があったと発表した。

 日本側の照会、申し入れに対するもので、中国側から正式な回答があったのは初めてだ。

 ただ、経済産業省には、日本の複数の商社から輸出承認書の発給停止などが報告されている。

 外務省は「中国側から納得いく説明がなされていない」として、引き続き事実関係の確認を求めていく方針だ。


 →多国間主義、国際機関での解決は視野に入っていますか? 


■中国、強気の対日外交「揺さぶれば一層の譲歩」
(2010年9月25日23時58分 読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国の胡錦濤政権は、中国人船長の釈放を決めた日本に対して「謝罪と賠償」を求め、日本の拒否回答には同じ要求を繰り返した。

 執拗(しつよう)なまでの外交圧力をかけてくる中国側には「菅政権にさらに揺さぶりをかければ、一層の譲歩を引き出せる」(外交筋)との読みがある

 中国も、日本が「賠償と謝罪」に応じるとは見ていない。ただ、「領土問題は存在しない」としてきた日本が、「謝罪と賠償」を巡る協議に応じることがあれば、「領土問題」の存在を事実上認めさせることになり、それだけでも大きな外交得点となる

 姜瑜(きょうゆ)・中国外務省副報道局長が25日夜発表した談話では、前原外相が尖閣沖で同様の事案が再発した場合に毅然(きぜん)と対応すると発言したことに対し、「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土だ。中国政府は今までと同様、主権と領土を断固防衛する」と強調してもいる。再び中国漁船を拿捕(だほ)することは認めないとの警告だ。

 胡政権は、一連の報復措置に菅政権が屈したと自信を強め、「報復措置継続というオプションも残している」(中国筋)という

 一方、中国のインターネット掲示板は25日、船長の帰国を受けて、対日「勝利」をたたえ、一層の強硬な措置を求める声で沸騰した。政権を「反日世論」が後押ししている形だ。

 「船長は抗日英雄だ」などの声が相次ぎ、「謝罪と賠償」要求については、大多数が「全面的な支持」。「海軍を出動させよ」と求める者も少なくない。

 目立つのが「日本には経済制裁が一番有効」とする意見だ。日本製品の不買運動や訪日旅行の自粛などの呼びかけも続出し、「愛国行動として支持する」との声が広がる。今後、経済面での民衆レベルの反日行動が表面化する恐れがある。


■事態長期化を懸念=中国の真意確認急ぐ―中国漁船衝突事件・政府
時事通信 9月26日(日)0時2分配信

 沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、容疑者の中国人船長釈放を受け、同国が25日、謝罪と賠償を要求したことで、政府は事態の長期化に懸念を強めている。中国の求めに応じて船長の身柄を返せば、収拾に向かうとみていたためだ。政府は当面、中国の真意の確認を急ぎ、打開の糸口を探る構えだ。
「中国は、また同じことをしても釈放されると勘違いしかねない」。 外務省幹部は25日、容疑者の船長を釈放したことに対し、中国側が態度を軟化させるどころか要求を強めたことに強い懸念を示した。菅直人首相は米国から帰国後の同日夜、首相公邸で仙谷由人官房長官らと会い、釈放の経緯や世論の反応などについて報告を受けた。
 政府内では「船長の釈放で問題は解決する」との楽観的観測が支配的だった。政府高官は「公務執行妨害の立件で得られる利益と、事態収拾による国益は比べようがない」と歓迎していたが、目算が狂った格好だ。 



■【敗北 尖閣事件】(上)歪んだ「政治主導」 仙谷氏前面に
2010.9.25 01:14産経新聞

・・・

中国が掘削の可能性

 「日本は法治国家だ。そのことを簡単にゆるがせにできない。(日本が)超法規的措置をとれるのではないか、ということが前提にあるから(中国側は)よりエスカレートしていく」

 玄葉光一郎国家戦略担当相も24日午前の記者会見で胸を張った。だが、那覇地検の釈放方針発表後に官邸を出る際、玄葉氏は記者団に無言を通した


→国家戦略担当相!国会では、船長釈放について「コメントしたくない」と不快感をにじませ、「多くの日本人が日米安保(条約)の重要性、離島防衛の必要性を再認識する契機になった」と述べるだけではすまされません。
 


