日銀法政局?:立法権干犯の疑いあるロビイング活動はいけません | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

日銀法政局?:立法権干犯の疑いあるロビイング活動はいけません

秘書です。
公益性ある仕事が法律で規定されていることはとてもすばらしいことですが、自らの公益性を定める法律を決めるのはご自身の身内共同体ではなく、国民代表たる国会議員です。
あらかじめ確認しておきたいことは、法改正を阻止しようとするロビイング活動、立法権干犯の疑いあり、などといわれませんように、ということ。政局の暴風雨圏内に近寄らないほうがいいと思います。


■小沢一郎が持ち出した「日銀法改正」「インフレターゲット」が大再編の芽になる みんなの党、公明党の動きも焦点に/長谷川 幸洋
現代ビジネス 9月16日(木)7時5分配信

 民主党代表選で再選された菅直人首相を待ち受けるのは、ねじれ国会だけではない。負けても、やはり「小沢一郎」という波乱要因である。

 それを意識させたのは、小沢が14日の演説で「デフレ克服が最優先。日銀法改正やインフレターゲット政策も視野に入れて、あらゆる手段を講じる」と述べたからだ。代表選の最後の最後になって、それまで口にしていなかった「日銀法改正」や「インフレターゲット政策」に突然、言及したのはなぜか。

 複数の関係者によると、代表選最終盤になった先週金曜日(10日)に小沢支持の若手議員たちが劣勢を跳ね返すために、小沢に二つの政策を演説に取り入れるよう提言したためだ、という。

 そうだとすると、必ずしも小沢支持派の間で十分に練られた政策というわけではない。小沢は起死回生の一発逆転を狙ってインパクトの強い日銀法改正とインフレターゲットを持ち出したことになる。つまり政策論より政局論の産物である。

 とはいえ、この二つは案外、じわじわと後で効いてくるかもしれない。

 というのは、先週と先々週のコラム(「余裕の小沢一郎が『公約』に仕掛けた「みんなの党」への秋波」と「小沢一郎「国の資産の証券化」で「政府のスリム化」は実現するのか」)で取り上げた「国の資産の証券化」と同様、これまた、みんなの党が掲げている重要政策であるからだ。

 みんなの党は参院選のアジェンダに掲げるだけでなく、日銀法改正の法案を準備している。

 一部で報じられた改正案の概要によると「政府と日本銀行が協力して達成すべき経済政策の目標に係る協定を締結することを通じて、両者の経済政策における役割分担と責任の範囲の明確化を図る」などとなっている。

 これだけだと分かりにくいが、ようするに政府と日銀が物価安定目標(インフレターゲット)を掲げて、かつ日銀は目標を達成するための政策手段について独立性を有することを明確にする、という趣旨だ。

 こんな法案が実際に国会に提出されたとき、小沢支持派はどう対応するのか。ここがポイントだ。

 小沢とその支持グループは、小沢が演説で二つの政策を「視野に入れて、あらゆる手段を講じる」と述べたのだから、みんなの党が出す法案に賛成する可能性がある。少なくとも、頭から反対はできない。

 一方、菅支持派はこうした政策に対する態度を鮮明にしていない。つまり、民主党内が賛成派と反対派で意見が分かれる可能性が出てくるのだ。

 小沢とすれば「みんなの党の取り込み、ないし連携を狙って二つの政策を言い出した」というわけではないにせよ、結果的に法案に対する態度が一種の踏み絵になって、政局の芽になるかもしれない。

 みんなの党だけではない。公明党も景気対策に物価安定目標政策を掲げている。公明党は参院で19議席を確保しているので、民主党にとっては公明党の存在はきわめて重要だ。

*** きたるべき金融政策の大転換と政局 ***
 民主党内では、もともと今回の代表選とは関係なく、デフレ脱却のために金融政策が果たす役割について問題意識が高まっていた。「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連、会長は松原仁衆院議員)の活動が象徴的だ。

 そうした動きに加えて、なにより日本経済は円高と株安が加速し、景気が悪化している。菅政権は代表選の最中に、雇用重視を唱えて企業への奨励金支給を目玉にした経済対策を閣議決定したが、景気を下支えするにはいかにも力不足だ。