 閣僚経験者は「地検が日中関係にわざわざ言及したのは、精いっぱいの抵抗ではないか」と解説してみせたが、中国が強く出るとひざを屈する弱い日本というイメージは世界に広まることになる。

 仙谷氏らは船長の釈放で事態の沈静化を期待しているのだろうが、資源エネルギー庁幹部は24日の自民党外交部会で、東シナ海の天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)で、中国が掘削作業を開始した可能性が高いとの認識を明らかにした。

 今回の事件は中国が東シナ海での活動をますます活発化させるきっかけとなったかもしれない。

「特例」再び

  「那覇地検の決定は、3~4時間後には(米ニューヨーク滞在中の)菅直人首相の耳に入るだろう」

 仙谷由人官房長官は24日午後の記者会見で、いったんはこう述べ、船長釈放決定は首相の耳には届いていないとの認識を示した


 そしてその後、秘書官が差し入れたメモを見て「首相にはすぐに連絡が届いているということだ」と訂正した。まるで、首相の意思・判断には重きを置いていないかのようだった

 船長釈放の一報が伝わる約5時間前。23日午後9時(日本時間24日午前10時)ごろ、首相は同行記者団との懇談で笑みを浮かべてみせた。

 「今いろんな人がいろんな努力をしているんだから」

 日中関係の改善策を問われた際の答えがこれだ。

 民主党政権には中国の圧力に屈してルールを曲げた“前科”がある。昨年12月の習近平国家副主席の来日時に「1カ月ルール」を破って天皇陛下との「特例会見」を実現させたことだ。

 「あのときは官邸がぐらついたが今回は仙谷氏をはじめきっちりやった。中国も驚いて交渉レベルを楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相から戴秉国国務委員に上げて圧力をかけたが政府は踏みとどまっている」

 8日の船長逮捕の数日後、外務省関係者はこう語っていた。だが、その評価は裏切られた。


テープ公開せず

 24日昼、自民党本部での党外交部会。海上保安庁の檜垣幸策刑事課長は中国漁船と海保の巡視船が衝突した瞬間を収めたビデオテープをなぜ公開しないのか、苦しい釈明に追われた。

 高村正彦元外相「ビデオを見たら、(中国漁船側が)ぶつかってきたことが一見して分かるのか」

 檜垣刑事課長「一見して分かります」

 ならばなぜ、貴重な証拠を国際社会にアピールしようとしなかったのか。白黒はっきりつけるのを嫌う事なかれ主義が垣間見える。

政府内でも公開すべきだとの意見はあったが、仙谷氏は「刑事事件捜査は密行性をもって旨とするというのは、刑事訴訟法のいろはの『い』だ」(21日の記者会見)と後ろ向きだった

 刑事訴訟法47条は「公益上の必要が認められる場合」は証拠書類の公開を認めている。政府は、自国に有利なはずのビデオ公開を「公益」にかなわないと判断したことになる


基盤揺るがす火種

 政府筋は今回の釈放決定について「電光石火の早業」と評するが、いかに仙谷氏とごく少数の人間にしか知らされていなかったかが分かる。

 「那覇地検(の鈴木亨次席検事)は『今後の日中関係を考慮して』と言ったがこんなことを検事が言っていいのか。あらゆる泥をかぶるというなら、首相臨時代理である仙谷氏が(自分の責任で)言えばいい」

 自民党の石破茂政調会長は24日夕、記者団にこう指摘し、10月1日召集の臨時国会で追及する考えを示した。日本の国際的地位低下を招いた仙谷氏らの独走は、国内でも新たに発足した菅内閣の基盤を揺るがす火種となりそうだ。(阿比留瑠比、ニューヨーク 酒井充)



■【敗北・尖閣事件】(中) 戦略なく思考停止の日本政府、「中国も冷静に」ばかり
2010.9.26 00:57(産経新聞)

■一片の報道官談話

 沖縄・尖閣諸島沖での漁船衝突事件で、「白旗」を掲げて中国人船長を釈放した日本に、中国はどう応えたか。和解の握手を交わすどころか、くみしやすしとみて、図に乗ってきた。

 中国外務省が日本に「強烈な抗議」として、謝罪と賠償を要求したのは25日未明。緊張に耐えられず、すぐ「落とし所」を探す日本と違い、中国は弱い相手には、より強く出た

 日本政府の対応は鈍かった。「尖閣諸島がわが国固有の領土であることは、歴史的にも疑いない。領有権問題は存在しない。謝罪や賠償といった中国側の要求は何ら根拠がなく、全く受け入れられない」

 ようやく一片の外務報道官談話が出たのは、半日過ぎた25日午後。しかも訪米中の前原誠司外相は24日(日本時間25日)、ニューヨークでこれを聞かれると「コメントは差し控えたい」と言及を避けた。

「政治主導」を掲げる政権で、菅直人首相はじめ政権幹部には、決定的に発信力が欠けている

■首相は“人ごと”

 24日午後(日本時間25日朝)、ニューヨーク市内で記者会見した菅直人首相は建前論を繰り返した。

 「(中国船長の釈放は)検察当局が、事件の性質などを総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」

 記者団との懇談で、準大手ゼネコン「フジタ」の社員4人が中国内で拘束されたことを聞かれた際も、人ごとのような反応だった。

 「なんか、そういうことがあるという知らせは、受けている」

 一方、中国はどうか。

 温家宝首相は23日の国連総会での一般演説で、国家主権や領土保全では「屈服も妥協もしない」と強調し、国際社会に明確なメッセージを発信した。

 国際社会では「沈黙は金」ではない。こんなありさまでは、尖閣諸島の歴史や事情を知らぬ諸外国に、中国側が正義だという誤解を生みかねない。

 今回の船長釈放劇で「判断に全然タッチしていない」(幹部)とされる外務省の中堅幹部がぼやく。

「自民党政権時代なら、中国の次の行動に備え、対処方針を策定するよう政治家から指示があった。ところが今回は、ほとんど現場に話は来なかった」 

■政治主導機能不全

 官邸サイドは否定するが、首相が「超法規的措置はとれないのか」といらだっていたとの報道がある。実際のところ官邸には「ただ、早く沈静化させたいという思いが先行していた」(首相周辺)ようだ。

 政府には、問題解決に向けた見通しも方針もなく、衆知を集める能力もノウハウすらもなかったことになる。これでは「人災」だ。

 「証拠として早く(漁船が衝突した時の)ビデオをみせるべきだった」。鳩山由紀夫前首相も25日、京都市内で記者団に、政府の段取りの悪さを指摘した。

 鳩山氏は続けた。「私が首相当時は、温首相とのホットラインがあった。事件直後に菅首相が腹を割って議論すればよかった」。嫌味を言われる始末だ。

 民主党の岡田克也幹事長は25日、奈良市で記者団に中国の謝罪・賠償要求についてこう語った。「全く納得がいかない。中国にもプラスにならない。中国は冷静に対応した方がいい」

 政府・与党幹部が判で押したように中国に「冷静な対応」を求める。だが中国は日本の慌てぶりを「冷静に」観察し、どこまで押せば、どこまで引き下がるかを見極めながら、強硬姿勢を強めたのではないか

→全く同感です。 

 25日夜、訪米から帰国した首相を最初に出迎えたのは、首相官邸前に陣取った市民団体の抗議のシュプレヒコールだった。

 そして、仙谷由人官房長官らが公邸に駆け込んだ。尖閣問題の「今後」を協議する中で、メディアが伝える厳しい世論も報告されたという。(阿比留瑠比)

→ふと、「法匪」という言葉を思い出しました。

→なお、「爾後、菅民主党政権を対手とせず」の結果、政権が崩壊したとしても、次の政権が中国の意のままとなることはありえません。中国の日本専門家はそのことを理解していることでしょう。