 15日には急伸した円高を前に単独介入に踏み切った。ところが、これも介入だけでは効果は限られている。日銀の金融政策を根本的に緩和方向に切り替える必要がある。

 つまり景気の実態を直視するなら、遅かれ早かれ抜本的な日銀改革と政策転換が避けられない、と私はみる。

 経済を無視して、政治は動かない。経済が危機的状況を迎えたときこそ、政治も根本的に変わるチャンスが出てくるのだ。

 小沢vs菅の戦いはひとまず、菅の勝利に終わった。

 だが、日本経済がデフレと円高株安の中期トレンドから脱出できない以上、いずれ金融政策の大転換が政権の最重要課題に上ってくるはずだ。そのとき、小沢vs菅の戦いは、みんなの党や公明党など野党をも巻き込んで、再び新たな次元で始まるのではないか。

 (文中敬称略)

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■白川日銀総裁の適格性を問う/ドクターZ
現代ビジネス 9月15日(水)8時5分配信

 欧米では経済を動かすのは大統領ではなく、中央銀行総裁だ。だが、日本の白川方明(まさあき)日銀総裁は存在感がないばかりか、今回の円高にまったく無策だった。

 先進国は現在、中央銀行の金融政策を極めて重要視しているが、当然それには理由がある。変動相場制においてマクロ経済効果は、財政政策より金融政策のほうが有効なのだ

 これは、マンデル=フレミング理論といって、99年にノーベル経済学賞をもらった由緒正しい理論だ。いまだに、景気対策というと、財政支出額を競っている日本は世界の笑いものである。

 マンデル=フレミング理論は、大学の経済学上級コースで習うはずだ。しかし、日本のマスメディアに就職した学生はサボってばかりいたのか、景気対策の話題になると財政支出関連報道のオンパレードだ。

 マンデル=フレミング理論を簡単に説明しよう。変動相場制の場合、国債発行による公共投資を行うと、市場のカネが国債発行によって減少するので金利が上がる。そのため円高になって輸出が減り、公共投資のプラス効果を相殺するのだ。

 逆に金融緩和すると、市場のカネが増えるので金利が下がり、設備投資が増加するとともに、円安になることで輸出も増え、景気刺激になる。

 こうした金融政策と金利の動きを知っていれば、金融政策の巧拙が通貨価格に影響を与える理屈もわかるだろう。

 実際、この理屈通りのことが、この1ヵ月弱の間に日米を舞台に起こったのだ。8月10日、日米で同じ日に金融政策決定会合があった。米国FRB(連邦準備制度理事会)は、米国内の景気刺激のために事実上の金融緩和措置を打ち出すが、日銀はまったく動かず、その結果、円高が進展した。今の円高は、日銀の無策の結果なのである。

 当然、世論は日銀を責めた。9月6日、7日が次の金融政策決定会合の定例開催日だったが、8月30日に臨時の金融政策決定会合を開かざるを得なくなった。大失態である。10日に無策を決め込んだことが誤りだったと明白になったのだ。

 ところが、30日の臨時会合で発表した金融緩和の内容が、これまたあまりに陳腐だった。それは、当日の為替レートの動きを見れば一目瞭然だ。前日の晩から昼12時近くまで、金融緩和期待から1円以上も円安に振れた。

 ところが、日銀が金融政策を発表すると、とたんに円高に振れた。さらに、白川総裁が記者会見で「現在の国債買い入れ規模は最適であると判断している」と述べ、もう一段上の金融緩和を意味する長期国債の買い入れ増額に否定的であったことからさらに円高となり、午後は結局1円ほど円高となった。

 日経平均株価の終値も翌31日には、円高の影響から年初来最安値をつけた。日銀の金融政策の効果は1日も持たなかったのだ。

 白川総裁は本来は総裁になる人でなかったが、野党時代の民主党が日銀総裁の国会同意人事を何度も拒否し、消去法で誕生した経緯がある。

 30日の記者会見で白川総裁は、10日の無策をミスとは認めなかった。しかもFRBの動きは金融緩和策ではないとの見解を示し、自らの無策を正当化した。これでは円高に苦しむ企業や人々は浮かばれない。

 円高対策に政府関係者が頭を悩ましている最中の8月26日から、白川総裁は5日間の予定で米国に出張した。さすがに1日繰り上げて帰国したが、その危機意識にはかなり疑問が残る。

 果たして、白川総裁は適任なのだろうか。


大混乱の末、民主党主導で選んだ総裁です。